美しい自然と高水準の教育で知られるスイス。
英語・ドイツ語・フランス語・イタリア語など多言語が飛び交い、多文化環境での学びが叶うスイスは、世界的にも人気の留学先となっています。
一方で「スイス留学は高額」というイメージを漠然と持っている人も多いかと思いますが、実際の留学費用はどうなのでしょうか。
具体的にかかる費用を把握しその内訳などを知ることで、予算を立てることが可能になり、スイス留学が現実的に考えられるようになります。
本記事ではスイス留学にかかる費用の内訳から節約方法、奨学金制度まで詳しく解説していきますので、どうやって実現していくかを一緒に考えてみましょう!
- スイス留学の魅力と特徴
- スイス留学のメリット
- スイス留学に必要な基本費用の内訳
- スイスの学費の詳細と大学別の費用比較
- スイスの生活費の実態と都市別の物価比較
- スイス留学の費用を削減するコツと奨学金制度
- スイス留学の準備と手続きの流れ
- まとめ
スイス留学の魅力と特徴
スイスってどんな国?
スイスはヨーロッパ中部のアルプス山脈に位置し、ドイツ・フランス・イタリア・オーストリア・リヒテンシュタインに囲まれている内陸国です。
永世中立国(他国の戦争に関係せず中立を保つことを条約で義務づけられた国)として知られており、治安がよいことで有名。
面積でいうと約4.1万㎢で、日本の九州とほぼ同じ大きさです。
また、スイスでの公用語はドイツ語(65%)、フランス語 (23%)、イタリア語(8%)、ロマンシュ語(1%)となっています。
首都はベルンですが、スイス最大の都市は北部に位置するチューリッヒ。 ロンドンやニューヨークと並んで金融の世界的な中心地となっています。
また西部にあるジュネーブはスイス第二の都市で、世界保健機関(WHO)本部など多くの国際機関の拠点が集まっているので、聞いたことがある人も多いかと思います。
雄大な自然に恵まれた多民族の国、スイスの魅力あれこれ
まず、大自然の絶景がスイスの1番の魅力として挙げられるでしょう。
スイスといえばやっぱりアルプス山脈!レマン湖、ルツェルン湖なども有名で、四季折々でいろいろな絶景を楽しむことができます。
治安が良く清潔な街並みも、旅行者や留学生にとって嬉しいポイントです。
特にチューリッヒやジュネーブ、ベルンなどは非常に整備されていて、街歩きを楽しめます。
公共交通機関も正確で便利。 スイス鉄道が有名です。
さらにスイスは世界でもトップクラスの生活水準を誇り、福祉や医療が充実しています。
物価は高めになりますが、それに見合った質の高いサービスが受けられるのが特徴です。
スイス留学のメリット
まず第一にスイスは教育水準が非常に高く、特にホスピタリティや国際ビジネス、工学分野で世界的に評価されています。
特徴的なのはスイスで採用されているデュアルシステムという制度。
これは職業教育制度で、学校での学習と企業での実務経験を組み合わせた教育制度のことです。
小学校と中学校の9年間の義務教育のあと、3割程度の生徒は大学進学を目指しますが、
7割程度の生徒が職業教育訓練コースを選択し「週に1〜2日は学校で理論や一般教養を学び残りの3〜4日は企業でインターンとして働く」という生活を送ります。
このように早期から実社会と関わることを可能にするデュアルシステムは、若者のキャリア形成に非常に効果的なモデルとして評価されています。
このデュアルシステムに代表されるように、スイスは子ども・若者の教育に非常に力を入れている国なのです。
ノーベル賞受賞者の数が世界最多であることも、教育システムの賜物でしょう。
また、先述の通りスイスには4つの公用語(ドイツ語・フランス語・イタリア語・ロマンシュ語)があり、地域ごとに文化や雰囲気が異なります。
つまり同じスイス留学でも、滞在するエリアによってさまざまな言語を学ぶことができるのです。
留学中の寮などでは、多くは公用語として英語を使うことになりますが、選ぶ地域によってはフランス語やドイツ語、イタリア語をメインとして使用する学校があったり、英語の他に別の言語を併用しているコースがあることも。
スイスでは英語留学だけでなく、マルチリンガルを目指す留学も叶えられるのです。
多文化交流という意味では、世界各国からスイスの高い教育水準を求めて留学生がやってくるため、ヨーロッパ系・アメリカ系・アフリカ系・アジア系……と多彩な国籍の人たちと触れ合うことができるのも、スイス留学のメリットの1つ。
日々の生活の中で自然と国際性を養うことができます。
スイス留学に必要な基本費用の内訳
ではここからは、実際に費用について見ていきましょう。
スイス留学に必要な費用を分解すると
「航空費」
「学費」
「滞在費(宿泊費)」
「生活費(食費含む)」
「留学保険費用」
になります。
中でも学費はどんな留学の形式を取るかによってかかる金額が大きく変わりますので、以下で具体的に見ていきます。
ボーディングスクール留学の場合
ボーディングスクールとは、全寮制の寄宿学校のこと。
家族と離れた寮生活で、世界各国から集まった留学生たちと寮で寝食を共にします。
対象は未就学児〜高校生となっており、夏休みや冬休みを利用した短期留学では英語やドイツ語、フランス語などの学習とアクティビティを体験できます。
スイスのボーディングスクールの費用は、授業料と寮費を合わせて最低でも年間1000万弱〜となります。
そこからさらにスポーツや遠足などの課外活動、必須の保険料などがかかります。
大学・大学院留学の場合
大学への正規留学の場合、大学によっては授業料が無料または低価格のところもあるにはあるのですが、物価が高めなので生活費はそこまで安く抑えられるわけではありません。
授業料は公立大学では安くなり、年間数十万のところから、私立では数百万になるところまで様々です。
ヤング・プロフェッショナル交換制度(インターンシップ型)の場合
スイスは日本とのワーキングホリデー協定を結んでいないため、ワーホリビザを活用することができません。
代わりに「ヤングプロフェッショナル交換制度」というものがあり、インターンシップの一種のような形で参加することができます。
応募には条件がありますが、ヤング・プロフェッショナル交換制度を使っての留学も選択肢としては考えられるでしょう。
費用としては、自己負担は年間約150万〜300万円程度、給与として月給15万〜20万円相当がもらえたとして、生活費と相殺される場合が多いようです。
短期留学(語学学校/サマーコースなど)の場合
短期間でもしっかりとした語学プログラムがあり、観光との組み合わせも人気!
短期とはいえ、語学学校や選ぶコースにもよりますが、1ヶ月で約40万〜70万円程度の予算を確保しておけると良さそうです。
スイスの留学保険とは?
スイスは、入国の際に留学保険の加入が必須となっている国です。
年間10万程度の保険料を予算に入れておく必要があります。
スイスの学費の詳細と大学別の費用比較
スイスの大学の学費はヨーロッパの中でも比較的安価な部類に入りますが、大学によっては外国人学生に追加費用を課すところもあり、大学ごとに費用も異なります。
以下で学費の具体例をご紹介します(為替レートは2025年4月時点)。
スイス連邦工科大学チューリッヒ校
通称チューリッヒ工科大学は世界ランキング10位の名門校。
入学にあたってはドイツ語も必須となっています。
留学生の学費は年間 4,380スイスフラン(CHF)=77万円弱です。
スイス連邦工科大学ローザンヌ校
チューリッヒ工科大学の姉妹校で、留学生の学費はチューリッヒ工科大学と同様、年間 4,380スイスフラン(CHF)=77万円弱です。
チューリッヒ大学
スイスで最大規模の大学であり、これまでに12人のノーベル賞受賞者と24人の連邦大統領を輩出しています。
留学生の学費は年間 2,440スイスフラン(CHF)=45万円弱と破格です。
スイスの生活費の実態と都市別の物価比較
スイスの生活費は世界的にも高額で、特に都市部でその傾向が顕著です。
特にチューリッヒ、ジュネーブ、バーゼルなどの主要都市では世界的にも生活費が高いことで知られていますが、各都市の特徴によってかかるコストに違いが出てきます。
以下で1ヶ月にかかる生活費の目安をご紹介します(為替レートは2025年4月時点)。
スイス最大の都市チューリッヒ
チューリッヒは金融や保険の中心地で生活費がかなり高めです。
1ヶ月の生活費の目安は4,000~5,500スイスフラン(CHF)=70万弱〜95万円程度。
国際機関が集まるジュネーブ
国連機関や国際機関が多く、国際色豊かな都市であるジュネーブ。
1ヶ月の生活費の目安は4,000~5,000スイスフラン(CHF)=70万弱〜85万円程度。
歴史を感じる古都ローザンヌ
ローザンヌは美しい湖に囲まれた、観光と文化の中心地。
1ヶ月の生活費の目安は中程度で、3,500~4,500スイスフラン(CHF)=60万〜80万円弱程度。
中世の面影を残す首都ベルン
落ち着いた雰囲気の首都・ベルン。
生活費は比較的抑えられ、1ヶ月の生活費の目安は3,000~4,000スイスフラン(CHF)=50万〜70万円弱程度です。
スイス留学の費用を削減するコツと奨学金制度
ここまで読んで、スイス留学はやはり高額になってしまいそう……と思った人のために、費用を抑える工夫についてもお教えします。
①奨学金制度を利用する
工夫の一つは奨学金制度を利用すること。
スイスには多くの奨学金制度が存在し、JASSO(日本学生支援機構)やスイス政府奨学金などを活用することで授業料や生活費の一部をカバーできます。
②学費以外を節約する
スイスの物価水準は、東京よりも23〜36%高いとされています。
つまり学費以外の生活費を抑えることで、全体のコストカットに大きく貢献できるのです。
例えば現地の学生寮やルームシェアを選ぶことで滞在費を抑えることができますし、基本的なことにはなりますが、自炊も生活費削減に効果的です。
外食を減らして学食を利用するのも良いですね。
スイス留学の準備と手続きの流れ
スイスへの留学を計画するには、お金のことも考えると、準備は早ければ早い方が良いです。
情報収集から考えると2年前くらいから動き出せると良いでしょう。
①情報収集を2年前からスタート、1年前までに詰めておく
スイス留学の第一歩は、留学の2年前を目安に踏み出すのが一つの目安です。
自分の希望条件や家族の予定などから留学プランと学校の目処を立てます。
この段階でスイスの留学の概要と留学費用について、しっかりと確認することになります。
1年半〜1年前くらいには、出願校を決定できるようにしましょう。
留学エージェントにサポートを頼む場合には、この時点で詳細カウンセリングを行い、どんな学校が選択肢になりそうかを絞り込んだ状態になります。
②留学志望校への出願・入試は1年前~7か月前
出願手続きや入学手続き、必要な学校の場合には手数料を納入します。
入試の内容は学校により様々。 面接のみの場合もあればエッセイ提出があったり、受験場所もオンラインの場合もオフラインの場合もあります。
③留学志望校の入学手続きは11か月前~5か月前
合格通知がきたら、各種書類作成や手続きを行います。
学費や寮費の納入も入学手続きに含まれます。
④10か月前~3か月前は、スイスへの渡航準備を着々と進める
航空券を手配したり、持ち物リストを用意して荷造りに必要なものを整理しておきます。
入学に必要な書類やビザ申請の条件は学校や滞在期間によって異なるため、公式サイトや現地サポート機関の情報を参考に進めるようにしましょう。
現地での滞在先の手配も忘れずに準備しておきます。
まとめ
スイス留学は高額なイメージが強いですが、スイスは教育の質や国際的な環境、多言語に触れられる点など、他にはない魅力が詰まった留学先です。
学費は大学によって大きく異なりますが、生活費や滞在費を含めた全体の予算をしっかりと立てることで無理のない留学計画は可能になります。
奨学金や現地の節約術を活用することで、経済的な負担を軽減することもできます。
正規留学から語学留学、短期プログラムまで、多様な選択肢があるスイス留学。
自分に合ったプランを見つけて、無理なく理想の留学生活を実現できるよう、ぜひ色々な選択肢を検討してみてくださいね。

◇経歴
幼稚園時代をシンガポールで過ごし、現地の友達と英語でよく遊んでいました。小学校からは日本で暮らし、中学生の時にカナダにホームステイした経験から海外での暮らしに魅了され、東京外国語大学に進学。
在学中にバンクーバーへの留学を経て就職し、新卒で入った会社では外資系クライアントと英語でやり取りをしていました。
現在は仕事で英語を使う機会はほとんどないものの、趣味として楽しく勉強し続けています!
◇資格
TOEIC940点、TOEFL iBT 90点
◇留学経験
バンクーバー(カナダ)、半年間、ILSC vancouver
◇海外渡航経験
・シンガポール(居住・旅行)
・マレーシア(旅行)
・モルディブ共和国(旅行)
・サイパン(旅行)
・カナダ(ホームステイ・留学)
・グアム(旅行)
・タイ(旅行)
・ドイツ(旅行)
・イタリア(旅行)
・トルコ(旅行)
・インドネシア(旅行)
◇自己紹介
英語が話せるだけで、世界中の「私が自分の言葉で会話できる人」の母数がぐんと広がったことが、私にとってはいちばん面白いポイントでした!これからも英語を通じていろんな地域のいろんな文化や人に触れ、知らないことを知っていきたいと思っています。