アメリカで医者になるには何年かかる?医師免許取得のステップを解説

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医師になるために医学部を目指して受験勉強中の方や、すでに大学医学部で学んでいる学生の方は、具体的な未来像を描けているでしょうか?

知力や体力などさまざまな能力や経験が求められる医者は、世界中で必要とされる職業です。

日本も医療が発展している国のひとつですが、世界で最も医療技術が発展しているアメリカで医者になりたい、と思う方もいるでしょう。

今回は、そんな大きな夢を持つ方に向けて、アメリカで医者になるにはどのようなステップがあるのかについて解説していきます。

アメリカで医者になるには日本と違うプロセスが必要

アメリカで医者になるのは、決して容易ではありません。

日本でも医師免許を取得することはとても難しいことですが、アメリカで医者になるには日本とは異なるプロセスを踏む必要があります。

そのため、日本人がアメリカで医師になることはさらなる狭き門だと言えるでしょう。

日本では、医者になることを考える場合に、大学の医学部を受験することが一般的です。

医学部の卒業試験に合格したあと、国家試験に合格すると正式に医師免許を取得できます。

その後、初期臨床研修期間と専門研修期間を経て臨床経験を積んでいきます。

一方、アメリカの大学には基本的に医学部がありません。アメリカで医者になるには、大学院に相当するメディカルスクールで専門教育を受けることとなります。

このメディカルスクールに進学するための全国共通試験は、大学で学士号を取得した人のみが受験できるテストです。

メディカルスクールに入学後は、在学中から3つのステップに分かれた試験を受験します。

これらの試験に合格後に、レジデントやインターンとして、2~7年間の研修が始まる流れです。

このように、日本とアメリカとでは医師になるための道のりに違いがあります。

医者になるまでは何年?日本とアメリカの違い

アメリカで医者になるためには、いったい何年くらいの期間が必要なのでしょうか?

日本とアメリカの違いを見ていきましょう。

日本で医者になるまでにかかる期間

日本で医者になる場合には、大学の医学部卒業までに6年間、国家試験を経て初期研修医として2年間を費やします。

大学入学から医師として働くまでに、少なくとも8年かかるということですね。

その後に専門医研修を3~5年受けるため、大学入学から最後の研修を終えるまでに最短でも11年間かかるという計算になります。

アメリカで医者になるまでにかかる期間

アメリカで医者になる場合、まず大学の学士課程を修了するのに4年間かかります。

その後、メディカルスクールの修了までに4年かかり、インターンシップを1年間、その後にレジデンシーと呼ばれる研修に3~6年間を費やします。

アメリカの医師免許試験はレジデンシーの初年度に受験する人が多いため、大学入学から医師免許を取得するまでに、少なくとも10年かかる計算です。

その後、専門研修としてフェローシップの段階は3~10年かかるといわれ、一人前の医師になるにはさらなる期間を要します。

このように、大学入学から研修を終えるまでに15年前後はかかることになります。

あくまでも、これらはスムーズに各ステップを進んだ場合の時間です。

アメリカで医師になるにはかなり難易度の高い試験や基準をいくつも乗り越えなければならないため、これ以上に長い期間を要することを想定しておくべきでしょう。

アメリカで医者になるまでにかかる費用は?

アメリカで医者になるためには、日本で医者になるよりも長い期間を要することがわかりました。

それでは、その期間にどれくらいの費用がかかるのでしょうか。

アメリカで医者になるには、まずメディカルスクールに入学する前に4年間の大学学士課程の授業料がかかります。

次に、メディカルスクール4年間の学費だけでも2,500万円以上の費用を見込むことが必要です。

また、それとは別に、メディカルスクールの初年度は教材費用や生活費として500万円ほどかかると言われています。

メディカルスクールの授業料は、公立校か私立校かによっても金額が大きく異なりますが、州内出身者と州外出身者でも授業料の金額設定が違うケースが多く見られます。

これは、アメリカで生まれ育った人でも他の州から来た学生にとっては厳しい条件です。

アメリカでは、医者になるために必要となる高額な費用がしばしば問題視されています。

多くの学生が奨学金を受けたり、ローンを組んだりして学費を賄っているのが現状です。

しかし、外国人留学生で奨学金やローンを組むことができない場合は、より厳しい条件となります。

メディカルスクール卒業後の研修期間も特に高い給料が得られるわけではなく、生活は厳しくなりがちです。

そのため、事前に長期的な経済計画を立てる必要があります。

アメリカで医者になるまでの5つのステップ

アメリカで医者(専門医)になるための期間は、5つのステップに分けることができます。

・学士課程(プレメディカル)
・メディカルスクール(医科大学院)
・インターンシップ
・レジデンシー
・フェローシップ

それぞれのステップについて、詳しく説明していきます。

学士課程(プレメディカル)

アメリカでは、医者は幅広い知見を有していることが求められるため、まずは学士課程の修了が必要です。

専攻は特に指定がなく、一般的な4年制の総合大学に進学します。

文系でも理系でも自分の好きな学問を専攻できますが、基礎科学や化学、生物学の知識が求められるため、これらに関連した学問を専攻することが一般的です。

メディカルスクールを受験するために必要な科目を集中して専攻できる、プレメディカルコースとして専門プログラムを開設している大学も多く見られます。

また、メディカルスクールの受験では、大学生活でのボランティア活動が重視されるケースもあるため、多くの学生がボランティアに励みます。

学士課程修了後に、メディカルスクールへの入学に向けて医科大学入学試験(MCAT、Medical College Admission Test)を受験することが必要です。

MCATは全国共通試験で、このスコアと書類審査や面接によってメディカルスクールへの入学者が選考されます。

メディカルスクール(医科大学院)

学士課程の次のステップは、メディカルスクールです。このステップでようやく、専門的な医療知識についての学びがスタートします。

メディカルスクール在学中には、USMLE(United States Medical Licensing Examination;米国医師国家試験)を受験することになります。

USMLEはSTEP1~3までの3段階形式の試験です。

メディカルスクールの2年次が終わる頃にStep1を、4年次にStep2を受験することが一般的です。

Step2の試験結果は、その先のインターンシップやレジデンシーの研修先となる病院との「マッチング」時に重視されます。

インターンシップ

メディカルスクールを修了すると、各教育病院での研修へと進みます。

卒業後の臨床研修の1年目はインターンシップと呼ばれます。主要な診療科をひととおり経験するのが基本です。日本の初期研修と少し似ていますね。

レジデンシー

インターンシップを終えると、レジデンシーというステップへ進みます。

レジデントとしての研修期間は、科によって異なり、大体3〜6年かかるといわれています。

レジデント1年目の最後に、USMLEのStep3を受験するのが一般的です。

レジデンシーの終了後には、「Board Certification Examination」という認定試験を受験することになります。

この試験に合格すると、ようやく医師としての一般的な活動ができるようになります。

フェローシップ

レジデンシーを修了して、さらに専門領域を極めていくステップが、フェローシップです。これは専門医研修のことを指します。

日本も同じようなシステムですね。レジデンシーと同様に、専門医研修も科によって研修期間が異なります。

フェローシップの修了時には、専門医認定試験である「Subspeciality Board Certification Examination」を受験し、合格すると初めて専門医と名乗れるようになります。

ここで専門医としての称号を取得すれば、専門学会への入会も認められます。

アメリカで医師(専門医)になるには、以上のような5つのステップを踏む必要があり、日本で医師になるよりも長い期間を要することがよくわかりますね。

メディカルスクールの入学要件と選び方

先述の5つのステップのなかでもご紹介しましたが、アメリカで医者になるためのメディカルスクールに入るにはどのような要件があるのか、再確認してみましょう。

入学要件を理解したうえで、メディカルスクールを選ぶ際のポイントや、日本の大学医学部卒業後に可能な方法もお伝えします。

メディカルスクールの入学要件とは?

メディカルスクールへの入学要件は、学校ごとに大きく異なります。

しかし、どの学校についても共通して言えるのは、たいへん難易度が高く狭き門だということです。

メディカルスクールの基本的な合格率は、一般的に10%前後だといわれています。

しかし、留学生についてはこれよりもさらに厳しい合格率となっており、かなりハードルが高いのが現状です。

その理由は、アメリカには地元に根差した医者を育てたい、という風潮があるからです。

アメリカでは医師不足が懸念されており、メディカルスクール卒業後もその地域に残って医者として働いてくれる人材を求めています。

州内在住の学生を積極的に受け入れ、学費が州内在住者と州外在住者で異なるのも、これが理由です。

州外在住の学生をほとんど受け入れていないメディカルスクールも少なくありません。

アメリカ人でもそのような状況にあり、ましてや外国人留学生に至っては、より少ない枠を争うことになります。

メディカルスクールを選ぶ際のポイント

留学先を選ぶ際に最も重要なのは、留学生の受け入れに積極的なメディカルスクールを探すことです。

留学生の入学しづらさは、公式情報にはあまり公開されていません。

そのため、受験の準備を始める段階から、情報収集を徹底する必要があります。

日本の医学部を卒業後に米国医師免許取得を目指す方法も可能

留学生がアメリカで医者になるのは簡単な道のりではないため、別の方法を考える人もいます。

それは、日本の大学医学部で学び、日本の医師免許を取得後に臨床経験を活かしてアメリカのUSMLEを受験し、現地の医師免許取得を目指すパターンです。

USMLEの受験勉強と英語の勉強の同時進行が必要になりますが、日本でのキャリアを活かせるうえに留学に必要な費用も抑えられると考えられています。

まとめ

ここまで、アメリカで医者になるまでの方法についてまとめてきました。

アメリカで医者になることはできるのか、医者になるには何年かかるのか、またどれだけの費用がかかるのかなど初歩的な疑問に触れたうえで、アメリカで医者になるためのステップや、日本からの留学で注意したいメディカルスクールの入学要件などもお伝えしてきました。

日本人がアメリカで医者になることは、簡単ではありません。かなり厳しい選択と言えます。

高い壁を乗り越えてアメリカで医者になりたいという夢を実現したい方は、可能性をあきらめずにぜひ頑張っていただきたいと思います。

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