
「留学にチャレンジしたい!」そう思ったとき、まず考えたいのがどの形式の留学が自分にとって最適かということです。
正規留学、語学留学、大学の交換留学など、選択肢はさまざま。
今回は、その中でも「正規留学」に焦点を当て、語学留学や交換留学と比較しながら、正規留学するメリット・デメリットや人気の国について、大学院留学中の著者の視点で解説していきます!
これを読めば、自分が正規留学に向いているかどうか、きっとわかるはずです!
正規留学とは?
「正規留学」とは、日本国外の教育機関に直接入学し、現地の学生と共に学ぶ留学のことです。 小中高校から大学・大学院まで様々なパターンがあります。
資格|学位取得が目的
特に大学・大学院への正規留学では、日本の大学・大学院と同様に専門分野の研究を深め、学位を取り卒業することを目的としています。
期間|1年以上の長期留学が基本
正規留学では、入学した機関で決められたカリキュラムに取り組み、卒業を目指すことが前提なので、留学期間は1年以上の長期にわたることが一般的です。
国や地域、大学のカリキュラムによっても異なりますが、アメリカでは学士号取得に最短4年、修士号取得に最短2年、イギリスでは学士号取得に最短3年、修士号取得に最短1年が必要です。
語学力|一定以上の語学力が必要
特に大学・大学院への正規留学では、専門分野の研究を深めるために支障のないレベルの語学力が求められます。
語学力が不足している場合、大学によっては半年から1年の準備コース(英語力強化プログラム)の受講を義務付けることもあります。
そのため、正規留学を目指す場合、十分な語学力を身につけることが必要条件です。
語学留学との違い
「語学留学」とは、その名の通り、語学力の向上、研鑽のために海外の教育機関(主に語学学校など)に入学し、語学力の向上のための教育プログラムを受けることです。
「語学留学」は、正規留学と比較して、より気軽にいつでも挑戦することができるものの、修了したことを示す公的な証明はないので、英語力に関する証明(IELTS、TOEICなど)を別で受験して、語学留学の成果を証明する必要があります。
資格|公的な卒業資格はない
語学学校では卒業したとしても公的な資格は手に入らないため、TOEICやIELTSなどの公的試験で英語力を証明する必要があります。
期間|短いものだと1週間から挑戦できる
多くの場合、語学学校では自分の希望や予算にあうカリキュラムを選ぶことができるため、柔軟な選択肢があります。
語学力|語学力がなくても挑戦できる
「語学力」を向上させることが目的であるため、入学当初の語学力が低くても問題ありません。
交換留学との違い
「交換留学」とは、日本の大学・大学院に所属しながら、所属大学が提携を組む海外の大学にて授業を受けることです。
留学先の大学で取得した単位は、日本の所属大学での単位に互換されます。
機関や語学力の基準は大学により個別に設けられています。
資格|日本の大学の学位を取得
日本の大学を卒業するための単位を海外で修得する制度なので、交換留学後、卒業に必要な単位数を獲得したら、日本の大学で専門分野の学位を取得することができます。
期間|期間はたいてい1年以内
交換留学はあくまでも、日本の大学に籍を置きながら行うものなので、正規留学と比較して期間は短く、多くの大学が1学期分または1学年分の交換留学制度を設けています。
語学力|基準は正規留学より易しめ
正規留学と同様に専門分野を英語で理解し、研究ができる程度の力が必要とされていますが、正規留学と比較すると易しいレベルに設定されていることが多いようです。
例えば、千葉大学の交換留学制度では、「TOEFL iBT* 72・IELTS 5.5・PTE 59・TOEFL ITP 543以上」、明治大学の交換留学制度では「IELTS5.5~6.5(留学先大学による)」と設定されています。
【参考】
千葉大学海外留学情報 長期交換留学プログラム
明治大学 2025年秋出発 大学間協定留学【交換型】募集要項
正規留学の国選びで重視すべき点
正規留学にチャレンジする決意をしたら、次に考えるべきは、「どの国の、どの大学に進学するのか」です。
国選びは、単に憧れの場所を選ぶのではなく、自分の学びたい分野や将来のキャリアに直結する重要な決断になります。
また、正規留学は短期間の語学留学とは異なり、学位取得を目的とした長期滞在が前提となるため、環境面や生活のしやすさも考慮しなければなりません。
ここでは、著者の正規留学の経験もふまえ、国選びで特に重視すべき2つのポイントを紹介します。
自分の深めたい分野にマッチしているか
一番大切なことは、自分の研究したい分野と留学先の大学や国がどれだけマッチしているかです。
正規留学の目的は、単なる語学力向上ではなく、専門的な知識を身に着け、研究を通じて学問を深めること。
そのため、留学先の大学のカリキュラムや学部、研究室の情報をしっかり調べることが、国選びでの最優先事項になります。
加えて、自分の研究テーマとその国に親和性があるかどうかも重要なポイントです。
例えば、寒冷地に生息する動物の研究をしたい場合、熱帯地域にある国に留学するのは適切とは言えません。
また、正規留学では自らが直接、願書を作成し、海外の大学・大学院に出願して選考を受ける必要があるため、研究内容との親和性を考慮した国選びは、選考過程においても有利に働くことがあります。
そのため、ただ「人気な国だから」「英語圏だから」といった理由だけで国を決めるだけでなく、自分の学問的関心に最も適した環境を選ぶことが重要です。
自分が長期滞在することができる環境か
正規留学は長期間にわたるため、学業だけでなく生活面も大きく影響してきます。
大学の課題や研究で忙しく、頻繁に帰国することが難しいケースもあるため、「その国で長期間生活できるか?」という視点で考えることが大切です。
例えば、下記のようなポイントで候補の国を見てみましょう。
・生活環境:日本の気候や文化と似ているかどうか。
・食文化:日本食が手に入りやすいか、食事が自分に合うか。
・治安や医療環境:安心して生活できる治安か、病気になった際に適切な医療が受けられるか。
・物価:学費や生活費が予算内に収まるか。
また、「自分がその国の文化に馴染めるか?」という視点も大切です。
可能であれば事前に短期間でも渡航し、実際に現地の雰囲気を体験してみるのもおすすめです。
正規留学のメリット・デメリット
専門分野の知識を深められ、英語力の更なる向上も期待できる正規留学ですが、メリットもデメリットも存在します。
3つのメリット
1つ目のメリットは、自分の深めたい専門分野を突き詰められることです。
正規留学を考えたとき、世界中の大学が進学候補の対象になるため、最先端の研究を行っている大学で学べるチャンスがあります。
こうした研究は、今後の自らのキャリアパスに有利に働くといってよいでしょう。
2つ目のメリットは、就職の選択肢が広がることです。
一部の国では大学等の高等教育機関を卒業した学生を対象に就職活動時の滞在のために、ビザを1年延長できる制度があります。
就職先の候補が国外にも広がることで、自分が海外大学で培ったスキルを活かせる場が広がります。
3つ目のメリットは、語学力の向上です。
授業や論文を通してアカデミック英語に毎日触れながら、クラスメイトとの日常会話を繰り返すことで自然と英語力が身についていきます。
また、正規留学には金銭的なメリットがある場合もあります。
すべての国でではありませんが、一部の国では授業料が無料であったり、もしくは学費が比較的安価な場合があります。
また、東南アジアなどでは日本よりも生活費が抑えられる場合があります。
高等教育を受けるには、金銭的な負担も大きいですが、正規留学を候補とすることで、費用負担軽減にもつながる可能性があります。
2つのデメリット
1つ目のデメリットは、渡航時から高い語学力が必要であることです。
多くの海外大学・大学院では、英語力の最低基準をIELTS6.0以上に設定しているため、大学受験の準備と合わせて、英語力の研鑽が必要になります。
英語は生ものであることから、たとえ語学試験の基準をクリアしていても、授業が聞き取れなかったり、難しい専門用語で行き詰ってしまうこともあるため、入学前から入学後にも毎日自己研鑽を怠らないことが重要になります。
著者も大学院に留学中ですが、ネイティブキャンプのオンライン英会話を活用して留学中も英語の勉強を続け、このデメリットを克服しようとしています。
おすすめの教材はこちらです。
・IELTS試験対策のコース:アカデミックスピーキングの練習ができる
・フリートークセッション:プレゼンテーション前の練習ができる
・デイリーニュース:自分の研究分野に関するニュースでアカデミック表現を学ぶことができる
2つ目のデメリットは、授業のスケジュールや課題の量が日本の大学よりもハードであることです。
著者は日本の大学を卒業していますが、海外の大学院では日本の大学よりもより多くの課題、プレゼンテーションがあり、クラスメイトも毎日長時間机に向かっているといいます。
例えば、1週間で合計200ページ以上の英語論文を読まなくてはいけないことも…。
この環境でも生き抜くための強い忍耐力も必要です。
正規留学で人気の国
日本人が正規留学先として選ぶ国には、どのような特徴があるのでしょうか?
2024年に文部科学省が公表した資料*によると、日本人が最も多く留学している国トップ5は以下の通りです。
1位:アメリカ合衆国
2位:中国
3位:台湾
4位:イギリス
5位:オーストラリア
(※この統計は複数の海外機関のデータを合算したものであり、一部に正規留学生以外も含まれる可能性があります。)
それでは、それぞれの国の特徴や、日本人に人気の理由を詳しく見ていきましょう。
1位アメリカ合衆国
多くの名門大学があり、日本人が義務教育で身近に触れてきたアメリカ英語が主流であることも理由として考えられます。
アメリカの大学は学費が高額であるものの、奨学金制度が充実しており、優秀な留学生に対して学費免除や支援が行われるケースもあります。
2位中国
2025年QS大学ランキングでアジアのトップ10に4つの大学がランクインしており、教育水準が高いこと、また日本から近く、アジア圏で文化も似ていることから人気の留学先の一つです。
特に、北京大学、清華大学といった名門校は、正規留学先として人気が高まっています。
3位台湾
中国と同様に日本から物理的な距離が近いです。
また治安が良く、大学では英語と中国語両方を学ぶことができるため、人気となっています。
4位イギリス
2025年QS大学ランキングのトップ5に3つの大学がランクインしており、圧倒的に質の高い教育が受けられます。
また、イギリスでは修士号が最短1年で取得可能であり、そうした事情からも留学生が多いことがうかがえます。
5位オーストラリア
留学生の受け入れを積極的に行っている国であり、多様なバックグランドを持つ学生がいることが、日本人学生にとってもなじみやすい環境となっています。
また、治安もよく、学生ビザでアルバイトが可能なため、学費や生活費を補いながら大学に通えることなどが理由と考えられます。
【参考】
令和6年5月24日「外国人留学生在籍状況調査」及び「日本人の海外留学者数」等について
QS World University Rankings 2025: Top global universities
まとめ
本記事では、正規留学と語学留学・交換留学の違いを比較し、実際に大学院留学中の著者の視点から、国選びのポイントや各国のメリット・デメリットについて詳しく解説しました。
さらに、現在日本人学生に人気の留学先についても掘り下げて紹介しました。
正規留学は、専門分野を深める貴重な機会であると同時に、長期的なキャリアにも影響を与える重要な決断です。
本記事の情報が、留学を考えている皆さんにとって、少しでも参考になれば幸いです!
①経歴
日本の公立中高を卒業後、理系の大学に進学。
現在は、タイの大学院に留学しています。
②資格
・TOEIC 805点
・IETLS Academic 6.0
③留学経験
・オーストラリア(2週間)→中学3年次にホームステイ
・タイ(1年)→修士課程に在学中
④海外渡航経験
長期でのんびりと滞在する旅行スタイルが好きで、シンガポール(1か月)、タイ(1年)、アメリカ(1か月)に滞在。
ほかにも、マレーシア、カナダ、オーストラリア、韓国、台湾、香港などを旅行しました。
⑤自己紹介
これまで長期の語学留学経験はなく、日本の公立中高に通いながら、ほぼ独学で英語を学んできました。英語を使うことで、世界中の最新の研究やデザインに触れる機会が増え、自分の視野が大きく広がったと感じています。特に東南アジアの都市が好きで、現在はタイの大学院で学んでいます。この経験を活かしながら、多くの方に英語を学ぶ楽しさや魅力を伝えていけたらと思っています。