
イギリスやオーストラリアなどの大学進学について調べていると、
「大学進学準備コース」や
「ファウンデーションコース」についての情報を目にするでしょう。
日本の高校卒業後にイギリスやオーストラリアなどの大学に進学する場合は、ファウンデーションコースへの入学が必要です。
本記事では、ファウンデーションコースの概要と、コースのメリットとデメリット、入学の要件や難易度について詳しく解説します。
国別でもファウンデーションコースについて紹介するので、あわせてご覧ください。
- ファウンデーションコースとは?
- ファウンデーションコースのメリット・デメリット
- ファウンデーションコースへの入学条件と難易度
- イギリスのファウンデーションコース
- オーストラリアのファウンデーションコース
- アイルランドのファウンデーションコース
- マレーシアのファウンデーションコース
- まとめ
ファウンデーションコースとは?
「ファウンデーションコース(Foundation Course)」とは、各国の教育制度の違いを埋めるために設置されているコースです。
日本の場合、大学はアメリカやカナダのように4年制で、2年次までは教養科目を学ぶようにカリキュラムが組まれています。
一方、イギリスやオーストラリアといった国の大学では、3年制が基本で、1年次から専門的に専攻分野を学ぶようなカリキュラムになっています。
つまり、この教育制度の違いにより、日本の高校卒業者がそのままイギリスやオーストラリアの大学の学部に進学したい場合は、学部1年次からの専門学習に備えるため、基礎的な知識をつけるための「ファウンデーションコース」への入学が必要ということです。
ファウンデーションコース入学が必要な国
大学やコースによっては学部への直接入学を受け入れる場合もありますが、日本の高校卒業後に海外の大学へ進学を希望する場合、下記の国ではファウンデーションコースへの入学が必要です。
・イギリス
・アイルランド
・オーストラリア
・ニュージーランド
ファウンデーションコースは9月入学が多く、中には1月入学や5月入学が可能なコースもあります。
英語レベルに応じて、長い期間通えるコースもありますが、1年で修了できるのが基本です。
ファウンデーションコースの種類
ファウンデーションコースは運営元の違いで「大学付属コース」と「大学提携機関コース」の2つに分けられます。
下記で簡単に2つのタイプのファウンデーションコースを比較します。
| 大学付属のファウンデーションコース | 大学提携機関のファウンデーションコース |
| ・大学が直営するファウンデーションコース ・志望先の大学が直接運営しているのではなく、志望大学と提携している大学がコースを運営する場合もある ・大学のキャンパス内の施設で学べることがほとんど ・基本的には一定の成績を修めれば、志望する学部コースに進学が可能 ・学部コースに進学の際は、出願の手続きが不要な場合がほとんど |
・大学と提携した教育プロバイダーにより提供されるファウンデーションコース ・進学希望の大学のキャンパス内の施設で学ぶ場合と、大学とは別の施設や別の地域の施設で学ぶ場合がある ・基本的には一定の成績を修めれば、志望する学部コースに進学が可能 ・コースによっては、学部コース進学時に出願の手続きが必要な場合がある |
大学付属のコースか提携機関のコースかを選べる場合もありますが、基本的には各大学によりコースの提供方式が決められています。
ほとんどのコースでは進学保証がありますが、トップ校は保証がないケースもあるため、その点には注意が必要です。
また、ファウンデーションコースはビジネス、エンジニア、社会科学など、分野ごとにコースが用意されており、コース出願の際は志望する学部コースとの連携があるコースを選ぶ必要があります。
ファウンデーションコースが不要になるケース
日本の高校卒業者の場合は、ファウンデーションコースへの進学が必要であると説明しましたが、コースが不要になるケースもあります。
下記のような場合は、学部に直接入学が可能です。
・IBディプロマやAレベルといった学部直接入学が可能な国際教育資格を持っている
・大学1〜2年のコースを修了している
・短大または専門学校のコースを修了している
ただし、進学先の大学やコースによっても要件が異なるため、詳しくは志望大学の情報をよく確認するようにしてください。
ファウンデーションコースのメリット・デメリット
ファウンデーションコースのメリットとデメリットをまとめると下記のようになります。
| メリット | ・専門知識を強化できる ・大学で学ぶためのスキルを習得できる ・大学生活に早くから馴染める |
| デメリット | ・費用がかかる |
それぞれの点を詳しく解説します。
ファウンデーションコースのメリット:専門知識を強化できる
先にも説明した通り、ファウンデーションコースは、学部コース1年目からの専門的な学習のための準備コースです。
専攻に必要な科目や、一般教養として必要な科目をこのコースで学んでいきます。
アート分野の学部進学を目指す場合であれば、ファウンデーションコースでポートフォリオの制作について学ぶことも可能です。
ファウンデーションコースを受けることで、本コースに進むための準備をしっかり進めることができます。
ファウンデーションコースのメリット:大学で学ぶためのスキルを習得できる
ファウンデーションコースでは、専門分野の授業のほかに、アカデミック英語の授業もあり、英語力の強化はもちろん、下記のような、大学で学ぶうえで必要な知識やスキルを身につけることもできます。
・ノートの取り方
・レポートの書き方
・リサーチの方法
・プレゼンテーションスキル
・エッセイの作成スキル
ファウンデーションコースでこれらのスキルを磨いておけば、本コースに進んだときも安心です。
ファウンデーションコースのメリット:大学生活に早くから馴染める
ファウンデーションコース受講中から、学部生のイメージを持ちやすいこともメリットです。
多くのコースは大学キャンパス内またはキャンパスすぐそばの施設で開講されており、ファウンデーションコース受講中から大学の施設を利用できる場合がほとんどです。
ファウンデーションコース受講中から学部コースに通う学生と交流できる機会があり、早くから学部生が学ぶ姿を見られるため、自分が実際に学部コースに進学した際のイメージを持ちやすいのもメリットといえるでしょう。
ファウンデーションコースのデメリット:費用がかかる
ファウンデーションコースのコース費用は、日本の大学費用に比べると高くなる場合が多く、この点は デメリットといえるかもしれません。
コース費用に加えて生活費や寮費などもかかり、日本での大学費用や生活費と比べると、かかる費用は多くなります。
しかし、費用はかかるものの、日本では得られない経験ができる点は海外大学進学の大きなメリットです。留学を検討するのであれば、奨学金制度もうまく利用して準備ができるといいでしょう。
ファウンデーションコースへの入学条件と難易度
ファウンデーションコースの入学条件や難易度についても確認しておきましょう。
進学先の国や大学・コースによっても要件は異なりますが、一般的に、ファウンデーションコースへの出願には下記のようなものが必要とされます。
・高校卒業証明書
・高校の成績
・英語力証明書(IELTS 4.5〜6.0が目安)
・志望動機書
・推薦状
志望動機書や推薦状は不要な場合があり、逆に、インタビューやポートフォリオの提出を求められる場合もあります。
また、ビジネス分野のコースであれば数学の成績、医学分野のコースであれば生物や化学の成績が必要な場合など、科目要件がある場合もあるため注意が必要です。
医学部コースやトップ校となると、成績要件や審査項目も多く、難易度が上がります。
ファウンデーションコースでは、大学学部進学のために一定の成績を修める必要があるため、入学することよりもコース入学後にしっかりと学習に取り組めることがより重要になります。
イギリスのファウンデーションコース
イギリスでは、ファウンデーションコースプログラムが豊富に提供されています。
リーズ大学のように、大学直営コースと教育機関提携コースの両方を設けている大学もありますが、多くの大学でどちらか一方の形式でファウンデーションコースを設置しています。
広くファウンデーションコースが用意されていることで、学部への直接入学資格がない学生でも、多くの学部コースの選択肢の中から進学先を選べます。
オーストラリアのファウンデーションコース
オーストラリアのファウンデーションコースも、イギリス同様、プログラムが豊富に用意されています。
ビジネス、エンジニアリング、医学など、プログラムが豊富なため、進学希望の学部コースに合わせたファウンデーションコースの選択が可能です。
アイルランドのファウンデーションコース
アイルランドの教育制度はイギリスとよく似ており、ファウンデーションコースの仕組みも似たところが多く、大学が設けるファウンデーションコースのほか、カレッジや語学学校で開催されるコースがあります。
マレーシアのファウンデーションコース
日本の高校卒業後にマレーシアの大学に進学する場合は、ほとんどの大学への進学でファウンデーションコースは必要ありません。
しかし、なかにはファウンデーションコースへの入学が必要な大学もあるため、大学の要件をよく確認するようにしましょう。
マレーシアであれば、欧米のコースに比べて費用が抑えやすく、大学進学準備としてファウンデーションコースからの入学を検討するのもおすすめです。
まとめ
以上、ファウンデーションコースについて詳しくまとめました。
日本の高校卒業資格だけでは、イギリスやオーストラリアなどの大学に直接入学ができず、ファウンデーションコースへの入学が必要となります。
費用面や留学期間の面でデメリットに感じることもあるかもしれませんが、ファウンデーションコースは学部コースで学んでいくために必要なスキルを身につけるのに非常に役立つコースです。
自分の将来の目標や目的に合うファウンデーションコースを選び、しっかり成果を残すことで、海外の大学での学びを確実なものにしていきましょう。
◇経歴
・ワーホリ3ヵ国経験あり
・海外企業の営業・マーケティングで5年の経験あり
・留学サポート経験あり
◇資格
・ケンブリッジ英検 FCE
・TOEIC 900点以上
◇留学経験
・イギリス・エディンバラ大学附属の語学学校にて1ヶ月の語学留学経験あり
◇海外渡航経験
・ニュージーランド、カナダ、アイルランドでワーホリを経験
・アイルランドの企業で営業・マーケティングを担当(出張でマルタやイギリス、アジア圏の国々にも行きました)
・これまで仕事や旅行で訪れた国は20ヵ国以上
◇自己紹介
留学サポートの経験も経て、現在はWebライターとして活動しています。
大学から本格的に英語を学び始め、留学・ワーホリ経験を通して、世界各国の人たちと交流する楽しさを知りました。現在は、日本で国際交流・異文化理解の場を作るお手伝いもしています。