
スコットランドもイギリスも、日本ではよく知られた名前です。でも、皆さんは両者の違いをご存じですか?
「スコットランドってスポーツではよく参加国として見かけるけど、一つの国?」
「スコットランドはイギリスですか?イギリスに含まれるの?」
「じゃあ、イギリスって何なんだろう?」
と、いろいろ疑問が湧いてきますよね。
今回はスコットランドとイギリスに関する疑問について詳しく解説していきたいと思います。日本では、意外と知られていないスコットランドとイギリスの違い。このブログで、その疑問をぜひ解消していってください。
スコットランドとイギリスの違いは何?
そもそも、スコットランドとイギリスの違いとは何でしょう?「地方?国?連合国?」とすでに混乱している人もいるかもしれませんね。まずはそれぞれについて説明し、紐解いていくところから始めていきましょう。
イギリスとは?
実は、日本で一般的に用いられている「イギリス」という国名は通称です。
「グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国(United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland)」というのがイギリスの正式名称。
イギリスは、その正式名称にある通り、イングランド、スコットランド、ウェールズ、そして北アイルランドの「4カ国から構成される連合王国」です。UK(United Kingdom)や、「英国」と表記されることもあります。
スコットランドとは?
スコットランド(Scotland)は独立国家ではないものの、地方分権で議会と自治政府を持つ「地域」「国」のような概念になります。これは、州や県といった行政区画とも異なるものです。
日本語ではこれに該当する名称がないため、一般的に「国」として称されていることが多いようです。よって、本記事でも「国」と表現していくことにします。
両者の違いとは?
イギリスとは、イングランド、スコットランド、ウェールズ、そして北アイルランドの4カ国から構成される「連合王国」。そしてスコットランドはその構成国の一つ、ということになります。
つまりスコットランドは、独立国家としてはイギリスに属するものの、独自の議会と自治政府を持つ特殊な「地域」ということになります。
イギリスを構成する4つの国
イギリスは4つの「国」から構成されるということがわかりました。その内訳は、イングランド、スコットランド、ウェールズ、そして北アイルランド。一つずつ、構成国を簡単にご紹介していきましょう。
イングランド
イギリスの正式国名は、前述の通り「グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国」。「グレートブリテン」はイギリスの2つの島のうち、東側の大きい方の島を指しますが、この南東部分を占めるのが「イングランド」です。
イギリスの首都ロンドンがあるのもイングランドということからもわかる通り、イングランドは連合国家、そして経済の中心でもあります。イギリス国土の3分の2、全人口の8割を占めているのがイングランドです。マンチェスター、バーミンガム、リバプールなどはイングランドの主要な観光都市ですね。
ここまで読んでくださった人はお分かりだと思いますが、イングランドとイギリスは同じではありません。イングランドは、イギリスを構成する国の一つになります。よって、サッカーやラグビーのW杯に出場している「イングランド」を「イギリス」と言い換えてしまわないように注意しましょう。
スコットランド
スコットランドは、グレートブリテン島の北部に位置する国です。複雑な歴史を経たのちに1707年、イングランドとスコットランドの王室が合併し、スコットランドはイングランドと同一の君主を持つ連合王国になりました。
しかしスコットランド議会を持ち、自治政府の首相もいて、通貨はポンドながらお札やコインはスコットランド独自のデザイン、と連合国の中でも独自の立場を貫いています。
また教育制度においても、スコットランド政府が定めた独自のカリキュラムが運用されています。スコティッシュ(スコットランド人)はイギリスの中でもナショナル・アイデンティティを持つ、誇り高い人々です。
ウェールズ
ウェールズは、グレートブリテン島の西側を占める、イングランドと隣接する国です。日本の四国と同じくらいの面積で、人口は300万人ほど。首都カーディフのある南ウェールズ地方に、人口の3分の2が住んでいます。
一方、北ウェールズはなだらかで美しい自然が広がる地域です。スノードニア国立公園や、宮崎駿監督のアニメ映画「天空の城ラピュタ」のお城のモデルと言われる「カナーヴォン城」があるのも北ウェールズです。
また、イギリスといえばサッカーが人気ですが、ウェールズで人気のスポーツはラグビー。
小さい国ながら、ラグビーの世界的強豪としても知られ、2019年に日本で開催されたラグビー・ワールドカップでウェールズ代表チームは4位という成績を収めています。またウェールズには、ケルト語にルーツを持つウェールズ語があります。
一時期は公用語から外され話す人口が減少していましたが、今では義務教育に組み込まれ、標識や公文書、公共の案内看板などでは英語との併記が標準になっています。
北アイルランド
イギリスの2つの島のうち、西側のアイルランド島の北東部分が北アイルランドにあたります。イギリスを構成する4国の中で最も面積が小さい国です。アイルランド島の南部はアイルランド共和国。イギリスとは別の独立国で、EU加盟国でもあります。
ご存じの通り、イギリスは2020年にEUを脱退しました。EU離脱の影響を受けて、グレートブリテン島とアイルランド島の間にあるアイリッシュ海がEUとイギリスの境界線のようになってしまい、物流がスムーズでない問題もしばしば起こるようになりました。
またアイルランド島では古くから北のキリスト教プロテスタント派と、南のカトリック派とで宗教的・政治的な紛争が続いてきた歴史があり、その後1921年に南北アイルランドという2つの国に分かれています。
そんな激動の時代を経た地域にもかかわらず、人々は親切でフレンドリー。そして北アイルランド人は、紅茶びいきのイングランド人よりもさらに多くの紅茶を飲むと言われています。
スコットランドについてもっと詳しくご紹介!
ではスコットランドは、どういった歴史的背景や文化を持った国でしょうか。本記事のメイントピックであるスコットランドについて、もう少し掘り下げて解説していきましょう。
首都エディンバラと最大都市グラスゴー
スコットランドにはエディンバラとグラスゴーという大きな都市があります。
人口の多い都市では、グラスゴーが約63万人で最大ですが、スコットランドの首都は人口約48万人のエディンバラです。スコットランドの全人口の半分以上が、エディンバラとグラスゴー、この2都市周辺に集まっています。
工業都市であるグラスゴーは、産業・経済の中心地として栄えてきました。
エディンバラはグラスゴーとは雰囲気が異なり、歴史を感じさせる、趣のある落ち着いた都市です。エディンバラにはスコットランド議会と行政府が設置され、多くの金融機関の拠点もあり、スコットランドの政治・文化の中心地としての役割を担っています。
また、エディンバラの街全体がユネスコの世界遺産に登録されており、洗練された街並みもその特色の一つ。長い歴史の中で培われてきた街並みはどこを切り取っても絵はがきのように美しく、エディンバラはイギリスでロンドンに次いで2番目に観光客の多い都市でもあります。
イングランドとの対立の歴史と独立をめぐる動き
地続きでありながらも、イングランドとは対立の歴史を繰り返してきたスコットランド。前述の通り、1707年に王室が合併し両者は一つの連合王国となりましたが、スコットランド人の間には「イングランドに乗っ取られた」という気持ちがあるようです。
そういった背景からスコットランド人は、イギリス人(British)としてよりもスコットランド人(Scottish)としての矜持を強く抱いてきました。
また中世以降長く続いてきたイングランドとの複雑な関係上、スコットランドは隣国のフランスやノルウェーと手を組み、イングランドを挟み撃ちにするように軍事的強化を図ることが少なからずありました。
観光・貿易でもEUと深いつながりを持ってきたスコットランドでは、ヨーロッパ人(European)である、という自覚がある人も少なくありません。
このような理由からスコットランドではEU離脱反対派が多く、またスコットランドとしての誇りもあり政治的に独立を求める動きが広がり、2014年には独立を問う住民投票が行われました。
しかし、僅差で独立はなりませんでした。
日本で身近なスコットランドゆかりの文化
これまで見てきた通り、イギリスが連合王国ということはあまり知られていないため、日本ではスコットランドについても詳しく知っている人が多くありません。
しかし、スコットランドと日本の関係性は深く、実はスコットランドにまつわるものは私たちの身近なところに多くあるんです。
●スコッチ・ウイスキー
スコッチ・ウイスキーは、その名の通りスコットランド産のウイスキー。2014年NHK連続テレビ小説の「マッサン」は、ニッカウヰスキーの創業者竹鶴政孝と、その妻でスコットランド出身の妻リタをモデルにしたドラマです。
ウイスキーづくりに情熱を注いだ主人公が1918年、渡った先はスコットランド・グラスゴー。その後、竹鶴氏は日本初のスコッチ・ウイスキーの製造を指揮。ニッカウヰスキーもスコッチ・ウイスキーも、現代の日本では多くの人に親しまれている存在ですね。
●タータンチェック、ペイズリー柄
私たちにとって身近なファッションの柄であるタータンチェックやペイズリー柄。実はこれらもスコットランドの伝統柄であることはご存じでしたか?
タータンとはストライプが交差している柄のこと。スコットランドの民族衣装キルト(スカート状の衣装)は、タータンで仕立てられます。
またペイズリー柄は、インドのカシミール地方が由来。19世紀にこの模様を取り入れた織物がスコットランドのペイズリーで量産されるようになり、その生産地にちなんでペイズリーと呼ばれるようになりました。
スコットランドにまつわる文化は、私たち日本人の生活のそこかしこに見られます。
スコットランドで話されている言語の特徴
スコットランドももちろん英語圏で、英語は公用語でもあります。ですが、スコットランド訛りがところどころに見られます。実際にはどんな英語が話されているか、主な特徴をご紹介していきます。
子音の特徴
まずは子音の特徴から見ていきましょう。標準的なイギリス英語の発音とはどんな点が異なるのでしょうか?
●Tの音の消失
Tの音が消失するのは、スコットランド英語の最も特徴的な点の一つです。例えば「water(水)」は「ウォッア」、「better(より良く)」は「ベッア」という具合。「tonight(今夜)」は「トゥナイ」のように、最後のTが完全に落ちてしまうパターンもあります。
●舌を巻くRの音
スコットランド英語のRの発音は、標準的なイギリス英語と違い、巻き舌で発音されます。「car (車)」は「カーr」、「cart(カート)」は「カーrト」という感じになります。この点は、アメリカ英語やカナダ英語に近いと言われています。
●変化するCHの発音
スコットランドでは、CHは「H」もしくは「K」の発音になります。「loch(湖)」という発音は「ロッホ」もしくは「ロック」と読みます。
母音の特徴
母音にも、標準的なイギリス発音とは異なる特徴があります。
●「æ」と「ɑ:」を区別しない
「path(小道)」は標準イギリス発音では「pɑːθ」ですが、スコットランド発音は「pæθ」、もしくは日本語の「あ」に近い音だったりもします。
●「O」の発音
「do」「to」の母音が[e]と発音される傾向があります。それぞれ「デェ」「テェ」のように聞こえます。「nae(いいえ)」も「ネェ」という発音に変化します。これらはスコットランド英語の特徴の一部で、他にもいろいろな違いがあります。
最近はスコットランド英語の特徴や発音を詳しく紹介した動画がたくさん出ているので、スコットランドへ留学などで渡航予定の人は事前に調べておくことをおすすめします。
また、スコットランド英語については、こちらの記事でも詳しくご紹介していますのでぜひご覧ください。
スコットランド英語の特徴を解説!留学や観光で訪れる人必見!
まとめ
今回はスコットランドとイギリスの違いについて解説してきました。
イギリスは、王を君主とする「連合王国」で、スコットランドは、イギリスを構成する4カ国のうちの一つでしたね。
複雑な歴史的背景もあり、すでに議会や自治政府を持つスコットランドでは、独立をめぐって住民投票が行われたこともありました。そんなスコットランドは、「イングランド」とは異なる独自の文化を形成しています。
日本では、イギリスが4カ国から構成されることやスコットランド自体についてもあまり知られていませんが、スコットランドの文化は私たちのまわりにもあふれています。イギリスやスコットランドへ渡航する予定の人には、今回の内容は事前に知っておくべき知識です。
是非参考にしてくださいね。
◇経歴
ファッションPRエージェンシーに12年以上勤務、その後外資系企業3社で研鑽を積み、現在はPR・マーケティングの分野でフリーランスとして活動中。
◇資格
TOEIC830
◇留学経験
ワーホリ/フランス・パリに一年滞在、現地企業で9ヶ月就業
語学留学/マルタ1ヶ月・イギリス6ヶ月滞在
◇自己紹介
語学留学(英語)は40代になってから。現在もよりAdavncedなレベルに向けて勉強しています。ファッション・アート・旅・英語が好きで、英語についても個人ブログで情報発信をしています。