
「オーベルジュ」という言葉を耳にしたことはありますか。
オーベルジュは、郊外で宿泊しながら食事を楽しむことができるレストランで、その土地の食材を使った料理を楽しむために、美食家たちがこぞって旅先として選ぶ人気の施設です。
別荘地やリゾート地にあることが多く、帰りの時間や交通手段を気にせずに料理やお酒を楽しむことができるので、食を楽しみたい人にとってはまさに楽園。
この記事では、そんなオーベルジュの魅力や楽しみ方、利用する際に注意した方がいい点などについて紹介します。
オーベルジュとは?
オーベルジュとは、「宿泊施設を兼ね備えたレストラン」のことで、「泊まる」よりも「食べる」がメインの施設。
語源はフランス語の”Auberge”で、「田舎風の宿屋」を意味します。
地元の食材を新鮮なうちに調理して、その土地ならではの料理を提供するために、フランス各地のシェフが郊外でオープンしたレストランが発祥となります。
フランスの料理といえば、一緒に思い浮かぶのはワイン。
レストランでコース料理と一緒にワインのペアリングを楽しむ人も多く、郊外のレストランではどうしても帰りの交通手段が限られてしまいます。
そこで、より多くの人にしっかりと食事を楽しんでもらうために誕生したのがオーベルジュとなります。

高級なところからカジュアルなところまで選択肢はさまざま。
豪華な客室があり宿泊サービスにも力を入れているところや、ワインセラーを所有しているオーベルジュもあるので、料理の内容や部屋の雰囲気を確認しながら、目的に合ったオーベルジュを選びましょう。
現在は日本でも各地にオーベルジュがありますが、一番最初にオープンしたのは箱根の「オー・ミラドー」。
日本で初めてビストロのお店を開いたシェフが、1986年に箱根で開業したオーベルジュで、現在も多くの美食家たちが訪れています。
日本ではフレンチ以外の食事を提供するオーベルジュも多く、和食や中華、多国籍料理を楽しめるところもあります。
温泉付きでホテル並みのサービスを受けられるところもあるので、さまざまなスタイルのオーベルジュを巡ってみるのも楽しそうです。
2007年には、関東近郊のオーベルジュを経営するオーナーシェフたちが中心となって、「日本オーベルジュ協会」が設立され、オーベルジュのさらなる普及と理解の促進を目的として活動しています。
こちらの公式サイトでは、全国のオーベルジュの情報や、オーナーの理念などを見ることができるので、旅先を選ぶ際、参考にしてみてください。
オーベルジュ | 国内 | 日本オーベルジュ協会(Japan Auberge Association)
オーベルジュとホテル・旅館の違い
オーベルジュとホテルや旅館はどう違うのでしょうか。
先ほどオーベルジュは、「泊まる」よりも「食べる」がメインの施設だと紹介しましたが、ここではそれぞれの特長についてまとめてみましょう。
オーベルジュ
ホテル・旅館
近年では、客室サービスにも力を入れ、総合的な宿泊体験を楽しめるオーベルジュが増えてきましたが、地元の料理をしっかりと味わってもらおうというコンセプトと、あくまで食事が主役であることはどこも変わりありません。
また、オーベルジュは、自然に溶け込む外観・空間を意識したところが多く、歴史的な建造物をリノベーションしたり、美術館のようにおしゃれなデザインの外観やインテリアを採用したところもあるので、見ているだけでも楽しめますし、写真映えも抜群。
オーベルジュに滞在するだけで、特別感のある時間を過ごすことができるでしょう。
オーベルジュならではの魅力・楽しみ方
オーベルジュならではの魅力は、やはりシェフのこだわりが詰まった地元の料理をその場で楽しめること。
せっかく遠くまで足を延ばしたのなら、その地ならではの食材を食べてみたいですよね。
オーベルジュには地産地消の意識が高いシェフが多いので、その季節ならではの地元の食材に手を加えて、魅力的な料理を提供してくれます。
例えば自家菜園で丁寧に作られた有機野菜や、採りたての山菜、自然が育んだジビエや、その日の朝漁港で水揚げされた新鮮な海産物など、都会ではなかなか味わえない貴重な食材に、プロの調理技術が加わって、きっとこれまで味わったことのないような素晴らしい食の体験をすることができるでしょう。
自然に囲まれた環境で、スタッフと食材や調理方法について会話を楽しみながら、シェフの料理に舌鼓をうつ体験は格別。
お酒が好きな方は、料理と一緒にワインや地酒のペアリングを心ゆくまで楽しむことができます。
ソムリエがいるオーベルジュも多いので、ワインの産地や醸造方法、どんな料理に合うかなどの質問をすると、きっと快く答えてくれるでしょう。
そして食事の後はそのまま宿泊できるので、運転や帰りの時間を気にする必要もありません。
また、オーベルジュはこじんまりとしたところが多いので、都会の喧騒から離れて、静かな空間でゆったりとした時間を過ごすことができます。
ディナーを存分に楽しみ、質の良い睡眠を取ったあとは、シェフが振舞う素晴らしい朝食が待っています。
食べることが好きな方にとって、これ以上ない贅沢な時間を過ごすことができるでしょう。
複数のオーベルジュを巡るグルメツアーに参加してみるのも楽しそうです。
宿泊せずにレストランのみを利用することができる施設もあるので、時間が無い方や、しっかりと宿泊先を選びたい方は、ランチなどで気軽に体験してみるのもいいかもしれません。
スキー場やゴルフ場のそばにあるオーベルジュもあるので、せっかく遠出するなら屋外でのアクティビティも楽しみたいという人は、そういった場所にあるオーベルジュを探してみてください。
オーベルジュ滞在が向いている人
オーベルジュでの滞在が向いているのはどのような人なのでしょうか。
まず第一に、食べることが好きな人、美味しい料理を旅の目的にしたい人は、旅先の選択肢のひとつにオーベルジュを入れるべきでしょう。
そして都会的な雰囲気や刺激的な体験を求めている人よりは、自然の中で静かに過ごしたい人の方がオーベルジュ滞在には向いています。
アクセスもよくない場合が多いので、観光がメインの人や、利便性を求める人は、オーベルジュより街中のホテルや旅館に滞在した方がいいでしょう。
またカップルや夫婦など少人数で宿泊する人が多く、アミューズメントサービスもほとんどないので、友人や家族とにぎやかな時間を過ごしたい場合は、物足りなく感じてしまうかもしれません。
静かな空間でゆったりと食事を楽しむことができるので、おひとりさまでの利用や、記念日のお祝いにオーベルジュを選ぶ人も増えてきています。
観光地を巡るよりも、宿泊地での滞在を楽しみたい人の方が、オーベルジュ滞在を満喫することができるでしょう。
最近では、オーベルジュでこじんまりとしたウェディングパーティーをするプランも人気です。
ゲストに美味しい食事を楽しんでもらいたい人や、リゾート地で自然に囲まれたガーデンウエディングをしたい人にはぴったりです。
オーベルジュ滞在・利用の注意点
施設によっては、ドレスコードが設けられている場合があるので、事前にチェックしておくようにしましょう。
「スマートカジュアル」と呼ばれるドレスコードを設けているところが多く、男性の場合はTシャツ、短パン、サンダルといった軽装、女性の場合はミニスカート、ノースリーブなど肌の露出が多い服装を避けるのが無難です。
食事を楽しむところなので、香水も控えておきましょう。施設によっては子供が同伴できないところもあるので、注意してください。
また、オーベルジュによっては食事の開始時間が決まっているところもあるので、予約の際に確認しておくことをおすすめします。
他にも食材のアレルギーや、苦手なもの、好きなものを事前にスタッフに伝えておくと、ある程度カスタマイズしてくれる場合があるので、より素晴らしい食の体験ができるかもしれません。
オーベルジュは宿泊サービスよりもレストランに力を入れているため、ホテルでは当たり前にあるアメニティやテレビが客室に置かれていなかったり、ゆったりとした時間を過ごしてもらうためにあえてWi-Fiがつながらないようになっている場合もあります。
郊外にあるところが多く、公共交通機関ではアクセスしづらい施設もありますので、事前に交通手段を確認しておいてくださいね。
まとめ
思う存分「食」を楽しむことのできるオーベルジュ。
自然に囲まれた非日常的な空間で、大切な人とゆっくり食事を楽しむ時間は、きっとかけがえのないものになるでしょう。
地元の食材を使った季節の料理は、その土地の風土や文化を感じることができ、旅をより魅力的に彩ってくれます。
いつもがんばっている自分へのご褒美に、そして大切な人へのお祝いに、オーベルジュで忘れられない食の体験をしてみませんか。
◇経歴(英語を使用した経歴)
英米語学科卒業
米国企業の日本法人でマーケティング、事業戦略等を担当
現在はフリーランスのライター、戦略アドバイザー
◇資格
TOEIC 935点
◇留学経験
学生時代、米国ワシントン州のESLと大学に約半年間留学。
現地の学生と相部屋の寮生活とホームステイを経験しました。
◇海外渡航経験
米国企業での勤務中、3カ月間のプロジェクトでワシントン州本社にて勤務。
現地のアパートでひとり暮らしを経験し、仕事の傍ら海外生活を満喫しました。
出張で米国の他の州や、欧州、アジアへ行くこともあり、世界中の社員やクライアントとの交流を楽しみました。
◇自己紹介
学生時代の海外経験や米国企業での勤務経験を活かして、海外生活や英語学習に関する記事を執筆しています。
異文化交流や海外の教育に興味があり、コミュニケーションツールとして日々英語を学んでいます。
海外に行きたい方や、英語のスキルアップをしたい方の参考となるような記事をたくさん書いて、新しいチャレンジをする際のサポートができるとうれしいです。