
一言に旅行といっても、その内容は千差万別で、重視するポイントによって、全く違う旅行をプランニングすることになります。
例えば、ドライブが好き!
アメリカ横断!のような、自動車以外での移動手段が難しい場合、レンタカーでの旅行が選択肢に上がってきます。
自分の運転で、初めての場所を走っていく高揚感は何物にも代えられません。
特にドライブ重視の旅では、
「モーテル」という宿泊施設を目にする機会が多いでしょう。
海外ドラマや映画でもよく登場しますが、車で泊まれる安いホテルというイメージは、本当のところはどうなのでしょうか。
最近ではアメリカだけでなく、日本や韓国でも「モーテル」の名前を耳にします。
ホテルとの違いや、国ごとの特徴をご説明します。
モーテルとは?知っておきたい定義
モーテルとは造語です。
そもそもの言葉は「motorists’ hotel」または「motor hotel」が組み合わされてできた言葉です。
意味は「運転手のためのホテル」「車でそのまま泊まることができるホテル」を指します。
どうしてモーテルが生まれたのか?
第二次世界大戦後、アメリカでは急速に車が普及しました。
アメリカを横断するような道路が次々と整備され、車で長距離を移動することが日常化し、そのニーズに合わせて誕生したものがモーテルです。
モーテルは、車でそのまま泊まれる、ということをコンセプトに、基本的にはすべてセルフサービスで提供し、非常に安価で宿泊ができる施設としてニーズとマッチし、その数を伸ばしました。
現在もロードトリップの象徴になっています。
どうしてモーテルは発展したのか?
アメリカでの車の大衆化、モータライゼーションの始まりと共に、人々のニーズに見事にマッチしたため、モーテルは発展しました。
セルフサービス、自由度の高さ、宿泊に際しての最低限の設備が整っていること、安価であること、という基本的なコンセプトのまま、数を増やしました。
同じように幹線道路が走っている中南米では、「モーテル」の名称は広まりましたが、実際には短時間滞在やカップル利用が中心で、アメリカ式ロードサイド宿とはやや異なる発展を遂げました。
また、日本のような、幹線道路があってもホテルなどでニーズが満たされている国にもモーテルは登場します。
けれども、こちらは本来のモーテルの趣旨から少し離れ、そのプライバシーを保護するスタイル、安価であることに特化し、カップル利用のホテルとして、多く利用されています。
地理的背景により、同じモーテルと呼ばれるものでも、異なる発展を遂げてきたことが興味深いですね。
モーテルとホテルの違い
モーテルは、モーターホテルの略称ですが、では、なにがホテルと違うのか、解説します。
まずは、モーテルは個人の時間を大事にするプライバシー重視の施設であることに対し、ホテルは、いかにお客様が楽しんで過ごせるかというサービスが第一義的なものであることが、大きな違いです。
モーテルが大切にしていること
前述したように、モーテルは、車に乗っているお客様が、なるべく自由に泊まれる低価格なことを目指して生み出されました。
そのため、多くのモーテルでは、受付が簡略化されており、スタッフとの接触が少ない運営形態が主流です。
また、チェックインやチェックアウトの時間が厳しくありません。
料理なども、必要なければ用意はなく、設備もシャワーとベッド、など、必要最低限のものしか揃えていないところが多いです。
そのため低価格での提供となり、非常に魅力的です。
ホテルが大切にしていること
それに対して、ホテルは顧客満足度を上げるための設備が用意されています。
値段により程度の差こそあれ、基本的にはやってきたお客様をフロントでお迎えし、ホテル滞在時にはくつろいでいただけるようサービスがあり、最後にはフロントから送り出す、というところまでがホテルの存在意義です。
そのため、チェックインやチェックアウトの時間はある程度の幅はありますが決められており、その際には、ホテルのスタッフと対面で会うという工程が入ります。
料理も、最近では「食事なし」という選択肢がありますが、基本的には朝、夕など様々な料理をホテルに居ながらに楽しめる、というところまでがおもてなしの一環とされています。
当然値段は高くなっていきますが、どこまで顧客の満足度を上げていけるか、というサービス、おもてなしの心重視と言えます。
以上の様に、ホテルとモーテルは、似ていますが重視している点が異なります。
モーテル利用のメリット・魅力
では、モーテルを利用する上でのメリット、その魅力は何か、ご紹介します。
モーテルがおすすめの旅行
モーテルがおすすめの旅行は、もちろん、ドライブ旅行です。
自分の愛車で初めての土地を訪れ、移動も車というドライブ旅行。
飛行機や電車を使うよりも、値段が抑えられるケースが多く、また、好きな時に好きな場所へ行け、好きなだけ休憩をとることができ、常にプライバシーが保証されているのが最大の魅力です。
そのような旅行の時は、予約なしでも泊まりやすく、かつ、車で泊まる想定で用意されているモーテルはとてもおすすめです。
安価な上に必要な設備、シャワー、Wi-Fi、キッチン用品、トイレ、などは通常そろっているため、とてもありがたいです。
大手のモーテルを利用すれば、清潔感なども一定以上のレベルと考えて良いため、ホテルほどのクオリティではなくとも、問題なく寝泊まりできます。
ロードムービーやホラー映画など、有名な映画や小説の舞台となったモーテルもあるため、趣味を深めるためにもおすすめです。
また、モーテルはチェックインやチェックアウトの際、人に会う必要がなく、プライバシーを守ることができます。
通常何時でもチェックインやチェックアウトができるため、とても遅い時間に到着する、日の出前に出発する、等にも対応可能です。
そのため、宿泊を楽しむ旅行ではなく、まさに泊まるため、寝るためだけの宿泊施設としてはメリットだらけで、大変魅力的です。
モーテルがおすすめの地域
モーテルは、幹線道路沿いに建っていることがほとんどです。
それは単純に、モーテルの利用者は、車で訪れることが多く、駅の近くや繁華街、住宅密集地などではニーズが低いからです。
映画や小説の舞台となっていることで象徴的ですが、ひたすら道路がまっすぐに伸びる砂漠地帯などが、まさにモーテル宿泊がおすすめの地域です。
エリア的には、アメリカのルート66沿い(アメリカ中西部〜西部)やインターステート15号線沿い(ロサンゼルス〜ラスベガス間)、メキシコ国道85号線沿い(モンテレイ〜ヌエボ・ラレド)などが挙げられます。
モーテル利用のデメリット・注意点

では逆に、モーテルを利用する上で無視できないデメリット、また注意点を見ていきたいと思います。
モーテルがおすすめではない旅行
モーテルは、宿泊の必要最低限の設備しか整っていないため、滞在を楽しむ旅行としてはおすすめできません。
また、おもてなしやサービスなどが基本的にはついていないため、自分たちのことは自分たちですることが大前提です。
そして、車での滞在を想定した立地条件であるため、公共交通機関を利用しての旅行では、非常に宿泊しにくいでしょう。
さらに、モーテルは人に会わずにプライバシーを守ることができます。
そのため、逆に宿泊先で現地の方々や他の宿泊客と交流したい、人に出会いたい、と考えた場合モーテルは相応しいとは言えません。
モーテルがおすすめではない地域
モーテルはアメリカやメキシコのような、砂漠地帯を横断する幹線道路沿いに発展した宿泊施設のため、逆の都市集中型や、田園風景が広がるような地域ではモーテル文化が発展していません。
そのような場所では、用途に合わせてホテルや、Airbnbのような宿泊施設の方が、利用するメリットが多いでしょう。
都市で「モーテル」というと、そのプライバシー重視の視点から、カップル向けのホテルである可能性が高くなります。
近年では、カップル以外の方も宿泊可能な場所へ移り変わっているところも増えていますが、注意が必要です。
また、ホラーやサスペンス映画の舞台としておあつらえ向けであることからもわかるように、非常にプライバシー重視の宿泊施設(秘匿性が高い)のため、一部の地域では、モーテルが犯罪の舞台となるケースも報告されています。
治安が悪い地域では、特に要注意です。
近年、その犯罪率上昇を受け、以前に比べて秘匿性が緩和されているモーテルも増えていますが、やはりホテルやAirbnbの方が安心な部分はあります。
地域全体の治安にも配慮して利用するのが望ましいですね。
アメリカのモーテルの特徴
モーテルといえばやはり発祥の地、アメリカが思い起こされます。
では、アメリカのモーテルは具体的にどんなものなのか、解説します。
アメリカには多くのモーテルがありますが、典型的な形としては、部屋の前まで直接、車が付けられる施設配置です。
多くは駐車場に面して一続きの棟が建てられており、ドアから直接、駐車場へ行ける形になっています。
1階建て、または2階建てがほとんどで高層階のものはありません。
設備は、ベッド、シャワーに加え、エアコンとテレビ、Wi-Fiが備わっていることが多く、冷蔵庫や電子レンジなどはついていないこともあります。
長期滞在者を見込んでいる場合は、キッチンや共有ランドリーが備え付けられていることもあります。
価格は、1泊あたりおよそ60〜120ドル(約9,000〜18,000円)で、日本のビジネスホテルと同程度です。
韓国のモーテルの特徴
また、韓国でもモーテルと呼ばれるホテルがあります。
アメリカとはどのように違うのか、解説します。
韓国は、地形的にアメリカよりも日本に近く、砂漠地帯を横断する幹線道路の脇にネオンサインが並ぶようなアメリカ風モーテル文化は発達していません。
韓国のモーテルは、安く、誰でも宿泊可能な街中のホテルという位置付けになります。
多くは街中にあり、宿泊料金が安いところが魅力的です。
女性一人旅でも安心できる施設が増えてきています。
モーテルという言葉が韓国で広く使われ始めたのは1980年代頃で、1990年代には一般化しました。
当初は恋人同士・夫婦がプライベートを保って過ごせる空間として広まりました。
日本と同じような形です。
その後韓国では、家族連れや友人同士などに顧客の幅が広がりました。
日本のビジネスホテルのように、チェックインした後も出入り自由のモーテルが多く、利便性が増しています。
2000年代以降、清潔で設備の整ったモーテルが増えました。
地方都市やリゾート地では価格帯が安いこともあり、いまでは旅行者・出張者・観光客 も普通に利用しています。
まとめ
モーテルは、車で訪れやすい安価な宿泊施設です。
メリットはなんといってもその価格、プライバシーを保護されている秘匿性、そしてセルフサービスであるがゆえの自由度の高さです。
地域によって発展した方向性が違うため、事前に設備・内容などの確認が必要です。
治安や清潔感など、注意点はありますが、プライバシーを守りつつ、お財布に優しい思い出深い旅を送るにはぴったりの宿のひとつです。
旅行の目的やエリアに合わせて、ぜひ候補の一つとしてご検討ください。
◇経歴
国際色豊かな環境で学び、その後ホテル業界、秘書、食品企業など様々な仕事を体験しました。
結婚・出産をきっかけに、英語を教える業界に飛び込み、現在は環境保護などのNPO法人で活動しつつ、親子から高校生、大人まで幅広く英語を教えています。
◇英語に関する資格
英検一級
TOEIC945
IELTS7.5
◇留学経験
ヨーロッパにてアメリカンスクール在学、スコットランドのエジンバラ大学に留学
◇◇海外渡航経験、渡航先での経験内容
ヨーロッパで10年ほど過ごし、諸国を旅行。最近始めてアメリカにNBA見に行きました!
◇◇自己紹介
高校まで10年間ほどヨーロッパで過ごした帰国子女です!大学ではエジンバラ大学へ留学。現在は子育ての傍ら英語講師となり日々英語の奥深さを痛感しています!