
「大きな荷物を送りたいけど、航空便だと高すぎる…」
「フィリピンから日本へ送るなら、どれくらいで届くんだろう?」
フィリピンへの留学、引越しを考える際、気になるのは荷物の配送ですよね。国内輸送に比べて費用のかかる国際輸送ですが、一般的に航空便より料金を抑えて運ぶことができるのが船便です。
そこでこの記事では、フィリピンから日本・日本からフィリピンへ船便で荷物を送る方法をわかりやすく解説します。主な配送サービスや料金、到着までの期間、そしてトラブルを防ぐコツまで紹介するので、これから荷物を送りたい人はぜひ参考にしてください。
フィリピンと日本を結ぶ「船便」とは?
海外に荷物を送るときの主な方法は「航空便」と「船便」の2つです。船便は、陸地で集荷した荷物を港で船舶に積み替えて、海上で輸送します。
ここでは、船便と航空便の違いや、船便が向いているケースを詳しく解説します。
航空便との違いとメリット・デメリット
船便と航空便の大きな違いは、「スピード」と「コスト」です。
船便は、航空便に比べて時間はかかるものの、大量の荷物を効率的に運べるのが特徴です。コンテナ単位での輸送だけでなく、段ボール1箱の小口荷物でも、混載便を利用すればコストを安く抑えられるのが魅力です。
船便のメリット
料金が安い:航空便より大幅に費用を抑えられる。 大量輸送できる:大型の荷物やまとめ送りに最適。 柔軟性がある:混載便で小口荷物にも対応できる。
船便のデメリット
到着まで時間がかかる:1〜3か月ほどかかることもある。 遅延リスクがある:港の混雑・通関・悪天候・国際情勢などの影響を受けやすい。 事故・盗難のリスク:火災・座礁・海賊被害などの可能性がある。
船便が向いているケース
船便は、「時間に余裕があるけれど、できるだけ費用を抑えたい」ときに最適です。
たとえば留学や長期出張、引越しなどで家具や衣類など大量の荷物をまとめて送りたい場合に向いています。大型の荷物だけではなく、コンテナへの混載により、書類や段ボールサイズの小さな貨物にも対応しているため、緊急性のない荷物を海外に送る際にも便利です。
反対に、短期間で受け取りたいものや、紛失・破損のリスクをどうしても避けたい荷物は、航空便を選ぶ方が安心です。
フィリピンから日本へ荷物を船便で送る方法
フィリピンから日本へ船便を使って荷物を送るときは、申し込み先の選択から発送後の受け取りまで、いくつかのステップがあります。
発送サービスごとに仕組みや到着までの日数、料金の目安が異なり、手続きの流れも少しずつ違います。では、フィリピンから日本へ荷物を船便で送る方法を順を追ってみていきましょう。
利用できる主な配送サービス
フィリピンから日本へ船便を送る場合は、利用できるサービスがいくつかあります。それぞれ特徴が異なるため、荷物の量や希望に合わせて選びましょう。
フィリピンの郵便局(PHL Post):窓口で手続きできる公的サービス。小口荷物に向いており、全国の支局で受付可能。 民間の国内宅配業者(2GO・LBCなど):自宅や希望の場所での集荷に対応。公式サイトや電話で申し込みでき、重い荷物の持ち込みが不要。 国際宅配業者(FedEx・DHL・UPSなど):スピード重視。船便取り扱いは限定的。 フォワーダー(貨物代理店):大量・コンテナ輸送に強い。個人利用は制限される場合あり。
船便のサービスの提供は需要などにより常に変化するため、公式ウェブサイトに船便オプションが記載されていても、実際には取り扱っていない場合があります。利用する際は、船便サービスを現在も扱っているかを公式サイトや営業所で確認しておくと安心です。
配送日数の目安
フィリピンから日本への船便は概ね1〜3か月が目安です。台風などの天候、港の混雑、通関の審査状況、寄港・迂回などの運行事情で前後します。繁忙期(年末年始・大型連休)や台風シーズンは遅れやすいため、余裕を持って発送するのが安心です。
船便料金の目安とSAL便との違い
船便の料金は、荷物の重さ・大きさ・利用する発送サービスによって大きく異なります。加えて、日本で受け取る際に、受け手が関税を必要に応じて支払います。一般的に航空便よりも割安で、重い荷物やまとめ送りほどお得になる傾向があります。
フィリピンの郵便局(PHL Post)では、船便だけの料金表が公表されていないため、航空便と船便を組み合わせた「SAL便(Surface Air Lifted)」が目安になります。SAL便は陸と船で運んだ後、最終区間を航空輸送する方式で、航空便より安く、船便より早いのが特徴です。
あくまで目安なので、詳しい船便の有無や料金は、現地の郵便局で最新の情報を確認してください。
フィリピンから日本へのSAL便(Sea Air Lifted)料金
(重量制限=30kg、最初の1kg=1,835.52 PHP(サーチャージ込)、追加1 kgごとに 240 PHP + サーチャージ 207 PHP)
| 重さ(kg) | PHP | JPY(1PHP=¥2.63) |
| 5 | 3,883 PHP | 約10,210 円 |
| 10 | 5,990 PHP | 約15,760 円 |
| 15 | 8,097 PHP | 約21,310 円 |
| 20 | 10,204 PHP | 約26,860 円 |
※1 PHP = 約 2.63 円として計算(2025年10月時点の為替レート。変動あり)
出典:Philippine Postal Corporation(PHL Post)「Final 2023 Postage Rates」Surface Airlifted(SAL) Mails
利用時の注意点
船便は安い反面、時間がかかり遅延しやすい点に注意が必要です。利用前に次のポイントを確認しましょう。
取り扱い状況の確認:業者によっては船便を停止している場合があるため必ず最新情報をチェックしましょう。 通関の遅れ:繁忙期や台風シーズンは検査に時間がかかるため、余裕をもって発送しましょう。 別送品の手続き:帰国時は「別送品申告書」の提出が必要です。配達まで2〜4週間かかることもあります。 補償の確認:紛失・破損に備えて保険オプションの有無を確認しておきましょう。
フィリピンから日本へのコンテナ輸送は法人向けが中心で、個人では航空便しか選べない場合があります。引越し荷物を送る場合は、業者の下見で見積もりを取るのが正確です。荷物が少ないときは、国際宅配サービスや帰国便の預け荷物を利用するのも一つの方法です。
日本からフィリピンへ荷物を船便で送る方法
続いて、日本からフィリピンへ荷物を船便で送る方法について詳しくみていきましょう。
利用できる主な配送サービス
日本からフィリピンへ船便を送る方法には、郵便局・バリクバヤンボックス・フォワーダーの3種類があります。それぞれ特徴が異なるため、荷物の量や目的に応じて選びましょう。
郵便局(日本郵便):2kg以下は小形包装物、2kg以上は国際小包で発送可能。全国どこからでも利用しやすいのがメリットです。 バリクバヤンボックス:Door to Door配送で人気。専用ボックスに詰めて集荷を依頼するだけで、フィリピンの自宅まで届きます。 大手運送会社:海外引越しや法人輸送に対応しています。ただし、フィリピン宛てでは船便を扱っていない場合もあるため、事前確認が必要です。 フォワーダー(国際輸送業者):引越しなど大量の荷物に対応します。法人利用が多いですが、個人向けサービスを提供する業者もあります。
利用前に、船便の取り扱い有無やエリア対応を公式サイトで確認しておくと安心です。
配送日数の目安
日本からフィリピンへの船便は、おおむね1〜3か月が目安です。
郵便局の国際小包を船便で送ると、配達までおよそ2〜3か月かかります。発送後はフィリピン郵便局(PHL Post)が現地配送を行い、受け取りは管轄の郵便局で手続きを行う必要があります。
一方、バリクバヤンボックスのようなDoor to Doorサービスでは、マニラ首都圏で約4週間、ビサヤ諸島で5〜6週間、ミンダナオ島などの離島では5〜7週間ほどが目安です。クリスマスシーズンなどは混雑によりさらに時間がかかるため、余裕をもって発送すると安心です。
料金の目安と航空便との比較
日本からフィリピンへの船便料金を発送方法別に紹介します。
郵便局を利用する場合、船便は航空便やEMSより安く、2〜3か月かかる代わりに料金を半分程度に抑えられるのが特徴です。
以下は郵便局で船便を差し出した場合の費用と、航空便との比較です。なお、重量制限は20kgです。
2kg以下の場合は航空便のeパケットライトや小形包装物が利用でき、船便より早く、料金も安くなります。一方で、2kg以上では、重量が重くなるほど、船便の方が安くなります。
| 順重量 | 船便 | 航空便 | EMS |
| 1kg |
小形包装物 1,300円 国際小包 2,100円 国際eパケットライト 1,830円 |
小形包装物 1,460円 国際小包 2,500円 |
3,150円 |
| 5.0kgまで | 4,100円 | 7,300円 | 8,150円 |
| 10.0kgまで | 6,600円 | 13,300円 | 13,350円 |
| 15.0kgまで | 8,600円 | 16,550円 | 18,350円 |
| 20.0kgまで | 10,600円 | 19,800円 | 23,350円 |
※2025年10月時点。
一方、バリックバヤンボックスの場合は箱のサイズで料金が決まります。
箱のサイズは会社により異なりますが、概ね大サイズ:約73x63x55〜73x56x64cm、中サイズ約37x63x55cm〜62x47x62cm、小サイズ約55x35x35〜63x48x32cmです。
バリクバヤンボックスを取り扱っている会社にインターネットか電話で注文すると、専用ボックスを集荷元に届けてもらえます。
バリックバヤンボックスの参考価格
| 大 | 中 | 小 | |
| メトロマニラ周辺 | 約14,000円 | 約11,000円 | 約9,500円 |
| その他ルソン島 | 約15,000円 | 約12,000円 | 約10,000円 |
| ビサヤ諸島 | 約16,000円 | 約13,000円 | 約11,000円 |
| ミンダナオ島、その他諸島地域 | 約17,000円 | 約14,500円 | 約12,000円 |
集荷地点が物流拠点から遠い場合は、1,000〜2,000円ほどの追加料金がかかります。
重量規定は50kg〜80kgほどで、国際郵便の規定よりも多くなっており、荷物を多く詰めるほど重量あたりのコストが抑えられます。
荷物の量が少ない場合は郵便局の船便、家財や衣類をまとめて送りたい場合はバリクバヤンボックスを選ぶと効率的です。
利用時の注意点
日本からフィリピンへ船便を送る場合も、発送手続きや受け取り方法にいくつか注意点があります。
まず、郵便局で船便を利用する場合は、差出から配達まで2〜3か月かかるため、早めの発送が安心です。現地ではフィリピン郵便局(PHL Post)が配達を担当しますが、自宅配達ではなく郵便局での受け取りになるケースも多いので注意しましょう。
バリクバヤンボックスを利用する場合は、集荷や通関手続きを業者が代行してくれる一方、混雑時は配送が遅れることもあります。発送前に到着予定時期を確認しておきましょう。
日本・フィリピン間の船便トラブルを防ぐポイント
船便を安全に利用するために、発送前に確認しておきたいポイントをまとめました。荷物を確実に届けるための基礎知識として、出発前に一度チェックしておきましょう。
送れない・制限されるもの
日本とフィリピンの間では、危険物や法律で制限されている品目を送ることはできません。内容物によっては没収・返送・廃棄の対象になるため、発送前に必ず確認しておきましょう。
代表的な禁止・制限品は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
| 危険物 |
・麻薬、向精神薬、あへん、けしがしら、覚醒剤 ・爆発または発火の恐れのある物質、放射性物質、圧縮ガス ・武器(生物、化学兵器含む)、弾薬、それらの模造品、おもちゃの拳銃 ・毒物、劇薬 |
| 公序良俗に反するもの |
・わいせつなもの、児童ポルノの性質をもつ写真・印刷物その他 ・賭博用品、いかさまに使う道具 |
| フィリピンで禁止されているもの |
・反政府的な出版物や印刷物 ・非合法の中絶を行う目的の薬、器具など |
| 貴重品 |
・現金、証券 ・貴金属 ・偽造現金、クレジットカード |
| 生物、食品 |
・ワシントン条約(CITES)に基づき規制される動植物やその加工品 ・生きた動物 ・肉類、植物、種子 ・アルコール |
| 車両 | ・中古車、中古オートバイ、右ハンドルの車 |
これらは国際ルール(万国郵便条約・ワシントン条約など)や、日本・フィリピン双方の法律によって規制されています。
また、運送業者ごとにも独自の禁止品目が定められているため、発送前に必ず利用する業者の公式サイトで最新情報を確認しましょう。
事前申請・許可が必要なもの
一部の品目は、必要な書類を準備すれば発送できる場合があります。
食品や植物、動物の加工品などは、検疫証明書や輸出入許可証を取得すれば輸送可能なケースもあります。また、厳格な梱包方法・規定や、重量・数量制限を守れば輸送可能な物品もあります。
たとえば、リチウム電池は危険物ですが、機械に内蔵または取り付けられており、ワット時定格量や数量の基準等の必要な条件を全て満たしていれば、フィリピンに送れる場合があります。
現金も、保険付きの小包としてなら配送可能な場合もあります。ただし、国や業者によって基準が異なり、たとえ書類を揃えても取り扱い不可とされる場合もあります。
発送したい場合は、
日本郵便や各配送業者の最新ガイドライン フィリピン税関・日本の税関など公的機関の公式情報
を確認し、必要書類がある場合は事前に申請・許可を取得しておきましょう。
よくあるトラブルと防止策
船便はコストを抑えられる一方で、遅延・紛失・破損といったトラブルが起こることもあります。特に以下のようなケースが多いため、事前の対策が重要です。
こうした基本的な対策をとることで、トラブルの多くは未然に防げます。大切な荷物を確実に届けるためにも、事前準備と情報確認を怠らないようにしましょう。
まとめ
フィリピンと日本の間で荷物を船便で送る場合、費用を抑えられる反面、到着まで1〜3か月ほどかかるのが一般的です。
急ぎでない荷物や大量の荷物を送りたいときには、航空便よりも経済的な選択肢となります。ただし、遅延や紛失のリスク、送れない品目の制限もあるため、発送前の確認が重要です。航空便との違いやそれぞれの特徴を理解し、目的に応じて上手に使い分けましょう。
事前に準備しておけば、留学や引っ越しの荷物もスムーズに届き、現地での生活を気持ちよく始められます。
◇経歴
土や紙をつかった造形や、ドローイングをしています。
◇資格
TOEIC 955
◇留学経験
スコットランドにあるグラスゴーの大学で、4年間美術を学びました。
◇海外渡航経験
今までたくさん旅をしました。
イギリス、フランス、イタリア、スイス、ベルギー、オランダ、チェコ、スロバキア、オーストリア、ノルウェー、フィンランド、スウェーデン、中国、香港、韓国、ネパール、タイ、フィリピン、インドネシア、マレーシア
色褪せた思い出を蘇らせようと、古いデジカメのデータを読み込もうとしたら、ほとんど消失していてショックを受けました。
今思えば貴重だった家族旅行、感動した景色、美味しかった食べ物、かけた時間や使ったお金が写真に詰まっていたように感じられ、寂しかったです。一瞬一瞬を大切に、これからも旅を続けようと思います。
◇自己紹介
日本の一般大学を卒業した後、憧れていた海外の美術大学に留学しました。
語学の面で苦労しましたが、留学の経験は宝です。
現在、作品の制作・発表と、ライター活動、コツコツ英語の勉強をしております。
書くことを通じて、経験を活かしながら、学びを続けたいと思っています。