日本でもたまに見かける紫色のお菓子。
アイスクリームで見かけることが多いのではないでしょうか?
この紫色の正体は「ウベ」。
山芋の一種で、フィリピンではお菓子によく使われています。
この記事では、フィリピンでよく見かける「ウベ」を使ったお菓子について解説します。
ウベの歴史に、ウベの栄養素、おすすめのお菓子などをご紹介。
ウベスイーツを好きになるきっかけにしてください!
ウベとは?
フィリピンを代表するスイーツカラーと言えば「紫色」。
アイスクリームにクッキーに…ドーナッツ…。
多くのスイーツに紫色が使われています。
「この色食べても大丈夫?」と不安になるようなインパクトのある色ですが、合成着色料は使っていません。
この紫色の正体は「ウベ」。
フィリピンでは「パープルヤム」とも呼ばれている山芋の一種です。
東南アジアやオセアニアで栽培されている品種で、フィリピンでは広く栽培されています。
栄養価が高く、成育も早いため、「Famine crop」(飢饉作物)としての異名も持ちます。
日本では「ダイショ」「紅山芋」と呼ばれており、沖縄や鹿児島など暖かい地域で栽培されています。
紫芋と間違えられることがありますが、紫芋はサツマイモの一種であるのに対し、「ウベ」は山芋の仲間です。
そのため、一般的な山芋同様、粘り気があるのが特徴です。
特に「ウベ」はしっかりとした粘り気があるため、料理に使うともっちりした食感が楽しめます。
サツマイモよりも、コクとまろやかな甘味があるので、スイーツとの相性も抜群。
フォトジェニックな紫色も相まって、近年、フィリピン以外の国でもウベにハマる人が増えてきています。
ウベの歴史
今やフィリピンのスイーツ原料の定番となった「ウベ」ですが、いつフィリピンに伝来したのかは定かではありません。
1600年初頭に発行された辞書に「Ube」なる単語が登場したそうですが、そのころは「サツマイモ」と分類されていたそうです。
1920年ごろに発行された料理の本に、「ウベアイスクリーム」の単語が登場したとのこと。
アメリカ軍の占領中に、アメリカからフィリピンにアイスクリームが持ち込まれ、新しいフレーバーとして、マンゴーなどとともにウベが使われるようになったといわれています。
ウベは栄養価も高いため、フィリピンの食文化において、特にスイーツの分野において浸透していきました。
その後、フィリピン移民が移住先の国のレストランでハロハロなどのスイーツに使用したことや、鮮やかな紫色がSNSで人気を博したことなどから、フィリピン国外へと広まっていったと考えられています。
特に最近は、ウベを使ったスイーツやデザートが日本やアメリカでトレンドとなっています。
ウベに含まれる栄養素
鮮やかな紫色は、一見すると「自然界に存在する色なの?」と疑いたくなるような色ですが、ウベは実は栄養価が高いことが知られています。
ある大学の研究によると、ウベには次のような栄養素が含まれているといわれています。
・ビタミンA、C、E(抗酸化作用あり)
・カリウム(むくみ解消効果あり)
・食物繊維(一般的な長芋の約2倍!)
・消化酵素(お米などのデンプンを含む食材の消化を助ける)
・アントシアニン(紫色の部分に含まれる。ポリフェノールの一種で、抗酸化作用あり)
特に抗酸化作用は、美肌効果や老化予防にも効果的です。
ミネラルや食物繊維も豊富なので、腸内環境の改善も期待できます。
さらに、心血管疾患や癌の予防にも良いとの報告もあります。
このようにウベは高い栄養価を有することから、2019年には、WWF UK(世界自然保護基金 英国支部)が、大手食品ブランドであるユニリーバ社と共同で発表した「未来の食材50」(栄養価が高い、持続可能な食材)にも選ばれています。
この「未来の食材50」には、スーパーフードとして名高い「キヌア」も選ばれています。
ウベも同様に、身体が喜ぶスーパーフードと言えるでしょう。
ウベ味の主なお菓子:アイス・ジェラート
ウベを使った代表的なお菓子と言えば「アイス・ジェラート」です。
他の根菜類にはない、ナッツのような香り。
ねっとりとした食感。
それでいて、バニラやチョコレートアイスと違って、濃厚でありながらもしつこくないのが特徴です。
後味はさっぱりしています。
フィリピンでは、あのフィリピンの代表的なスイーツ「ハロハロ」の上に乗せるアイスとして使われることも多いです。
紫色が目を引きます。インスタ映え間違いなしと言えるでしょう。
フィリピンでは、スーパーでもコンビニでもウベ味のアイスクリームが買えます。
日本でもさまざまなメーカーからウベ味のアイスクリームが発売されていますが、なかでも、BLUE SEAL(ブルーシール)のウベ味のアイスクリームはなめらかだと評判です。
ウベ味の主なお菓子:ケーキ
ウベ味のケーキも定番のスイーツです。
フィリピンの多くのケーキ屋さんで見かけます。
こちらも紫色が特徴的なケーキです。
ウベはチーズとの相性が良いので、ウベ味のチーズケーキがポピュラーです。
まろやかな甘さのウベと濃厚なクリームチーズがマッチした、あとひくおいしさです。
ウベのほんのりとした甘さが、チーズと一緒になることでより引き立ちます。
たっぷりの生クリームが重ねられているスポンジケーキもあります。
白と紫のコントラストが美しく、インスタ映え間違いなし。
頬張ると、口の中でほんのりとお芋の味がします。
また、スーパーに行けば、ウベ味のホットケーキミックスも手に入ります。
しかもお手頃価格です。
もちもちとしていて、お芋っぽい香りもあり、普通のホットケーキとはひと味もふた味も違うと評判です。
ウベ味のホットケーキミックスはアメリカのトレーダージョーズでも販売されており、すぐに売り切れてしまうほどの人気ぶり。
こちらもおいしいと評判で、世界がウベに注目していることが分かります。
ウベ味の主なお菓子:かき氷
フィリピンで「かき氷」というとあまり聞き慣れないかもしれませんが、ここでいうかき氷とはハロハロのこと。
フィリピンの代表的なスイーツです。
ハロハロとは、フィリピンのタガログ語で「混ぜこぜ」を意味します。
かき氷とアイスクリームをミックスさせたパフェのようなスイーツを、豪快に混ぜて食べるのがフィリピン流の食べ方です。
カップの下には、ココナッツやマンゴーなどの果物、ナタデココにウベペーストとクラッシュアイス(かき氷)が入っています。
その上に、トッピングとしてウベ味のアイスクリームが使われます。
カップの中のトッピングにもウベが使われているので、ウベを満喫できるスイーツです。
他にもこんなに!ウベを使ったスイーツ
フィリピンには他にもウベを使ったスイーツがこんなにあります。
ウベ味のジャム|ウベハラヤ
ウベハラヤとは、ウベジャムのこと。
ウベ味のアイスクリームやウベ味のペストリーに使います。
ウベをすりおろしたり、つぶしたりして、ミルクやココナッツミルク、バターなどと一緒に煮て作ります。
とろみがついたら冷まして出来上がり。
スイートポテトのような味ですが、なめらかで粘り気のある食感が特徴です。
ジャムというよりも餡子のような感じ。
パンに塗ってもOK、クッキーにつけてもOKです。
瓶詰にされたものが売られており、フィリピンのお土産としても人気です。
ウベ味のクッキー
フィリピンのクッキーは、「ポルボロン(Polvoron)」が有名です。
ゴールディロックス(Goldilocks)社が販売しているものが人気です。
もともとはスペイン発祥のお菓子のようで、口の中でほろほろと崩れるのが特徴です。
沖縄のちんすこうに似ているかもしれません。
もちろんポルボロンにもウベフレーバーがあります。
封を開けると鮮やかな紫色が目に飛び込んできます。
ウベの濃厚でほんのり甘い風味が味わえます。
他にもウベペーストを巻き込んで焼いたクッキーや、ウベクラッカー、ウベクリームを間に挟んだクラッカーなど、スーパーに行くと色々な種類のウベを使ったクッキーが売っています。
ぜひ色々なウベ味のクッキーを試してみてください。
ウベ味のパン
パンデサルはフィリピン定番のパン。
「パンデサル」( Pan de sal)はスペイン語で塩パンの意味ですが、フィリピンのパンデサルは、ふわふわモチモチ、ほんのりと甘いのが特徴です。
ふつうは何も入っていませんが、最近人気なのが、ウベ チーズ パンデサル。パン生地にウベを混ぜて紫色にしています。
中にチーズが入っています。
チーズとウベジャムが入っているものもあります。
パンの優しい甘さとチーズの塩気が◎。
甘じょっぱさがクセになるパンです。
ウベを使ったドリンク
「山芋のドリンク?」と戸惑うかもしれませんが、ウベのドリンクも人気です。
ウベはミルクやココナッツなどとの相性も良いので、幅広いメニューで展開されています。
ウベとココナッツミルクで作ったドリンクや、ウベアイスクリームで作ったシェイク、ウベシロップとミルクをベースにしたラテなど、どれもウベの自然な甘さを堪能できるドリンクです。
もちろん鮮やかな紫色は映えること間違いなし。
ぜひカフェに行ったら注文してみてください。
まとめ
ウベはマンゴーやバナナと並ぶ、フィリピンで親しまれている食材です。
鮮やかな紫色からは想像できないような優しい甘さが特徴で、一口食べれば、きっとウベのおいしさに魅了されるはずです。
フィリピンではウベを使ったスイーツがたくさん売られています。
フィリピンに行った際はぜひウベスイーツを食べてみてください!

◇経歴
幼少期に1年、30代で1年、アメリカに滞在
◇資格
実用英語技能検定準一級
TOEIC860点
◇留学経験
渡航先:アメリカ
(幼少期は現地のelementary schoolに、30代では現地のcommunity collegeに通学)
◇海外渡航経験
旅行:アメリカ、カナダ、オーストラリア、メキシコ、クロアチアなど。
◇自己紹介
海外旅行が好きなWebライター。なかでもアメリカが好きで、10回以上渡航しています。
またアメリカに行けるように、現在はオンライン英会話でレッスン中です。
分かりやすい記事をお届けできるよう頑張りますので、よろしくお願いいたします!