カナダといえば「雪」「どこもかしこもすごく寒く、いつも氷点下」というイメージがある人は多いのではないでしょうか。しかし実際は地域によってかなり大きな差があります。
意外にも、カナダの西側に位置するバンクーバー周辺は日本とさほど変わりない気温・気候で服装も日本と同じように過ごせます。対して東側のトロントや北側のイエローナイフはとても寒く雪深く、イエローナイフなどでは-40℃まで気温が下がることがざらにあります。
今回は地域ごとのカナダの降雪事情をはじめとした冬事情やカナダでの冬の過ごし方を紹介します。
カナダの降雪事情:地域ごとの特徴とその影響雪とともに暮らす
地域ごとの降雪事情を紹介します。
バンクーバー周辺(カナダ西海岸側)
冒頭でもお伝えした通り太平洋沿岸に位置するバンクーバーの気候は日本とさほど変わらず寒さのピークを迎える2月でも最低気温は-10℃、最高気温は10℃ほどです。気温がマイナスまで下がる日はそこまで多くなく、東京より少し寒いぐらいです。
雪に関しても11月・12月に初雪が降ったあと1月か2月に1回~3回ほど20cmの降雪があり、3月には春の兆しが見え始めます。
ただし、トロントやイエローナイフに比べやや雪に慣れていないのでいざ雪が降ると交通機関、特にバスが止まりやすい傾向にあります。
バンクーバーの北側に位置するノースバンクーバーやバンフなどではスキー・スノーボードを楽しむことができ、毎週末多くの人々が訪れます。
トロント周辺(カナダ東海岸側)
カナダの東、大西洋側に位置するトロントやモントリオールはかなり寒く冬の平均気温は-4℃です。-4℃と聞くとあまり寒くないように感じますがこれはあくまで平均値で、冷え込む日だと体感気温-30℃まで下がります。降雪量も多く、多い時だと一日に40㎝積もることもあります。
初雪の時期は11月後半からとバンクーバーとあまり変わりませんが、トロントの場合は4月上旬まで雪が降り続きます。
このように日本と比べてかなり寒く雪も多いトロントに訪れる際は、日本にいる時よりももっと暖かい服装や滑りにくい靴を用意する必要があります。
屋内は暖房設備が整っているため暑いぐらいで交通機関に関しても毎年大雪が降ることを想定して雪対策がしっかりされるので大きな影響が出にくいことが特徴です。
スキー・スノーボードはもちろん、凍ったナイアガラ滝を見るツアーなどトロントならではのツアーも開催されます。
イエローナイフ周辺(カナダ北側)
寒いと言われるトロントの比にならないぐらいに寒いです。
1月と2月の平均気温は-30℃で、意外にも年が明けてからは晴れの日が多いためオーロラ鑑賞に適しています。最も雪が降るのは11月です。
オーロラ鑑賞などのアクティビティに参加する場合は、デパートなどで買うことのできる防寒着では太刀打ちできないほどの寒さに長時間さらされるため、レンタルすることをお勧めします。ツアー会社経由でオーロラツアーなどを申し込んだ場合は服・靴一式を安くレンタルでき、暖かく過ごせるのでおすすめですよ。
寒い分、犬ぞりやオーロラ鑑賞などのアクティビティを楽しむことができ、日本ではできない体験ができる点が魅力です。
カナダの冬の生活スタイル冬のアクティビティ
家籠り
寒いし雪も降ってるので家にこもる!というシンプルな過ごし方をする人は多いです。
特にクリスマスシーズンは家族と家でパーティをする人が多く寒さも相まって街には人が出なくなります。編み物や料理などをして春を心待ちにします。
ウインタースポーツ
静かになる街中に対して、にぎわうのがスキー・スノーボード場。週末は様々な人が集まります。
自分の車・自分のスキー板やウエアで訪れる人も多いですがバンクーバー・トロントなどのダウンタウンからはスキー場へのバスも出ているため都市部に住んでいても誰でも気軽にウインタースポーツを楽しめます。留学生が日帰りで出かけていく姿もよく目にします。
また、スキー板・ウエアのレンタルショップも多くあります。スキー場近くで借りると高いのでバンクーバーやトロントで借りていくのがおすすめですよ。レンタカーやシェアカーで行く際は冬タイヤになっているかの確認も忘れずに。
ファッション
カナダの人々のファッションにおける優先順位は「機能性重視」。
ただ「寒さをしのぐ」ためだけに服をえらぶので日本に比べておしゃれな格好をしている人は少なく、特にスカートをはいている人はほとんどいません。ダウン+厚手のパンツ+ウインターブーツとニット帽、という人が多いです。
意外にもダウンの下は薄手のトップスを着ることが多く、これは屋内の暖房設備が整っているため体温調節をしやすいようにするためです。
スキーから犬ぞりまで
雪国のカナダならではのウインタースポーツやアクティビティについて解説します。
スキー・スノーボード
先ほどから紹介している通り、スキー・スノーボードはカナダでも大変人気なスポーツです。
大きな都市から一般のバスで一本で行ける場所もあり、日本よりも身近で手軽なスポーツといった印象です。スキー・スノーボード場の規模も大きく、楽しめること間違いなしです!
スケート
冬が近づいてくると町中にいくつものスケートリンクが出現します。靴の貸し出しも行っており、買い物のついでなどで気軽にスケートが楽しめます。
場所によってはスケート靴レンタルと入場料込みで500円~1000円ほどで楽しめる場所もあります。
犬ぞり
日本ではなかなか見ない犬ぞりもカナダでは体験ができます。主にイエローナイフなどのカナダの中でも雪深い地域で体験することができ、プロに操縦してもらうコースと自分が操縦するコースがあります。ゆっくり景色を楽しみたいのか、自分で体験したいのか考えて選ぶといいでしょう。
自分で操縦する場合でもしっかりとレクチャーをしてもらえるので心配いりませんが、年齢制限などいくつかの制限があるので申し込みの際に確認してみてください。
メープルトフィー
メープルトフィーはメープルシロップが有名なカナダならではのスイーツで、雪の上に煮詰めたメープルシロップを垂らして固めたキャンデイです。
3~4月のメープルシロップの収穫時期にカナダ全土でシュガーシャックという収穫のための小屋ができ、ここでメープルトフィーを楽しむことができます。
雪の文化:言葉に見る雪の多様性
カナダ先住民族のエスキモーやイヌイットは雪をいくつもの言葉で表現し、使い分けていると言います。
例えば積もった雪は「アプト」、降雪は「カナ」、地吹雪は「ピクシクスク」、吹き溜まった雪は「クィムクスク」です。一説によると200種類もの雪に関連する言葉があるとのことです。
雪とともに極寒の世界で生きている彼らは狩猟や移動のために雪の状態を細かく把握する必要があるためにここまで語彙が増えたと言われています。
カナダ各地にエスキモー・イヌイットの歴史や文化を感じることのできる資料館やオブジェがあるので、カナダを訪れた際はぜひ目を向けてみてください。
雪と観光
雪が降っているからこそおすすめの観光スポット
カナダには雪が降り、寒いからこそおすすめの場所がたくさんあります。前述した凍ったナイアガラ滝は圧巻です。
また、ヨーロッパ風の建物が並ぶモントリオールに雪が降ると大変幻想的な雰囲気になります。
交通機関への影響
意外と、トロントなどの雪がかなり降る寒い地域のほうが交通機関が止まりにくい傾向にあります。毎年雪が降るので備え方もわかっているからです。
対して、止まりやすいのはバンクーバーなどの比較的暖かいエリア。毎年数回しか降らない雪に混乱し、特にバスが大幅に遅れます。中には雪が降りしきる寒い中2時間もバスを待ったという人も...。
電車が通っていないエリアも多いので、雪の中お出かけの際は交通機関の遅延・運休情報をよく確認してください。
おすすめの服装・防寒具とブランド
■コート
真冬には日本のような薄手のチェスターコートを着ている人は少なく、ダウンコートが主流です。言わずと知れたカナダグースはもちろん暖かくおしゃれですが、かなりお高い...。
そんな人におすすめなのがカナダ発のブランドAritzia(アリツィア)のダウン。一枚2万~3万円ほどなのにも関わらず、かなり厚手で機能性に優れ、何より暖かいです。長さや袖の有無、色などかなり豊富なのでお土産に1枚いかがでしょうか。
犬用のダウンウエアやダウン生地の手袋など手軽に買えるものも手に入ります。
■靴
雪の日に忘れてはいけないのはスノーブーツ。いつものスニーカーでは滑ってしまいますし、寒いです。雪より雨の多いバンクーバーでも地面が凍結するなどして滑りやすくなっていることが多いので冬には滑りにくいウインターブーツを履くことをお勧めします。
お勧めしたいのがSOREL(ソレル)。こちらもカナダ発のシューズブランドで、スタイリッシュながらもどこか温かみのあるデザインが特徴です。もちろん機能性抜群で暖かく滑りにくいので雪の日も問題なく歩けます。
■小物
帽子やマフラーなどをしていないと痛く感じるほど寒いカナダ。これらの小物類も現地でそろえることができます。特におすすめなのはRoor(ルーツ)。
カナダ発のファッションブランドで、ビーバーのシルエットとシンプルなデザインが特徴です。ニット帽は3000円弱とお手頃価格で手に入ります。見た目も暖かい毛糸の靴下なども販売しているので、防寒対策とお土産を兼用して手に入れてみてはいかがでしょうか。
これらの小物はお土産屋さんなどでも安く手に入ります。
冬のカナダを訪れる魅力まとめ
カナダのベストシーズンは夏と言われており、ちょうどいい気温・ビーチなど確かに魅力的な点が多くあります。また、色とりどりの花が咲き乱れるビクトリアなどの地域では春がベストシーズンともいわれています。
しかし、ここまで紹介してきた通りカナダの冬にはほかにはない魅力がたくさんあります。日本では経験できないアクティビティを楽しみ、時にはとんでもない寒さにさらされながら、カナダの冬で一生忘れられない思い出を作ってみてはいかがでしょうか。