まるで絵本のように
カラフルな家々が並んでいる海外の街並み。
世界の各地には、そんな色彩豊かな家々が並ぶエリアがあります。
写真などで見たことがある人も多いのではないでしょうか?
実はこれらのカラフルな建物、ただ見た目が美しいだけではないのです。
その色使いの背景には国や都市ごとの文化と歴史が深く関係しています。
カラフルな家の理由はそのエリアによって様々。
理由と意味を理解することで、今までよりももっと世界を身近に感じることができるはずです。
今回の記事では、色彩を通して世界を知る旅に出かけましょう!
カラフルな家が生まれた背景と文化的意味
カラフルな家のルーツとは?
世界には、色彩豊かな家が特徴の街が多数存在します。
イタリアのブラーノ島やメキシコのグアナファトなどが有名ですが、世界のカラフルな家は歴史的・文化的な背景によって様々な理由で着色されており、それぞれの地域に独自のルーツが存在します。
例えばイタリアのブラーノ島では、かつて漁師たちが霧が立ち込める冬に自分の家を簡単に見つけられるよう、派手な色で外壁を塗ったのが始まりなんだとか。
メキシコのグアナファトの家は外壁を明るい色で塗ることで、太陽の強い日差しを反射し、都市の熱を抑えていると言われています。
またグリーンランドのヌークでは、かつて家の色で建物の種類を識別するためにカラフルな色で塗られていました。
例えば赤は教会や商店、黄色は病院、黒は警察署……というように、家の色分けには伝統的に意味がありました。
背景には、グリーンランドへの入植者の中には現地の言語を理解できない人が多かったので、彼らが建物を簡単に識別できるようにしたという話があります。
このようにカラフルな家の意味はそのエリアや時代によって異なり、ただの装飾ではないケースが多くあります。
観光資源としてのカラフルな街並み
現在では、こうしたカラフルなエリアは観光スポットとして大きな人気を集めています。
フォトジェニックな写真が撮れる場所として世界中から観光客が集まり、絶景としても取り上げられることが増えました。
例えば先にも触れたイタリアのブラーノ島では、添乗員同行のツアーにも多く組まれ、人気観光スポットとして定着しています。
カラフルな建物を背景に街歩きを楽しめるスポットも世界各地にあり、観光資源として注目されているのです。
色々な背景をもつカラフルな街たちは、現代では経済的な活性化を目的に観光地化され、地元の人々の生活を支える拠点にもなっているのです。
色彩の裏側にある文化的なコンテクスト
単なる装飾ではない、カラフルな家の外観と街並みですが、これらの色の選択には様々な意味が込められている場合も多いです。
例えば「幸運」や「魔除け」、「繁栄」などの象徴として色が塗られているなどのケースがそうです。
例としては、メキシコでは明るい色が死者の魂を喜ばせると信じられており、「死者の日」などの祭りにおいてもカラフルな装飾が見られますね。
またヨーロッパでは中世から色には様々な意味が込められており、カラフルな色彩表現は美しさのためだけではなく、シンボリズムや表現の手段として重要な役割を果たしています。
例えば赤は高貴さや権威を表すため特に王族や貴族が好んで使用したり、青が神聖さや誠実さを表したり、白が純粋さや清らかさ・光を表したり、などです。
ヨーロッパのカラフルな街並み
ここからは、実際に世界各地の街並みを見ていきましょう。
ヨーロッパにはまるで絵本の中から飛び出したような、カラフルな街並みが数多く存在しています。
世界が憧れる色の楽園:ブラーノ島(イタリア)
イタリア・ヴェネツィアの沖合に浮かぶ小さな島、ブラーノ島。
ここは世界でも有名なカラフルな街のひとつです。
ポップに塗られた家々が運河沿いに並ぶ光景はまさに絶景そのものです。
ブラーノではかつて漁師たちが霧の中でも自分の家を見つけやすくするために色を塗り分けたという背景があり、現在でもその文化は引き継がれ、建物の色変更には法律で制限がかけられています。
おとぎの国のような街並み:ローテンブルク(ドイツ)
ドイツ・バイエルン州にあるローテンブルク・オプ・デア・タウバーは、中世の雰囲気を色濃く残す市街。
街歩きに最適なスポットで、木組みの建物と赤・黄・緑などのカラフルな壁の家々が整然と並んでいる美しいエリアとなっています。
城壁に囲まれたローテンブルクの都市では、ホテルや店もこの住宅街の雰囲気に合わせて世界観が統一されており、まるで中世にタイムスリップしたような感覚が味わえます。
青と白が織りなす夢の街:サントリーニ島(ギリシャ)
エーゲ海に浮かぶギリシャのサントリーニ島は、白壁と青いドーム屋根の家々が連なる美しい街並みが特徴的で有名です。
イア地区では、海と空、そして真っ白な建物のコントラストが織りなす幻想的な景観を堪能できます。
世界屈指の絶景スポットで、夕暮れ時にはオレンジ色に染まる空と白い家々が特に美しく、観光客にも人気。リゾートホテルが多くあります。
カラフルなビーチハウスが並ぶ:コスタ・ノバ(ポルトガル)
ポルトガルにある小さな漁村コスタ・ノバは、縞模様にペイントされたカラフルなビーチハウスが並ぶエリアとして知られています。
赤、青、緑、黄色といった色鮮やかなストライプ柄の建物は、まるで童話のワンシーンのようにお茶目なキュートさ。
もともとは漁師たちが道具を保管するための小屋でしたが、現在は観光資源として活用されています。
海辺の街歩きをのんびり楽しめる、非常にフォトジェニックなスポットです。
花咲くおとぎの町:コルマール(フランス)
フランス・アルザス地方にあるコルマールは、木組みの家にカラフルなペイントが施された街並みと、運河沿いに咲く美しい花々で知られています。
「プティット・ヴニーズ(小さなヴェネツィア)」とも呼ばれ、どこを切り取っても絵になる写真スポットが満載。
ワイン畑も近く、グルメな旅を楽しみたい方にもぴったりです。
かわいらしいブティックホテルも充実しており、滞在先選びも楽しみのひとつにできるときめく街。歩いているだけで幸せな気分になれますね。
ちなみに、コルマールの中心にある三角屋根と出窓が特徴的な「プフィスタの家」は宮崎駿監督の「ハウルの動く城」のモデルとなったとされている建物です。
南米の色彩豊かな住宅街
南米にも、まるで絵画のようにカラフルな街並みが広がる場所が数多く存在します。
ヨーロッパとはまた異なる風土を感じられる、鮮やかな色で彩られた建物たちを、実際に見ていきましょう。
世界が憧れる色彩都市:グアナファト(メキシコ)
メキシコ中部に位置するグアナファトは、カラフルな家々が丘の斜面にびっしりと並ぶ、まさに夢のような街!
ピンクやオレンジ、青、緑など、ビビッドに彩られた建物が迷路のような石畳の道に沿って続きます。
銀鉱で栄えた歴史を持つこの都市は、その独特な景観と文化遺産が評価され、世界遺産にも登録されています。
タンゴの発祥地、色彩の小道:カミニート(アルゼンチン)
アルゼンチン・ブエノスアイレスのラ・ボカ地区にあるカミニート。
ここは世界的に有名なカラフルなストリートです。
赤、黄色、青、緑など大胆な色使いで塗られた建物が並び、アーティストたちが集う活気あるスポット。
もとは港町として発展したこの地域では、漁師たちが余ったペンキで家を塗ったのが始まりとされています。
周辺にはローカルな店や屋台も並び、南米らしい情緒あふれる街歩きを楽しむことができます。
絵画のような港町:バルパライソ(チリ)
チリ中部の港町であるバルパライソは、その独特な芸術的雰囲気とカラフルな建物で知られています。
丘陵地帯にカラフルな家々が建ち並び、路地には壁画アートがあふれ、街全体がアートギャラリーのよう。
青い海と色とりどりの街並みのコントラストは絶景です。
アジアにおけるカラフルな建築の例
アジア各地にもカラフルな建築が点在しています。
歴史ある寺院から現代アートの拠点まで、鮮やかな色彩で彩られたスポットはただ美しいだけでなく、その国や地域の文化や信仰を色濃く反映していますよ。
プラナカン建築が生きる:カトン地区(シンガポール)
シンガポールのカトン地区は、色鮮やかなプラナカン様式の家々が並ぶ、人気の街歩きスポットです。
プラナカン様式とは、中国・マレー・西洋の文化が融合した独特な美しさを持つ建築様式のこと。
パステルカラーに彩られた、繊細な装飾の建物がその特徴です。
このエリアにはおしゃれなカフェや店も多く、観光にもおすすめですよ。
ヒンドゥー教にまつわる洞窟:バトゥ洞窟(マレーシア)
マレーシアのクアラルンプール郊外にあるバトゥ洞窟は、大きなヒンドゥー教寺院がそびえる神聖なスポットです。
入口に続く272段の階段が2018年にカラフルにペイントされ、話題を呼びました。
鮮やかな赤・青・黄などの色が織りなす景観は圧巻で神秘的。
ヒンドゥー文化に触れながら色彩豊かな世界を体感できます。
またクアラルンプールにはバトゥ洞窟の階段の他にもピンク色の「プトラ・モスク」や「ブルーモスク」などのカラフルなスポットが人気です。
アジア版のマチュピチュ:釜山・甘川文化村(韓国)
韓国・釜山にある甘川文化村は、アジア版「マチュピチュ」とも呼ばれる絶景スポット。
カラフルな家々が山の斜面にびっしりと立ち並び、その景観は圧巻です。
実はこの地域はかつて貧困地区だったのですが、アーティストたちの手によって再生され、現在ではアートと文化が融合した人気観光スポットとなりました。
街全体がピンクに染まった:ジャイプール「ピンクシティ」(インド)
インド北西部に位置するジャイプールは、街全体がピンク色に統一されたことから「ピンクシティ」の愛称で親しまれています。
もともとは1876年にイギリスのアルバート王子が訪れた際、王子を歓迎するために街をピンク色に塗ったのがきっかけと言われています。
歴史的建造物が並ぶ旧市街では優雅な建築美を堪能することができ、「ハワー・マハル(風の宮殿)」の蜂の巣状の外壁とほんのりとしたピンクの色合いはインドならではのエキゾチックな魅力でいっぱい。
世界遺産にも登録されているこのエリアは海外旅行者に人気で、航空券とホテルがセットになった格安ツアーも豊富です。
まとめ
世界各地には色とりどりの街並みが多くあり、中には文化的・歴史的に意義深いものもありましたね。
歴史的な価値が認められている景観は、世界遺産に登録されているものまで!
世界には、日本にいては触れることのない文化がたくさんあり、家という日常的なものにもそのヒントが隠されているのです。
次の海外旅行先に迷ったら、ぜひ色彩豊かな都市を目指してみてはいかがでしょうか?
思わずシャッターを切りたくなるような景色と忘れられない旅が、きっとあなたを待ってることでしょう。

◇経歴
幼稚園時代をシンガポールで過ごし、現地の友達と英語でよく遊んでいました。小学校からは日本で暮らし、中学生の時にカナダにホームステイした経験から海外での暮らしに魅了され、東京外国語大学に進学。
在学中にバンクーバーへの留学を経て就職し、新卒で入った会社では外資系クライアントと英語でやり取りをしていました。
現在は仕事で英語を使う機会はほとんどないものの、趣味として楽しく勉強し続けています!
◇資格
TOEIC940点、TOEFL iBT 90点
◇留学経験
バンクーバー(カナダ)、半年間、ILSC vancouver
◇海外渡航経験
・シンガポール(居住・旅行)
・マレーシア(旅行)
・モルディブ共和国(旅行)
・サイパン(旅行)
・カナダ(ホームステイ・留学)
・グアム(旅行)
・タイ(旅行)
・ドイツ(旅行)
・イタリア(旅行)
・トルコ(旅行)
・インドネシア(旅行)
◇自己紹介
英語が話せるだけで、世界中の「私が自分の言葉で会話できる人」の母数がぐんと広がったことが、私にとってはいちばん面白いポイントでした!これからも英語を通じていろんな地域のいろんな文化や人に触れ、知らないことを知っていきたいと思っています。