
みなさんは、パスポートのいらない英国が日本にあることをご存じですか?その名も「ブリティッシュヒルズ」というこの施設は、東京から約2時間半という距離の福島県に存在しています。
多くのこだわりを持って作られたこの施設は、中世英国の景色を再現しており、日本に居ながらにして英国に旅したかのような気分が味わえます。過去には人気ドラマ『花より男子』にて、ヒロインの相手役である道明寺司の住む豪邸として登場し、大きな話題を集めました。
そんなブリティッシュヒルズが一体どんなところなのかを今回は深堀りしていきます。
ブリティッシュヒルズとは?その概要と設立背景
ブリティッシュヒルズとは、福島県にある英国文化を体験できる施設です。
英国が世界に対して強力な影響をもたらしもっとも繁栄したとされる中世英国を、忠実に再現することをコンセプトとしています。ここでいう中世英国は非常に広義の呼び方です。
英国は非常に歴史と文化の深い国であるため、長期間にわたり多方面において影響力をもたらしています。ブリティッシュヒルズで再現されているのは、主に12世紀から19世紀後半までの風景と言えるでしょう。
この施設の中心となるのが、中世英国にて台頭していた「マナーハウス」と呼ばれる荘園領主の館です。英国貴族の過ごした時間や文化を体験することで、英国文化のルーツを体感できます。
もともとブリティッシュヒルズは、日本において英国文化を体験するための施設として作られました。はじめは語学研修施設として作られましたが、現在では一般人でも利用できます。
イギリス文化の学習を目的としているため、語学研修やカルチャー教室などといったレッスンを受けられるほか、宿泊施設やレストランなどもあるため、泊りがけで英国文化を満喫できます。
英国文化を体感できる施設とアクティビティ
ブリティッシュヒルズでは、英国文化を体験できる複数の施設やアクティビティが用意されています。
目玉として注目されているのが、英語カルチャーレッスンとマナーハウスツアーです。他にも、施設内で目を引くローズガーデンがあります。
それぞれについて、もう少し掘り下げてみていきましょう。
ブリティッシュヒルズの英語カルチャーレッスン
ブリティッシュヒルズで多くの人から支持されているのが、オリジナルの英語カルチャーレッスンです。英語の勉強だけでなく、一緒に英国らしい文化を楽しむことができます。
現在開講されているカルチャーレッスンは以下の6つです。
・カリグラフィー
・ブリティッシュクラフト
・クッキング
・ティーブレンディング
・英会話
・スヌーカー
「カリグラフィー」というのは「美しい書法」のことで、中世ヨーロッパのアルファベット飾り文字を指します。このレッスンでは基礎から応用までを教わり、実践としてすてきなカードを作成します。カードは思い出に持ち帰れますよ。
「ブリティッシュクラフト」では、英国の歴史や伝統に基づいた手芸品を作成します。現在は、「ファブリックペインティング」、「ジェルキャンドル」、「モザイクアート」、「グラスペイント」の4つの中から1つを選んで制作できます。どれも思い出の品として持ち帰るのに、ピッタリなアイテムです。
イギリス料理はまずい、とはよく聞きますが、そんなことはありません。「クッキング」のレッスンでは、ティータイムの必須アイテムであるスコーン、あるいはショートブレッド作りを楽しめます。
自分で作った焼きたてのスコーンやショートブレッドとともに、紅茶を飲んで談笑できるレッスンとなっていて、英国文化らしい体験ができると、人気のレッスンです。
イギリスといえば紅茶、という印象が強い方には「ティーブレンディング」のレッスンはいかがでしょうか。
フレーバーティーの特徴を学んだあと、自らベースとなるティーとフレーバーを組み合わせて、自分のオリジナルブレンドティーを作れるのがこのレッスンです。完成したティーは、お土産として自宅に持ち帰ることができますよ。
ブリティッシュヒルズが得意とする「英会話」のレッスンを受けることも可能です。英語が苦手な人でも心配ないように、このレッスンでは中学生程度のレベルで英会話を学べます。
レッスン内容は、当日に受講者全員で決定できます。少人数制なので、自分の学びたい方法で英語を学べます。
最後の「スヌーカー」は英国発祥のスポーツです。キューを用いた競技で、ビリヤードの一種です。
19世紀後半にインドに駐留していた英軍将校の間で流行したものとされていて、それまで1対1の対戦形式だったビリヤードをより大人数で楽しめるように、と改定したものです。大人の社交場「スヌーカールーム」体験ができる、貴重なレッスンです。
ブリティッシュヒルズのマナーハウスツアー
ブリティッシュヒルズでもひときわ目を引く、象徴的な建物であるマナーハウスをじっくりと楽しむことができるのが、マナーハウスツアーです。
スタッフの説明を聞きながらマナーハウスを巡り、調度品や部屋の作りなどから、英国の歴史を学べます。
一つ一つの調度品にまつわるエピソードを聞くことで、ツアー前と後で部屋の印象ががらりと変わる、といわれています。ツアー所要時間は50分ほど、日本語と英語のツアーがそれぞれ開催されているので、好みの言語を選んで参加してみると良いでしょう。
ブリティッシュヒルズのローズガーデン
英国を象徴する花の一つが、バラです。英国文化の代名詞の一つ、イングリッシュガーデンとバラは相性の良い組み合わせです。
ブリティッシュヒルズにあるローズガーデンは、主に7つのセクションに分かれており、ゆっくりと巡ることでそれぞれの世界観を味わえます。
中でも興味深いのが、「世界のロイヤルファミリー」「歴史上の偉人」そして「物語・登場人物」の3つのセクションです。
「世界のロイヤルファミリー」では、英国王室にちなんだバラが多くそろえられています。「歴史上の偉人」セクションには、歴史に名を遺した著名人にちなんだバラの数々が並びます。
そして、「物語・登場人物」はギリシャ神話から始まり、世界中のさまざまな物語にちなんだバラが取りそろえられています。どれも英国文化らしさを象徴するセクションです。
英語研修プログラムの内容と特徴
現在は一般利用も増えているブリティッシュヒルズですが、設立当初に主体だった英語研修プログラムは現在でも受講可能です。
ブリティッシュヒルズで現在行っている研修は、「学校向け」「企業団体向け」「個人参加型」の3形態です。
ブリティッシュヒルズの強みは、語学だけに長けているわけではない教員をそろえていることです。この施設では常に20名以上の教員が在籍しています。
単純に英会話を教えるだけではなく、英国文化体験を通しての英語力向上を目指すため、芸術やスポーツなどといった文化への造形が深い講師が多くそろっています。
また、英会話ひとつとっても、フォーマルな食事の場で必要となる社交会話やマナーのトレーニングだったり、パブで行うカジュアルトークだったりと、TPOに合わせた英会話を学べるのは、大きな強みです。
団体レッスンだけでなく、個人での参加も可能となっていて、最小で1名から申し込むことができます。
個人参加型の場合でも小学生からが対象年齢となっていますし、友人とともに通えるプランもそろっています。教員は英国のみに留まらず、旧英連邦諸国出身の方もいるため、広く文化を学べる場です。
宿泊施設と食事の魅力
ブリティッシュヒルズは、現在宿泊施設としても大人気です。
それぞれの宿泊プランは食事で決めることができます。イギリスのおいしい料理で、滞在コースを選べます。
ドレスコードありの本格的なコースディナー、ティールームでのカントリーなディナー、そしてカジュアルなパブディナーの3つから主にコースを選択できます。
料理はどのコースでも3カ月ごとに変更となり、さらに期間限定イベントなどに合わせて料理も変わります。
宿泊する施設は、一般利用の場合は一般的なゲストハウスで過ごすこととなります。
14世紀から19世紀までの民家を再現したゲストハウスは、それぞれの時代感を存分に味わえると人気を博しています。内装が非常に凝っていて豪華なので、優雅な気分でくつろげます。
また、バスルームに設置されたクラシカルな猫足のバスタブも注目を集めていて、これを目当てに宿泊するゲストもいるほどとのことです。研修で宿泊する場合には、学生寮風のシンプルかつ伝統的なドミトリータイプの部屋に宿泊できます。
一般観光客向けの楽しみ方とアクセス情報
ブリティッシュヒルズは宿泊だけでなく、日帰りでの入場も可能です。日帰り観光地としても楽しめる施設になっています。
ショッピングが楽しめるギフトショップもあり、おみやげを購入して楽しむこともできます。ギフトショップには英国らしいぬいぐるみや紅茶、スイーツにキーホルダー、マグネット、ステーショナリーなどといったグッズが明るい空間にずらりとそろっています。
オリジナルグッズも多数用意されています。一部グッズはオンラインでも購入可能ですが、店舗限定のグッズもたくさんあるので、足を運んだお土産にぴったりです。
ブリティッシュヒルズは日本の主な都市から約2時間半で行ける距離に位置しています。例えば、東京駅からであれば新幹線と送迎バスを利用すれば2時間半ほどで到着します。
また、北海道の新千歳空港や大阪の伊丹空港からでも、福島空港を経由して、空港から車を利用すれば、所要時間2時間半ほどでブリティッシュヒルズに到着します。
2時間半は遠い、と感じる方もいらっしゃるでしょうが、日本国内で頑張れば日帰りできる距離に、パスポートなしで行ける英国があるのはなかなかに嬉しいですよね。
まとめ
さて、今回は福島県で中世英国を楽しめる施設であるブリティッシュヒルズについてお話ししてきました。
いったいどのような場所で、どうして作られたのか、から始まり、英国文化を楽しめるアクティビティにはいったいどんなものがあるのか、その他の見どころはいったい何なのか、どのような英語研修プログラムが用意されているのか、そして観光地としての楽しみ方について、ご紹介しました。参考になったでしょうか。
英国は歴史が長く、なかでも文化の発展において世界でも多くの人々を惹きつける魅力があります。
パスポートなしで行ける日本国内にある英国なので、少しでも興味のある方にはぜひ訪れていただきたい施設です。
◇経歴
・都内私立大学の英米文学科に入学
・大学院にてイギリス文学を専攻し、修士号取得
・翻訳専門学校にて英日翻訳の基礎コース修了
◇資格
・TOEIC 890点
◇留学経験
イングランド・グロスターシャー大学夏期文化研修(大学夏期休暇中)イングランド・オックスフォードの言語学校(大学夏期休暇中)
◇海外渡航経験
カナダ・バンクーバー、カルガリー(部活)
アメリカ・ニューヨーク(旅行)
◇自己紹介
幼いころから英語が好きで、ディズニーとマザー・グース、NHK教育テレビで育ちました。小学2年生で「ハリー・ポッター」シリーズと出会い、それ以降は大のPotterhead道を突き進み、イギリス文学と文化研究にいそしみ続けています。物語がとにかく好きで、映画、ドラマ、音楽、小説などを通じて、日本にいながらして毎日英語を浴びています。
少しでも役立つ情報を発信できればと思っています。よろしくお願いします!