世界遺産ではない理由を解説! ナイアガラの滝はなぜ登録されない?その3つの理由とは

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世界三大瀑布としても有名なナイアガラの滝。日本人にも聞きなじみのある名前でしょう。

当記事では、「ナイアガラの滝は世界遺産ではないのか?」という疑問を解説。あわせて、ナイアガラの滝の主な特徴行き方や観光スポットなど、見どころ満載のナイアガラの滝の魅力をご紹介します。

ナイアガラの滝とは

ナイアガラの滝は、カナダのオンタリオ州とアメリカのニューヨーク州の国境上に位置しています。このナイアガラの滝の場所は、北米五大湖のエリー湖からオンタリオ湖へと流れるナイアガラ川にある滝です。エリー湖から流れてきた水は、川の中央に位置するゴート島によって二つに分かれ、流れ落ちていきます。 この二分されたのが、それぞれ「アメリカ滝」「カナダ滝」です。実は、ナイアガラの滝は三つの滝から構成されています。アメリカ側のアメリカ滝ブライダルベール滝、カナダ側にあるカナダ滝、この三つを総称して「ナイアガラの滝」と呼ぶのです。

またナイアガラの滝は、世界中の滝の中でも特に有名な世界三大瀑布の一つでもあります。世界三大瀑布は、下記3つの滝のこと。

ナイアガラの滝 イグアスの滝 ビクトリアの滝

「イグアスの滝」はブラジル・アルゼンチンの国境間にあり、「ビクトリアの滝」はザンビアとジンバブエの国境に位置しています。

なぜできた?ナイアガラの滝の歴史

壮大なナイアガラの滝ですが、「ナイアガラの滝はなぜできたのか?」という疑問を持つ人もいるでしょう。その歴史は、約1万8千年前の最終氷河期に遡ります。かつて北米大陸を覆っていた巨大な氷床が溶け、その膨大な水流が地層を侵食し、滝の崖が形成されました。つまりは、氷河の活動と水の力がこの大自然の造形を生み出したとされています。

氷河期が生み出した奇跡

当時、オンタリオ州南部は高さ2〜3kmもの分厚い氷床に覆われていました。東京スカイツリーが634mだと考えた場合、その4〜5倍もの厚さの氷が大地を覆い尽くしていたことがわかります。

その後、何千年もかけて氷が徐々に溶け始め、最終氷期が終わりを迎える約1万3千年前頃には温暖化が一気に進み、大量の雪解け水が流れ出しました。この膨大な水の流れが、五大湖として知られる巨大な淡水湖を形成していったのです。

ナイアガラ断崖の重要な役割

ナイアガラの滝が誕生した最も重要なポイントは、「ナイアガラ断崖」と呼ばれる急な斜面の存在。この断崖は、ニューヨーク州からオンタリオ州、ウィスコンシン州、ミシガン州、イリノイ州を通って東西に走る地質学的な特徴で、約1万2千年前、この断崖の端に水が流れ落ちました。

氷床が溶けて五大湖へと流れ込んだ大量の水は、エリー湖とオンタリオ湖の間にある約100メートルの高低差を勢いよく落下します。この落差こそがナイアガラの滝を生み出す原動力となりました。エリー湖から流れてきた大量の水が、ナイアガラ断崖の端から勢いよく流れ落ちることで、あの壮大な滝が誕生したのです。

滝はなぜ移動し続けるのか?

ナイアガラの滝には、「滝の後退」という興味深い現象があります。滝が形成されると、滝口にあらわになった岩盤は、急流をなす水や土砂により、徐々に削られていきます。こうした岩盤の侵食が続くと、滝の位置はどんどん上流へと移動していきます。

ナイアガラの滝は、1万年前の形成から今に至るまで、全体で約11kmも後退しました。これは、平均すると年間で約1mという速さです。つまり、形成当初は現在の位置より約11km下流にあり、水の力によって崖を削りながら上流のエリー湖側へと徐々に移動してきたことがわかります。

地質学から見たナイアガラの滝

地質学的に見ると、ナイアガラの滝は比較的「若い」滝だとも言われています。地球の46億年という歴史の中で、わずか約1万2千年前に形成されたナイアガラの滝は、地質学的には「生まれたばかり」と言われるほど新しい存在なのです。

この若さゆえに、ナイアガラの滝は活発に侵食が進む「ダイナミックな地形」として、地質学者たちの重要な研究対象となっています。氷河の融解、水の流れ、岩盤の侵食という自然のプロセスを目の当たりにできる、貴重な「自然の実験室」としても認知されています。

1.氷河期の終わりと大量の雪解け水
2.ナイアガラ断崖という地形
3.継続的な侵食作用

この3つの自然現象が奇跡的に組み合わさることで、世界三大瀑布の一つとして知られる、あの圧倒的なナイアガラの滝が誕生しました。このように振り返ると、ナイアガラの滝は、地球の長い歴史が生み出した自然の芸術作品と言えるのではないでしょうか。

ナイアガラの滝はなぜ世界遺産ではないのか?

そもそも世界遺産とは、「人類共通の宝」として守るべき自然や文化的な遺産のことを指します。1972年にユネスコ総会で採択された世界遺産条約に基づき「世界遺産リスト」に記載された、「顕著な普遍的価値」をもつ建造物や遺跡、景観、自然のことです。

引用:文部科学省後援 世界遺産検定 https://www.sekaken.jp/whinfo/means/

世界遺産に登録されると、国際的な協力や援助によって、未来へと大切に守っていくことが求められます。 世界遺産というと「観光スポット」のイメージがありますが、本来の目的は「世界全体で守るべきもの」であると言えるでしょう。

先ほど説明した世界三大瀑布の中の「イグアスの滝」「ビクトリアの滝」世界自然遺産ですが、現在、ナイアガラの滝は世界遺産として登録されていません

ナイアガラの滝が世界遺産に登録されない理由

ナイアガラの滝が世界遺産に登録されない理由は、人の手が加わってしまっている部分があるため、と言われています。

水量がコントロールされている

世界遺産登録の条件の中に、「産業開発などに関わらず自然本来の形でなければならない」という点があります。 実は、ナイアガラの滝の水量は、人工でコントロールされています。これにはちゃんとした理由があります。1950年代までは水量が多く流れが急だったため、陸地が浸食され毎年1mずつ滝が川上に移動していたそうです。そのままいくと、いずれ滝はなくなってしまいます。そこで、侵食のスピードを抑えるため、水量の調整を行うようになりました。現在では、年間3cmほどの浸食に抑えられているそうです。 侵食を防ぐためとはいえ、人工的に水量をコントロールしているため、自然本来の状態ではない、という見方ができます。

水力発電所としての利用

ナイアガラの滝の水の一部は、カナダとアメリカの電力供給のために水力発電として利用されており、現在では、ナイアガラの滝は北米最大級の電力源となっているそうです。この産業的な側面が、自然本来の価値を評価する世界遺産の登録基準を満たしていない大きな理由の一つでしょう。

滝周辺の観光地化

ナイアガラの滝の周辺には、クリフトンヒルという観光客向けの繁華街やカジノなど、娯楽施設が多くあります。ユネスコの世界遺産の登録基準として、「最上級の自然現象、又は、類まれな自然美・美的価値を有する地域を包含する」とあります。滝の周辺を観光客向けに開発しているということは、すなわち自然が損なわれており、自然美という観点でも条件を満たしていないと考えられます。

ナイアガラの滝への行き方

この章では、ナイアガラの滝への行き方を解説していきます。

日本からナイアガラの滝への行き方

日本からナイアガラの滝への直行便はありません。そのため、カナダ・アメリカのどちらから行く場合も、最寄りの空港を経由してナイアガラの滝へ行く必要があります。

<ナイアガラの滝に近い2つの空港>

カナダ側:トロント・ピアソン国際空港 ナイアガラの滝まで車で約1時間30分 日本からトロント・ピアソン国際空港への直行便あり

アメリカ側:バッファロー・ナイアガラ国際空港 ナイアガラの滝まで車で約45分 日本からバッファロー国際空港への直行便なし

【カナダ】トロント・ピアソン国際空港からナイアガラの滝へ

トロント・ピアソン国際空港から滝へは、バスやタクシー、レンタカーの利用となります。Niagara Airbus(ナイアガラ・エアバス)というナイアガラへの直通シャトルバスもあり、日本からの予約も可能です。シャトルバスは直通で行ける上に、タクシーほど費用がかからないので便利な選択肢です。交通状況によりますが、カナダ側の滝までは、1時間30分ほどで到着します。

【カナダ】トロント市内からナイアガラの滝へ

トロント市内からナイアガラの滝は、電車や車で約2時間の場所にあります。 空港から滝へのアクセスと比べると少し時間がかかりますが、交通の選択肢は増えます。

バスか電車の場合、基本的にユニオン駅から出発。ユニオン駅はトロントで一番大きな駅で、日本でいう東京駅のような存在です。さらに電車(GO Train)は、土日や祝日にはナイアガラの滝までの直通列車も運航しています。

また、ナイアガラでカジノで遊ぶ予定ならば、カジノバスの利用も検討してみてもいいでしょう。カジノバスは、ユニオン駅以外からも運行されていますよ。

【アメリカ】バッファロー国際空港からナイアガラの滝へ

またバッファロー国際空港から滝へも、バスやタクシー、レンタカーの利用が基本的な移動手段です。トロントと同じく、バッファロー国際空港にもNiagara Airbus(ナイアガラ・エアバス)があり、直通でナイアガラの滝へ行けるため便利です。交通状況によりますが、アメリカ側の滝まで約45分で到着するでしょう。

ナイアガラの滝を楽しむ

実はナイアガラの滝では、よりその臨場感を楽しむためのアクティビティが展開されています。以下では、その気になるアクティビティを紹介します。

テーブル・ロック

ナイアガラの滝といえば、カナダ側にある「テーブル・ロック」が有名なアクティビティのひとつ。 カナダ滝を間近で見ることができる展望スポットであり、写真スポットでもあります。この場所にはレストランや案内所・ギフトショップがあり、観光客の休憩所のような場所でもあります。 テーブル・ロックの魅力は、なんといってもカナダ滝を目の前で体験できること。風向きによっては水しぶきも飛んでくるでしょう。水の音が轟々と響きわたり、その景色は圧巻です。

ジャーニー・ビハインド・ザ・フォールズ

ジャーニー・ビハインド・ザ・フォールズは、ナイアガラの滝を裏側から見られるアトラクションです。全長46mのトンネルに、人が2人すれ違えるほどの幅のトンネル(通路)があり、そこを奥へと進みます。すると、カナダ滝の裏側が見られる穴に到着。勢いよく流れ落ちる水の迫力は「すごい!」の一言に尽きます。一年を通じて営業しているので、ぜひ体験してみてください。

観光船

滝壺ギリギリまで近づき、水しぶきを浴びてナイアガラの滝を直接体験できるのが観光船です。カナダ滝とアメリカ滝でそれぞれ運行されています。

アメリカ側:霧の乙女号(Maid of the Mist) → 青いポンチョが目印
カナダ側:ホーンブロワー・ナイアガラ・クルーズ → 赤いポンチョが目印

クルーズ船に乗る際にポンチョをもらえますが、濡れるのは覚悟して乗船するべきでしょう。

スカイロン・タワー

ナイアガラの滝の周辺には、滝を見下ろせる展望タワーがいくつかあります。一番有名なのは、カナダ側に立地する「スカイロン・タワー」です。カナダ滝とアメリカ滝の正面にあるため、滝全体を見渡すことができます。236mの高さがあり、室内展望台と屋外デッキから景色を楽しめるでしょう。360度回転する展望レストランもあるため、ご興味があれば、お食事をしながらナイアガラの滝を堪能してみてはいかがでしょうか。

ナイトイルミネーション

ナイアガラの夜の楽しみといえばライトアップです。ライトアップは通年で実施されていますが、季節によって開始時間は異なります。イルミネーションの詳しいスケジュールは、こちらで見ることができます。

真っ暗な中、滝がライトアップされる風景はとても幻想的です。時間に余裕のある方は、ナイアガラの滝のイルミネーションも楽しんでみましょう。

ナイアガラの滝を英語で学ぶ

この章では、ナイアガラの滝について英語で学んでみたいと思います。

ナイアガラの滝は英語で「Niagara Falls」です。滝は英語でwaterfallfallです。しかし、「〇〇滝」と特定の滝の名前には、waterfall ではなく、falls を使います。「falls」と複数形である点にも注意が必要です。世界三大瀑布は、The three great waterfalls of the worldThe three biggest waterfalls in the worldという言い方もあります。

国境はborder。カナダでは「州」をprovince、アメリカではstateと表現します。

カナダ側にあるカナダ滝をCanadian Fallsといいます。カナダ滝はU字型をしていて、その形が馬蹄(ホースシュー)に似ているため、Horseshoe Fallsとも呼ばれています。

まとめ

世界遺産の登録基準は厳しいため、現在、ナイアガラの滝は世界遺産には登録されていません。しかし、ナイアガラの滝は世界一という表現が当てはまるほど壮大な景色があり、世界遺産級に迫力満点。

日本では味わうことのできない圧巻の景観です。 ナイアガラの滝へはカナダからもアメリカからも行くことができるので、周辺の旅行に行った際に立ち寄ってみるのをおすすめします。

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