
みなさんは、「アメリカ英語」と聞いてどのようなイメージを持つでしょうか?
日本の英語教育では、アメリカ英語が主流のため、学校の授業で聞いたことがある、映画やドラマで聞いたことがある、英語学習の一環としてアメリカのニュースを聞いているなど、アメリカ英語とのかかわりは人それぞれだと思います。
しかし、アメリカ英語について、具体的な特徴やいわゆる「イギリス英語」との違いをしっかりと理解している人は少ないかもしれません。
そこで、今回の記事では、アメリカ英語の歴史や特徴、イギリス英語との発音・スペル・単語の違いをていねいにわかりやすく解説していきます。
また、アメリカ英語が話されている国や意外と知られていないアメリカ国内での英語の違いなどもご紹介します。
アメリカに移住や留学、仕事をしたいと考えている方、アメリカに旅行に行きたいという方は、ぜひ最後まで読んで参考にしてみてくださいね。
アメリカ英語の歴史
そもそも「アメリカ英語」とはいったい何を指すのでしょうか。
アメリカ英語は、アメリカ合衆国を中心に話されている英語のことを指します。
日本では、「英語=アメリカ」というイメージが強いかと思います。
しかし、もともと英語はイギリスで誕生しました。
17世紀初め、イギリスからの移民によりアメリカに英語が伝わりました。
1600年代以降、現代まで400年以上に渡って使用されてきた歴史を持ちます。
もともとはイギリスから伝わった英語ですが、イギリスとアメリカでは地理的にも離れているため、それぞれが個々に発達していきました。
たとえばアメリカでは、もともと住んでいたネイティブアメリカンやほかの国からアメリカに来た移民の言葉が混ざり、現代のような形に発展していきました。
このような背景から、アメリカ英語とイギリス英語にはさまざまな違いが見られます。
アメリカ英語の特徴
さきほどのアメリカ英語の歴史から、アメリカ英語とイギリス英語が違う理由も見えてきましたね。
続いてここからは、アメリカ英語の大まかな特徴をいくつかご紹介します。イギリス英語とは異なる、アメリカ英語ならではの特徴を見ていきましょう!
独特の発音や語彙がある
後ほど詳しく解説しますが、アメリカ英語の大きな特徴は「独特の発音や語彙がある」ということでしょう。
たとえば「r」の発音がはっきりしていることは、ほかの国の英語と比べたときに特に顕著であると言えます。
また、日本語のエレベーターはアメリカ英語では「elevator」ですが、イギリス英語では「lift」と言います。
文法的な特徴もある
発音や語彙と比べると少しわかりにくいですが、アメリカ英語には文法的な特徴もあります。
たとえば、集合名詞を扱う際の数の一致について、アメリカ英語では集合名詞を単数扱いするのが一般的です。
一方、イギリス英語では集合名詞は複数扱いになります。
具体例を挙げると、「family」という集合名詞について、アメリカでは「My family is in New Zealand.(私の家族はニュージーランドにいます)」と言いますが、イギリスでは「My family are in New Zealand.」となります。
isとareの違いですね。
アメリカ英語が話されている国
日本の学校教育では主にアメリカ英語が使われているため、なじみがある方も多いのではないでしょうか。
しかし、世界的には、歴史的な背景からイギリス英語が主流なんです。
また、イギリス英語は発音や文法がきれいなイメージがあることから、国際会議などのフォーマルな場でも好んで使われます。
そのため、留学や独学を検討している方は、改めてイギリス英語を学びたいと思う方もいらっしゃるかと思います。
では、アメリカ英語・イギリス英語、それぞれどこの国で話されているのでしょうか?
アメリカ英語が話されている主な国
以下の国では、主にアメリカ英語が話されています。
- アメリカ
- カナダ(※ただし、カナダ英語はスペルに関してはイギリス英語寄り、発音に関してはアメリカ英語に近いです)
- プエルトリコ
- リベリア
- フィリピン
- メキシコ
- 日本
- 中国
- 韓国
- 南米諸国
イギリス英語が話されている主な国
以下の国では、主にイギリス英語が話されています。
- イギリス
- アイルランド
- オーストラリア
- ニュージーランド
- インド
- シンガポール
- マレーシア
- 香港
- マルタ
- ロシア
- アフリカ諸国
- 南アフリカ共和国
- エジプト
- イラン
- イラク
- パキスタン
- バングラデシュ
- マレーシア
- タイ
アメリカ英語とイギリス英語の違い:発音とスペル
ここからは、アメリカ英語とイギリス英語の具体的な違いをご紹介します。
まずは発音とスペルからチェックしましょう!
rの発音
先ほども少しご紹介したとおり、アメリカ英語は「r」を強く発音する傾向があります。
舌を巻いて発音するとイメージするとよいかもしれません。
この「r」の発音の特徴は、アメリカ英語とそのほかの英語と聞き分ける際に、もっともわかりやすいポイントだと言えるでしょう。
たとえば、「door(ドア・とびら)」はイギリス英語では「ドー」、アメリカ英語では「ドーァ」のように発音します。
そのほか、「store(店)」はイギリス英語では「ストー」、アメリカ英語では「ストァ」のように発音します。
tの発音
イギリス英語では「t」をしっかりと発音します。一方で、アメリカ英語では「r」に近い発音になります。
たとえば、「water(水)」は、イギリス英語では「ウォータ」となることが多いですが、アメリカ英語では「ワーラー」に近いです。
そのほか、「party(パーティー)」はイギリス英語では「パーティー」、アメリカ英語では「パーリー」に近くなります。
oの発音
イギリスではoがそのままの発音となりますが、アメリカ英語では「ア」に近い発音になります。
たとえば、「coffee(コーヒー)」はイギリス英語では「コーフィー」、アメリカ英語では「カフィ」のように発音します。
re(英)とer(米)
代表的なスペルの違いが、センター・中央を意味する「centre(イギリス)」と「center(アメリカ)」です。
our(英)とor(米)
uの有無もイギリス英語とアメリカ英語の大きな違いです。
たとえば、イギリス英語では「colour(色)」ですが、アメリカ英語では「color」となります。
そのほか、ise(英)とize(米)、ogue(英)とog(米)、ll(英)とl(米)などのスペルの違いもあります。
もちろん、どちらが良い・悪いではありませんが、日本人にとって発音はイギリス英語の方が言いやすく聞き取りやすいかと思います。一方、スペルはアメリカ英語の方がシンプルなのでわかりやすい印象があります。
アメリカ英語とイギリス英語の違い:単語
アメリカ英語とイギリス英語で、同じものを指すのに違う単語が使われることも多いです。
たとえば、サッカーはアメリカ英語でsoccer、イギリス英語でfootballといいます。また、地下鉄もアメリカ英語ではsubway、イギリス英語ではundergroundといいます。
アメリカ国内でも地域差がある
最後に、アメリカ国内の英語の地域差をご紹介します。イギリスよりは差が少ないと言われますが、それでもちょっとした違いや方言の差があります。
東海岸
ニューヨークがある東海岸は、発音がイギリスに近いと言われます。たとえば、「r」の音も西海岸ほど舌を巻かずに発音します。丁寧で品が良い印象を与える英語だと考えられています。
西海岸
多くの日本人が「アメリカ英語」と聞いてイメージするのが、いわゆる標準語と呼ばれる西海岸の英語でしょう。「r」を舌を巻いてしっかりと発音します。また、単語の最後の「t」はその後に言葉が続く場合には発音されません。
ちなみに、「sketchy(変な、あやしい)」という表現があるのですが、こちらは西海岸独特のものだと言われています。
また、「夕食」と言いたいときに、東海岸では「supper」と「dinner」の両方が使われますが、西海岸では主に「dinner」が使われます。
中部
シカゴなどの中部で使われる英語は、そこまでクセが強くないと考えられています。
南部
テキサスなどに代表される南部は、「南部訛り(Southern Accent)」と呼ばれる独特の訛りがあります。音が少しこもって聞こえたり、やや気だるい印象を与える発音です。母音をゆっくりと伸ばしたような話し方も特徴のひとつです。
具体的な発音の特徴としては、「ai」の音が「aa」となります。
まとめ
今回の記事では、旅行や留学、移住先としても常に人気が高いアメリカについて、「アメリカ英語」の歴史や特徴をご紹介していきました。またあわせて、発音とスペル、単語についてイギリス英語との違いについてもわかりやすく解説していきました。
さらに、アメリカ国内でも英語に地域差があることは、みなさんにとっても新たな発見だったのではないでしょうか。
記事のなかでもご紹介したとおり、日本人にとってはアメリカ英語はなじみがあるものの、具体的な発音などは意識しないとわからないものです。ぜひ、この記事でご紹介した内容を参考にしてみてくださいね。
また、ご紹介したアメリカ英語について、「もっと詳しく知りたい」「ネイティブの意見を聞いてみたい」と思った方は、ぜひネイティブキャンプのオンライン英会話レッスンを試してみてください!レッスンでは、ネイティブ講師とマンツーマンで話すことができます。
アメリカ出身、またはアメリカ英語が使われている国出身の講師であれば、よりリアルな情報を聞くこともできます。ぜひ、みなさんの英語学習や渡航前の準備にレッスンをフル活用してくださいね。
◇経歴
新卒入社した会社ではオーストラリア人上司のもと働いた経験があります。
海外クライアントとのメールや電話でのやりとりは日常茶飯事でした。
現在はWebライターのほか、英日翻訳者としても仕事をしています。
◇資格
TOEIC、TOEFL、IELTSなどの受験経験あり
◇留学経験
学生時代、イギリスのハル大学に1か月半語学留学をしました。
◇海外渡航経験
学生時代にイギリス留学を経験したほか、アジアを中心にさまざまな国に旅行に行ったり、フィールドワークをしたりしました。
フィールドワークでは英語を使ってインタビューをした経験もあります。
2019年よりイギリス在住で、現在は毎日英語を使っています。
◇自己紹介
子どものころはアメリカ人の先生の英会話教室に通い、大学ではイギリス留学を経験、新卒入社した会社ではオーストラリア人上司を持つなど、英語とは色々な接点を持ってきました。
英語はもっぱらリーディングが得意で、毎日洋書を読んでいます。大学で経験したイギリス留学では、語学クラスでさまざまな国の留学生と交流しました。また、英語で大学の歴史の講義を受けたり、現地の小学校でのボランティア活動も行いました。
よろしくお願いします!