海外への留学が決まるとワクワク感が止まらないですね!英語を上達させ、ローカルな人たちとのコミュニケーションをとっている姿を想像したりして、とても楽しみになります。
ところが、外国での新生活では心が不安定になりやすい人がいるという側面も知っておくべきだと言えます。
そこで、この記事では「ホームシック」について取り上げます。
ホームシックになる原因、重症化してしまうとどのような症状が起こるのか、そしてホームシックになりやすい人のタイプから、なってしまったときの対処法などを紹介します。
留学を考えている方、留学したてという人は、ぜひご参考にしてください。
ホームシックとは?
居心地の良い日本の実家、または一人暮らしをする自分の部屋から飛び出して、環境が一変するのが留学生活です。海外での駐在生活が初めての社会人も同様です。
そこで、誰にも起こる可能性があるのがホームシックなのです。
ホームシックとは?
「私、ホームシックだな」「ホームシックにかかってしまった」
このように言うことのあるホームシックという表現、多くの人にとって馴染みがあります。改めて、その定義をweblio辞書でみると以下になります。
「故郷や家庭を懐かしみ、異常に恋しがる気持ち。郷愁。懐郷病」
懐郷病(かいきょうびょう)はあまり聞くことがないですが、これは家庭や故郷を懐かしむ心情を指します。
日本人にとっては日本、そして家族などを懐かしく恋しがる気持ちがホームシックです。
引用:weblio辞書
ホームシックにかかる原因3つ
FOMOという表現があります。Fear of missing outの略で、日本語にすれば見逃したり取り残されたりすることへの不安となります。ホームシックでもこの不安要素が大きく影響します。
それでは、なぜホームシックになるのか、その原因3つを解説しましょう。
1. 快適ゾーンの外に置かれた不安感
海外での生活の初めから自信満々の状態で過ごすのであれば、ホームシックになる可能性は低いかもしれません。
しかし、海外生活が初めてであれば、期待と不安が混じりあることは自然です。
そのような状況下、日本での快適ゾーンの外に置かれた状態から生まれる不安感からホームシックになり、慣れ親しんだ支えのある環境に戻りたいという気持ちがつのります。
2. 新しい環境での孤独感
家族や友達などのコミュニティに属し、心地よく何かも問題なく過ごせることさえ当たり前で意識せずに送る日本の生活。
それがいったん海外に出ると、同じようにはいかないことに気づきます。
自分がいる場所に場違い感を感じ、言葉の壁もあり友達がなかなかできない時間を過ごすうちに孤独感からホームシックになってしまいます。
自分は一人ぼっちという悲しさは特に海外では大きな心痛に当たります。
留学であれば、気軽に日本に戻ることもできないため、孤独感という悩みが長く続いてしまうこともあります。
3. 日本と比べてしまう異文化
憧れていた国でも、実際に住み始めるということは大変チャレンジングです。
現地の言葉や習慣など、慣れない文化に衝撃を受けることを指すカルチャーショックという言葉もあります。
また、人によっては優れた日本文化と比較しがちになりそれらがストレスとなりますが、無いものにばかり目が向いてしまうからです。
その分、日本でしていた生活への思いがつのりホームシックにつながってしまいます。
ホームシックにはこのように、自分の内側から起こる影響による内的要因、そして外からもたらされる影響の外的要因という2つのタイプの原因があることがお分かりいただけたでしょう。
ホームシックの症状と重症化した場合
次に紹介するのはホームシックにかかったとき、そして重症化してしまったときの症状です。
ホームシックの症状
ホームシックの症状には、心に起こるもの、体に起こるものがあります。
まず、心の変化ですが、気分が沈み、精神が不安定になり些細なことで悲しくなってしまうということが起こります。
ふっと気づけば涙が頬を伝っていることもあるでしょう。
続けて、体に起こる変化についても紹介します。
・食欲減退または過食
・睡眠障害
・頭痛
・めまい
・腹痛
・胃痛
・免疫力の低下
・気力がなくやる気が出ない
心と体にこのような症状が現れたら、ホームシックの可能性が大です。一時的なもので回復していけばいいですが、そのまま悪化してしまうケースがあります。
ホームシック重症化の症状
外国への英語留学、大学などを目標に、英語学習など準備を頑張ってきた海外生活は素晴らしい経験になり得ます。
しかし、ホームシックが重症化すると、本来の計画はおろか、普段の生活もままならないことになってしまいます。
自分に価値がないように思えたり、対人恐怖を覚える、激しい気分の落ち込み、レッスンに行けずに部屋に引きこもる、など、これらは、鬱(うつ)病のリスクとも言える深刻なものです。
以上の症状は放置すべきものではなく、場合によっては医師に相談するレベルになります。
ホームシックになりやすい人の特徴
ホームシックは、いくつかの段階に分かれています。外国に到着直後のワクワク感を感じる時期、そして到着から2ケ月ほどが経ったときにカルチャーショックなど現実が見え始めてくる時期、現地に徐々に順応しホームシックが回復していく時期があります。それぞれの時期の期間や影響の大きさには個人差があります。
あなたはなりやすい?ホームシックになりやすい人の特徴
ここでは、ホームシックになりやすい人の特徴を以下、挙げます。
・家族と離れて暮らした経験がない
・日本に友達が多くいる人
・内向的で消極的な人
・繊細な人
初めての1人暮らしが海外であればそれまでの生活とのギャップは大きいですし、それまでおしゃべりできる友達や家族とのリレーションシップが多ければ多いほど、新生活で友達がなかなかできない場合の影響は大きくなります。
また、性格も影響する可能性があります。自分から積極的にコミュニケーションを取らない場合、またはそのチャンスがあっても上手く自分の意見を言えないときには疎外感や孤独感を感じることになります。
そして、物事によく気づき思いやりのある繊細な人は、物事が見えてしまうためにその分恐れる傾向があり、自分の殻から出れない=日本への思いが強くなる、というケースがあります。
英語力とホームシック
ホームシックになりやすい人の特徴を紹介しましたが、ここでは英語力との関係についてもみていきます。
英語上達のために自分で決断した海外留学。
留学中に今の英語力をアップするという目的は当然です。しかし、海外、異文化、日本語が通じない生活、これらが揃った環境で自己紹介ができる程度の英語力で海外に出ていけば、苦労しないはずがありません。
特に英会話に関してになりますが、自信がなくてもどんどんコミュニケーションをとり、そのなかで学んでいくという方法を取れる人、一方、一つ一つ確実にしていきたいと考え、完璧な英語で話せるまでは外国人とのやり取りを躊躇してしまう人、これらには英会話上達に差が出ていくでしょう。
留学期間はあっという間に過ぎていきます。言葉の壁によるホームシックにかからないためにも、英語力に関して渡航前にオンライン英会話を利用するなどして、十分すぎる準備をすることがキーとなります。
その上で実際の海外生活をすれば、自分への自信を失う可能性を限りなく少なくし、かつ、現地生活を有意義に過ごせるでしょう。
事前準備はホームシックの重症化を避けるためにも重要です。
ホームシックの対処法
国内外問わず、ほぼすべての人が人生のある時点でホームシックになったことがあると言われ、誰でもかかり得るのがホームシックです。
あなただけではないことを認識しましょう。
外国に住むことは一生に一度か数度のチャンスであり、対処法を知っておくことが大切です。
最後に、対処法を紹介しましょう。
今の自分自身を理解する
ホームシックは新生活を初めて2ケ月ほど経ったときに始まることが多いと言われています。
そこから数日~数週間ほどで解消されることも多く、ホームシックは延々に続くものではないという情報を持っておくことが必要でしょう。
自分と向き合い、あまりにも症状が続き辛い場合には、そのままにせずに医療機関などに行くことも大切です。
しかし、自分が置かれている状況を少しでも客観的に見ることができれば、冷静に行動できるでしょう。
悩みを相談する
孤立した状態であれば、周りへの不信感や失望感に敏感になります。すると、孤独感に拍車がかかるという負のサイクルに陥ります。
ここで、誰かに相談できることが救いになるケースが多くなります。
相談相手は日本の家族や友達でもいいですし、思い切って学校のカウンセラー、大学であれば講師やスチューデント・ユニオン(学生組合)、またはクラスメイトに話を聞いてもらうのも有効です。
そして、日系の医療機関でも相談できますので、このように悩みを共有しアドバイスをもらえる相談先はいくつかあるということを覚えておくことこそ、不安を軽減し安心感を得る方法になります。
体を動かす
体を動かすことでドーパミンなど幸福感をもたらす物質が体内で増えます。
このことから、不安定な気持ちやストレスが減ります。一歩外に出て、ヨガのセッションに参加したり、ウォーキングやランニングもおすすめです。
体を動かせば、食欲と睡眠にも良い影響があるでしょう。ぜひ、心身を整えてください。
趣味のグループに所属する
趣味があれば、語学学校など以外のコミュニティに気軽に参加してみましょう。
勉強ではない共通の話題で、英語でのやりとりも楽しくできるかもしれません。
また、日本文化を紹介するイベントに行ってみるのも、日本好きな外国人とのコミュニケーションで楽しい時間を過ごせるでしょう。
帰国という最終的な決断
ホームシックに苦しんでいる間はネガティブになり、自分ではどうすべきか判断が難しくなるかもしれません。
最終的な決断として、帰国を考えることもあるでしょう。
この場合も、学校のカウンセラーからのアドバイス、また医療機関による診断など、いくつかの要素をもとに決めましょう。
まとめ
ホームシックについて、また重症化の症状や対処法などを紹介しました。
誰もがなり得るホームシックと言えども、軽く考え過ぎないようにする、事前にどのような症状が当てはまるのか知っておく、本記事をお読みいただきこれらをご理解いただければ幸いです。
◇経歴
日本では外資系製薬会社などで勤務。
2006年夏に渡英し、現在イングランド在住。
2012年以来、南ロンドンで剣道道場を運営。地元の行政と関わり、日本文化を紹介するイベントを担当したり、剣道や居合道のデモンストレーションのオーガナイスを行なう。
また、日本の2大学と英国剣道協会とのパートナーシップ締結のためのリエゾンおよび翻訳・通訳を担当。
◇資格
・Food Safety Level 2
・Principles of Internet Safety Prepare to Deliver Excellent Customer Service
◇海外渡航経験
スキューバダイビングで訪れた国々を始め、3ケ月間のヨーロッパ各国バックパッカーの旅を経験。
◇自己紹介
こんにちは!椿サリーです。夫がイギリス人、日英ミックスの息子(UK大学生)という家族構成の国際結婚組です。ライターとして、多国籍メンバーが所属する剣道道場の女将として、日本文化紹介を紹介する地元グループ代表として行政とのやりとりなど、イギリスで幅広く活動しています。英会話ができると世界が広がりますし、外国人とのコミュニケーションは楽しい!を日々実感しています。