アイルランドとイギリスには多くの面で共通点があります。一方で、互いに異なる文化や自然を有していることも。
今回は、その異なる点に注目して、教育や文化、生活習慣などについて詳しく解説していきます。
また、留学先としての魅力についても見ていきます。
アイルランドとは?
アイルランドは、正式名称をアイルランド共和国といいます。
首都はダブリンで、アイルランド島の南側に位置し、ほとんどの人が英語で会話をしています。
アイルランド島は、
「エメラルドの島」
と呼ばれるほど自然が豊かで、
ディープブルーの海や緑豊かな草原、渓谷が広がる美しい地域です。
アイルランド文化は、自然を信仰するケルト文化が色濃く反映されていて、独自の音楽や踊り、石で造られた古城など、歴史的な文化財や建物がたくさん存在します。
また、アイルランドは
「ケルトの虎」
という異名がつくほど経済が急伸していて、
GoogleやAppleをはじめ多くの多国籍企業が拠点を置いています。
アイルランド人はフレンドリーで、ユーモアに富んだ国民性でも知られています。おしゃべりが大好きで、パブにいるとすぐに周りのアイリッシュたちが話しかけてきます。
イギリスとは?
イギリスは、
正式名称を the United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland、
日本語でグレートブリテン及び北アイルランド連合王国といいます。
1.イングランド
2.スコットランド
3.ウェールズ
4.北アイルランド
の4つの国から構成されていて、
UK、United Kingdom、Great Britainと呼ばれています。
イギリスは英語発祥の地であり、首都ロンドンにはビッグ・ベンやタワーブリッジ、バッキンガム宮殿、ブリティッシュ・ミュージアムなどの歴史的建造物や博物館をはじめ、世界的に有名な観光地が数多くあります。
また、イギリスは世界有数の教育レベルを誇り、
オックスフォード大学や
ケンブリッジ大学など、
名門大学を多数抱えています。
国民性として、特に都市部の人たちは見知らぬ人との距離を保つ傾向があり、真面目で辛抱強いという特徴があります。
イギリスとアイルランドの違い
英語の違い
アイルランドもイギリスも英語の国であることは間違いありません。
しかし、その両者の英語には微妙に違いがあります。
アイルランドはかつてイギリスに支配されていたこともあり、話されている英語も
クイーンズイングリッシュ
に近いアクセントです。
しかしイギリスで話される英語よりも
話すスピードが速く、発音がこもっていて訛って聴こえるため、日本人にとっては聴き取るのが難しいと言われています。
一方のイギリス英語ですが、日本では中学校や高校でアメリカ英語を習うので、日本人にとっては慣れ親しんでいないアクセントです。
また、イギリスは4つの国からなるため、厳密には
・グラスゴー
・リバプール
・マンチェスター など、
その地方独自の英語が話されています。
これらはイギリス人同士でも聴き取るのが難しい場合があるようです。
食文化の違い
アイルランド料理に欠かせない食材といえばジャガイモです。
アイルランドは世界でもっとも
ジャガイモを食べる国とも言われています。
肉類や魚介類をよく使い、シンプルで素朴な料理方法でジャガイモと合わせて食べることが多いです。
また、アイルランドはビールとウイスキーの生産大国としても知られています。
中でもギネスビールは世界的なブランドとして、アイルランドのパブ文化の象徴となっています。
一方イギリスの食文化は、フィッシュ&チップスやローストビーフなど、新鮮な魚介類や肉類、乳製品の食材を豊富に使用した伝統的な料理が多く存在します。
さらに移民が多く、多彩な文化が広がっていて、街中にはインド料理と中華料理レストランがたくさんあります。
また、イギリスは
紅茶の国としても有名です。
朝はモーニングティー、午後はアフタヌーンティーと、1日のうちで紅茶を楽しむ時間を重視しています。
ちなみにアフタヌーンティーの習慣は、夜からはじまる演劇やバレエ、ミュージカルなどを観に行く人たちが、その前に少しお腹を満たしておく習慣からはじまっていると言われています。
教育の違い
アイルランドとイギリスには義務教育がありますが、その教育制度システムには違いがあります。
アイルランドの場合、
小学校から中学校まで基礎教育を受けた後、3年間の高等教育を修了します。
一方イギリスでは、
小学校から中学校まで11年間の義務教育を学び、その後高等教育を受けます。
アイルランドの大学進学の場合、
高等教育修了証明書の成績をもって、入学する学生が選ばれる一方で、
イギリスの大学入学は、
高等教育修了の成績や国際的な資格試験(IB、SATなど)の成績で判断されます。
加えて多くの場合、面接やエッセイの提出が必要です。
文化の違い
アイルランドとイギリスの間には文化の違いが存在します。
アイルランドは
自然を信仰するケルト文化を大切にしていて、
ゲール語が話されていますし、伝統的な職人技術や文化芸術がたくさん見られます。
アイルランドでは会話をとても大切にしていて、おしゃべり好きな人が多く、社交的な印象があります。
一方、イギリスは王国であり、
イギリス王室は国民の誇りです。
常に流行の発信地として、先進的な音楽、ポップなファッションやアートなどを生み出し続けて世界中に発信しています。
長い歴史と伝統を持ち、年季の入った建築物や伝統行事を大切にしながら、近代的なカルチャーや革新性を受け入れる風土が混じり合う魅力的な国です。
イギリスとアイルランド、留学先としてはどちらがおすすめ?
地理的にも近く、似通った文化を持つアイルランドとイギリス。
留学するにあたっては、それぞれどのような特徴とメリットがあるのでしょうか。ここではその相違点について見ていきます。
アイルランド留学のメリット
アイルランドは人口が比較的少なく、緑豊かで自然の多いのんびりとした国です。
留学生活においても、ゆったりとしている雰囲気があります。
教育レベルはヨーロッパでも トップレベルの水準です。
ヨーロッパからの留学生が一番多く、次いでアジア、中南米、アフリカと、その国籍も多様です。中でも日本人の比率は1割ほどと、少ないのが特徴です。
アイルランドの大学では
コミュニケーションを重視する傾向があり、
授業では教授や学生との議論や対話がディスカッション形式で頻繁に行われます。
音楽やダンス、スポーツなどのクラブ活動も盛んに行われています。
また、アイルランドの大学は留学生のサポート体制も充実しています。
学生が安心して学べるように、大学内にはキャリアセンターやカウンセリングセンター、健康センターなどがあり、学生が抱える悩みや問題を解決するためのサポートを受けることができます。
気になる留学費用ですが、アイルランドの物価は他のヨーロッパの国に比べて安いです。
語学学校や大学の学費もリーズナブルで、質の高い教育を受けることができる上、生活費もイギリスと比較すると安価なので、イギリス留学よりも経済的な負担は少ないでしょう。
イギリスでの留学のメリット
イギリスは英語発祥の地として、教育に長い歴史があり、語学学校の質や教育レベルもトップクラスです。
世界的に有名な名門大学が多く、格式高い上品な
クイーンズイングリッシュを学ぶことが出来る上、芸術やビジネスにも秀でているため、語学以外の分野を学ぶために渡航してくる留学生も多いです。
イギリスは大都市が多く国際色も豊かなので、さまざまな国の文化に触れることができて、留学生でも馴染みやすい雰囲気があります。
日本人の比率も他の留学先と比べ低いので、現地の人や他の国の留学生たちとコミュニケーションをとる機会も必然的に増えるでしょう。
イギリスの大学ではアイルランドと異なり、授業は講義形式で進められることが多く、学生は自分自身で学習したり研究したりすることが重視されます。
学生自身が自己管理しながら、問題を解決する能力を身につけていかなければなりません。
また、大学にはスポーツや演劇、文芸など、多くの分野のクラブ活動がありますので、積極的に参加することで人脈を作ることが出来るでしょう。
ロンドンなどの大都市では家賃が非常に高く、アイルランドと生活費を比較すると、イギリスの方が高額になる傾向があります。学費に関しても、アイルランドよりも高く、留学費用の経済的な負担はイギリスの方が高くなります。
アイルランド滞在中に気をつけること
アイルランドとイギリスの関係には、歴史的に複雑な経緯があります。
アイルランド島には
アイルランド共和国と
イギリスの領土である北アイルランドが存在し、
かつてはイギリスによる植民地支配やそれに対抗する独立運動が起こっています。
今でも北アイルランドの帰属を巡って、
「北アイルランド問題」と呼ばれる対立が起きていて、
長らく分離や独立を巡って衝突が続いています。
一部では過激なテロ活動が行われたこともあり、現地の人たちにとっては非常にデリケートな問題となっています。
従って、イギリスのことを話題に上げたり、比較したりすることは、アイルランド人にとって気分の良いことではありません。
こうした歴史的背景があることを理解しつつ、アイルランドでイギリスについて話をする場合は注意が必要だということを認識しておきましょう。
まとめ
ここまで見て来たように、アイルランドとイギリスには文化や生活習慣、教育制度、生活などに違いがあり、留学生活においてそれぞれの魅力があります。
また、生活費や物価にも違いがあるので、必要な留学費用を精緻に見積もることが必要です。歴史的に、支配や独立運動など、今もなお問題を抱え続けるアイルランドとイギリスの関係ですが、留学にはどちらにもメリットとデメリットがあります。
事前にしっかりと情報収集を行い、自分に合った留学先を選ぶことが大切です。
◇経歴
ニュージーランド留学で使用(学校・ゴルフ)
◇資格
なし
◇留学経験
ニュージーランドのクライストチャーチ、2年、Seafield School
◇海外渡航経験
旅行で、インドネシア、タイ、カナダ(オーロラ鑑賞)、イタリア・フランス(新婚旅行)
◇自己紹介
自身の経験を活かすことができるWebライターをしています。正確かつ為になる情報を発信していきます。
Pentabi『https://pentabi.jp/』