
「カナダは地域によって言語が違うって本当?」
「カナダでフランス語も学べる?」
カナダの公用語は英語・フランス語の2種類がありますが、留学や移住を考えるときに地域による言語の違いが気になる方も多いでしょう。
そのような方に向けて、「カナダで使われている言語の実態」や「モントリオールのフランス語事情」について詳しく解説します。
この記事を読めば、カナダの言語環境が具体的にイメージでき、あなたの目的に合った地域選びができるようになりますよ!
- カナダで使われる主な言語の種類は英語とフランス語
- カナダで英語とフランス語が使われる理由
- フランス語圏であるモントリオール
- モントリオールの多文化共存
- モントリオールと本場のフランス語の違い
- トロント・モントリオール以外の留学・移住におすすめの都市
- まとめ
カナダで使われる主な言語の種類は英語とフランス語
カナダは、英語とフランス語が公用語として 使われている珍しい国です。
ここでは、以下の3点からカナダの言語事情を紹介します。
詳しく見ていきましょう。
カナダの公用語事情
カナダでは1969年から、英語とフランス語を公用語として定めており、2つの言語が公の場で使われます。
カナダ国内では地域によって英語圏とフランス語圏があり、以下のようなサービスでは両言語での提供が義務付けられています。
日常生活でも、スーパーマーケットやカフェで「Bonjour!」「Hi!」という2ヵ国語での挨拶が当たり前のように交わされています。
カナダの言語分布・割合
カナダ全体で、英語とフランス語を話す人はどのくらいの割合か気になりますよね。
2016年の調査によると、カナダ国内の言語使用状況は以下のとおりです。
| カナダ全体 | 使用状況 |
| 英語のみ | 68.3% |
| フランス語のみ | 11.9% |
| 両公用語 | 19.7% |
| どちらも話さない | 1.9% |
参考:「多文化社会カナダのバイリンガル国家運営」(PDFダウンロード)
カナダ全体を見ると英語を使用する人が圧倒的に多いですが、上記のうちフランス語話者は、大半がモントリオールのケベック州に集中しているとされています。
また、ケベック州のバイリンガル人口は以下のように増加している点にも注目です。
| 年代 | ケベック州におけるバイリンガルの割合 |
| 2001年 | 40.8% |
| 2021年 | 46.4% |
特に若い世代では、学校教育を通じて両言語を習得する機会が増えており、将来的にはバイリンガル人口がさらに増加すると予測されています。
トロントとケベックの言語環境の違い
カナダで留学や移住を考える場合、特に人気が高いのがトロントとケベック(モントリオール)です。
この2つの都市は、言語環境が大きく異なるため、目的に応じて慎重に選ぶ必要があります。
まずは以下の比較表で、両都市の言語環境の違いを確認してみましょう。
| 項目 | トロント | ケベック(モントリオール) |
| 主な言語 | 英語 | フランス語 |
| 街の表示 | 英語中心 | フランス語必須・英語も対応 |
| ビジネス環境 | 英語中心 | フランス語必須、英語もよく使用 |
| 語学学校の特徴 | 英語コースが充実 | 英仏バイリンガルプログラムが豊富 |
上記のように、カナダの大規模都市トロントは英語圏の特徴が強く、英語学習やビジネスに適しています。
一方、ケベックは北米でありながらフランス語文化が息づく環境で、両言語の取得を目指す人には魅力的な選択肢です。
どちらにも魅力があるため、あなたの目的に合うほうを選びましょう。
カナダで英語とフランス語が使われる理由
カナダの二言語共存には、深い歴史的背景と現代に至るまでのさまざまな取り組みが関係しています。
なぜカナダでは、英語とフランス語が広く使われているのでしょうか。
その理由を、歴史・社会・教育の3つの観点から見ていきましょう。
歴史的背景:植民地時代からの2つの文化
カナダで英語とフランス語の2つが使われている主な理由は、植民地時代からの歴史にあります。
1500年代から1600年代にかけて、フランスはカナダに多くの人々を送り込み、特に現在のケベック州には大規模なフランス人コミュニティが形成されました。
その後1700年代に入り、カナダがイギリスの支配下に入ると、英語が広く使われるようになりましたが、イギリス政府はフランス系住民の文化や言語を尊重する政策をとりました。
このように、フランスとイギリス、両国の影響を受けてきた歴史的な背景が、現在のカナダの言語環境を作っています。
政策的要因:現代における共生への取り組み
カナダ政府は、英語とフランス語の共存を実現するため、さまざまな取り組みをおこなっています。
たとえば、公的な文書は英語とフランス語のどちらでも利用が可能です。
公共の標識やパッケージは英語とフランス語の表示が義務付けられており、どちらの言語話者でも生活できるようになっています。
教育現場での取り組み:次世代のバイリンガル育成
教育現場では、バイリンガル教育が積極的におこなわれています。
特に「イマージョンプログラム」と呼ばれる、幼い頃から2ヵ国語に触れる教育システムを導入しているところもあり、多くの子どもたちがこのプログラムで学んでいます。
低年齢のうちは第二言語のフランス語で学習し、フランス語の基礎ができあがると、英語での授業が増えていきます。
家庭では英語を話す子どもが、ケベックで生活していくときに困らないように始まった取り組みです。
フランス語圏であるモントリオール
モントリオールでは、街を少し歩いただけでも2つの言語が飛び交う様子を体験でき、英語とフランス語を同時に学びたい人には特におすすめの留学先です。
以下に理由をまとめました。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
英語とフランス語の両方を学べる言語教育環境
モントリオールにある多くの語学学校では、英語とフランス語の両方を学べます。
「同時に学ぶと、どちらも中途半端になりそう」と心配になるかもしれませんが、英語とフランス語は共通する文法構造や語彙が多くあります。
そのため、同時に学ぶことでむしろ効率的に習得できる場合も多いです。
また、語学学校では文化を理解するためにさまざまなイベントや交流会があります。
現地の人と交流できる体験を通して、英語とフランス語の両方を実践的に身につけられるでしょう。
実践的にフランス語を学べる環境がある
モントリオールでフランス語を学ぶ魅力は、教室の外でも言語を実践できる環境が整っている点です。
街には常にフランス語が飛び交っており、カフェでの注文やスーパーでの買い物など、日常生活のなかで自然とフランス語を使う機会があります。
モントリオールは生きた英語とフランス語を学べる、語学留学には魅力的な地域です。
フランス語学習者に優しい
モントリオールはフランス語初心者に優しい街です。
なぜなら、モントリオールの人たちは、自分たちの文化や言葉をとても大切にしているからです。
フランス語を勉強しにくる人に対して、歓迎の気持ちで接してくれるため、現地の人とも交流をはかりながら留学できます。
フランス語に興味があっても、いきなりフランスに行く勇気がない人にとっては、おすすめの留学先でしょう。
モントリオールの多文化共存
モントリオールは、英語とフランス語のバイリンガル都市だけでなく、世界中の文化が交わる国際都市としても知られています。
さまざまな国からの移民が集まっているため、世界中の文化に触れられる点が魅力です。
多様な背景を持つ人々との交流を通じて、語学力だけでなく、グローバルな視野も自然と身についていくでしょう。
バイリンガルを目指しており、多くの文化を体験したい人にはモントリオールがおすすめです。
モントリオールと本場のフランス語の違い
モントリオールはフランス語圏と述べてきましたが、本場フランスとは少し異なるフランス語です。
この地域特有のフランス語は「ケベックワ」と呼ばれ、発音や表現に大きな特徴があります。
発音は本場のフランス語に比べて訛りがあるといわれ、フランス人でも理解しにくいです。
また、表現方法も「ケベックワ」では違う場合があります。日常で使う単語をまとめました。
| 日本語 | モントリオールのフランス語 | 本場のフランス語 |
| こんにちは | Allô | Bonjour |
| アイス | Crème glacée | Glace |
| 携帯 | Cellulaire | Téléphone portable |
| スニーカー | Espadrilles | Chaussures |
| 夕食 | Souper | Dîner |
たとえば、こんにちはの「Allô」は英語の「Hello」から派生しているといわれています。
フランス語圏といえど、英語圏に囲まれているため英語の影響を受けた独自の表現が多いです。
しかし、語学学校では講師をフランス人としているところが多いため、スタンダードなフランス語を学べます。
むしろ、このような言語の多様性に触れることは、より深いフランス語の理解につながるでしょう。
トロント・モントリオール以外の留学・移住におすすめの都市
トロントやモントリオールのような大都市は確かに魅力的ですが、カナダには他にも素晴らしい選択肢がたくさんあります。
本章では、留学・移住の目的やライフスタイルに合わせたカナダの都市を紹介します。
英語を学びたいならバンクーバー
カナダでとにかく英語力を徹底的に伸ばしたい場合は、バンクーバーも最適な選択肢の一つです。
最大の理由は、バンクーバーが日常的に英語が使われる環境であるためです。
西海岸に位置するバンクーバーではフランス語が使われる場面はほとんどなく、街中の標識からカフェでの会話まで生活のすべてが英語で完結します。
ケベック州のようにフランス語の知識が求められないため、まずは英語に集中したい方にとって理想的な言語環境が整っています。
さらに、バンクーバーは世界中から多くの移民や留学生を受け入れている国際都市です。
たとえば、アジア系の住民も多く多様な文化に触れられるだけでなく、留学生にとって過ごしやすい土壌があります。
世界トップクラスの語学学校が数多く存在し、自分のレベルや目的に合った質の高い教育を受けられるのも大きな魅力です。
落ち着いた環境で学びたいならビクトリア・ハリファックス
大都市の喧騒から離れて、自分のペースでじっくり学びたい方にはカナダの美しい地方都市がおすすめです。
特におすすめしたいのが、西海岸のビクトリアと東海岸のハリファックスです。
ブリティッシュコロンビア州の州都ビクトリアは美しい街並みが特徴で、ガーデンシティの愛称で知られています。
バンクーバーからフェリーでアクセスできる距離にありながら、街の雰囲気は大きく異なります。
イギリス文化の影響が色濃く残る街並みは絵本の世界のようで、比較的規模が小さく治安も良いため、穏やかな生活が可能です。
住民の多くは訛りの少ない標準的な英語を話す傾向にあるため、質の高い英語に触れたい方にも最適です。
一方、大西洋に面したノバスコシア州の州都ハリファックスはフレンドリーな街として知られています。
歴史的な港町の美しい風景が広がり、カナダ東海岸ならではの温かいコミュニティが魅力です。
地元の人々との交流の機会も多く、実践的なコミュニケーションを通じて言語能力を伸ばしたい方にはぴったりです。
また、トロントやバンクーバーといった大都市に比べて生活費を抑えられる傾向にある点も嬉しいポイントとなっています。
まとめ
本記事では、カナダの公用語である英語とフランス語の割合や、地域ごとの実態について詳しく解説しました。
カナダへの留学や移住を成功させるためには言語環境の違いを理解し、自身の目的に合った都市を選ぶことが非常に重要です。
トロントのような英語中心の都市から、モントリオールのようなバイリンガル都市までカナダには多様な選択肢があります。
日常生活で実践的に語学を使いながら、多文化に触れられるのはカナダならではの魅力です。
今回の情報を参考に、ぜひあなたの可能性を最大限に広げる留学・移住先を検討してみてください。
◇経歴
大学時代は英語教育を学んできました。
卒業後も、仕事を通じて英語を使用しています。
◇資格
・TOEIC785点
・高等学校教諭一種免許状(英語)
・英検2級
◇留学経験
大学時代にカナダ(トロント)へ留学
◇海外渡航経験
CA時代には、世界各地の文化や食事を楽しむ機会に恵まれました。
観光ガイドブックには載っていないような、その土地ならではの魅力を発見するのが好きです !
◇自己紹介
大学卒業後、国際線のCA・英語教員を経験しました。
現在はWEBライターとして活動中です。
子どもと一緒に英語を楽しむ時間を持ちつつ、自身も英語学習を継続しています。