
中欧ヨーロッパの旅先として絶大な人気を誇るチェコ共和国の首都プラハは、「百塔の街」とも呼ばれる美しい都市。
そのプラハ観光を語るうえで欠かせない象徴的な存在が、旧市街とプラハ城を結ぶ歴史的な橋「カレル橋」です。
長い歴史の中で幾度となく修復されながら、今もなお当時の面影を色濃く残すカレル橋は、橋の上に並ぶ聖人像や荘厳な橋塔、そしてプラハ城を望む眺望など、見どころの宝庫!
本記事では、プラハ旅行を計画しているあなたに向けて、カレル橋の基礎知識から歴史的背景、見逃せないスポット、そしてロマンあふれる夜景の楽しみ方まで、余すことなく詳しく解説します。
チェコ・プラハの都市概要
まずは、プラハという歴史的都市について理解しておきましょう。
プラハの立地と概要
プラハは、中央ヨーロッパに位置するチェコ共和国の首都かつ最大都市です。
9世紀に街が建設され、中世以降はボヘミア王国の首都であり、また神聖ローマ帝国の皇帝が居を構えた場所でもありました。
街はモルダウ(ヴルタヴァ)川沿いに広がり、川や城、教会といった歴史ある建築物が点在しています。
ヨーロッパといえば、やはり歴史を感じる街並みがその魅力ですが、プラハの景観はまさにその代表格と言えます。
1000年以上の歴史を紡いできた「プラハ歴史地区」は、思わず息を呑むほどの美しさを誇ります。
中世の面影を色濃く残す街並みは、石畳の路地からゴシック様式の建物まで、どこを切り取っても絵画のよう。
こうした独自の景観が高く評価され、ユネスコの世界遺産にも登録されています。
プラハは街歩きの魅力がたっぷり
街自体(歴史地区)が世界遺産にも指定されているプラハでは、時代を超えて守られてきた建築物や文化が街中で自然と目に入り、まるで過去へタイムスリップしたかのような感覚を味わうことができます。
プラハ市内の交通アクセス
プラハ市内の移動には、地下鉄・トラム・バスの3種類の公共交通機関があり、どれも共通チケットで利用できます。
乗車距離ではなく利用時間で代金が変わる仕組みのため、観光客でも使いこなしやすいのが特徴。
主要な駅や停留所には券売機が設置されていますが、まれに機械がない場所もあるので注意が必要です。
さらに、券売機の操作はやや分かりづらく、メトロの窓口スタッフも観光客に必ずしも親切とは限りません。
スムーズに移動するためにも、事前にガイドブックや公式サイトで購入方法を確認しておくと安心です。
ちなみにタクシー移動もできますが、料金体系が不明瞭でトラブルが多く、特に初心者にはおすすめできません。
カレル橋とは?長さ・建築様式など

ここからは、カレル橋について概要をご紹介していきます。
カレル橋の長さ
カレル橋は、プラハの中心を流れるモルダウ(ヴルタヴァ)川に架けられた、プラハの旧市街とマラー・ストラナ(小地区)を繋ぐ橋です。
600年以上もの間使われ続けてきた重厚で美しい石橋で、現在は連日多くの観光客でにぎわっていますが、かつては王宮と旧市街を結ぶ重要な交通路として機能していました。
それもそのはず、橋の規模は大きく、長さはおよそ515m、幅は9.5m。プラハに現存する最古の橋であり、プラハの旧市街と城を結ぶ橋として歴史的価値を持つ橋です。
現在では歩道橋となり歩行者専用ですが、人気のスポットだけにたくさんの歩行者で溢れかえっています。
カレル橋の構造と建築様式
カレル橋は16個のアーチで支えられている、ヨーロッパを代表する石造りの橋です。
橋脚の上流側には、冬の氷塊を防ぐために設置された木製の小さな「やぐら」が設けられており、今もその面影を見ることができます。
約515mの長さのあるカレル橋ですが、その両端には3つの橋塔がそびえています。
旧市街側の塔はゴシック様式で、プラハの歴史的景観を象徴する存在となっています。橋塔は当時の要塞的役割も持っていたのだとか。
長い橋の欄干には30体もの彫刻がずらりと並び、その多くはバロック様式のもの。
なかでも、ゴルゴダの丘で磔にされたイエス・キリストを表す「十字架像」は、14世紀にはすでに存在していたといわれる古い作品です。
全体の建築様式としてはゴシック様式の影響が強く、13〜15世紀の中世ヨーロッパの技術・芸術性が反映されており、さらに17世紀にはボヘミアの守護聖人として知られる「ヤン・ネポムツキー(ネポムクのヨハネ)」の像も新たに加えられ、現在の荘厳な雰囲気が形づくられていきました。
橋そのものもゴシック様式の美しい建造物でありながら、彫像・塔・防御構造といった実用と装飾が融合した素晴らしさまで体感することができるスポットとなっているのですね。
カレル橋が歩んできた長い歴史
ここでは、橋がたどってきた歴史的変遷、そしてその中で見えてくる当時の社会や文化について触れていきます。
カレル橋の起源と建設理由
この地域では、川が冬に凍結し、雪解けの増水によって氷が一気に流れ出すことで、大きな洪水が発生することがありました。
790年頃にはすでに木橋が架けられていましたが、度重なる洪水で流されてしまいます。
その後、1150年には長さ500m・20の橋脚を持つ石橋が建設され、王女の名にちなんで「ユディタ橋」と呼ばれました。
およそ200年以上にわたり地域の重要な交通路として利用されましたが、1342年の大洪水でこの橋も破壊されてしまいます。
そこで神聖ローマ帝国皇帝カレル4世は、1357年に新しい橋の建設に着手しました。
一見すると着工までの期間が長く感じられますが、それは「これまでの橋とは比べものにならないほど頑丈な橋をつくる」という強い意志のもと、設計段階から慎重に準備が進められ、資材や資金の確保に多くの時間を費やしたためです。
建設は1357年から1402年ごろまで続いたとされ、完成までに実に50年もの歳月を要したと言われています。
中世から近代へ
橋が完成すると、プラハにおけるモルダウ(ヴルタヴァ)川越えの主要なルートとして機能し、数世紀にわたり交通・交易・王の行列を支えました。
その歴史の中で、橋は改修・補強を繰り返しています。理由は戦争や洪水、時代の変遷で、例えば17世紀にはバロック様式の彫像が橋上に並び始めています。
名称の変化と記憶
カレル橋は完成当初「石橋(Kamenný most)」「プラハ橋(Pražský most)」などと呼ばれていましたが、チェコ民族復興運動の中で皇帝カレル4世(チャールズ 4世)の功績を称え、19世紀後半から「カレル橋/チャールズ橋」の呼称が一般化します。
また、長い歴史の間には王の行列や処刑といった悲劇的な場面も橋の上で展開されたと伝わっています。
カレル橋の位置とアクセス
ここからは橋の具体的な位置と、旅程に組み込みやすいアクセス方法を解説していきます。
橋の位置・周辺地区
カレル橋はモルダウ(ヴルタヴァ)川を渡る、プラハ市中心部に位置しています。
橋を渡った先には、プラハ城や歴史地区が控えており、散策ルートとしてもおすすめ。カレル橋は視覚的にわかりやすいランドマーク的な存在となっています。
カレル橋までのアクセス方法
カレル橋へは、「旧市街側」と「マラー・ストラナ側」のどちらからもアクセスできます。
旧市街側から向かう場合は、地下鉄Aラインの「Staroměstská(スタロムニェスツカー)」駅から徒歩約5分と、とても便利。
一方、マラー・ストラナ側からは、トラムの「Malostranské Náměstí(マロストランスケー・ナームニェスティ)」停留所で下車し、そのまま橋へ向かって歩くルートが一般的です。
空港から訪れる場合は、プラハのルズィニェ空港到着ロビー正面から119番バスに乗り、約20分でデイヴィツカーへ。そこから地下鉄Aラインへ乗り換え、「Staroměstská」駅で降りれば、スムーズにカレル橋へ到着できます。
カレル橋の見どころ・撮影スポット
実際に橋を訪れた際に外せない見所や、写真撮影におすすめなスポットについて、ご紹介していきます。
見所①:彫像と歴史を刻む歩道
カレル橋の両側には、17〜18世紀に設置された約30体のバロック様式の聖人像・記念像が並んでいます。
その一つひとつが傑作のアート作品!一番有名なのが「聖ヤン・ネポムツキー像」です。
チェコの守護聖人として知られる聖ネポムツキーは、同国で最も重要な聖人の一人です。
伝承によれば、彼は国王の怒りを買って拷問を受けたのち、遺体をカレル橋からヴルタヴァ川へ投げ捨てられたのだとか…。
さらに、亡骸の中でも彼の舌だけは数百年もの間腐らず残り続けたとされ、その奇跡が認められて聖人に列せられました。
悲劇的な最期を遂げた聖人でありながら、彼の像は「触れると幸せになれる」というジンクスで有名になりました。
ネポムツキー像の台座にあるレリーフは、訪れた人々が願いを込めてそっと触れるため、触れられる部分だけ金属が磨かれたようにピカピカになっています。
他にも例えば、日本人にも馴染み深い聖フランシスコ・ザビエルの像。聖母マリアの母をかたどった像も立っています。
彫像ひとつひとつにストーリーがあるため、橋を通るだけでちょっとした博物館のような体験ができますね。
見所②:建築・構造を体感
橋を支えるアーチ、石材、そして両端の塔(旧市街側/マラー・ストラナ側)にも注目です。
建築に半世紀もの時間をかけた壮大なプロジェクトであったこの橋の偉大さは、踏みしめて味わうも良し、遠くから眺めるのも良し。
リバークルーズもあるので、川から橋を眺めてみるのも楽しそうです。
おすすめの撮影スポットとタイミング
まずおすすめの時間帯は間違いなく早朝、朝の6〜8時頃です。
人が少ない時間帯で、朝日を背に橋を渡る姿や、静かな川面を背景に写真を撮ることもできます。
橋自体には入場料はなく、24時間歩行可能なので、観光客の少ない時間を狙って行くとたっぷり橋の魅力を味わうことができるでしょう。
また、おすすめの撮影スポットを以下に挙げておきます。
どこから撮影しても映えるカレル橋ですが、例えば橋上中央付近、旧市街塔を背にマラー・ストラナ側方向へ向かう途中あたりは、プラハ城の尖塔が背景に入り、美しい構図になります。
あるいは橋を背景に全体を撮るなら、少し離れた川岸や公園からの視点がベストです。特に夕暮れや夜景では、水面のリフレクションも綺麗に撮影できます。
カレル橋の夜景
夜のカレル橋は昼間とはまた違った雰囲気で、撮影にも観光にもうってつけの時間帯となっています。
おすすめの夜景スポット
日没後のカレル橋周辺は、昼間とはまったく違う表情を見せます。
橋や周囲の塔、そして川面がやわらかなライトに照らされ、街全体が黄金色に包まれるような幻想的な雰囲気に。
特に橋の上から眺めるプラハ城や旧市街のシルエット、そして川に揺らめく光の反射は、写真に収めても、肉眼で見ても思わず息をのむ美しさです。
また、日中に比べて観光客の流れが落ち着く時間帯もあり、夜ならではの静けさを感じながらゆっくり散策できます。
おすすめスポットを以下にいくつかご紹介します。
カレル橋の隣に架かる「レギー橋(Most Legií)」
カレル橋とプラハ城を同じフレームに収められる絶好の撮影スポット。夜景を撮りたい人には特におすすめです。
レストラン「Klub Lávka」
先ほどもご紹介したレストラン。ライトアップされたカレル橋とプラハ城を眺めながらディナーを楽しむことができ、特別感のある夜を過ごせます。
夜のカレル橋から見上げるプラハ城
カレル橋からの景色ですが、これもまた格別。温かな光に包まれたその姿はまさにフォトジェニックで、プラハの夜を代表する名シーンと言えるでしょう。
写真を撮るならこの時間帯
夕暮れ直後のブルーアワー
空が深い青紫に変化し、橋のライトが映え始める時間です。
夜10時以降
観光ツアーの多くが終わっており、橋上の人通りが減る傾向にあります。静かな雰囲気の写真が撮りたい場合にはこの時間帯もおすすめです。
ただし、治安のいいプラハでも人通りの少ない時間にはスリなどに気をつけるようにしましょう。
まとめ
プラハの旅で絶対に外せないスポット、カレル橋。
歴史的背景や建築の見どころを知った上で訪れると、ただの橋ではなく、何世紀もの時を超えて街の息づかいを感じられる特別な場所だと実感できるでしょう。
せっかくプラハを訪れるなら、単に橋を渡るだけで終わらせず、橋の上でゆっくり立ち止まり、景色を眺め、歴史を肌で感じる時間をぜひ持ってみてください。
昼の賑わいも、夕暮れに映える街並みも、夜のライトアップも、それぞれ異なる表情を見せてくれるカレル橋は、何度訪れても新しい発見があります。
プラハは、初めての中欧旅行にもぴったりの都市です。次の旅の計画に、ぜひこの歴史と美しさに満ちたプラハのカレル橋を加えてみてくださいね。
◇経歴
幼稚園時代をシンガポールで過ごし、現地の友達と英語でよく遊んでいました。小学校からは日本で暮らし、中学生の時にカナダにホームステイした経験から海外での暮らしに魅了され、東京外国語大学に進学。
在学中にバンクーバーへの留学を経て就職し、新卒で入った会社では外資系クライアントと英語でやり取りをしていました。
現在は仕事で英語を使う機会はほとんどないものの、趣味として楽しく勉強し続けています!
◇資格
TOEIC940点、TOEFL iBT 90点
◇留学経験
バンクーバー(カナダ)、半年間、ILSC vancouver
◇海外渡航経験
・シンガポール(居住・旅行)
・マレーシア(旅行)
・モルディブ共和国(旅行)
・サイパン(旅行)
・カナダ(ホームステイ・留学)
・グアム(旅行)
・タイ(旅行)
・ドイツ(旅行)
・イタリア(旅行)
・トルコ(旅行)
・インドネシア(旅行)
◇自己紹介
英語が話せるだけで、世界中の「私が自分の言葉で会話できる人」の母数がぐんと広がったことが、私にとってはいちばん面白いポイントでした!これからも英語を通じていろんな地域のいろんな文化や人に触れ、知らないことを知っていきたいと思っています。