
実は、トルコは日本との歴史的なつながりから「親日国」として知られています。文化や歴史の違いは大きいものの、日本人に対してとても友好的で、初めて訪れる方にも旅しやすい国です。
トルコ観光といえば、イスタンブールのモスクやカッパドキアの奇岩群が有名ですが、それらと並んで人気が高いスポットが「パムッカレ」です。私自身、ツアーでトルコ旅行に参加した際に初めてその存在を知りましたが、写真を見た瞬間「なんて綺麗なところなんだろう」とワクワクしたのを覚えています。
真っ白な石灰棚とターコイズブルーの温泉が織りなすパムッカレの風景は、まるで夢の中の世界のようです。
トルコ・パムッカレとは?
「パムッカレ」とはトルコ語で「綿の城」という意味。遠くから見ると白い城壁のように見えることから、この名前が付けられました。真っ白な石灰棚がどこまでも続く不思議な景観は、地下から湧き出る温泉水に含まれる石灰成分が長い年月をかけて積み重なり、自然の力で作り出されたものです。まさに自然が生んだ芸術で、世界中の旅行者を魅了しています。
雪のような白い棚田に、透明度の高い温泉が溜まり、ターコイズブルーに輝く様子はまさに幻想的。観光客は裸足で歩きながら温泉に足を浸すこともでき、まるで夢の中にいるような感覚を味わえます。
また、パムッカレは隣接する古代都市「ヒエラポリス」の遺跡群とともに、自然と歴史の両方の価値が認められ、1988年にユネスコ世界遺産に登録されました。古代から温泉地として愛されてきた場所で、近年ではSNS映えスポットとしても注目を集めています。
パムッカレの位置と他都市からの行き方
パムッカレは、トルコ西部デニズリ県に位置します。エーゲ海沿岸の都市イズミルや首都アンカラからもアクセス可能ですが、いずれも長距離移動になります。最寄りの都市は「デニズリ」で、観光の拠点となるのは「パムッカレ村」です。
・イスタンブールから
イスタンブールからデニズリ・チャルダック空港までは国内線で約1時間。空港からはデニズリ市内行きのシャトルバスが運行しており、市内からパムッカレ村へはドルムシュ(乗り合いミニバス)で約30分です。タクシーの場合は約1時間10〜20分。料金は高めですが、快適に移動できます。
・イズミルから
トルコ第3の都市イズミルからデニズリまでは鉄道や長距離バスで約3〜4時間。レンタカー利用なら約3時間半ほどで到着しますが、海外運転に慣れている方向けです。
・アンカラから
アンカラからパムッカレまでは約480kmとやや距離があり、観光ルートとしてはあまり一般的ではありません。飛行機を利用する場合は、アンカラからデニズリ・チャルダック空港まで直行便が出ており、所要時間はおよそ1時間です。
また、長距離バスを利用する方法もあり、所要時間は約7〜8時間。夜行便を使えば翌朝に到着することも可能で、効率よく観光ルートに組み込むこともできます。
・カッパドキア(ネヴシェヒルやカイセリ)から
直接の便はないため、デニズリやイズミルを経由してアクセスするのが一般的です。カッパドキアとパムッカレを組み合わせた周遊ツアーも多く、効率よく観光したい方におすすめです。私もこのルートで、ブルーモスクやイスタンブール観光まで楽しみました。
アクセスのしやすさを考えると、イスタンブールまたはイズミルから国内線を使い、その後、車やバスで移動するルートが効率的です。トルコは観光名所が広範囲に点在しているため、チャーターバスを利用するツアーを選ぶと、移動も楽で効率的です。
パムッカレの歴史的背景
パムッカレは自然景観だけでなく、歴史的にも重要な遺産です。紀元前2世紀、ペルガモン王国のユーメネス2世によって建設された古代都市「ヒエラポリス」が、この石灰棚の上に築かれました。その後ローマ帝国の支配下に入り、温泉療養地として栄えます。
当時の人々は温泉を「癒しの水」と信じ、病気治療やリラクゼーションのために訪れていたといわれています。ヒエラポリスには劇場、神殿、浴場、墓地などが造られ、当時の繁栄を今に伝えています。
現在でも、ヒエラポリスの劇場跡や浴場跡、墓地などを見学することができ、古代の人々がどのように温泉を利用していたのかを想像するのは興味深い体験です。とくに、山の斜面に築かれた大劇場は保存状態が良く、最大約1万2,000人を収容できたといわれ、見応え十分。
また、古代の温泉「クレオパトラプール」も必見です!
伝説によると、エジプトの女王クレオパトラもこの温泉に浸かって美しさを保ったと伝えられています。今でも観光客は実際に入浴でき、2000年以上前のローマ時代の柱や石が沈む温泉に身を浸すことができ、人気を集めています。
このヒエラポリスの雰囲気は、パムッカレとはまた一味違い、とても神秘的で厳かな雰囲気が漂っています。パムッカレに来たら、合わせてぜひ観光して欲しい場所です。
パムッカレの見どころ|温泉プールや写真スポット

ここまで読んで、きっともうトルコを旅してみたくなっているのではないでしょうか。次は、パムッカレ観光でぜひチェックしておきたい見どころを具体的に紹介します。
入場にはチケットが必要で、石灰棚とヒエラポリス遺跡は大人1人あたり約100トルコリラ(約354円)、クレオパトラプールは別料金で約30トルコリラ(約106円)です(※時期や為替で変動あり)。事前に確認しておくと安心です。
石灰棚と温泉プール
パムッカレのハイライトは、やはり真っ白な石灰棚。温泉に含まれる炭酸カルシウムが長い年月をかけて固まり、棚田のような独特の形を作り出しました。
多くの世界遺産は「見るだけ」ですが、ここでは観光客が裸足で石灰棚を歩くことができるのが特徴です。一部のエリアでは温泉に足を浸すこともでき、旅の疲れを癒せるでしょう。
写真スポット
石灰棚に溜まった水は季節や天候によって色合いが変化し、晴天時は特に美しいターコイズブルーに輝きます。棚田の下からや上から角度を変えて撮影、色のコントラストを間近から撮影するもよし!特におすすめは夕暮れ時。太陽が沈むにつれて石灰棚がオレンジ色に染まり、幻想的な雰囲気に包まれます。インスタ映えを狙うならこの時間帯を逃さないようにしましょう。
ヒエラポリス遺跡
約1万2,000人を収容できる大劇場をはじめ、北側には「死者の街」と呼ばれる広大な墓地ネクロポリスがあり、石棺や墓室が当時の姿のまま残っています。浴場跡や古代の街道も残っており、大劇場や神殿跡を巡りながら、古代ローマ時代の雰囲気を肌で感じることができます。
クレオパトラプール
さらに人気なのが「クレオパトラプール」。ローマ時代の遺跡の中に湧く天然温泉で、プールの底には神殿の柱が沈んでおり、まるで古代ローマにタイムスリップしたような雰囲気を味わえます。水温は約36℃で、実際に入浴することも可能です。泳ぎながら遺跡を眺められるという世界でも珍しい体験ができます。
博物館
敷地内には小規模ながら考古学博物館もあり、ヒエラポリスで発掘された出土品を展示しています。歴史好きにはたまらないスポットです。
パムッカレ観光の際に注意したいこと
幻想的な景色が楽しめるパムッカレですが、近年では「がっかり遺産」と呼ばれることもあります。実はパムッカレでは、観光開発の影響で温泉の湯量が減少しています。昔の写真と実際に訪れた時のギャップで、そういう印象を抱いてしまう方もいるようです。
現在は湯の使用を管理・制限しており、温泉水が流れている石灰棚は一部のみです。そのため、白い棚田のような景色は見られても、温泉が流れていない場所も多くあります。
水量が少ないエリアがあるのは事実ですが、それでも真っ白な石灰棚は美しく、その景観は圧巻!十分に魅力ある観光地です。
湯量は季節や天候、管理状況によって変わりますので、理解したうえで訪れるようにしましょう。
他にも訪れる際には以下の点に注意しましょう。
・裸足で歩く必要がある
石灰棚保護のため、靴を履いて歩くことは禁止されています。ゴツゴツした場所、滑りやすい場所などがあるので、足元には十分注意して下さい。また、夏場は足裏が熱く感じることもあるため、特に注意しましょう。
・入れる温泉エリアは一部のみ
環境保護のため、観光客が入れるエリアは限定されています。立ち入り禁止の看板はありますが、柵が少なく、撮影に夢中になってうっかり立ち入り禁止区域に入ってしまうことも。警備員に注意される前に、ガイドや案内板に従いルールを守って楽しみましょう。
・日差しと乾燥対策
パムッカレは標高が高く乾燥した気候のため、日差しが強烈です。夏場は40度近くになりますし、サングラス、帽子、日焼け止め、水分補給は必須です。
・見学にかかる時間
石灰棚とヒエラポリス遺跡、クレオパトラプールまで含めると、3〜5時間はかかります。日帰りで訪れる場合も、余裕を持ったスケジュールを組むことをおすすめします。
また、近くのパムッカレ村には小さなホテルやゲストハウスが点在しています。長距離移動後にすぐ観光するより、一泊してのんびり観光する方が体力的にも楽です。
・客引きについて
海外の観光地ではトラブルになりやすい客引きですが、パムッカレも例外ではありません。特にバス乗り場などでは観光客を狙った客引きが大勢おり、安易に応じないようにしましょう。しつこい場合はその場を離れるのが一番です。
まとめ
パムッカレは、白と青のコントラストが織りなす幻想的な絶景と、古代遺跡が同時に楽しめる、世界でも珍しい観光地です。私が訪れた時は、温泉に浸かる体験こそしませんでしたが、その絶景は訪れるだけでも価値があり、今も心に残る旅のひとつです。
そして、トルコはパムッカレだけでなく、イスタンブールのブルーモスクやカッパドキアなど、世界に誇る観光スポットが目白押し。さらに街歩きの途中で出会う「のび〜るトルコアイス」も旅の楽しみのひとつです。
親日国ならではの温かいおもてなしと陽気な人柄に触れながら、トルコの魅力をたっぷり味わってみてください。きっと忘れられない旅になるはずです。
日本の教育課程を修了後、色々な英語学習に挑戦しましたが思うような結果が出ず、挫折。10年以上のブランクを経て、コロナ禍をきっかけに英語の再学習にチャレンジしました。その後は英語コーチとしても活動し、現在は医療従事者として勤務しながら英語学習を続けています。 仕事も英語も旅も大好きで、今も「自分らしい生き方」を模索中です。
◇英語に関する資格
TOEIC860
英検準一級
◇留学経験
オーストラリアに3週間のホームステイ(高校1年)
カナダに4週間のホームステイ(大学3年)
◇海外渡航経験、渡航先での経験内容
東南アジアを中心に旅を楽しんできました。
訪れた国は、台湾・中国・タイ・シンガポール・マレーシア・カンボジア・ベトナム・インドネシア・フィリピン。そのほか、トルコ・オーストラリア・カナダ・ドイツも訪問しました。
世界遺産めぐりやローカルフードが旅の楽しみです^^
◇自己紹介
私はオンライン英会話やコーチングを活用し、日本にいながら英語を身に着けました。英語へのハードルが下がったことで、以前よりもグッと旅を楽しめるようになり、仕事の選択肢も楽しみも増えました♪ 少しでも皆さんの背中を押せるような記事をお届けできればと思います