サマータイムとは?仕組みや導入国・期間、旅行やビジネスへの影響をわかりやすく解説!

サマータイム、オンライン英会話、ネイティブキャンプ


しばしば耳にするものの、日本で生活をしているとなかなかイメージが掴みづらい
サマータイム

海外旅行、あるいは外国企業とのやり取りの際には、時差の混乱を招くことも少なくありません。

この記事では、サマータイムの背景、導入国とその適応期間などの基礎知識や、旅行やビジネスでの注意点について解説します。サマータイムを考慮したスケジュール調整に不安を感じている方は、ぜひご一読下さい!

よく聞く「サマータイム」の意味と仕組みは?

日本にはないサマータイムですが、名前を聞いたことがある方はいらっしゃるのではないでしょうか。まずは、サマータイムの具体的な意味と仕組みについて解説していきます。

サマータイムとは、夏季に時間を進める制度

サマータイムとは、昼の時間が長くなる夏季に時間を1時間進める制度、またはその期間の時刻のことを指します。

Daylight Saving Time (DST)とも呼ばれます。

各国はUTC(Coordinated Universal Time、協定世界時)を基準にタイムゾーンを設定していますが、サマータイムを導入することで標準時に1時間を加算し、日没までの活動時間を延ばすという考えが背景にあります。

サマータイムへの開始時期は、北半球では概ね3月末~10月末、南半球は9月~4月初ですが、国や地域により異なります。

サマータイムは第一次世界大戦中、ドイツをはじめイギリス、アメリカ、オーストラリアなどで導入されました。その後、第二次世界大戦やエネルギー危機を経て、中高緯度に位置する国々を中心に広まりました。

当初の目的は照明用燃料の節約でしたが、日中の明るい時間が長くなることで、レジャーや経済活動の促進効果も期待されてきました。

日本でも戦後の電力不足を背景に、1948年からサマータイムが実施されましたが、時間変更に伴う混乱や国民の反発を理由に1952年に廃止されています。

サマータイムの具体例

サマータイムが採用されている国では、春に開始日を迎えるとき時計を1時間進め、秋の終了日に時計を1時間戻します。

例えば、北緯約56度に位置するイギリス・グラスゴーでは、2025年は 3月30日 にサマータイムが始まり、6月21日 に1年で最も昼が長い夏至を迎え、10月26日 に標準時間へ戻ります。

日の出と日の入りの時刻は次の通りです。

標準時間→サマータイム 日の出 日の入り
3/29 05:55 18:49
3/30 06:52 19:51
夏至(サマータイム中) 日の出 日の入り
6/21 04:31 22:06
サマータイム→標準時間 日の出 日の入り
10/25 08:09 17:52
10/26 07:11 16:49

このように標準時を1時間進めることで、日の出・日の入りと一般的な活動時間が重なりやすくなります。

日没までの時間が長くなることで照明の使用を減らせるだけでなく、夏季はもともと早朝から明るいため、日の出が1時間遅れることによる影響は比較的少ないと考えられます。

暗い冬の季節を思うと、日の光をより長く楽しめるサマータイムが親しまれてきたのも納得できるかもしれません。

サマータイムを導入している主な国・期間

サマータイムは北半球ではヨーロッパ諸国、アメリカ・カナダといった北米の大部分、南半球は、太平洋地域ではオーストラリア、ニュージーランド、南米ではパラグアイ、チリなどが実施しています。

ただし、注意が必要なのは、実施国のすべての地域で一律に導入されているわけではない点です。例えば、アメリカでは、ハワイ州とナバホ•ネイションを除くアリゾナ州、および5つの準州ではサマータイムは採用されていません。

また、オーストラリアでも、オーストラリア首都特別地域、ニューサウスウェールズ州、ビクトリア州、タスマニア州、南オーストラリア州の5地域のみが導入しています。

さらに、チリの一部地域のようにサマータイムが恒久化されて標準時への切り替えを行っていないケースもあります。

以下は代表的なサマータイム導入国の開始日と終了日です。

【北半球】

アメリカ・カナダ

開始 3月第2日曜日 午前2時
終了 11月第1日曜日 午前2時

ヨーロッパ諸国

開始 3月第最終日曜日 午前2時
終了 10月第最終日曜日 午前2時

【南半球】

オーストラリア

開始 10月第1日曜日 午前2時
終了 翌年4月第1日曜日 午前3時

ニュージーランド

開始 9月最終日曜日 午前2時
終了 翌年4月第1日曜日 午前3時

なお、上記の記載において、開始の時刻「午前2時」とは、その日の午前2時に時間を1時間進めて午前3時に、終了の時刻「午前2時」とは、その日の午前2時に1時間戻して「午前1時」にすることを意味しています。

サマータイムのメリット・デメリット

燃料や電気の節約を主な目的として導入されたサマータイムは、現在どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。

サマータイムのメリット

■ エネルギー消費削減

夕方以降も自然光を利用できるため、照明にかかる電力を節約し、環境負荷を軽減できる可能性があります。
LEDなど省エネ型照明が普及している現在でも、家庭だけでなく商業施設やオフィスビルなどで屋内外の照明使用量が減ることで一定の効果が期待されます。

■ 余暇の増加によるライフスタイルの変化

夜まで活動しやすくなることで、活動的になることが考えられます。
明るい時間を屋外レジャー、趣味や運動、自己成長のための勉強の機会などに充てる時間が増え、生活の充実につながり、心身に対してプラスに働くと考えられます。

■ 経済活動の促進

余暇の拡大により人々の購買の機会も増えると、モノやサービスの需要が増大して経済の活性化に影響することが予想されます。
また、新たなライフスタイルが生まれることで、新しいアイデアや需要が生まれる可能性もあります。

■ 安全性の向上

明るい時間帯が長くなることで、交通事故や、ひったくりなどの夜間の犯罪が減少する効果が指摘されています。そのほか、暑い時期に比較的涼しい時間帯から働き始めることができるため、屋外や工場での作業における熱中症予防にもつながるとされています。

サマータイムのデメリット

いいことばかりのように思われるサマータイムですが、以下のようなデメリットもあります。

■ 健康への影響

年に2回時間を切り替えることや、就寝時間近くまで日光を浴びることで体内リズムが乱れやすくなり、睡眠の質に与える影響や、憂鬱感などの精神状態、心疾患、脳卒中などとの関連が研究で報告されています。

体が順応しないことによる睡眠不足や疲労感は、日中の生産性を低下させるだけではなく、交通事故のリスクを上昇させるともされ、生活する上で体調・安全管理に注意が必要です。

■ エネルギー節約効果への疑問

電力使用が多様化した現代では、照明使用時間の短縮による省エネ効果が限定的だという指摘もあります。また、電力使用の傾向は、地理的要因や生活習慣の影響を受けやすいのが特徴です。

暑い地域や車社会では、活動時間の延長により冷房や自動車利用が増え、かえって消費が増えることや、サマータイム前後の日の出が遅い地域では、早朝の照明需要が高まり、逆効果となる場合などがあります。

■ 秋の朝の暗さによる危険

広範囲で同じタイムゾーンを共有している国では、日の出と日の入りの時間の地域差が大きくなります。
特に、 高緯度で、タイムゾーンの西端にある地域は、サマータイム終了前後に日の出の時刻が遅くなる傾向があり、遠方に通勤通学の必要がある場合には暗闇の中を移動しなければならず、事故や治安上の危険が高まります。

このように、日の光を有効活用するサマータイムは、エネルギー資源の節約や、生活の質の向上といった可能性がある一方で、健康面、限定的な省エネ効果等への懸念が存在しています。

このような背景もあり、世界では導入・廃止の議論がされてきました。

近年では2018年にEUがサマータイム制度の廃止を提案し、加盟国間での協議が続いています。サマータイムは、国や地域の事情によって評価が分かれる制度であるといえるでしょう。

サマータイムのビジネスへの影響

海外取引では、相手国のタイムゾーンだけでなく、サマータイムの適用有無を確認することが重要です。

サマータイムを導入している国と取引やオンラインミーティングを行う場合、適用期間中は時差が1時間縮まることを考慮したスケジュール調整が必要です。

サマータイムと標準時の切り替え日や切り替え時刻は国や地域によって異なることにも注意が必要です。
切り替え日にかかる予定や、経済統計や指数の発表に合わせて行動する場合などのタイミングが重要な業務では、深夜に発生する時間の切り替えにも十分に注意しましょう。

サマータイムの廃止や再開、適用方法の変更は国によって流動的でもあります。常に最新の情報を確認してください。

また、日本のようにサマータイムを導入していない国でも、企業や自治体が試験的に勤務時間を早める取り組みをおこなう場合があります。一般的な就業時間とのずれにより残業が発生しやすくなる、周知の手間が必要、システム変更にコストがかかるといったデメリットがあります。

しかしその一方で、こうした独自の取り組みにより、電気代削減や帰宅後の家族との時間の増加、通勤ラッシュの回避といった企業と労働者双方へのプラスの効果が状況次第でもたらされる可能性が示唆されています。

サマータイム期間に旅行する際の注意点

旅行の際には、訪問先の国がサマータイムを導入しているかを事前に確認しておきましょう。

飛行機で乗り継ぎがある際は、乗り継ぎ地での時差やサマータイムの有無を把握しておくと搭乗時間の間違いが防げて安心です。

複数都市を周遊する場合は、それぞれの都市のタイムゾーンとサマータイム適用状況も確認が必要です。

同じ国内でも、アメリカ、カナダ、オーストラリアのように州や地域ごとに時差とサマータイムの導入の有無が異なるケースがあるからです。

サマータイムと標準時の切り替え日を挟んで旅行をする際にも注意が必要です。飛行機や鉄道の移動を伴う旅程では、余裕を持って時計を設定して混乱を避けましょう。
街中のアナログ時計に頼ってしまうと、変更が反映されていない場合もあり得るので、自身で時間を管理できる状態にしておくと安心です。

さらに、サマータイムを導入している国を訪れると、時差や移動疲れに加えて、日照時間の急な変化が体調に影響することもあります。無理のないスケジュールを立て、体調管理を心掛けることが大切です。

まとめ

サマータイムは、時間を進めることで日の長さを有効活用し、省エネや余暇の創出といった有益な効果が期待できる一方で、健康への影響などが心配されるといった側面もあります。

ビジネスや旅行の際には少し戸惑うかもしれませんが、タイムゾーンとサマータイムの導入の有無を事前に確認することがスムーズな行動に繋がります。

海外旅行や海外との取引がある場合には、準備をしっかりして、サマータイムと上手に付き合ってくださいね。

 

 

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しおじぃ

◇経歴
土や紙をつかった造形や、ドローイングをしています。


◇資格
TOEIC 955


◇留学経験
スコットランドにあるグラスゴーの大学で、4年間美術を学びました。


◇海外渡航経験
今までたくさん旅をしました。
イギリス、フランス、イタリア、スイス、ベルギー、オランダ、チェコ、スロバキア、オーストリア、ノルウェー、フィンランド、スウェーデン、中国、香港、韓国、ネパール、タイ、フィリピン、インドネシア、マレーシア
色褪せた思い出を蘇らせようと、古いデジカメのデータを読み込もうとしたら、ほとんど消失していてショックを受けました。
今思えば貴重だった家族旅行、感動した景色、美味しかった食べ物、かけた時間や使ったお金が写真に詰まっていたように感じられ、寂しかったです。一瞬一瞬を大切に、これからも旅を続けようと思います。


◇自己紹介
日本の一般大学を卒業した後、憧れていた海外の美術大学に留学しました。
語学の面で苦労しましたが、留学の経験は宝です。
現在、作品の制作・発表と、ライター活動、コツコツ英語の勉強をしております。
書くことを通じて、経験を活かしながら、学びを続けたいと思っています。