観光地でよく見る「トロリーバス」って何?利用できる主な都市や乗り方を解説!

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旅先で公共交通機関を使ってスムーズに移動できればとても心強いものです。路線図や乗り方に少し慣れるだけで、移動コストを抑えながら行動範囲を広げられるのも魅力です。

また、交通事情からはその都市の成り立ちや環境意識を垣間見ることができ、旅がぐっと充実してくることでしょう。日本では見かけなくなった
「トロリーバス」も、その体験をもたらす乗り物の一つではないでしょうか。

この記事では、海外の都市で見かけるトロリーバスについて、基本的な仕組みや現在も利用されている理由を解説します。
人気の観光地であるワイキキ、グアム、サンフランシスコの具体例も紹介しますので、ぜひ旅の参考にしてください!

そもそも「トロリーバス」とは?

トロリーバスとは、上空に張られた架線から電力を引いて動力とし、ゴムのタイヤで道路を走る乗り物です。

電力は「トロリーポール」と呼ばれる棒状の装置を使って受けとります。バスとトラムの間のような見た目ですが、日本の法律では「無軌条電車」として扱われ、レールの上を走らない電車として鉄道の一種に分類されます。

トラムは、架線から電気を取り入れる「集電」をおこない、車輪と線路をとおして電流を変電所に送る「帰電」をおこないます。一方、トロリーバスはレールを使わないため、集電と帰電を架線で行っているため、2本のトロリーポールを必要とします。

一般的なバスがエンジンやモーターで自走するのに対して、トロリーバスは、架線からの電力での走行を基本としています。ただし近年では、ディーゼルエンジンやバッテリーを併用する「ハイブリッド型」のトロリーバスが普及し、一定区間を架線から離れて自走できる車両も増えています。

トロリーバスの実験は1880年代にドイツやフランスで始まり、1900年代初頭にはドイツで定期運行が開始されました。その後イタリア、スイス、イギリス、デンマークなどのヨーロッパ各国や、アメリカで営業が開始されています。

技術の向上により、安全性やサービスの質が改善し、1920年代の終わりまでには大都市を中心に路線網が拡大しました。1930年代には、ロシアや旧ソビエト諸国の都市計画においても大規模に導入され、市民の重要な交通手段となります。

しかし、バスの性能向上や自家用車の普及、代替交通手段の発達がすすみます。トロリーバスの老朽化と維持費の上昇等の条件が重なり、次第に規模が縮小され、多くの都市で1960〜1970年代にかけてトロリーバス路線は廃止されます。

日本では、1932年に京都で都市交通として初めて運行され、第二次世界大戦中から戦後にかけて各地の都市部で運行されました。しかし交通量の急増などを背景に衰退し、1970年代には都市部から姿を消します。

日本最後のトロリーバスは、立山黒部アルペンルート内の立山トンネルで運行されていた路線で、2024年に運行を終了しました。立山黒部アルペンルートでは、狭いトンネル内で排気ガスを出さない点が高く評価され、関西トンネルで1964年から、立山トンネルで1996年から運行されてきました。現在は電気バスがその役割を引き継いています。

多くの都市で廃止された一方、都市環境や交通条件に適した地域では、現在もトロリーバスは活用されています。近年では、ゼロエミッションでエネルギー効率の高い交通手段として再評価が進んでいます。バッテリーや水素燃料電池を組み合わせた新型車両も登場しており、環境負荷の低い都市交通として、進化を続けています。

トロリーバスのメリット・デメリット


トロリーバスは都市や時代のニーズに応じて導入されてきた一方で、多くの地域で姿を消してきました。ここで、その背景となったメリットとデメリットをご紹介します。

トロリーバスのメリット

■ レールが不要である

レールの敷設が不要なため、トラムを含めた鉄道よりもコストを抑えられます。

特に、内燃機関によるバスの性能が現在ほどでなかった時代は、この点が大きな有利として働きました。また、既存の道路を利用できるため、レールを敷く交通機関と比較して、ルート設定に柔軟性があることもメリットです。

■ 電力を集電しながら走る

架線から常に電力の供給を受けながら走行するため、一般のバスに比べて駆動力を発揮します。

急勾配の多い場所や、連結車両による輸送力の増強にも対応しやすいという利点があります。さらに、電気モーターは発進時の反応が速く、信号待ちなどで停止と発進を繰り返す市街地でも加速がスムーズです。結果として、安定した運行や快適な乗り心地につながります。エンジン車に比べ、車体の寿命が長いとされる点も特徴の一つです。

■ 排気ガスが出ない

走行中に排気ガスを出さないため、狭いトンネル内や人口密集地、環境保全が重視されるエリアに適しています。

ハイブリッド型のトロリーバスでは、ディーゼルエンジンから電気走行に切り替えることで、都市の環境負荷低減やCO₂削減目標の達成に貢献できる可能性があります。

トロリーバスのデメリット

■ 架線が必要

架線を利用するという性質上、ハイブリッド型で自走が可能な場合でも、ある程度架線の範囲にルートが制約されます。

加えて、架線の設置や維持には、コストと時間が多くかかるため、路線の新設や拡張、変更が一般のバスに比べて簡単ではありません。また、交差する架線は景観を損なうとして敬遠されることがあります。

■ 道路を走行する

専用軌道ではなく一般道路を走行する場合、渋滞に巻き込まれやすくなるだけでなく、道路状況により渋滞の原因になることもあります。

また、ゴムタイヤはトラムなどの金属車輪に比べて摩耗しやすく、交換や整備の手間がかかります。特に、路面状況の良くない地域ではこの問題が顕著になります。

■ 老朽化への対応が難しい

トロリーバスの利用が縮小している地域では、交換部品の調達が難しくなり、老朽化対策のコストが高額になる場合があります。

車両と架線の更新時期が重なることも多く、維持のために多額の投資が必要になると、バスなどの代替交通手段への切り替えが進みやすくなります。一度撤退すると再導入のハードルが高い点も、トロリーバスが急速に廃止される理由の一つです。

トロリーバスが利用できる主な都市・乗り方

トロリーバスが利用できる主な地域としては、スイス、フランス、イタリアなどの西ヨーロッパ諸国、チェコやポーランドなどの東欧諸国、ロシア、リトアニア、ラトビアといった旧ソビエト地域、さらに北アメリカや中国などが挙げられます。

これらの地域では、路面電車や路線バスと組み合わせた交通網として維持・発展しているケースが多く見られます。

また、EV車両や水素燃料バス、トロリーバス網の再構築、自転車利用の促進などと組み合わせ、総合的な環境対策を進めている都市も少なくありません。

メキシコシティは、一度衰退したトロリーバス網の再構築を推進している代表的な都市です。高い標高や山に囲まれた地形、人口過密に起因する深刻な大気汚染や渋滞など、新興国特有の都市交通問題の解決策として、現在トロリーバスが積極的に採用されています。CO2削減目標の達成手段であると同時に、より安全で速く、輸送力が高くて安価な交通手段として、交通網の再整備・拡張の中核を担っています。

■ チケット購入と乗車方法の傾向

現在では、従来の紙のチケットや現金払いに加え、Eチケット、交通系ICカード、クレジット/デビットカード、スマートフォンによるタッチ決済などが世界的に普及しています。

チケットの購入場所は、車内のドライバー、駅や停留所の券売機、交通局のチケットオフィス、街の小売店、オンライン、車内でのカードタッチ決済など、国や都市によってさまざまです。

乗車方法も都市によって異なり、前方または後方ドアから乗車し、反対側から降車する方式や、連結車両などで全ドアから乗り降りできるケースもあります。

運行ルートは、交通局の公式サイトや停留所付近のマップのほか、交通局の公式アプリ、Googleマップなどの経路検索サービスで確認できます。

チケット購入方法や乗車ルール、ルート情報は変更されることもあるため、各交通局の公式サイトや観光案内所で最新情報を確認してください。

以下では、具体例として、アメリカで人気の観光地の「トロリーバス」について解説します。

ハワイ州のオアフ島には「ワイキキトロリー(Waikiki Trolley)」という観光用のトロリーバスが運行されています。
チケット有効期間中、自由に乗り降りできるホップオン・ホップオフ式のバスで、ワイキキビーチの主要な観光地やショッピングサイト、グルメスポット、主要なホテルを結んでいます。

ハワイ

名称に「トロリー」がありますが、架線から給電する本来のトロリーバスではなく、通常のバスです。
レトロなトロリーバスや路面電車風のデザインの車体を使用していることから、このように呼ばれています。
懐かしいという側面が現代の観光に活用されているのも「トロリーバス」の特徴と言えるかもしれません。

ルートはブルー、グリーン、レッド、ピンクの全部で4つあります。全てワイキキショッピングプラザを起点としたルートです。

・ブルーライン:ワイキキビーチ東部の海岸沿い
・グリーンライン:ワイキキビーチ中央部、ダイヤモンドヘッド周辺
・レッドライン:ワイキキビーチ西部
・ピンクライン:グリーンラインとレッドラインの中間エリア

を運行しています。

チケットの種類は、各ルートの1日乗り放題のシングルタイプのチケットと、全路線が乗り放題のチケットがあります。なお、2歳以下は無料、12歳以上には大人料金が適用されます。

チケットは、オンライン、ワイキキショッピングプラザのチケットオフィス、ツアーデスクのほか、現金でドライバーからも購入できます。

【チケット料金表】

1day パス(シングル) 価格(小人) 運行間隔 主な見どころ
Blue Line $34($22) 約40分 ・シーライフパーク
・ハロナ潮吹き岩展望台
・ココマリーナ地区
Green Line $20($14) 約60分 ・ダイヤモンドヘッド
・ホノルル動物園
Red Line $34($22) 約60分 ・ホノルル美術館
・イオラニ宮殿
・カメハメハ大王像
Pink Line $6($6) 約15分 ・アラモアナ地区
・主要ホテル
全ルート共通パス  
1日間 $62($34)
4日間 $74($45)
7日間 $85($56)

なお、迂回ルートや遅延の発生、各ルートごとの始発・最終の時刻に関する最新の情報をホームページ等で確認し、スケジュールに余裕をもって行動しましょう。

参照:Waikiki Trolley 公式サイト

グアム

グアムのトロリーバス(Guam Red Shuttle)も、観光に適したトロリー風バスです。
主要ホテルと観光地、ショッピングエリアを結び、赤と緑のデザインが特徴となっています。

ルートは、タモンシャトル、ショッピングモールシャトルを基本とし、それぞれ北廻りと南廻りのルートがあります。このほかに、毎週水曜日運行のチャモロビレッジ・ナイトマーケットシャトル、毎週土曜日運行のデデド朝市シャトルなど、観光地を往復する便があります(2025年12月時点)。ルートの設定は期間限定であったり、変更される場合があるので、最新の情報をチェックしてください。

チケットの購入は公式ホームページのほか、1回券は現金でドライバーから購入が可能です。オンラインで購入した場合には、EチケットのQRコードを提示する必要がありますが、スクリーンショットや紙への印刷には対応していませんので注意してください。

【チケット料金表】

赤いシャトルバスチケット(タモンシャトル、ショッピングモールシャトル)
※5歳以下無料、括弧内の小人料金は6〜11歳に適用
1回券 $7
1日乗り放題 $15($7)
2日間乗り放題 $20($10)
3日間乗り放題 $25($12)
4日間乗り放題 $30($15)
5日間乗り放題 $35($17)
観光地行き往復チケット
チャモロビレッジ・ナイトマーケットシャトル $15($8) 毎週水曜日
デデド朝市シャトル $20($10) 毎週土曜日(前日16時までに要予約)

タモンシャトル、ショッピングシャトルの運行間隔はそれぞれ約45分〜1時間20分、1時間30分〜2時間と、時間帯によっても異なるので、最新の時刻表を常に確認してくださいね。

参照:Guam Red Shuttle 公式サイト

サンフランシスコ

サンフランシスコのトロリーバスは、地下鉄、路面電車、ケーブルカーを含むサン

フランシスコ市営鉄道(Muni)の複合交通網の一部として運行しています。

バス路線は、通常のバスとトロリーバスの両方で運行されています。
丘陵地帯のサンフランシスコでは、水力発電の電力供給を背景にトロリーバスやケーブルカーをはじめとした公共交通が発達してきました。

有名な観光地としては、ゴールデンゲートブリッジ、フィッシャーマンズワーフ、ツインピークス、チャイナタウンなどがあり、いずれも公共交通機関でアクセスがしやすくなっています。

■ 乗車方法

運賃の支払い方法は大きく4つあります。

1. 現金

乗車時に運転席隣の運賃箱に現金を入れて支払います。支払うとドライバーがレシートを発行するので忘れずに受け取り、無くさないようにしましょう。検札の際にレシートがないと、高額な罰金が科される恐れがあります。また、お釣りが出ないので、できるだけぴったりの小銭を用意することをおすすめします。

2. Clipper

「Clipper」は交通系ICのようなもので、プラスチックタイプとデジタルタイプがあります。現金、クレジット/デビットカード、オンライン支払いでチャージできます。他の交通会社の交通機関でも多く利用できるので、より広範囲でスムーズな移動が可能です。また、Muniのチケットを購入してロードすることも可能です。プラスチックタイプのカードは、空港やチケットオフィス、券売機、提携小売店等で入手できます。デジタルタイプは、Google ウォレットまたはApple ウォレットに連携させて利用します。

3. Muni Mobile

「MuniMobile」をスマートフォンにダウンロードしたあとアカウントを登録し、チケットを購入、乗車前にチケットをアクティベートして利用します。Muniのサービスにのみ対応しています。クレジット/デビットカード、PayPal、Google Pay、Apple Payといったオンラインの各種決済が利用可能です。アクティベート前であれば、事前購入したチケットは一部を除き6ヶ月有効です。一度に複数のチケットを購入できる他、家族や友人の分も購入できるという便利な点があります。

4. クレジット/デビットカード

クレジット/デビットカードを直接カードリーダーにタッチして乗車します。2025年に開始されたサービスで、シングルチケットや正規運賃にのみ対応しています(2025年12月時点)。

■ 乗車〜降車まで

トロリーバス・バスでは、前乗り・後ろ降りが基本です。降りる人を待って、前方から乗車します。現金を運賃箱に入れるか、カード類やスマートフォンをカードリーダーにかざして運賃を支払います。Muni Mobileは、乗車直前に必ずアクティベートしましょう。

乗車中に検札に来たら、現金払いの場合はレシートを、カードをタッチした場合は利用したカードをリーダーにかざし、支払いの記録を確認してもらいます。

降車する停留所が近づいたら、窓にかかっている紐を引っ張るか、ボタンを押して知らせます。停留所を知らせるバス前方の案内板や、通りのサインに注意して、降りる準備をしておくことをお勧めします。

■ チケットタイプ

以下が主なチケットタイプです。Muniの複数の乗り物を利用することができます。ClipperやMobile Muniでは一部のチケットで割引が適用されます。なお、内容と価格は2025年12月時点のものなので、お出かけの際には最新情報をチェックしてください。

チケットタイプ 購入方法 価格(割引価格) 備考
シングルチケット 現金、Clipper、Mobile Muni $3($2.85) 2時間有効
1日パス 現金、Mobile Muni $5.70 ケーブルカー含まず
ビジターパス(1日間) 現金、Clipper、Mobile Muni $15.00  
ビジターパス(3日間) 現金、Clipper、Mobile Muni $35.00  
ビジターパス(7日間) 現金、Clipper、Mobile Muni $47.00  

参照:Muni | SFMTA 公式サイト

まとめ

懐かしいようで最先端の乗り物でもあるトロリーバス。時代と共に様々に新たな交通の選択肢が現れながらも、環境性と利便性・安全性を高めながら、現在も合理的な選択肢として都市の交通を支えています。

観光としては、ゆったりとしたスピードで移動を楽しみながら、トロリーバスが利用されている背景を想像したり、ローカルのリアルな生活を体験したりする貴重な機会になることでしょう。

ワイキキやグアムのようなレトロなトロリー風のバスに歴史のイメージを重ねてみるのも、観光の非日常感を味わう一助となるかもしれません。

生きた文化であるトロリーバスを使いこなして、手軽に楽しく旅が続けられるといいですね。

 

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しおじぃ

◇経歴
土や紙をつかった造形や、ドローイングをしています。


◇資格
TOEIC 955


◇留学経験
スコットランドにあるグラスゴーの大学で、4年間美術を学びました。


◇海外渡航経験
今までたくさん旅をしました。
イギリス、フランス、イタリア、スイス、ベルギー、オランダ、チェコ、スロバキア、オーストリア、ノルウェー、フィンランド、スウェーデン、中国、香港、韓国、ネパール、タイ、フィリピン、インドネシア、マレーシア
色褪せた思い出を蘇らせようと、古いデジカメのデータを読み込もうとしたら、ほとんど消失していてショックを受けました。
今思えば貴重だった家族旅行、感動した景色、美味しかった食べ物、かけた時間や使ったお金が写真に詰まっていたように感じられ、寂しかったです。一瞬一瞬を大切に、これからも旅を続けようと思います。


◇自己紹介
日本の一般大学を卒業した後、憧れていた海外の美術大学に留学しました。
語学の面で苦労しましたが、留学の経験は宝です。
現在、作品の制作・発表と、ライター活動、コツコツ英語の勉強をしております。
書くことを通じて、経験を活かしながら、学びを続けたいと思っています。