妊娠中でも海外旅行は大丈夫?知っておきたいリスクと搭乗準備のポイント

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「妊娠中だけど海外旅行に行きたい...。」

「妊娠中の海外旅行はリスクがあるのは分かるけど具体的に何を注意すればいいの?」
そんな疑問を抱えていませんか?

安定期に入って最後の夫婦2人の思い出として海外旅行を計画している人もいるかもしれません。

この記事では、妊婦の方向けに妊娠中に海外旅行はできるのか、どんなリスクがあるのか、海外旅行保険について、飛行機搭乗のルール、体調管理のポイントなどをまとめてご紹介します。

妊娠中に海外旅行に行っても大丈夫?

妊娠中の「マタ旅(マタニティ旅行)」として海外旅行を計画する人もいますが、実はこちらはかなり慎重になるべきです。

たしかに、「赤ちゃんが生まれたら自由に動けなくなるから、今のうちに…!」と、記念や思い出作りに旅行先を海外に選びたくなる気持ちもわかります。

しかし、海外での滞在中に万が一体調を崩してしまった場合、日本のように安心して医療を受けられるとは限りません。

言語や文化の違いはもちろん、医療機関での医療の差、保険の適用範囲など、多くの要素が日本とは異なります。

とくに医療費に関しては、日本の健康保険が適用されない国も多く、入院や処置に数百万単位の費用がかかるケースもあるため、予期せぬトラブルが金銭的にも精神的にも大きな負担になってしまうことも。

そのため、妊娠中の旅行を計画する際は、海外ではなく、医療機関がすぐ近くにある国内の行き慣れた場所や、移動距離が短く負担の少ない地域を選ぶのが安全です。
どうしても海外に行く必要がある場合は、かかりつけ医とよく相談し、体調管理と準備を万全に整えたうえで慎重に判断しましょう。

妊娠中に海外旅行に行くリスク

ここからは妊娠中に海外に行くリスクは具体的にどんなものがあるのかを具体的にご紹介します。
これらの注意点を踏まえて妊娠中の海外旅行を考えている方は、慎重に判断したいですね。

エコノミークラス症候群になりやすい

飛行機での長距離移動など、同じ姿勢を長く続けることで「エコノミークラス症候群(静脈血栓塞栓症)」のリスクが高まります。

これは、座ったまま動かずにいることで血流が滞り、血管内に血のかたまり(血栓)ができてしまう症状です。

そもそも妊婦さんはホルモンの影響で血が固まりやすくなっており、血栓ができやすい体の状態になっています。
この血栓が胎盤の血管を詰まらせてしまうと、赤ちゃんに必要な酸素や栄養が届かなくなってしまうこともあるため、非常に深刻です。

ちなみに、エコノミークラス症候群という名前ですが、これはあくまで“狭い座席で長時間座り続ける状態”を指しているものであり、ビジネスクラスやファーストクラスでも同じことが起こり得ます。
妊娠中に飛行機などで長距離を移動する場合は、以下のような予防策をしっかりと意識しておくことが大切です。

・定期的に足首を回したり、ストレッチをする
・ふくらはぎを軽くマッサージする
・十分な水分補給を心がける
・締めつけの少ない服を着用する

妊婦さんは、移動中の健康管理を怠らず、無理のない範囲で快適に過ごすようにしたいところですね。

万が一体調を崩しても十分な医療を受けられない可能性

妊娠中に海外を訪れる際、もっとも懸念されるのが「もし体調を崩したときに、現地で適切な医療を受けられるのか」という点です。

日本国内であれば、急な体調の変化にも迅速に医師が対応してくれる体制が整っており、救急車や保険適用による治療もスムーズに受けられます。

しかし、海外となると事情はまったく異なります。
まず、病院を見つけるまでに時間がかかるケースが多く、現地の医療体制も日本ほど整備されていないことが珍しくありません。
また、現地の言語に不慣れな場合、症状や状態を正確に医師へ伝えるのも困難です。

さらに大きな問題は治療費です。
海外では健康保険が使えないことがほとんどで、妊娠・出産に関する治療費が数百万円単位に跳ね上がるケースも。
早産や入院が必要になった場合、治療費がさらに高額になるうえ、赤ちゃんと一緒に帰国できるまでに長期間を要する可能性もあります。

たとえば、アメリカでは救急車の利用が有料で、一泊二日の入院と診察だけで高額な請求が届くことも。
もし現地で出産まで至った場合、母子ともに退院後もしばらく滞在が必要になり、帰国の目処が立たなくなるリスクもあるのです。

このように、海外の病院で十分な医療を受けるには「言葉」「設備」「体制」「費用」すべてにおいて不安がつきまといます。

食べ物や水により注意が必要

妊娠中は体調が変化しやすく、特に食べものや飲み物に敏感になる時期です。

海外では、水や料理の衛生レベル、さらには食品そのものの安全基準が日本とは大きく異なる場合があります。

例えば、日本では当然のように行われている加熱殺菌処理が行われていない食品や、調理時の衛生管理が緩いレストランも多く、妊娠中の体にとってはリスクが高まる要因になりかねません。

妊婦さんは免疫機能が一時的に落ちているため、ちょっとした菌やウイルスでも体調を崩しやすく、食中毒などを引き起こす危険もあります。
慣れない土地での食事は、それだけで体にストレスを与えることもあります。

こういった理由から、妊娠中に海外の食事を楽しむ際は、衛生面に不安のある屋台や生ものは避けるのがおすすめです。
安心できるレストランを選ぶ、加熱されたものを中心に食べる、ミネラルウォーターを使用するなど、ちょっとした心がけが体調管理に大きく影響します。

「安定期」の目安は?

妊娠期間は一般的に3つの時期に分かれており、それぞれに身体の状態やリスクが異なります。

出産までの約40週のうち、妊婦さんが比較的体調を安定させやすいのは「安定期」と呼ばれる時期です。

この安定期にあたるのは、妊娠12週を過ぎた頃から28週頃まで。
つわりなどの体調不良が落ち着き、流産のリスクも低下し、比較的活動しやすくなる時期とされています。

一方で、妊娠初期(12週未満)は出産にはまだ遠く、体調が不安定なうえ、流産の可能性も高いため、遠出や無理な移動は避けた方がよい時期です。
また、妊娠28週を過ぎたあたりからは出産予定日が近づき、早産や破水といったリスクが高くなるため、飛行機などの長距離移動には注意が必要です。

実際に、多くの航空会社では妊娠後期の搭乗に制限を設けており、妊娠週数によっては医師の診断書が必要になる場合もあります。
妊娠中の旅行や移動を考えるなら、この「安定期」とされる中期のタイミングが最も安心しやすい目安です。
ただし、人によって体調は異なるため、必ず事前に医師と相談し、無理のないスケジュールを組みましょう。

航空会社の搭乗に関するルール

妊娠中でも飛行機に乗ることは基本的に可能ですが、出産予定日に近い時期の場合は航空会社ごとに特別な手続きが求められます。

たとえば、ANAの場合、出産予定日から28日以内に搭乗する際は医師の診断書が必要で、14日以内になるとさらに医師の同行も求められます。

一方、JALでは出産予定日の28日前から8日前までは診断書の提出が必須で、7日以内になると診断書に加え医師の同行が必要となります。

また、海外旅行保険の補償については、妊娠22週未満の初期段階で発生した異常に対してのみ対応している場合が多いです。
これには子宮外妊娠や流産、妊娠悪阻などが含まれます。
旅行中に妊娠週数が進んだ場合は、その時点での週数に基づいて補償が判断されるため注意が必要です。

妊娠中の海外渡航はできるだけ控えるべきですが、どうしても必要な場合は、各航空会社の規定を事前に確認し、医師の診断書や必要書類を準備しておくことが大切です。
安全に移動するため、計画段階でしっかりと情報収集を行いましょう。

海外旅行保険の重要性

ここからは海外旅行保険の重要性について詳しく解説します。

結論、妊娠中は海外旅行保険には入っておいた方がいいです。
その理由についてご紹介しますね。

妊娠中でも海外旅行保険に入れる

「妊娠中は保険に入れないのでは...?」と心配されている方も多いと思います。

しかし、妊娠中でも海外旅行保険に入れます。

保障内容として具体的には、子宮外妊娠や胞状奇胎、妊娠に伴う貧血、流産、妊娠悪阻などの症状が該当します。

これらは日本の公的医療保険で治療が認められる病状と同等とみなされているため、妊娠初期の異常に対する医療費が保険で保障される仕組みです。
つまり、妊娠中でも安心して海外に行けるよう、妊娠中のトラブルに対応した海外旅行保険に加入することは十分に可能であり、おすすめです。

保険金の支払いは21週目までの異常の場合に限る

妊娠中でも海外旅行保険に加入することは可能ですが、保険金の支払い対象となるのは妊娠21週目(22週目未満)までに発生した異常に限られます。

それ以降の妊娠期間中に起こったトラブルについては、多くの場合、補償の対象外となるため注意が必要です。

旅行中に妊娠22週目を迎える場合は、治療開始時の妊娠週数によって補償が適用されるかどうかが決まるため、あらかじめ確認しておくことが大切です。

妊婦の海外旅行保険の保険金払い対象例

実際に妊娠中の海外旅行保険の保険金が支払われた実例は下記の通りです。

・フランスで子宮外妊娠と診断され、8日間の入院と手術が必要に。家族が駆けつけ、看護師付き添いで医療搬送され、約541万円の保険金支払いがあった。

・ハワイで激しい腹痛により卵管破裂と診断され、10日間入院・手術。家族が現地へ来て支援し、約515万円の補償を受けた。

・ロシアで妊娠中に腹痛が起き、胎盤剥離による流産で6日間の入院と手術。家族が駆けつけ、医療スタッフが付き添いチャーター機で搬送。保険金は約1,800万円(不足分は自己負担)。

・ベトナムで雨で滑った同行者と一緒に階段から落ち、妊婦が左足を捻挫。治療費は約8万円。

・ハワイの出発便の機内で大量出血し、妊娠6週目で流産が判明。現地病院で緊急治療、費用は約90万円。

・ハワイで帰国前に大量出血し救急搬送、妊娠4ヶ月の胎児を流産。治療費は約47万円。

出発前の準備・旅行中の体調管理のポイント

ここからは海外旅行に出発する前に妊婦さんが準備しておくことと、体調管理のポイントを3つご紹介します。

万が一の事態のために調べておくことは非常に大切ですね。

母子手帳と健康保険証を携帯する

妊娠中に海外へ行く場合は、現地で体調を崩して医療機関を受診することも考えられます。

いざというときにスムーズに対応してもらえるように、母子健康手帳と健康保険証(コピー可)もしくはマイナンバーカードは必ず旅行カバンに入れておきましょう。

これらの書類があれば、妊娠の経過や健康状態を医師に正しく伝えることができ、適切な処置を受けやすくなります。

万が一のため病院を探しておく

海外旅行中に体調を崩す可能性も考慮して、滞在先周辺にある医療機関の情報を事前に調べておくと安心です。

特に、産婦人科のある病院や、緊急時に受け入れ可能な総合病院の場所・連絡先をメモしておきましょう。

土地勘のない場所で焦らず対応するためにも、あらかじめ現地の医療体制を確認しておくことが大切です。

かかりつけ医には報告しておく

海外旅行を計画している妊婦さんは、出発前に必ず普段診てもらっている医師や助産師に相談しましょう。

現在の体調や妊娠の経過をふまえて、旅行中に気をつけるべきことや、持っておくと安心な薬・書類など、専門的なアドバイスが受けられます。

また、滞在先のホテルや宿泊施設にも妊娠中であることをあらかじめ伝えておくと、いざという時に迅速な対応をしてもらえる可能性が高くなります。

まとめ

ここまで妊娠中の海外旅行について解説してきました。

妊娠中の海外旅行はできれば避けた方が無難ですが、もし行く場合はしっかり事前に準備しておきたいですね。
後悔のないよう、素敵な時間が過ごせますように、祈っております!

 

 

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髙橋麻実

◇経歴
英会話スクール10年受講

◇英語に関する資格
英語検定二級

◇海外渡航経験
渡航先での経験内容(仕事、旅行など):旅行でフィリピン、セブ島、バリ島、ボルネオ島、韓国、台湾、グアム、ハワイ、シンガポール、オーストラリアに渡航経験あり。

◇自己紹介
自身の経験も活かしながら読者に寄り添った記事作りに努めています。外国のことを知ることは自分の視野を広げ、人生を豊かにしてくれます。ネイティブキャンプで楽しく英語に学び、海外の文化に触れましょう!