
近年、フィリピンへの大学留学が注目されています。その理由は、日本の大学に比べて費用が圧倒的に安いからです。
フィリピンの大学では第三者機関から優良認定を受けている学部学科が多く、教育レベルが高いことで知られています。さらに、講師も厳しい採用基準をもとに選ばれているため、実践的な英語力を身につけたい方にとってもぴったりな留学先の候補です。
ここでは、フィリピンの大学に留学するにあたって必要な条件や情報について解説していきます。
フィリピンへの留学の基本情報
フィリピンはどんな国?
フィリピンは日本から飛行機でわずか4時間の移動で到着するところに位置し、時差も1時間しかないので時差ぼけの心配がありません。セブ島をはじめ、有名なリゾート地も身近にあることから気軽にリゾート体験ができるのも人気の要因となっています。
フィリピンの大学留学が人気である理由
公用語は英語とタガログ語ですが、公の場で使われる言語は主に英語です。したがって、学校の教科書や授業でも英語が使用されています。フィリピンでは英語の使用機会が格段に増えるため、自身の英語力を強化するには最適の環境になるでしょう。
フィリピンは日本だけに限らず、他国からも留学先として人気が高く、多くの留学生が在籍しています。
フィリピンの大学の多くが留学生の受け入れを積極的に行っているので、様々な国籍の人々と出会うことができる環境が整っています。また、日本人留学生やスタッフも多いため、サポート体制も充実しており、初めて留学される方にも安心です。
フィリピンの治安情勢について
一方で、治安は以前より改善されつつも、置き引きのトラブルや外出していけない危険区域はまだまだ存在しています。外出の際は注意事項を必ず守り、単独行動をしないようにトラブルを回避する意識は必要です。
フィリピンは現在、経済成長率が約5%と急激な成長を遂げています。まだまだ発展途上国ではあるものの、明るい未来を感じさせる「熱気」は日本や欧米の大学では決して経験することができないでしょう。
フィリピンの大学留学の特徴
フィリピンの大学留学では以下のような特徴があります。
専門的な知識を英語で学ぶことができる
フィリピンの公用語は英語がメインなので、どこへ行っても英語でのコミュニケーションが必須になります。大学の授業も全て英語で行われるため、専門知識や専門用語などを交えた実践的な英語を学ぶことが可能です。将来海外での仕事も視野に入れている方には大きな武器となるでしょう。
実践的な授業が多い
フィリピンでの授業は欧米式の教育を取り入れています。
日本の授業とは異なり、ディスカッションやプレゼンテーションなどの実践的な授業が多いことが特徴です。分からないことや疑問に思うことなどを解決するには自発的に学んでいく姿勢が重要になります。このように自発的に行動することで英語力も自ずと向上していくでしょう。
さらに、フィリピンの大学ではインターンシップが卒業要件に組み込まれるので、大学で学んだ内容をフィリピンの企業で実際に活用することができます。インターンシップをきっかけに自身のキャリアの幅を広げる可能性は大きくなるでしょう。
課題の量が膨大
フィリピンの大学の特徴として、出される課題の量が多いことで知られています。そのため、日本の一部の大学のように授業さえ出席していれば単位がもらえるという考えが通用しません。
受け身の姿勢で授業に臨むと単位取得はもちろん、授業についていくのが難しくなります。したがって、本気で勉強したい方には最適な環境です。教授や周りの学生たちとコミュニケーションを取りながら、自発的に学ぶ姿勢を維持することが重要です。
以上のことから、フィリピンの大学留学は本気で勉強したい方にとって最適な環境と言えるでしょう。
フィリピンの大学トップ10と偏差値
フィリピンの大学には日本の大学のような偏差値が存在しません。偏差値の代わりに、2025年時点でのQSアジア大学ランキングのデータを基準に作成した学力の目安を紹介します。
| QSランキング | フィリピンの大学 | 日本の大学 | 日本の偏差値 |
| 21位 | - | 東京大学 | 78 |
| 23位 | - | 京都大学 | 77 |
| 86位 | フィリピン大学 | - | 75-78相当 |
| 142位 | アテネオ・デ・マニラ大学 | - | 70-73相当 |
| 143位 | - | 一橋大学 | 75-84 |
| 163位 | デ・ラ・サール大学 | - | 68−71相当 |
| 181位 | サント・トーマス大学 | - | 65−68相当 |
| 411-420位 | アダムソン大学 | 秋田大学、群馬大学 | 47-71 |
| 481-490位 | サンカルロス大学 | - | 58-61相当 |
| 541-560位 | フィリピン工科大学 | 秋田県立大学、山形大学 | 47-68 |
| 561-580位 | マプア大学 | 名古屋工業大学、お茶の水女子大学 | 59-77 |
| 601-620位 | シリマン大学 | 愛媛大学、大分大学 | 48-69 |
| 681-700位 | 極東大学(FEU工科大学) | 三重大学、佐賀大学 | 51−71 |
東京大学や京都大学のレベルには及ばないものの、一般的な国公立大学と同レベルの学力が必要です。実際の試験の問題文は全て英語で出題されるため、留学の際に求められている英語力よりもさらに高いレベルが必要になるでしょう。
なお、QSランキングは以下のスコアを個別に算定したものであり、それらを合計した得点から順位を算出したものになります。
トップ3の大学について詳しく解説!
ここでは、トップ3に入る大学について詳しく見ていきましょう。以下のランキングは先ほどのQSアジア大学ランキングを参考にしたものになります。
1位:フィリピン大学
別名「フィリピンの東大」とも呼ばれているフィリピン大学は1908年に創立された、フィリピン国内で一番長い歴史がある国立大学です。
国内に17のキャンパスが各地に設けられており、特にディリマン校が有名です。全体で約5万人の生徒に対し、ディリマン校は約半分の学生が占めています。
大学の学部が80あるのに対し、そのうちの20以上の学部は国と教育機関の優良認定を受けており、総合的な評価が高いことが特徴です。
したがって、国内で最も学生からの人気が高くUPCATと呼ばれる大学の独自試験は競争率が激しいことで知られています。
過去の卒業生には、ノーベル平和賞受賞者やピューリッツァー賞受賞者、国家科学者、共和国大統領などの有名人が数多く輩出されています。
学費は年間約2〜10万円ほどと、国公立大学のため安価であるのも魅力の一つです。
2位:アテネオ大学マニラ校
1895年に設立されたアテネオ大学マニラ校はイエズス会系の私立大学の名門校として有名です。
約15,000人の学生が在籍しており、7つの学部で構成された大学です。特にITと教育の分野に強く、優良認定の実績も受けています。
最近では災害リスクの予防や軽減、保健システムの開発、公共教育の分野での研究に力を入れており、大学にはそれに関する研究センターも設けられています。
京都大学をはじめ、約40の日本の大学と協定を結ぶなど交流実績が多いことでも知られ、大学によっては在学中の留学も可能です。
学費が年間約30万円ほどで国立大学に比べて高額ですが、その分設備が充実しています。アテネオ大学は生徒と関係者以外は立ち入り禁止になっており、セキュリティシステムは万全です。
フィリピンの平均年収は約45万円ほどですので、地元の学生は勉強意欲の高い富裕層が多く在籍しています。
3位:デ・ラサール大学マニラ校
1911年に設立されたデ・ラサール大学はカトリック系の私立大学で16,000人ほど在籍しています。特にITやビジネス系教育が強いのが特徴で、優良認定を受けているほか、ASEAN大学ネットワークから東南アジア工学教育ネットワーク(SEED-Net)の一員にも選ばれている唯一の私立大学です。
具体的には、フィリピン発のソーラーカーの開発で民間企業から資金提供を受けた実績があります。さらに、化学工学の研究チームが排水などを栄養豊富な肥料に変換する研究でニュートン賞を受賞して、国内の衛生設備の普及率向上に貢献をしています。
ラサリアンという教育哲学を取り入れ、社会正義や倫理観を育てて社会に貢献できる人材を育てることを目的にしているのが特徴です。そのため、学生にはボランティア活動や地域貢献プロジェクトに参加することを推奨しています。これらを通じてリーダーシップが磨かれる環境が用意されています。
学費が年間約50万円で、アテネオ大学同様に勉強意欲の高い富裕層の学生が多く在籍していることが特徴です。
フィリピンの大学に留学するための条件
留学するにあたって必要なものは、高校の成績証明書、入学試験のスコア、自身の英語力を証明するものが必要になります。
例えば、フィリピン大学ディリマン校に入学する場合、以下の条件を満たす必要があります。
大学の独自試験で合格する以外にもSATやGCE、国際バカロレア試験などの国際資格を受験し、必要なスコアを事前に確保する方法もあります。
こちらの試験は日本でも受験が可能で、高校卒業の資格があれば年齢制限なく受験することができます。大学生であれば在籍している大学によっては受験が可能です。
少なくとも年に2回以上は受験することが可能です。取得から2年以内であれば、学力判断の有効性は高いので挑戦してみる価値はあるかもしれません。
まとめ
フィリピンの大学に留学するためには英語力を含めて、日本の国公立大学レベルの学力が必要になります。しかし、大学によって求められる基準は全く異なります。まずは何を学びたいかを明確にし、気になる大学があるかどうかを調べた上で受験対策を行うことが重要です。
◇経歴
学習塾で小学生から高校生までを対象に英語を教えていました。
現在は、英語の学習方法や教育に関する記事を執筆するライターとして活動しております。
◇英語に関する資格
小学校英語指導者資格(J-SHINE)
◇留学経験
大学時代にアメリカでの語学留学を経験。
現地で様々な人とコミュニケーションを取る中で、語学力だけでなく異文化理解の大切さも学び、この経験は私の大きな財産となっています。
◇自己紹介
普段は接客業もしており、外国人のお客様に対応できるよう日々英語力を磨いております。最近はメジャーリーグに夢中で、実況を字幕なしで理解できるよう日々挑戦しています。