フィリピン留学や旅行を考える際に気になるのが治安。日本と異なる環境に不安を感じる方も多いはずです。
この記事では、最新の犯罪傾向やセブ島の安全性、日本人が巻き込まれた事件などを解説し、安心して渡航準備ができる情報をお届けします。
フィリピンの犯罪率の推移
犯罪発生件数の減少傾向
近年、フィリピンの犯罪発生件数は減少傾向にあります。フィリピン国家警察(PNP)の統計では、2016年に約58万件あった犯罪が、2018年には約49万件に減少。
その後もこの傾向は続き、2022年には約38万件と、数年で大幅な改善が見られました。これはフィリピン全土における治安向上を示す明るい兆しといえます。
ドゥテルテ政権の治安対策の影響
この改善の背景には、2016年に就任したドゥテルテ前大統領の強硬な治安政策があります。
麻薬犯罪の一掃を掲げ、犯罪抑制キャンペーンを展開した結果、治安改善に一定の効果があったとされています。ただし、人権侵害の懸念などもあり、国内外で賛否が分かれたのも事実です。
依然高い犯罪率と注意点
とはいえ、犯罪発生率は依然として高めです。日本と比べると、フィリピンでは殺人・強盗・レイプの発生率が数倍にのぼります。
特に観光客や外国人は標的になりやすく、在フィリピン日本大使館も「日本との違いを理解し、予防策を徹底することが重要」と警鐘を鳴らしています。
多発する犯罪の種類
フィリピンで最も多いのは窃盗や強盗などの財産犯罪。市場や交通機関内では、スリやひったくりが頻発しています。
セブ州では2024年初頭に窃盗255件、強盗78件、殺人45件が報告されており、軽犯罪から凶悪事件まで多岐にわたることが分かります。特に人混みでは持ち物の管理を徹底し、自衛意識を高めましょう。
フィリピンで日本人が巻き込まれた事件の例
日本人が遭遇しやすい犯罪
フィリピンでは日本人が被害に遭う事件が毎年のように報告されています。
日本人は「裕福で親切」と見られやすく、スリやひったくり、置き引きといった軽犯罪のほか、睡眠薬強盗や恐喝などの計画的な犯罪に巻き込まれるリスクも高いとされています。
セブ州でも、美人局(つつもたせ)やひったくりの被害事例が確認されており、特に観光客や短期滞在者が狙われやすい傾向にあります。まずはこうした傾向を知ることが、安全対策の第一歩です。
強盗・傷害事件の事例
夜間に外出していた日本人が現地の男たちに金品を要求され、抵抗して銃で撃たれる事件や、通勤中に強盗に襲われ所持品を奪われたうえで負傷したケースもあります。
こうした強盗事件では銃器が使われることも多く、現地では「抵抗すると命の危険がある」として、大使館も警戒を呼びかけています。
万一被害に遭った場合は、決して抵抗せず、身の安全を最優先に行動することが何より重要です。
誘拐・殺人事件の例
南部ミンダナオ地方では過去にイスラム過激派による外国人誘拐事件が多数発生しました。現在は減少傾向にあるものの、2022年にも外国人が巻き込まれた誘拐事件が報告されています。
また、日本人実業家が金銭トラブルから誘拐されかけた事例や、2023年にはセブ島で日本人男性が自宅で殺害される事件も発生しました。
こうした痛ましい事件は少数ながら現実に起きており、油断せず常に警戒を持って行動する必要があります。
フィリピンの治安ランキングと評価
世界におけるフィリピンの治安ランキング
フィリピンは国際的に見ると、治安面では注意が必要な国と評価されています。殺人発生率の世界ランキングでは57位と、東南アジアの中でも高めです。
さらに、世界の平和度を示す「グローバル・ピース・インデックス(GPI)2023」では163か国中115位。これは過去最高の順位ではあるものの、アジア太平洋地域では北朝鮮・ミャンマーに次いで下から3番目という位置づけです。
数値的にも地域平均を下回り、国際的には「リスクの高い国」と見なされています。
旅行者向け評価と海外安全情報
日本の外務省はフィリピンを地域ごとにリスク評価しており、セブ島やマニラなどは「レベル1:十分注意」と比較的軽度。
一方、ミンダナオ西部など一部地域は「レベル2:不要不急の渡航中止」が出されています。
アメリカ国務省も一部地域に最高レベルの渡航警告を発しており、都市部でも注意が必要と評価しています。旅行者は渡航前に外務省や各国大使館の安全情報をこまめに確認し、最新の治安状況を把握することが大切です。
フィリピン国内の安全な都市・危険な都市
フィリピン国内では都市ごとに治安状況が大きく異なります。安全な都市として知られるのがダバオ市で、市をあげての防犯対策により比較的治安が良好です。
また、教育都市バギオ市も落ち着いた環境で外国人に人気があります。反対に、マニラ首都圏ではスリや強盗が多発しており、安全なエリアと危険な地域が混在。
セブ市もエリアによって差があり、滞在地の治安確認は不可欠です。事前に目的地の地域情報を調べ、安全な行動を心がけましょう。
治安に関する総合的な評価
総じて、フィリピンの治安は東南アジアでは中間程度の位置にありますが、日本と比べると大幅にリスクが高いと言えます。銃器や薬物に関する犯罪の存在、都市部でのスラムとの近接などがその背景にあります。
ただし、旅行者の多い観光地では警備体制が整っており、日常生活で命の危険に直面することはまれです。2023年には国家非常事態宣言の解除など、治安改善の兆しも見え始めています。
「完全に安全」ではないものの、「正しく注意すれば安全に過ごせる国」として理解することが大切です。
セブ島の治安は本当に悪い?
観光地セブ島の安全性
「セブ島の治安は悪い」と言われることもありますが、フィリピン国内では比較的安全な観光地とされています。
特にセブ市やマクタン島のリゾートエリアでは大規模なテロ事件などは起きておらず、昼間の観光に関してはそれほど神経質になる必要はありません。
リゾートホテルや主要観光スポットでは警備体制が整っており、外務省の危険情報も常に「レベル1:十分注意」レベルにとどまっています。
ただし、海外である以上、日本よりも一段高い防犯意識を持って行動することが大切です。
セブ市の繁華街とスラム地区
セブ市は経済と観光の中心で、ビジネス街や商業エリアは比較的安全ですが、スラム地区や貧困地域に近づくと犯罪リスクが高まります。
特にダウンタウンのオスメニャサークルからコロン通り、港周辺などではスリやひったくりが多発。観光客を狙った子どもスリ集団も報告されています。
また、セブ州の年間犯罪率はフィリピン平均よりは低いものの、日本と比べれば高い水準です。エリアごとの情報を確認し、危険とされる場所には近づかないよう注意が必要です。
夜間外出と交通機関の注意点
夜間の一人歩きは避け、複数人であっても人気のない場所は避けた方が安心です。特にナイトクラブやバーでの飲酒時は注意が必要で、知らない人に誘われても軽率について行かないようにしましょう。
移動はGrabなどの配車アプリを活用するのが安全。流しのタクシーには料金トラブルやぼったくりのリスクがあり注意が必要です。
また、ジープニーやトライシクルなどのローカル交通ではスリ被害の報告もあるため、乗車中は荷物の管理を徹底しましょう。
セブ島で安全に過ごすポイント
安全な滞在のためには、貴重品を極力持ち歩かないこと、ブランド品やアクセサリーは控えることが基本です。
特に金のネックレスは狙われやすく、危険を伴うこともあります。現金は必要最低限に抑え、人混みではバッグを前に抱えるなどしてスリ対策を。
また、親切を装った勧誘にも注意し、見知らぬ人からの誘いには警戒心を持ちましょう。基本を守れば、セブ島は安全に楽しめる観光地です。「自分の身は自分で守る」という意識を忘れずに行動してください。
日本とフィリピンの犯罪傾向の違い
犯罪発生率と治安意識の違い
日本とフィリピンでは、犯罪発生率や日常の治安意識に大きな差があります。日本は殺人や強盗の発生率が非常に低く、落とし物が戻ってくるような安全な国です。
一方フィリピンでは、凶悪犯罪の発生率が日本の数倍にのぼり、「ここは日本ではない」という意識を持つことが大切です。
日本では気にしない夜の外出も、フィリピンでは十分な警戒が必要です。油断せず、防犯意識を一段上げて行動することが求められます。
犯罪の種類と手口の違い
日本では空き巣や詐欺電話が多い一方で、フィリピンでは銃を使った強盗や睡眠薬を使った犯行、美人局などの計画的な犯罪が見られます。
中には、物乞いを装ったスリ集団や偽警官による恐喝など、日本では想像しにくい手口も。こうした「日本にないタイプの犯罪」が存在することを理解し、滞在中は常に慎重な行動が求められます。
警察・法律の違いと対処
警察組織や法律制度も両国で異なります。
日本の警察は市民の信頼が厚く、治安維持体制も整っていますが、フィリピンでは警察の対応に差があり、すべてのエリアで十分な対応が取られているとは限りません。特に貧困地域では無法地帯化の懸念もあります。
さらに、フィリピンでは合法的に銃を所持できるため、一般市民間の銃器使用も起こりえます。緊急時には英語や現地語での対応が必要になるため、大使館や警察の連絡先を事前に控えておくと安心です。
防犯意識と文化の違い
日本では「人を信じる」文化が根強い一方、フィリピンでは「自分の身は自分で守る」意識が浸透しています。
窓に鉄格子を設置したり、警備員を雇う家庭も一般的です。公共施設でも荷物チェックや金属探知機による検査が行われており、旅行者にはやや物々しく感じられるかもしれませんが、安全確保のための配慮です。
文化の違いを理解しつつ、防犯意識を日本よりも高めることが、安心して過ごすコツです。
まとめ
フィリピン、特にセブ島は観光や留学先として人気が高い一方で、日本とは異なる治安リスクが存在します。
しかし、最新の情報を把握し、防犯意識を高めて行動することで、多くの危険は回避できます。不安な気持ちがあるのは当然ですが、「知って備える」ことこそが安全な滞在への第一歩です。
現地の文化や生活スタイルを理解し、フィリピンでの滞在を安心かつ有意義なものにしてください。

◇経歴
・新卒で入社した貿易商社にて韓国語英語を使い貿易業務に従事。
・現在は大手総合情報サイトのカスタマーサクセス職に携わる傍ら、副業で韓国語・英語を使用しマーケティングチームの一員として奮闘中。
◇留学経験
・カナダに姉妹校をもつ国際的な高校に入学し、交換留学を経験。
・大学では国際学部を専攻し、国際情勢を英語で毎日学び、卒業論文も
英語で執筆。
・大学在学中に韓国外国語大学という韓国一外国人留学生の多い大学に
留学し、英語と韓国語を同時に学ぶ。
◇海外渡航経験
旅行:タイ、バリ、カナダ、韓国
◇自己紹介
小学生の時に、ナルニア国物語に出会い、英語に目覚めました。
英語が話せたら、色んな人と話せるだろうなぁ、自分の知らない世界を知ることができるんだろうなぁという幼い時に芽生えた純粋な心を今日まで忘れず、”語学”と共に生きてきました!
私は日本生まれ日本育ちですが、在日コリアンのルーツを持っています。第一言語は日本語ですが、母国語にも興味を持ち、小学5年生から独学で勉強をして韓国語検定6級を取得した過去もあります。
語学は人生を豊かにしてくれるものだと心から信じていますし、楽しさを自分のものだけにせず、誰かと分かち合いたい気持ちからライターとして活動を始めました!
今年からオーストラリアに拠点を移し、再度勉学に励みつつ、『自由に働く』ことを夢に掲げていますので、現地の最新情報なども発信できたら嬉しいです。