海外留学を検討している方にとって、学費は大きな関心事のひとつではないでしょうか。中でもアジアのハブ都市である、シンガポールは、英語で質の高い教育を受けられる国として世界中の留学生から注目を集めています。
しかし、実際にシンガポール留学するとなると、「大学の種類によって学費はどのくらい違うの?」「奨学金制度はあるの?」といった疑問も多いのではないでしょうか。
本記事では、シンガポールの大学種別(国立・私立)ごとの学費目安や、日本人学生も対象となる奨学金制度について、わかりやすく解説します。留学費用の計画を立てる際の参考にしてください!
- シンガポールの大学の学費目安:国立大学
- シンガポールの大学の学費目安:私立大学
- 留学生からも人気!シンガポール国立大学について
- シンガポール国立大学の助成金・奨学金
- 学費以外でシンガポール留学にかかる費用
- まとめ
シンガポールの大学の学費目安:国立大学
シンガポール国立大学 (National University of Singapore, NUS) をはじめとするシンガポールの国立大学は、アジアを代表する高水準な教育機関として評価されています。
そのため、留学時には事前に学費を正確に把握し、適切な予算計画を練ることが重要です。
シンガポールの国立大学では、シンガポール政府の助成金が適用される場合、様々な学部で学費を大幅に抑えることが可能です。
学費は専攻分野や国籍によって異なり、特に日本人留学生などの非ASEAN国籍の国際学生は、比較的高めの授業料が設定されています。
代表的な大学には、アジアランキング常連のシンガポール国立大学(NUS)、工学や科学分野に強い南洋理工大学(NTU)、ビジネス教育で注目されるシンガポール経営大学(SMU)などがあります。
文系や経済・経営系であれば比較的安価な一方、理工系やコンピュータサイエンスなどの専攻では高めの授業料となっています。なお、医学部など一部の専門課程ではさらに高額になることもあります。
目安としてNUSの学費を例に挙げると、文学部や社会科学系の学部では、年間で約19,150シンガポールドル(S$)の学費が必要です。日本円に換算すると、約215〜220万円程度です(為替レートにより変動あり)。
一方で、経済学部や工学・コンピューター系の学部はやや高く、年間約21,400S$(約240〜250万円)となります。さらに、医学部などの医療系学部になると、年間約66,650S$(約750万円以上)と非常に高額です。
ただし、シンガポールには「Tuition Grant(授業料補助制度)」という政府の学費補助制度があり、条件を満たせばこれらの学費をおよそ半額程度に抑えることができます。
これは、シンガポールの教育政策の一環として優れた人材を国内に留める目的で施行されているものです。
この補助を受けるためには、卒業後にシンガポール国内で最低3年間就労する義務があるため、将来的に現地でキャリアを積む意思がある人には魅力的な選択肢です。
補助を受けずに進学する場合は、学費が非常に高額になるため、奨学金の活用や費用面の事前準備が欠かせません。
シンガポールの大学の学費目安:私立大学
シンガポールでの留学を検討する際、私立大学の学費も重要なポイントの一つです。シンガポールには、多くの国際的な評価を受けた私立大学があり、学費についても大学やプログラムによって幅広い設定がされています。
一般的に、私立大学の学費は国立大学に比べて高額になる傾向がありますが、提供されるカリキュラムや学位の国際的な認知度から、多くの留学生に選ばれています。
シンガポールの私立大学では、Kaplan(カプラン)、SIM Global Education(シム・グローバル・エデュケーション)、PSB Academy(ピーエスビー・アカデミー)といった教育機関が有名です。
これらの大学は、イギリスやオーストラリアなどの海外大学と提携しており、現地で授業を受けながら提携校の学位を取得できるのが特徴です。
学費の目安としては、年間およそS$12,000〜S$20,000(日本円で約140万円〜230万円)が一般的です。学部によって差はありますが、ビジネスやIT、観光マネジメントなど、国際的に需要の高い分野が多く提供されています。
また、2〜2.5年で卒業できるコースも多く、トータルコストを抑えることも可能です。多くの私立大学では分割払い制度や成績優秀者向けの奨学金も用意されているため、経済的な負担を軽減しながら学ぶこともできます。
留学生からも人気!シンガポール国立大学について
先ほどもご紹介した、シンガポール国立大学(National University of Singapore, NUS)は、アジアだけでなく世界的にも高い評価を受けている国立大学です。
世界大学ランキングでは常に上位に位置し、その卓越した教育水準とキャンパス環境、そして多様性への取り組みが多くの学生を惹きつけています。
この大学は、1905年に設立された長い歴史を誇り、高度な学際的研究を行う教育機関として知られています。
現在はケントリッジ、ブキットティマ、アウトラムにキャンパスを構え、キャンパス全体が約150ヘクタールにわたる広大な面積を占めています。
学生総数は30,000人を超え、その中で留学生は約7,500人と、国際的な学びの場としても注目されています。
シンガポール国立大学は、ビジネスやエンジニアリング、医学、コンピューティング、クリエイティブ・アートなど幅広い分野で多くの学部を提供しており、特にMBAプログラムはアジア圏でもトップクラスと評価されています。
また、「Towards a Global Knowledge Enterprise(グローバルな知識企業に向けて)」というモットーのもと、シンガポールの政府教育政策と連携し、最先端の研究や社会的課題解決に寄与する教育を促進しています。
そして、NUSは、世界トップクラスの教育機関として非常に競争力の高い入学基準を設けています。学士課程への入学を目指す場合、高校での優れた学業成績が必要となります。
具体的には、国際バカロレア(IB)やGCE Aレベル、またはそれに相当する高い学力証明を求められます。
日本の高校からの進学を目指す場合、大学入試センター試験や高校の成績証明書が重視される場合もあります。大学院の場合、関連分野の学士号に加え、研究経験や発表実績などが評価されます。
シンガポール国立大学の助成金・奨学金
シンガポールの大学は、留学生に対して多様な助成金や奨学金を提供しており、学費を抑えるための選択肢として非常に魅力的です。
このような制度は、シンガポールの教育政策の一環として設けられており、優れた学生に手厚いサポートを提供することで、高い教育水準を維持しています。
最も広く利用されているのが、シンガポール政府が提供する「Tuition Grant(授業料助成金)」です。この助成金を利用することで、学費が大幅に軽減されます。
例えば、ビジネス学部の場合、政府助成金適用後の学費はおよそS$20,850と、助成金なしのS$32,703に比べて経済的な負担が減少します。さらに各大学が提供する奨学金制度も充実しています。
例えば、NUSには成績優秀な学生に送られる「NUS Global Merit Scholarship」と呼ばれる奨学金があり、学費の全額免除に加えて、生活費や留学関連費用の補助も受けることができます。
この奨学金は競争率が高いものの、受給できれば経済的負担を大きく軽減することが可能です。
また、シンガポールの国立大学では研究関連の奨学金も充実しており、大学院生には研究助手として働きながら学費をカバーできる制度も用意されています。
この補助金を受給できれば、学問に集中しつつ実践的なスキルを身につけることが可能になります。
学費以外でシンガポール留学にかかる費用
シンガポールの大学に留学する際には、学費以外にもさまざまな費用がかかります。これらを事前に理解しておくことで、留学生活の計画をよりスムーズに進めることが可能です。
以下では、留学にかかる代表的な費用を詳しく見ていきます。
まず、住居費は留学生活において大きな負担となる費用になります。シンガポールは都市国家で土地が限られているため、家賃が高額な傾向にあります。
大学内の学生寮を利用する場合、ルームメイトの人数により費用は異なりますが、月額S$400からS$1,200程度が目安です。
一方、大学外でアパートやシェアルームを借りる場合はさらに高くなり、S$1,500以上かかることもあります。また、食費も留学計画を立てる際に、抑えておきたいポイントです。
シンガポールでは安価で美味しい屋台料理を食べられるホーカーセンターと呼ばれるフードコートのような場所が豊富にあるため、一食S$3からS$5程度で抑えることができます。
ただし、レストランで食事をしたり自炊材料をスーパーマーケットで購入したりする場合には、月にS$300からS$600程度を見込む必要があります。
さらに、交通費も学生生活に必要な費用の一つです。シンガポールの公共交通機関は非常に発達しており、MRT(地下鉄)やバスを利用することで手軽に移動できます。
学生割引が適用される場合、月にS$50からS$100程度で出費を抑えられます。
医療保険も見落とせない費用の一つです。シンガポールの大学に留学する学生には、医療保険の加入が義務付けられています。この費用は年間S$100からS$300ほどが目安です。
その他にも、生活費として日用品や通信費、娯楽や遊興費などを考慮する必要があります。
携帯電話のプラン料金は月にS$20からS$50程度で、インターネットやサブスクリプションサービスなどの利用によりさらに追加費用が発生することがあります。
このように、シンガポールでの留学は学費以外にも多様な費用がかかることが分かります。留学を検討する際には、学費だけでなくこれらの生活費を含めた予算をしっかりと計画することが重要です。
シンガポールの大学で充実した留学生活を送るためにも、事前の準備を怠らないようにしましょう。
まとめ
シンガポールへの大学留学は、アジア屈指の教育環境とグローバルなキャリアチャンスが得られる魅力的な選択肢です。
学費は専攻によって幅がありますが、日本の私立大学と同程度〜やや高めの水準であり、政府の授業料補助制度や奨学金を活用すれば、経済的な負担を軽減することも可能です。
また、将来的に英語圏でのキャリアや国際的なネットワークを築きたい方にとって、シンガポール留学は十分に検討する価値があります。
留学を検討中の方は、費用面だけでなく、将来の進路や現地での生活も見据えたうえで、しっかりと情報収集を進めていきましょう。