「もっと英語が話せるようになりたい」「将来、海外で働いてみたい」「日本とは違う価値観や文化に触れてみたい」ーそんな想いから「留学」に興味を持つ高校生が増えています。
文部科学省の調査によると、日本人高校生の海外留学生数は、2017年度に約4.7万人と過去最高を記録しました。その後、コロナ禍の影響で2021年度には約0.3万人まで減少しましたが、2023年度には約3.5万人まで回復しています 。
政府は、2033年までに高校生の海外留学生数を12万人に増やすという目標を掲げており、今後も高校生の留学が増加することが期待されています
でも、いざ留学を考えたときに気になるのが、「費用が高そう」「初めての海外生活はちょっと不安」というハードル。特に欧米圏への留学は、時間もお金もかかる上、環境や文化のギャップも大きくなりがちです。
そんな中、今注目されているのがアジアへの短期留学。距離も近く、費用も抑えられるうえ、英語学習や異文化体験がしっかりできるという点で、はじめての留学先として選ぶ高校生が増えています。
この記事では、アジア短期留学の特徴やメリット・デメリットをわかりやすく解説しながら、高校生に特におすすめの国(フィリピン・シンガポール・マレーシア)をご紹介します。
短期留学とは?
短期留学とは、一般的に1週間〜3ヶ月程度の期間で海外に滞在し、語学学習や異文化体験を行うプログラムを意味します。高校生の場合は、長期休暇を活用して渡航するのが一般的です。期間の目安としては、1〜2週間の超短期で、英語初心者や、海外経験が初めての人におすすめです。簡単な語学レッスンや現地でのアクティビティーなどの異文化体験を通じて、英語を使うことができます。
そして約1ヶ月の短期間では、語学学校などに通ったり、ホームステイをしながら現地生活を体験できます。授業と観光のどちらも、バランスよく海外体験をすることが可能です。そして、約2〜3ヶ月の準短期になると、よりじっくり海外での現地生活に順応しながら、集中的に語学力を伸ばしたい人向け。
より現地の生活に馴染み、習得度も高まります。特に語学習得の面では渡航前との確実な上達を感じることができるでしょう。
短期留学の利点としては、英語を中心とした語学力の向上、異文化体験による視野の拡大、海外での生活体験を通じた自立心の育成、進学や将来のキャリアに向けたステップなど、語学力アップだけではなく、目的に合わせた様々な利点があるといえるでしょう。
短期留学の形式
短期留学には、様々な形態・ルートがあります。自分の目的や、重視したいポイントをもとに、自分に合った形態を選びましょう。以下に主な形式をご紹介します。・語学学校への短期留学
語学学校の短期留学プログラムに参加する方法です。語学学校でのレッスンを中心に、ホームステイや寮生活などを経験したり、学校の用意するアクティビティーを通じて異文化体験をすることができます。語学力に自信のない方や、海外体験が少ない方でも無理なく参加することができるので一番ポピュラーな形態です。・学校交流型
現地の高校に通い、現地の生徒と一緒に授業を受ける形態です。これは学校間での協定や、直接学校に問い合わせて行います。ほとんどの場合、学生寮か現地校の生徒のホームステイをしながら、現地学生と同じように生活することができます。現地の学生が受けている授業に参加するので、ある程度英語に自信のある方にぴったりです。・ボランティア型
現地でのボランティア活動を通じた社会貢献と語学習得を組み合わせた内容で、ボランティア活動を通じて参加者や現地の人との交流をします。ボランティア活動を行うための、基本的な英語によるコミュニケーションができていることが前提です。アジア短期留学の特徴とメリット・デメリット
このように、様々な選択肢のある短期留学ですが、実際の費用や渡航距離などを考えるとハードルが高いと感じる方もいるようです。そのような方に、アジア圏での短期留学がおすすめな理由をメリットとデメリットに分けて以下にご紹介します。 ● メリットアジア圏への短期留学はコストを抑えて、限られた時間を最大限に生かすことができるという点にあります。また、教科書通りの英語だけではなく、生きた英語に触れることができるのも特別な経験でしょう。
アジア留学は「英語を学びながら多文化に触れる」点でとてもバランスの取れた留学スタイルです。特にフィリピン・シンガポール・マレーシアは、英語が広く通じる国でありながら、アジア特有の文化や価値観にも触れられます。
欧米と比べて授業料・生活費が圧倒的に安い
航空券も安価なため、トータルコストが大幅に抑えられる
時差やフライト時間が短く、短期留学期間中の体調面の負担が少ない
多民族国家ならではのダイバーシティを体験することができる
ダイバーシティーに富んだ「生きた英語」に触れることができる
● デメリット
その一方で、デメリットも存在します。先ず、いまだに留学イコール欧米圏という固定概念に対して、「なぜアジア留学を選んだのか」、「アジアでの留学を通じて何を得たのか」、ということをしっかりと説明できることが重要です。また、慣れない文化や宗教の違いを知らずに渡航して、現地で驚くことがないように、事前リサーチが必要です。
一部の進学先や企業で欧米留学が有利とされる場合もある
学校や語学機関によってプログラムの質に差があるため、事前リサーチが重要
文化・宗教の違いに慣れる必要がある
高校生のアジア短期留学でおすすめの国
それでは、具体的に高校生の短期留学におすすめのアジアの国:フィリピン、シンガポール、マレーシアをご紹介します。フィリピン
● 特徴と魅力フィリピンはアジア圏に存在しながらも、英語が公用語の一つとして広く使用されており、語学留学先として世界的に人気です。昨今のフィリピン留学ブームもあり、英語教育の質も高く、選択肢が沢山あるのも魅力です。
● こんな人におすすめ!
コストを抑えて語学習得を優先したい人
マンツーマンの授業で会話力やリスニング力を伸ばしたい人
フレンドリーな環境で生きた英語を身に着けたい人
● メリット
コストを抑えてマンツーマンレッスンが受けることができる
日本からの渡航時間が約4〜5時間と近い
温かくフレンドリーな国民性で、一人での渡航や、初めての留学でも安心
● デメリット
一部地域では治安に注意が必要
衛生環境やインフラが日本ほど整っていない場所もある
シンガポール
● 特徴と魅力シンガポールは多民族国家として有名でアジア各国からだけでなく欧米からも移住してきた人が多く、グローバルな環境を感じることができるでしょう。公用語は、英語・中国語・マレー語・タミル語です。年間を通じて温暖な気候の中、治安が良く、清潔で整備された都市国家として知られています。
● こんな人におすすめ!
安心・安全な環境で初めての海外生活をしたい人
多文化に触れながら、質の高い教育を受けたい人
英語力に加えて、国際的な視野を広げたい人
● メリット
高い教育水準とインフラ整備
世界中の学生と交流できる国際的な環境
アジアと欧米文化が融合したユニークな社会
● デメリット
物価・授業料がアジアの中では高め
学校によっては入学ハードルが高いことも
マレーシア
● 特徴と魅力マレーシアは多民族国家で、英語が共通語のひとつとして広く使われています。公立学校・私立学校のほかに、イギリス式やオーストラリア式のカリキュラムを取り入れたインターナショナルスクールも多数存在します。
● こんな人におすすめ!
費用を抑えつつ質の高い教育を受けたい人
多様な文化・宗教に興味がある人
イギリス系の教育システムに触れてみたい人
● メリット
英語環境に加え、多文化理解が深まる
食費・交通費・生活費が安く、経済的
日本人学生も増えており、受け入れ体制が整っている
● デメリット
地域によっては設備やインフラに差がある
気候(高温多湿)に慣れるまで少し時間がかかるかも
慣れない文化や宗教の習慣に戸惑う場面も
アジア短期留学について知っておきたいこと
特にアジアの短期留学では、事前の情報収集がカギとなります。期間が短い分、途中で軌道修正ということができにくいためです。留学の目的をクリアにしたうえで、何を得たいのかを踏まえ、 候補の学校・プログラムの情報を収集しましょう。信頼できるエージェントや過去の留学経験者によるリアルな口コミなどもうまく活用し、情報を得られるとなおさら良いでしょう。
また、渡航国にもよりますが短期留学でも学生ビザ、および保険加入が必須の場合がほとんどです。これについても、必須事項及び安全面についての確認は必須です。語学学校や渡航国の外務省ウェブサイトなどを参考にして、抜かりなく準備をしましょう。
また、慣れない留学先では予期せぬ病気やケガへの備えが、心強いサポートになります。海外旅行保険にも、必ず加入しておきましょう。
まとめ
高校生にとってのアジアにおける短期留学は、語学の向上だけではなく視野を広げたり国際的な交友関係をはぐくむなど、将来の可能性を広げるとても大切な経験になります。特にアジア留学は、費用面・安全面・教育面でバランスが良く、初めての海外にぴったりの選択肢です。アジア圏に特有のダイナミックな多様性の中で、現地の文化や慣習を尊重する姿勢を身に着け、自分と異なる習慣の違いに柔軟に対応できる姿勢は、人格形成にもつながります。
フィリピンで実践的な英語力を身につけたり、シンガポールで国際感覚を磨いたり、マレーシアで多文化を体験したり…。あなたの目的や興味に応じて、最適な国を選びましょう。「留学=欧米」の時代はもう過去。今こそ、アジアで世界に一歩踏み出すチャンスです!

◇経歴
海外在住5年目
◇資格
英検1級
◇留学経験
イギリスの大学で交換留学
◇海外渡航経験
学生の交換留学から海外現地採用。現在ヨーロッパにて現地就職
◇自己紹介
大学時代の留学を機に、今はご縁がありヨーロッパでOLしています。