在留届とは、海外に3ヶ月以上滞在する日本人に対して提出が義務付けられている届出のことです。現地での住所や電話番号、緊急連絡先などの情報を在外公館に対して届け出ます。
この記事では、在留届の概要や提出が必要な理由などについて解説しています。在留届は駐在や留学などの際に必要となるものであるため、ぜひ参考にしてください。
在留届とは何か?
在留届とは、海外に住む日本人が現地での住所や電話番号などを、住んでいる地域を管轄する総領事館などの在外公館に届け出るものです。具体的には電話番号や住所に加えて、緊急連絡先、本籍地、パスポート情報などを届け出ます。
在留届の提出は、旅券法によって定められており、海外に3ヶ月以上滞在する場合は提出が義務となっています。そのため、現地就職や日本からの駐在、正規留学、交換留学、語学留学など、海外への滞在方法に関係なく3ヶ月を超える場合は届け出る必要があるため注意が必要です。
海外に住んでいて、提出した在外公館から1年以上にわたって連絡を取れない、住民票は日本に登録したままといった場合であっても、3ヶ月以上海外に滞在する場合はやはり在留届の提出が必要です。また、海外で引越しをして住所が変わった、日本に帰国することになったといった場合は変更届や帰国・転出届を提出します。
在留届の提出が必要な理由
在留届が必要な理由は、日本大使館や総領事館といった在外公館で、その国・その地域にどのくらいの日本人が住んでいるのかを把握するためです。誰がどこに滞在しているのかを理解することで、緊急事態が発生した時などに緊急連絡や安否確認、救護活動などをスムーズに行うことができます。
また、日本に家族がいる場合、「海外で何かトラブルに巻き込まれたのではないか」「最近連絡がないが、事故に遭ったのではないか」といった安否問い合わせに対しても素早い確認が可能です。
そのほかにも、在外公館でパスポートの切り替えや戸籍関係の事務、各種証明事務といった窓口サービスを受ける場合にも在留届が使用されています。これらの点から、海外での生活をスムーズに送るためにも在留届の提出は必要不可欠なものだといえるでしょう。
なお、すでに現地に住んでいるものの、まだ在留届を出していないといった場合でも、後から遅れての届出が可能であるため、気付いたタイミングで必ず行うようにしてください。在留届の届出自体は法律で義務付けられていますが、忘れていた場合の罰則などは特にありません。
在留届の提出方法
ここでは在留届を提出する方法を紹介します。在留届を届け出る必要があることは理解したけど、どうやって届け出るのかわからない、今後海外に長期滞在する予定があるため、事前に方法を知っておきたいといった方はぜひ参考にしてください。
オンラインで提出する
在留届の提出方法の1つがオンラインによるものです。こちらは、新規で在留届を提出するのはもちろん変更や帰国に伴う届出をする際にも利用可能な方法です。
提出は、「外務省ORRネット」から行えます。初めて届け出る場合、パスワードがメールで送られてくるため、大切に保管しておいてください。
なお、外務省ORRネットで在留届を提出した場合、帰国や変更に伴う更新手続きは外務省ORRネット上でしかできないため注意してください。
また、この外務省ORRネットでは、在留届を提出したかどうかを確認できるほか、パスワードを忘れた時の再登録なども行えます。
直接提出する
在留届は、現地の在外公館に直接提出することもできます。こちらも新規提出や変更、帰国に伴う提出に対応しています。提出する際に必要となるのは、指定の在留届もしくは変更届(帰国・転居・追記・他)の用紙です。用紙は各在外公館の窓口で直接入手できるほか、オンライン上でダウンロードすることもできます。
また、郵送で届出用紙を請求することも可能です。郵送で請求する場合は、名前やメールアドレス、電話番号などの連絡先、必要枚数、どの用紙が必要なのかといったメモ書きを添えたうえで切手を貼付し、返信用封筒と一緒に送ってください。用紙を入手したら、必要な情報を入力したうえで窓口に直接提出するか、郵送で提出してください。
在留届の変更・帰国時の手続き
海外に長期滞在することになった際はもちろん、引越しによる住所変更や帰国などの際にも在留届の手続きを行う必要があります。ここでは具体的にどのような手続きを行うのか解説します。
帰国の際は手続きを行う
仕事や留学などで海外に長期滞在していたものの、日本に帰国することになった場合、帰国・転出届を提出しなければなりません。在留届の提出が法律で義務付けられているのと同じで、帰国によって届出事項に変更が生じた場合は帰国・転出届を提出する必要があります。
届出がないと、その人がその国に住んでいないにも関わらず、在外公館ではそのことを把握できず、帰国後も注意喚起や安否確認の連絡が入ることとなります。事件や災害などが発生した際にすでにいない人の安否確認等に時間を取られると、実際にその国に住んでいる人の安否確認が遅れてしまい、被害が大きくなりかねないため、帰国する場合は必ず届出を行うようにしてください。
手続きは在留届を提出するのと同じで、オンラインもしくは大使館や総領事館といった各種在外公館で行えます。なお、以下のような場合は、在外公館の管轄区域から転出したものと判断されます。
帰国後の届出の提出
帰国の際に届出を忘れてしまった人は、帰国後でも手続きができるため、必ず行うようにしてください。先述の外務省ORRネットで在留届の提出を行っている場合は、帰国後もオンラインから手続きが行えます。一方で、在留届を書面で提出している場合、ORRネットでの届出はできないため、まずは在留届を提出した在外公館に相談して提出方法を確認してください。
引っ越しの際も手続きが必要
現在住んでいる都市から他の都市へ引っ越す、他の国に引っ越すといった場合も、変更手続きを行う必要があります。具体的には、現在の住所地を管轄している在外公館に「帰国・転出届」を提出してください。その上で新しい住所地を管轄する在外公館に在留届を提出します。在留届を初めて提出した際に外務省ORRネットを使用している場合は、こちらの手続きもオンライン上で行えます。
在留届の情報が活用される場面
ここでは在留届の情報がどのような場面で活用されるのか解説します。在留届を提出しておくと、海外での生活のさまざまな場面で助けとなります。具体的にどういった場面で役立つのかぜひ参考にしてください。
現地での最新情報を得られる
在留届を提出した人には、領事メールやメールマガジンなどが配信されます。このメールには、現地での事件や事故の情報に加え、注意する必要のある日時やイベントに関する情報及び安全情報、教科書の配布など現地での生活において必要な最新の情報が得られます。
例えば、ヨーロッパであればサッカーの大きな大会や試合が行われる際に、スタジアム周辺の混雑やスリ・盗難などへの注意喚起のメールが送られてくることもあります。また、テロや事件、大規模な事件、感染症の流行といった情報が届くこともあるでしょう。これらの情報は基本的に日本のニュース等ではなかなか扱われることが少なく、情報を取得するには現地のニュースを確認する必要があります。しかし、言語面ですぐに正確な情報を把握することが難しい人もいます。そのような時に、日本語で最新の情報を得られる点は大きなメリットだといえます。
事件・事故に巻き込まれた時の支援を受けられる
在留届の情報は、事件や事故等が起こった時の安否確認にも使用されています。在留届を提出していれば、もし現地で事件・事故などのトラブルに巻き込まれた時でも、在外公館が安否確認を行い迅速に支援を行ってくれるでしょう。海外で日本人が事件・事故に巻き込まれるケースは少なくありません。万が一の事態に備える意味でも、在留届の提出は非常に重要だといえます。
領事窓口サービスを利用できる
在留届の情報は、在外公館で行う領事窓口サービスの利用の際にも活用されています。例えば、パスポートの更新手続きを行う、各種証明書を申請する、戸籍や国籍に関する手続きを行うなど、海外に住んでいながら在外公館で手続きを行う機会は少なくありません。
また、在外選挙人の登録を行う際も、在留届を提出していると手続きがスムーズに行えます。在外選挙人登録ができていれば、国外からでも日本の選挙で投票が可能となります。
在留届と「たびレジ」の違い
在留届と混同してしまいやすいものにたびレジがありますが、たびレジは旅行や出張、短期留学など、主に海外に3ヶ月未満の滞在をする人向けの届けです。在留届は提出が義務付けられていますが、たびレジは提出の義務はありません。
しかし、たびレジに登録しておくことで、以下のようなさまざまな情報・支援を得られます。
滞在期間が短いからといってトラブル等に巻き込まれないとは限りません。万が一の事態が発生した時に、適切な支援を受けられるようにするためにも、これから旅行や出張、短期留学の予定がある方はたびレジに登録しておきましょう。
まとめ
今回は、在留届の概要や提出が必要な理由などについて解説しました。在留届は海外に3ヶ月以上滞在する人に対して提出が義務付けられているものです。提出することで、現地の在外公館で、どこに誰が住んでいるのかといった情報を把握でき、事件や事故が発生した際にもスムーズなサポートを受けられるようになります。在留届は、引越しや帰国など登録した情報に変更が発生した際には手続きを行う必要があるため、こちらも忘れないようにしてください。

◇経歴
・イギリスに半年間留学
・イギリスでサッカーの指導者ライセンスを取得(指導の試験などは全て英語)
◇資格
・特になし
◇留学経験
・イギリス:2013年4月〜9月、The English Studio
・ドイツ:2019年9月〜、大学院留学(英語ではなくドイツ語です)
◇海外渡航経験
イギリスにはサッカーの指導を勉強するために留学しました。半年間現地の日系チームに所属し、指導者として活動しながらイギリスの指導者ライセンス取得に向けてコースにも参加していました。また、平日は語学学校に通い、英語の勉強をしていました。
◇自己紹介
ドイツの大学院に留学中のライターです。イギリスに半年間の留学経験があるほか、ドイツには現在も留学中で6年目を迎えています。現在はドイツ語学習がメインですが、英語も勉強しなおしており、語学力をさらに伸ばすことを目標にしています。