観光や出張、留学、移住などで日本からの渡航者が多いフィリピン。中・長期間の滞在中にパスポートの更新のタイミングを迎える可能性があります。
本記事では、フィリピンで日本のパスポートの更新手続きを、窓口・オンライン申請の両方から解説します。また、紛失や盗難時の対応についても紹介します。
パスポートの更新は出入国と滞在にとって不可欠な手続きです。安心してフィリピンでの生活を送るためにも、ぜひ参考にしてくださいね。
- パスポート更新が必要な人
- フィリピンでパスポートを更新する際の必要書類
- フィリピンでパスポートを更新する流れ
- フィリピンでパスポートを更新する際の費用
- フィリピンでパスポート紛失・盗難に遭った際の対処法
- 日本大使館・領事館の連絡先
- まとめ
パスポート更新が必要な人
以下のいずれかに該当した場合は、パスポートの更新を検討しましょう。
パスポートの残存有効期間が1年未満
査証ページの余白が3ページ以下
氏名や本籍地など戸籍の記載事項に変更がある場合
パスポートの更新は、フィリピンではマニラの日本大使館、またはセブとダバオの総領事館で手続きができます。手続きの完了に1ヶ月ほどかかるので、滞在期間やビザの更新、渡航予定と合わせた計画が必要です。
残存有効期限が1年未満の人
パスポートの有効期限が1年未満であれば更新ができます。ビザの更新や、他の国への渡航予定がある人は、残存期間と手続きに要する時間を考慮して、余裕をもって更新をしましょう。
通常、フィリピンの滞在ビザの取得には、パスポートの残存有効期間が、6ヶ月と滞在予定期間を合わせた以上であることが求められます。滞在延長を希望する場合は、入国時点で要件を満たしていても、ビザの延長・取得の時期には不足する可能性があるので注意が必要です。
また、渡航先の国によっては、一定以上の残存期間を入国条件とする場合があります。フィリピン滞在中に他国に渡航予定があれば、早めの更新を心がけましょう。
余白が3ページ以下の人
未使用の査証ページが3ページ以下であれば更新を検討しましょう。余白が足りないと、スムーズな渡航や、ビザの申請に影響するケースがあります。
残存有効期間が十分残っている場合は、有効期限を変更せずにパスポートを更新することもできます。渡航やビザの手続きに支障が出ないよう、残りのページ数を定期的に確認しましょう。
戸籍に変更があった人
結婚や養子縁組、本籍地を移すなどで戸籍に変更があった場合は、パスポートの記載事項をできるだけ速やかに変更する必要があります。なお、国際結婚や、生活上の必要があれば、戸籍に記載のない外国式の名前や、旧姓の併記を併記することも可能です。
有効なパスポートがない人
パスポートの有効期限が切れた場合や、紛失や盗難でパスポートを所持していない場合は、新たに申請が必要です。パスポートの失効は、出入国やビザの更新だけでなく、本人確認が必要な場面でもトラブルのもとになります。紛失や盗難でパスポートを失った場合、再発行の時間がなければ「帰国のための渡航書」の取得という手段もあるので、状況に合わせて使い分けましょう。
フィリピンでパスポートを更新する際の必要書類
パスポートの更新に必要な書類は以下の通りです。申請の理由によっては追加書類が求められる場合があります。いずれの書類も原本が必要です。
基本の書類
原則として、パスポートの更新に必要な書類は以下の通りです。
パスポートの記載事項に変更がなく、有効残存期間が1年未満または余白が3ページ以下であれば、これらの基本書類で手続きができます。
申請書は、10年または5年用の申請用紙か、残存有効期間同一用の申請用紙が選択できます。余白不足で有効期限をそのままにするなら残存有効期間同一用を使用します。外務省のサイトや、大使館・総領事館の窓口で入手可能です。
申請書ダウンロード
https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/passport/download/top.html
戸籍謄本が必要な場合
これらの場合には、上記に加えて戸籍謄本の原本または、戸籍電子証明書提供様識別符号(符号)が必要です。
戸籍謄本の原本は、本籍地や全国の市区町村の役場で取得できます。本籍地が対応している場合はコンビニのマルチコピー機で取得できますが、居住地と本籍地の市区町村が異なる場合は事前の利用登録が必要です。有効期限は6ヶ月です。家族で一緒に申請する場合は、家族で1通提出します。
マイナンバーカードとスマートフォンがあれば、フィリピンにいてもマイナポータル経由で「符号」を取得できます。取得には、4桁の暗証番号と、6〜16桁の署名用電子証明書用暗証番号が必要となるので、不明な場合はマイナンバーカード受取時の書類をチェックしましょう。3ヶ月以内に取得した符号が使用可能です。
外国式の名前や旧姓の併記を希望する場合、事実関係や綴りの確認のために、出生証明書や結婚証明書の提出が求められます。必要書類は申請者の状況により異なるので、事前に窓口に確認してください。
尚、2025年5月から、戸籍にふりがなが記載される取り組みが始まり、届け出により順次戸籍に反映されます。ふりがなが戸籍に記載されている場合は、ふりがなのある戸籍の提出が求められる場合があります。ふりがなに変更があった場合は、パスポートの更新対象です。不明な点は申請先等に確認することをお勧めします。
未成年者のパスポート申請の場合
未成年のパスポートの申請には以下の追加書類が必要です。
また、トラブル防止のために、親権者の同意の確認が行われることがあります。15歳以上であれば、本人が申請可能ですが、18歳未満の場合は、戸籍上の親権者または後見人本人による署名入り同意書が必要となります。
参照:
在フィリピン日本大使館
https://www.ph.emb-japan.go.jp/itpr_ja/00_000289.html
https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/passport/pagew_000001_01683.html
フィリピンでパスポートを更新する流れ
パスポートの更新には、窓口申請とオンライン申請の二つの方法があります。オンライン申請は、3ヶ月以上滞在する人が対象の「オンライン在留届(ORR)」登録済みの人のみが利用可能です。
窓口申請
1. 必要な書類を持参して、マニラの大使館またはセブ・ダバオの総領事館に行きます。来館予約は不要です。
2.備え付け、または外務省のウェブサイトからダウンロード・印刷した申請書を、他の書類とともに提出します。家族分をまとめて提出することもできますが、自署欄があるので、あらかじめ記入済みのものを用意します。
3.申請から約1カ月で受け取り可能になります。必ず本人が窓口で受け取らなくてはなりません。受け取りの際に費用を現金で支払います。
オンライン申請
オンライン申請は、3ヶ月以上滞在する在留邦人向けのサービスです。原則として、窓口に行くのは受け取りの時だけとなるので、移動の手間が省けることが特徴です。
以下がオンライン申請に必要な書類と機器です。
申請手順は、ORRにログインして申請、必要ならば戸籍謄本の原本送付、審査待ち、パスポートの受け取りと支払となります。
1.アプリのダウンロードとオンライン在留届アカウントの作成
パスポート申請(海外在留邦人用)アプリを、Google Play やApple Storeからダウンロードします。まだアカウントを作成していない場合は、オンライン在留届(ORR)の利用登録をします。
参照:
アプリのダウンロード
https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/passport/abroad.html
オンライン在留届(ORR)ウェブサイト
https://www.ezairyu.mofa.go.jp/RRnet/index.html
2.オンライン申請のためのログイン
ORRのウェブサイトにアクセスし、「パスポート・証明のオンライン申請を行う」を選択し、ログインします。筆頭者か同居家族かを選択し、案内に沿って入力を進めます。アプリのアイコンからでは動作しないので、ウェブサイトからログインしましょう。
3.撮影とアップロード
申請の途中で、現在のパスポートと、顔写真、自署名の撮影があります。
パスポートは顔写真ページを用意します。撮影がとり込めない場合は、旅券番号等を手入力します。ICチップがスマートフォンで読み取れない場合は、旅券番号の手入力や顔写真ページの撮影などで申請を進めることができます。
顔写真の撮影時には、背景や影が映らないように注意しましょう。また、事前に撮影した写真をアップロードすることも可能です。自署名は、白い紙に黒いペンで書いて準備します。
4.登録内容を確認と申請の完了
登録内容を確認し、申請を確定して、手続き状況一覧が「審査中」となれば申請が完了です。不備や、追加で必要な書類があれば、登録したメールアドレスに通知が届きます。
なお、戸籍謄本の情報を符号により処理する場合は入力のみで完了します。原本を使用する場合は、窓口提出もしくは郵送します。郵送の際は、受理番号を明記して、書留にあたる郵便等を利用します。
5.クレジットカードによる支払い
申請後、通知された「クレジットカードの納付専用サイト」からアクセスし、カード情報を登録すると、クレジット・デビットカードでの支払いが可能です。決済は交付時に行われます。
6.受け取り
審査が終わると、ORRに通知が届きます。次のものを持参し、必ず本人が大使館・総領事館で受け取ります。
旧パスポートにはフィリピン入国の記録と、ビザが記載されている場合があるので、大切に保管してください。ビザの更新予定があれば、新旧パスポート間のビザ移し替える手続きも検討しましょう。
参照:
在フィリピン日本国大使館
https://www.ph.emb-japan.go.jp/itpr_ja/11_000001_01117.html
フィリピンでパスポートを更新する際の費用
パスポートを更新する際の手数料は、旅券のタイプによって変わります。また、オンライン申請は窓口申請よりも費用が安くなります。
窓口での支払いは、パスポート受け取る際に、フィリピン・ペソによる現金払いですが、オンライン申請をしてクレジット・デビットカードを選択した場合は円による支払いです。
パスポートを更新する際の費用
窓口申請 | オンライン申請 | |
10年旅券 | 6,150ペソ | 6,000ペソ |
5年旅券 | 4,300ペソ | 4,150ペソ |
5年旅券(12歳以下) | 2,400ペソ | 2,250ペソ |
残存有効期間同一旅券 | 2,400ペソ | 2,250ペソ |
フィリピンでパスポート紛失・盗難に遭った際の対処法
パスポートの紛失・盗難にあった場合は、警察に届け出と証明書の取得、旅券の再発給または渡航書の申請が必要です。
再発給には1ヶ月程度の期間を見込む必要があり、滞在期間に余裕がある方に向いています。帰国のための渡航書の発給に要する時間は大使館・総領事館との個別の面談の上で決定されますが、すぐに帰国する場合に選択します。
すぐに警察に届出る
まず、最寄りの警察にすぐに届け出て被害を報告し、紛失または盗難証明書(Police Report)を、焼失の場合は消防署で、罹災証明書を発行してもらいます。
そして、大使館・総領事館に連絡をして、今後の予定や、旅券発給に必要な書類の確認等の相談をしましょう。
パスポート失効手続きと再発給の手続きを行う
新しくパスポートを取得する場合は、紛失を届け出て、失くしたパスポートを失効させてから、新しいパスポートを申請します。この二つの手続きは同時に行うことができます。
必要書類は以下の通りです。
加えて、非ヘボン式名や別名併記の場合には、出生証明書や結婚証明書などが必要です。
未成年の場合は、親権者の顔写真と署名付き身分証明書(パスポートなど)、その未成年者の成長を示す写真と、同意が必要となります。
オンライン在留届(ORR)の登録者であれば紛失の届出・パスポートの申請ともにオンラインで可能です。ただし、紙の戸籍謄本原本を利用する場合は、窓口での提出または郵送が必要です。
帰国のための渡航書を発行する場合
帰国まで日数がない場合、「帰国のための渡航書」を申請します。
以上の書類が必要です。状況に応じて他の書類も提出が必要となるので、総領事館・大使館で確認してください。
符号の取得ができず、戸籍謄本を持ち合わせていない場合は、後日の原本提出や送付を前提に、PDF等のスキャンデータ提示も認められています。緊急の場合には、日本にいる家族に戸籍謄本を用意してもらうことで手続きを進められます。
渡航書は、帰国をした時点で失効するので、出国の予定があれば、日本でパスポートを新しく作ります。新規パスポート申請時には失効した渡航書が必要です。帰国後も大切に保管しましょう。
なお、帰国による渡航書によって帰国するためには、発給された渡航書を持参の上、入管で入国記録を移してもらう必要があるので注意してください。
必要書類や手続きは、個別の状況や更新により変わる可能性があるため、最新の情報を必ず確認してください。
参照:
在フィリピン日本国大使館
https://www.ph.emb-japan.go.jp/itpr_ja/00_000289.html
https://www.ph.emb-japan.go.jp/files/100245540.pdf
日本大使館・領事館の連絡先
パスポートの交付や問い合わせ、緊急時に必要となる、フィリピン国内の日本国大使館・総領事館の連絡先です。
休館日は、土日・フィリピンの祝祭日・一部の日本の祝祭日です。また、表中の電話番号の表記は、「(市外局番)電話番号」となっています。フィリピン国外からかける場合、国番号は+63です。利用する通信サービスの発信方法に従ってかけてください。
在フィリピン日本国大使館
所在地:
2627 Roxas Blvd., Pasay City, Metro Manila, 1300, Philippines
電話番号:
(02) 8551-5710
(02) 8834-7508 (8:30~12:30, 13:30~17:15)
邦人援護ホットライン:
(02) 8551-5786 (24時間対応)
メールアドレス(パスポートなどの問い合わせ):
ryoji@ma.mofa.go.jp
窓口業務受付時間:
申請受付時間
8:40 ~ 12:00 、13:30 ~ 16:30
交付時間
9:30 ~ 12:00 、13:30 ~ 15:30
在セブ日本国総領事館
所在地:
8th Floor, 2Quad Building, Cardinal Rosales Avenue,
Cebu Business Park, Cebu City, Philippines
電話番号:
(032) 231-7321 / 7322
メールアドレス:
cebucoj@ce.mofa.go.jp
開館時間:
8:30~12:30、13:30~17:15
領事関連
8:40~12:30、14:00~16:30
在ダバオ日本国総領事館
所在地:
4th Floor, B.I. Zone Building,
J.P. Laurel Avenue, Bajada,
Davao City 8000,
Philippines
電話番号:
(082) 221-3100
(082) 221-3200
メールアドレス:
cojd2@dv.mofa.go.jp
開館時間:
8:30~12:30、13:30~17:15
領事関連
8:40~12:30、14:00~16:30
参照:
在フィリピン日本国大使館
https://www.ph.emb-japan.go.jp/itpr_ja/00_000139.html
在セブ日本国総領事館
https://www.cebu.ph.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html
在ダバオ日本国総領事館
https://www.davao.ph.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html
まとめ
フィリピンでのパスポートの更新を、必要書類と流れとともに見てきました。
戸籍情報の符号による申請や、在留邦人向けのオンライン申請サービス導入により、一部電子化がすすむ一方で、受け取りの際には大使館または総領事館に出向く必要性や申請期間など、手間と時間がかかるのも事実です。
パスポートは海外渡航と現地滞在において最も重要な身分証明書です。慌てることのないように、更新の必要性の確認を含めて、日頃からしっかり管理することが大切です。
◇経歴
土や紙をつかった造形や、ドローイングをしています。
◇資格
TOEIC 955
◇留学経験
スコットランドにあるグラスゴーの大学で、4年間美術を学びました。
◇海外渡航経験
今までたくさん旅をしました。
イギリス、フランス、イタリア、スイス、ベルギー、オランダ、チェコ、スロバキア、オーストリア、ノルウェー、フィンランド、スウェーデン、中国、香港、韓国、ネパール、タイ、フィリピン、インドネシア、マレーシア
色褪せた思い出を蘇らせようと、古いデジカメのデータを読み込もうとしたら、ほとんど消失していてショックを受けました。
今思えば貴重だった家族旅行、感動した景色、美味しかった食べ物、かけた時間や使ったお金が写真に詰まっていたように感じられ、寂しかったです。一瞬一瞬を大切に、これからも旅を続けようと思います。
◇自己紹介
日本の一般大学を卒業した後、憧れていた海外の美術大学に留学しました。
語学の面で苦労しましたが、留学の経験は宝です。
現在、作品の制作・発表と、ライター活動、コツコツ英語の勉強をしております。
書くことを通じて、経験を活かしながら、学びを続けたいと思っています。