フィリピンの空を舞う巨人(!?)「オオコウモリ」について徹底解説!

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リゾート先としても留学先としても人気のフィリピン。多くの自然が残されているため、野生動物も多く生息しています。

今回ご紹介するのは「オオコウモリ」。その名の通り、世界最大級の大きさのコウモリです。

この記事ではフィリピンにだけ生息するオオコウモリ、フィリピンオオコウモリについて徹底解説!コウモリ観光で有名なスポットもご紹介するので、ご興味のある方はぜひ訪れてみてください。

フィリピンオオコウモリとは?基本情報と特徴

フィリピンオオコウモリとは、フィリピンだけに生息するオオコウモリです。熱帯雨林やマングローブ林に生息しており、フィリピンのルソン島やミンダナオ島などで生息が確認されています。

オオコウモリはフルーツコウモリ(Fruit bat)と呼ばれることもあります。オオコウモリのなかでも最大の種が含まれており、フィリピン固有種のオオコウモリをフィリピンオオコウモリというようです。

フィリピンオオコウモリは、その大きさが特徴です。

下の表にフィリピンオオコウモリの大きさを載せますが、翼幅が1.5m~1.7mなので、羽を広げると人間の成人と同じくらいの大きさであることが分かります。中には、翼幅が2mほどになる大きさのものもいるとか…。

体長は30cmと意外と小さめなのに、翼幅が1.5~1.7mにもなるので、小さな体に大きな羽根をまとっています。そのいで立ちはまるでドラキュラのようです。

2018年にインターネット上で話題になったフィリピンオオコウモリの画像(一説にはフェイクともいわれていますが)も、まるで人間が逆さまにつるされているかのようにも見えます。現代にもドラキュラがいる…と思わせるようなドキッとする画像です。

それもそのはず、日本でよく見かけるアブラコウモリは体長が5cm程度、体重も数十gなので、手のひらサイズです。

フィリピンオオコウモリのような巨大なコウモリが身近に存在しないため、実際に見るとその大きさにきっとドキッとしてしまいます。夜空を飛んでいたら、まさに「巨人が飛んでいる!」と思っても不思議ではないくらいの大きさです。

<フィリピンオオコウモリの基本データ>

正式名称

Giant golden-crowned flying fox

体重

1.1kg~1.4kg

翼幅

1.5m~1.7m

前腕の長さ

最大約22㎝

体調

約30cm

生息地と分布:どこで見られるのか

フィリピンオオコウモリはフィリピンの以下の島で生息が確認されています。

・ルソン島(マニラのある島)

・ボホール島(セブ島からフェリーで2時間の距離にある島、大自然が魅力の島)

・ボラカイ島(ホワイトビーチが有名)

・レイテ島(農業、林業が主な産業)

・ミンダナオ島(農業、林業、漁業が主な産業)

・ミンドロ島(農業が主な産業)

・ネグロス島(農業が主な産業)

・セブ島(日本人にも有名なリゾート地)

特にルソン島のスービック経済特別区は「Bat Kingdom(コウモリ王国)」とも知られており、保護されている熱帯雨林に、さまざまなコウモリが生息しています。

フルーツコウモリ、タケコウモリ…。フィリピンオオコウモリはもちろん、フィリピンで最小といわれているlesser flat-headed batsも生息しており、世界最大級と最小のコウモリを見ることができます。

ミンダナオ島南東部に位置するダバオのモンフォートバット自然保護区もコウモリを観察できる場所として有名です。洞窟内にフルーツコウモリが230万匹も生息しているといわれています。

生態と行動:食性や生活リズム

フィリピンオオコウモリは草食

私達が日本でよく見かけるアブラコウモリは「ココウモリ」の一種です。

(ちなみに、コウモリは「オオコウモリ」と「ココウモリ」の2つに大別されます。)

ココウモリは昆虫などを主食とする虫食性なのに対し、オオコウモリは「フルーツコウモリ」とも言われるように、花の蜜や果実、植物の葉を主食としています。

もちろんオオコウモリの一種であるフィリピンオオコウモリも草食性です。あれだけ大きくて怖そうなのに草食性なのは意外…と思う方もいらっしゃるでしょうが、好物はイチジクといわれています。

フィリピンオオコウモリは草食性で花々の受粉を助けるため、森を保つ重要な役割を担っています。

あれだけインパクトの強いフィリピンオオコウモリが吸血でもなく、肉食でもなく、「草食」というギャップが面白いですね。

ちなみに、世界1000種を超えるコウモリのうち、吸血するコウモリは3種類しか存在しないそうです。しかも主に家畜の血を吸うコウモリなので、ドラキュラのように人間の血を吸うものではありません。

フィリピンオオコウモリは昼行性

「コウモリ」と聞くと「夜行性」と感じるかもしれませんが、夜行性なのはココウモリです。ココウモリは、視覚が発達していないため、超音波を発して、周囲からの反射音により障害物や獲物を確認しています(これを「反響定位」と言います)。

自分の出した超音波が何かにぶつかって跳ね返ってきたときに、そのタイムラグと方向で、自分の位置を確認します。

一方オオコウモリは昼行性です。したがって、その仲間のフィリピンオオコウモリも昼行性。視覚が発達しているので、反響定位は行わずに視覚を頼りに飛んでいます。

そのため、フィリピンオオコウモリは耳が小さく目が大きいのが特徴で、目は少し飛び出し気味についています。犬のような顔をしていると言われることもあり、その愛くるしい姿から、近年ペットとしての需要が高まっているようです。

昼行性なので、昼間は飛行していることがあります。朝ならまだ眠っているので、Bat Kingdomなど、オオコウモリ生息地を訪れるなら朝に訪れてみましょう。逆さまにつる下がって寝ているたくさんのオオコウモリを見ることができるでしょう。

木全体がコウモリに覆われて…という光景も見ることができるでしょう。

また雨の降らない乾季(12月~5月)の方が活動的です。

ウイルスを媒介することも…

フィリピンオオコウモリは、人間に感染する可能性のあるウイルスを保有しています。

ザイールのエボラウイルスやマールブルグウイルス、致死率が非常に高い狂犬病ウイルスなどを媒介するといわれており、感染したフィリピンオオコウモリに引っ搔かれたり噛まれたりすると危険です。

危険性が高いウイルスでなくても、コウモリはそもそもさまざまな病原体を持っている場合があるので、素手で触らない方が無難でしょう。また排泄物を通して感染する疾患もあるので、洞窟などに入るときも要注意です。

コウモリに触ることができることを売りにしている観光地もありますが、基本は素手で触らない方が良いでしょう。触った場合は石鹸でしっかりと手を洗うなどをしましょう。

コウモリウォッチングをする際も同様です。引っ搔かれたり噛まれたりしないように十分に気を付けましょう。加えて排泄物にも注意しましょう。

絶滅危惧種としての現状と保護活動

フィリピンオオコウモリは絶滅危惧種に指定

フィリピンオオコウモリの数は減少し続けており、現在は絶滅危惧種に指定されています。

森林破壊とそれによる住処や採餌環境の減少や、食用としての狩猟も原因といわれています。

コウモリの住処である熱帯雨林は多くが破壊されかけており、コウモリは住処を追われ、餌の採取にも苦労するようになってきています。また、洞窟にコウモリウォッチングに訪れた観光客の声で雌のコウモリが驚いて、抱えていた子を落としてしまったり、親子が離れ離れになってしまったりする事例も発生しています。

加えて、世界には、依然としてコウモリを「ブッシュミート」(野生動物の食肉)として食したり、薬として使ったりする地域があり、食材としての需要があります。そのため、食肉用の狩猟もフィリピンオオコウモリ減少の原因です。

フィリピンオオコウモリの生息する森林や洞窟はフィリピンでは多くが保護地区内にありますが、それでも違法な狩猟が行われているのが現状です。2024年5月にも、ダバオ市バギオ地区でフィリピンオオコウモリを狩猟した5人が逮捕されたとのニュースが報道されました。

フィリピンオオコウモリを守るために

フィリピンオオコウモリの保護には、持続的な保護策が必要です。

具体的には、

・保護区の拡大

・法規制の強化

・地元住民や観光客に対する教育

などが挙げられます。

フィリピンオオコウモリの生態や行動を詳しく調査し、効果的な保護策を見つけようとする動きも見られます。

いずれもフィリピン政府や地元住民との連携が不可欠です。

例えば、フィリピン政府はフィリピンの自然遺産を保護すべく、フィリピンオオコウモリなどの野生動物を脅かすような活動を報告するように促しています。先ほどバギオで捕まった5人組も、情報提供者からの密告によるものだそうです。

秘密裏に違法な狩猟が続いているかもしれませんが、現在、少しずつ保全研究や支援活動を通してフィリピンオオコウモリを守る活動が始まっています。

私達は観光客として現地を訪れることで、保護活動の資金調達や地域経済の発展に貢献することができるでしょう。

まとめ

とても大きなフィリピンオオコウモリ。その大きさにきっと驚くこと間違いありませんが、意外にも好きな食べ物は「イチジク」という可愛らしい一面も持ち合わせています。

そんなフィリピンオオコウモリですが、現在絶滅の危機に瀕しています。

フィリピンにはフィリピンオオコウモリに出会える場所がいくつかありますが、訪れる際は、フィリピンオオコウモリの置かれている現状を正しく理解し、保護活動を支援するような行動を心掛けましょう。

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