
日本郵便が提供する EMS(Express Mail Service:国際スピード郵便)は、スピーディーで安心感のある配送サービスとして海外に荷物を送る際に多くの人に利用されています。
「EMSはどんな仕組みなの?」
「イギリスにEMSを送る際の手続きは?」
「イギリスへのEMSの料金はどれくらい?」
イギリスにEMSで荷物を送るにあたって、こんな疑問や不安がある方もいらっしゃるでしょう。
本記事では、 イギリスにEMSを郵送する手続きなどを徹底解説!
EMSの基礎知識や、発送手続きの流れ、関税などの知識、EMSで送れないアイテム、費用を抑えてイギリスに荷物を郵送するポイントなどをじっくり紹介します。
2025年10月時点のイギリスへの郵便状況も記載しているので、イギリスにEMSで荷物を送りたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
- EMSの基礎知識
- イギリスへのEMS発送手続きの流れ
- イギリスへのEMS発送に欠かせない関税や書類の知識
- EMSで郵送できないアイテム
- 費用を抑えてイギリスに荷物を送るポイント
- 2025年10月現在のイギリスへの郵便に関する最新情報
- まとめ
EMSの基礎知識
国際スピード郵便 EMS(Express Mail Service)は、日本郵便が提供する最速クラスの国際配送サービスで、120以上の国や地域に荷物を簡単かつスムーズに郵送できます。
配達完了まで追跡可能な番号が通常付帯しているため、発送後も荷物の状況を確認できるため、「無事に荷物が届いたかな?」という不安な思いを軽減できます。
EMSで送る際の選択肢は「EMS(書類)」・「EMS(物品)」のふたつです。
「EMS(書類)」とは、業務上の書類など、情報を伝えるための手段として使われる以下のアイテムを指し、税関告知書(CN23等)の提出は不要です。
・メッセージカード
・契約書
・請求書
・領収書
・証明書類
・印刷物(パンフレットやカタログ、ポスター)など
書類に該当しないアイテムを郵送する場合は、「EMS(物品)」を選択します。
ちなみに、EMS到着までの日数は日本郵便の「料金・日数を調べる」ページにて必要な事項を入力するだけですぐに検索できますよ!
イギリスへのEMS発送手続きの流れ
EMSの発送手順の流れは以下の通りです。
2. 国際郵便マイページサービスで送り状を作成
3. 梱包
4. 郵便局での手続き
郵便局での郵送手続きが完了後、約5日ほどでイギリスに到着します(2025年11月21日:日本郵便公式ホームページ「料金・日数を調べる」ページを活用)が、航空便の混雑などで遅延する可能性もあるので、余裕を持った発送がおすすめです。
以下では、発送手続きの具体的な方法や注意点を解説します。
①送れるもの・送れないものの確認
まずは、送りたい荷物が送れるかどうかを確認しましょう。
イギリスに送れないアイテムは次の章で詳しく説明します。<br
硬貨、銀行券、紙幣、有価証券などの貴重品は郵送できません。
②国際郵便マイページサービスで送り状を作成
郵便局の公式サイト「国際郵便マイページサービス」でEMSの送り状を作成します。
案内に沿って情報を入力すると、税関告知書・インボイスなど送り状に必要な書類を一括で作成できます。
そのため、必ずパソコン版またはスマホ版の「国際郵便マイページサービス」を利用して送り状を作らなければなりません。パソコン版・スマホ版それぞれの「国際郵便マイページサービス」の特徴は以下の通りです。
| パソコン版 | ・会員登録が必要 ・過去の履歴を利用して新しいラベルの作成が可能 ・送り状は自分でA4用紙に印刷する |
| スマホ版 | ・会員登録しなくても利用可能 ・会員登録すれば過去の履歴を使用して新しいラベルの作成が可能 ・送り状の情報を記したQRコードを荷物と共に持参し、郵便局内の「ゆうプリタッチ」を利用して送り状を印刷する ※ゆうプリタッチに対応していない郵便局では、郵便局のスタッフが印刷してくれる |
以下では、EMSの送り状に記載する住所や内容物の入力方法を説明します。
■ 住所
日本国内からイギリスに荷物を送る場合、英語でイギリスの住所を記入する必要があります。
住所は、次のように記入してください。
・住所1: 101 English Apartment (アパートの名前)
・住所2: 32 Native Camp Street (家の番号、道の名前)
・住所3: London (都市名)
・郵便番号: NC1 8SX (ポストコード)
郵便番号(ポストコード)は、イギリスで住所を特定するためにとても重要な番号です。記入欄に「必須」と書かれていなかったとしても必ず記入しましょう。
■ 内容物
内容物のセクションでは、内容品名(英語)、単価、個数、内容種別、内容品総額を記入します。特に内容品については正確な記載が必要です。
例えば、食べ物を郵送する場合は “Food”という総称ではなく、 “Buckwheat noodles” “Dried seaweed”などと、具体的な品名を記入しましょう。
内容品の日英訳については、日本郵便公式サイト「内容品の日英・中英訳、HSコード類の例」を活用するとスムーズに記入できます。
内容物種別は、商用利用でない場合は「贈物」を選択してください。
③梱包
海外への発送は、輸送時間が長く現地での荷物の扱いも日本とは異なるため、頑丈な梱包が欠かせません。
厚手の段ボールや粘着力の強いガムテープを使用し、隙間には緩衝材を入れるなど衝撃に強い状態を維持することが大切です。
重いものから順に、箱に詰めていきます。また、ガラス製品などの壊れやすいアイテムもプチプチ(気泡緩衝材)で包み、箱の中で動かないように固定しましょう。
日本国内での郵送よりも念には念を入れて、中のアイテムを安全に届けられるように心がけてください。
④郵便局での手続き
印刷した送り状と梱包した荷物を用意したら、郵便局で発送手続きをします。
EMSは郵便ポストから発送できないため、近くの郵便局に来局するか、集荷を依頼する必要があります。
なお、集荷依頼は、日本郵便公式サイト「Web集荷サービスのお申込み」から可能です。
追跡番号が発行されるため、荷物を追跡できるように荷物が届くまでは追跡番号を保管しておきましょう。
イギリスへのEMS発送に欠かせない関税や書類の知識
日本からイギリスにEMSで郵送する際は、 税関で中身を確認されます(通関)。
内容品の価格が 20万円以下であれば、日本の税関に特別な申告や許可はいりませんが、イギリスでは個人使用であっても海外からの荷物が£135以上だと、関税とVAT(Value Added Tax:付加価値税)が科されるので要注意です。
一方で、荷物が贈物(ギフト)であり、かつ£39以下であればいずれも免除対象となるので、内容物の価格もしっかりと確認してくださいね!
税関告知書(CN22またはCN23)や インボイス(明細書)を準備する際には、荷物の内容物や価格を英語で詳しく記載します。
食品でも大まかな表現ではなく、Dried noodles(乾麺)やMatcha cookies(抹茶クッキー)のように、具体的な商品名が必要です。
記載が不十分だと、日本やイギリスの税関で止められたり、追加の手続きが必要になったりするリスクが高まるので注意しましょう。
また、2023年9月以降イギリスはEU加盟国ではないため、貨物の輸出入で必要な品目分類番号・HSコードの記入は不要ですが、ヨーロッパ宛の荷物には入力が推奨されています。
間違っていたり入力がないと、通関が遅れる原因にもなりかねず、荷物の内容によっては検査対象となり、荷物の確認や説明を求められるリスクもあります。
スムーズに荷物を届けるために、書類には正確な内容を記入してください。
参考:Tax and customs for goods sent from abroad
EMSで郵送できないアイテム
EMSで郵送できないアイテムは、国によって異なります。
郵便局にて荷物引き受け後の検査によって、国際郵便で郵送できないものが荷物に含まれていることが発覚すると、海外発送前に送り主に返送される場合もあります。
以下では、各国共通で郵送できないアイテムと、イギリスに郵送できないアイテムをそれぞれ紹介します。
各国共通で郵送できないアイテム
各国共通でEMSで郵送できないアイテムは、次の通りです。
| 種類 | |
| 危険物 | ・スプレー缶 ・花火 ・クラッカー |
| 引火性物質 | ・香水 ・マニキュア ・アルコール濃度24%以上のヘアトニック ・24%超以上のアルコール飲料 ・アルコール濃度24%以上の日焼け止め |
| 電子機器 | ・モバイルバッテリー ・電子タバコ |
イギリス独自の郵送禁止品
上記に加えてイギリスへ郵送できないアイテム(禁制品)は、以下の通りです。
| 種類 | 具体例 |
| 食品 | ・卵及び卵製品 ・乳製品 ・肉及び肉製品 ・はちみつ・はちみつ製品 ・じゃがいも ・果物(全般) ・腐敗しやすいもの ・魚介類・貝 ・1㎏以上の真空パックされたスモーク製品 ・病原菌が付着している恐れがあるもの |
| 紙類 | ・本(ホラー・わいせつ) ・郵便はがき ・地図 ・アルバム ・切手 |
| 動物類 | ・アザラシの皮 ・動物の遺骨 |
| 液体 | ・1リットルを超える液体 ・24度を超えるアルコール飲料 ・ワクチン ・放射性物質 |
| 衣類 | ・使い古した布 |
| 薬 | ・大麻 ・精神薬 |
| その他 | ・富くじ ・外国の刑務所で作られた物品 ・模造のコイン・貨幣 ・武器 ・無線通信機 ・植物 |
費用を抑えてイギリスに荷物を送るポイント
「イギリスにできるだけ安く荷物を送りたい」
「荷物を早くイギリスに届けたいけれど、費用は抑えたい」と悩む方も多いのではないでしょうか。
そんなときは、配送方法ごとの特徴や料金を比較して、自分に合ったプランを選ぶことが大切です。
以下では、イギリス宛に荷物を送る際に知っておきたい 国際郵便の料金とおすすめの発送方法をご紹介します。
EMSの料金プランを把握しておく
イギリスへのEMSの料金は、以下のように重量によって異なります。
なお、料金は変更になる可能性があるため、最新情報は日本郵便の公式サイト「料金表(EMS:取り扱い国すべて)」で確認してください。
■ 重量別イギリスへのEMS料金体系
| 重量 | 料金(円) |
| 〜500g | 3,150円 |
| 〜1kg | 4,400円 |
| 〜2kg | 6,700円 |
| 〜5kg | 13,000円 |
| 〜10kg | 23,500円 |
| 〜20kg | 44,500円 |
| 〜30kg | 65,500円 |
輸送料をできるだけ抑えるためには、内容物の重量を抑えることが重要です。
なお、日本郵便の公式サイトでは、6kgまでは0.5kg刻みで、6kg以上は1kg刻みで料金を掲載しているので、より詳しく知りたい方は上記のサイトをチェックしてくださいね!
EMS以外の郵送方法を知っておく
イギリスに荷物を送る際に、EMSのほか日本郵便のサービスでもう1つ候補になるのが、小型包装物の航空便です。
小型包装物の航空便は、EMSとは異なり2kgまでの荷物にのみ対応しているので、少量の荷物の輸送に向いています。
小型包装物で郵送すると所要日数はEMSよりも少し長くかかりますが、急ぎでない場合や、2kg以内の荷物を送る際にはEMSよりも安く荷物を送れます。
■ 例:1kgの荷物を送る場合
| 所要日数 | 料金 | |
| EMS | 5日程度 | 4,400円 |
| 小型包装物(航空便) | 8日程度 | 2,130円(書留なし) 2,590円(書留あり)※ |
※小型包装物は追跡サービスがついていないため、追跡したい場合は書留オプションサービスを460円でつける必要があります。
2025年10月現在のイギリスへの郵便に関する最新情報
国際郵便の配送状況は、自国や宛先の国だけでなく、 経由国や周辺国の航空便の混雑具合、政治情勢によっても遅延が生じる可能性があります。
2025年10月現在のイギリスへの郵便に関する最新情報を、日本郵便の公式サイトをもとにまとめました。
EMSや小型包装物の航空便などは受付中ではあるものの、世界的な航空便の減少に伴って、配送完了まで通常よりも長く時間がかかる可能性があります。
万が一、輸送ルートの遮断によって配送ができないと判断されると、荷物は差出人に返送され、郵便料金も返金される可能性があります。
不測の事態に備えて、発送前に日本郵便の 「国際郵便のお知らせ」ページにて最新情報を確認するのをおすすめします。
なお、2025年7月11日以降、イギリス宛の荷物を含めてSAL便(経由航空便を含む)は全面的に取扱を停止しています。
まとめ
EMSをイギリスに送る際は、送れないアイテムが入っていないかを事前にしっかりと確認し、送り状やインボイスを正確に記入してください。
荷物を頑丈に梱包し、配送中の荷物の破損を防ぎましょう。
さらに、関税や付加価値税(VAT)のしくみを理解しておくと、受取人への思わぬ費用負担も避けられます。正しい知識をもって準備すれば、イギリスへの贈り物ももう心配する必要はありませんよ!
本記事が、安心してEMSを活用できるきっかけとなれば幸いです。
◇経歴
・国際教養学部卒業
・外資系企業に勤務経験があり、アドミや会計分野で、インド人、カナダ人、オーストリア人、フランス人など様々な国の出身の同僚と働いた経験があります。
◇資格
英検1級、TOEIC 900点、IELTS 7.5 など
◇留学経験
大学時代に交換留学プログラムでイギリスの大学へ1年間留学し、リサーチの基礎や英語学について学びました。
◇海外渡航経験
・高校時代にシンガポールで3週間ホームステイをし、現地の高校で授業を受講した経験があります。
・大学留学中は休暇を利用してヨーロッパ各国を旅行し、多様な文化に触れました。
◇自己紹介
英語が好きで、子どもの頃から自ら進んで勉強してきましたが、日本式の文法やリーディング中心の学習方法では、なかなか話せるようにならず、苦労した経験があります。ネイティブキャンプでの英会話に助けられました。
英語学習に役立つ情報をまとめたブログも運営しておりますので、よろしければご覧ください。
英語学習NAVI!