
日本にもいくつか存在するチャリティショップ、もっとも古いお店は1899年、イギリスにて盲人協会によって設立されたと言われています。
チャリティショップがオーストラリアやニュージーランドではop shopと呼ばれていることをご存知ですか?
そこでこの記事では、op shop(オプショップ)がどのようなショップなのか、Vinniesといった有名なオプショップ、お店を利用するとどのようなメリットがあるのかなど幅広く紹介していきましょう!
- op shop(オプショップ)とは?
- op shop(オプショップ)の歴史
- op shop(オプショップ)の大まかな種類
- 有名なop shop(オプショップ):Vinnies
- 有名なop shop(オプショップ):ParaQuad Industries Op Shop
- op shop(オプショップ)を使うメリット4選
- op shop(オプショップ)を使う際の注意点
- まとめ
op shop(オプショップ)とは?
op shopは日本語でオプショップと読みます。
実はop shopはopportunity shopをスラングにした表現です。
英語opportunityには良い機会や有利な条件・状況という意味がありますが、さてop shopとはどのような店舗なのでしょうか?
慈善団体による運営のop shop
op shopは、慈善団体によって運営される、いわゆるリサイクルショップです。
中古品や未使用品を売買する日本のリサイクルショップは収益を得る営利団体です。
一方、OPショップはnon-profit organisationであり、社会貢献活動を行なう非営利団体という大きな違いがあります。
ちなみに、オーストラリアやニュージーランドのop shopは、イギリスでcharity shop、カナダやアメリカではthrift storeという名前に変わります。
op shopのシステム
op shopや運営に関しては大変興味深く、英語学習者は英語圏でいかに助け合いの精神が根付いているかを感じることができます。
まず、op shopの活動を紹介しましょう。
一般の人が自分にとって不要となったアイテムをop shopに寄付します。
服、アクセサリー、食器、本から家具まで、いわゆる中古品を寄付品として持ち込みますが、それによって持ち込んだ人に報酬が発生することはありません。
ショップではそれらに対してかなりリーズナブルな価格を決め、店舗内にディスプレイし、それらを商品として販売します。
売上は、そのop shopを運営する慈善団体の活動に活かされます。
ちなみに、op shopで働くスタッフは通常、ボランティアです。
自分の時間をコントリビュートし、寄付品の整理、客の対応などで社会貢献に携わっているのです。
op shop(オプショップ)の歴史
ここで、op shopがどのように始まったのか、その歴史をみてみましょう。
op shopの始まり
op shop/opportunity shopという言葉は1920年代、オーストラリアのミリー・タリス(Millie Tallis)という人物によって考案されました。
Tallis夫人は、それに先行してイギリスで誕生していたチャリティショップについてもっと威厳のある名前をつけたいと考え、このop shop/opportunity shopというアイデアを得たのです。
Tallis夫人はもともとオペラ歌手で、オーストラリア初のop shopをメルボルンにオープンしたユニークな人物です。
寄付をしてもらったアイテムを販売するop shop、それが彼女のアイデアが詰まったショップでした。
そしてメルボルンにあるセント・ヴィンセント病院の資金調達を主導するようになったのです。
彼女の行動により、1926年以降は様々なop shopが立ち上がりました。
その後、Tallis夫人はセント・ヴィンセント病院に理事として関わっていくことになります。
例えば、メルボルン一ヶ所を見てみても、
Bargain Box Op Shop/Children’s Protection Society Op Shop/Christ Church Anglican Church Opportunity Shop
などなど多くのop shopがあります。
Tallis夫人が店舗をオープンして以来、2025年11月に100周年記念を迎えます。
op shop(オプショップ)の大まかな種類
オーストラリアのop shopは、どのような慈善団体が運営をしているのか紹介しましょう。
オーストラリアの慈善団体
オーストラリアの慈善団体でop shopを積極的に運営している団体は以下になります。
The Salvation Army
サルベーションアーミーは救世軍とも言われ、世界で支援を必要としている人々のために活動するキリスト教団体であり国際NGOです。
Red Cross
赤十字であるRed Crossは、世界中で人道支援活動を行なう団体です。
災害や紛争などで苦しむ人たちを救うことを目的としています。
St. Vincent de Paul Society
貧しい人々を支援するために信仰を行動にうつした団体です。
1833年にフランスで設立され、別名をVinniesといいますが、有名なop shopの一つとして次で詳しく紹介します。
op shopは、オーストラリアのほとんどの郊外や小さな町の中心部にあり、基本セカンドハンド(中古品・リユース品)ではあるものの、店舗ではヴィンテージやインポート品などお得で嬉しい発見もあるという楽しさがあります。
有名なop shop(オプショップ):Vinnies
St. Vincent de Paul Society(聖ヴィンセント・ド・ポール協会)は、キリスト教の慈善の守護聖人・聖ヴィンセント・ド・ポールにちなんで名付けられました。
St. Vincent de Paul Societyによって運営されるop shopはVinniesとして知られています。
Vinniesのウェブサイト:
https://www.vinnies.org.au
Vinniesの理念
疎外された人々や不利な立場にある人たち、
またはそういった立場に陥るリスクのある人を擁護することで、
社会的不公正と闘う活動を行なっているのがVinniesです。
協会の創設者の考えや熱意、そしてビジョンが今日も受け継がれ、全国で45,000人を超える会員とボランティアを有しています。
Vinniesで買えるもの
Vinniesではあらゆるものが売られています。
衣類、アクセサリー、家庭用品、書籍、スポーツ用品、そして家具まで揃っています。
オーストラリアやニュージーランドの文化が好きな旅行者や留学生がお店にポップインすればお宝に遭遇するチャンスに恵まれます。
あなたが支払ったお金はショップがあるエリアで、貧困や不利な状況にいる人、ホームレスなどの支援に活用されます。
有名なop shop(オプショップ):ParaQuad Industries Op Shop
もう一つの有名なop shopは、ParaQuad Industries Op Shopです。
このop shopはニュージーランドにはなくオーストラリアで見つけることができます。
Alinea/ParaQuad Industries Op Shopのウェブサイト:
https://alinea.org.au
ParaQuad Industries Op Shopとは?
Alineaは、西オーストラリア州のコミュニティに暮らす高齢者や障害者の支援をする団体です。
このAlineaがオーストラリアの登録障害者企業として、サポートの対象となる従業員に働く機会を提供し、かつ顧客にさまざまな高品質の商品とサービスを提供するのがParaQuad Industries Op Shopです。
ParaQuad Industries Op Shopで買えるもの
ParaQuad Industries各ショップでは、障害を抱えて暮らす人々に仕事の機会を提供します。
店舗では幅広い種類の中古品やヴィンテージの衣料品、骨董品から電化製品や家具まで取り揃えられています。
売上は、障害者を支援することを目的とした雇用の機会、アクセシビリティイニシアチブ、重要なサポートなどで使用されます。
op shop(オプショップ)を使うメリット4選
ここまでお読みになられ、op shopが社会でどのような役割をしているのか知る機会になったでしょう。
ここでは、さらに理解するためop shopを使うメリット4つを紹介します。
好きなものを買うだけで寄付活動
地震などの自然災害や世界で起こる紛争など、機会があればする寄付活動は慣れていないと敷居が高く感じることがあります。
しかし、op shopは街中にあるお店です。
面白いものがないかなとふらりと立ち寄り、そこでシャツ一枚でもお気に入りが見つかって購入した時点で寄付活動をしたことになります。
この気軽さにより、一度二度ではなく、継続的にお店に行くことで更なる寄付をすることにもなり得るでしょう。
購入することで慈善団体を支援
op shopを運営する慈善団体はいくつもあります。
どのショップで購入しても慈善活動になりますが、例えば子供をサポートする団体、心臓病やガンの研究をしている団体、または動物保護など、特に自分がサポートしたい団体を決めて支援することも可能です。
op shopで商品を買えば、慈善団体を支援できるのです。
安価なオーストラリア・ニュージーランド商品
op shopで売られるものそれぞれの価格はとても安価であり、bargain huntingとも呼ばれています。
宝探しをする楽しさに価格の安さが組み合わさって、op shop巡りを楽しむ人が多くいます。
あなたの不用品は誰かが必要とする物
購入することでも支援ができますが、もし不用品があればよっぽど酷い状態でなければ捨てずに寄付をしましょう。
筆者はイギリスのチャリティショップの大ファンで、これまでも記事内でその素晴らしさに触れてきました。
チャリティショップでは日本の食器やこけしなどを見つけることもあります。
自分では買わなくても、誰かにとっては欲しいものとなる可能性があります。
リサイクルという観点でも、op shopを利用することは環境への配慮というメリットになります。
op shop(オプショップ)を使う際の注意点
良いことばかりのop shopでは、利用する際の注意点はあるのでしょうか?最後に、その部分についてお届けします。
op shop購入で気をつけたいこと
買う側にとって気をつけたいことは、op shopで売られる商品は、 ほぼセカンドハンドという中古である点です。
寄付されたものは整理をされて店頭に並びますが、特に衣類や家具など布を使ったものはそのコンディションを確認するべきでしょう。
筆者もつい先日チャリティショップでドレスを購入しましたが、やはり一度自分で洗濯をしてから着用します。
食器などでは損傷がないかも要チェックです。
op shop寄付で気をつけたいこと
要らないものはすべてop shop行きだ〜ということではありません。
それなりのコンディションレベルがあって自分には不要のものを寄付しましょう。
閉まっている時間帯に店先に寄付の品物を置いていく人が多く問題になることがあります。
寄付をしたいときには、開店時間内に一度訪れ、お店のスタッフにまずは受け取ってくれるか聞くことがマナーです。
まとめ
本記事では、オーストラリアやニュージーランドのチャリティショップop shopについて紹介しました。
利用はもちろん、皆さんも現地のop shopに寄付をすることができます。
フレンドリーなスタッフと英語でコミュニケーションをとりながら、チャリティ文化に触れる大チャンスとなるのがop shopです。
ぜひ、オーストラリアやニュージーランドに旅行または留学している間にop shopを利用してみてくださいね。
◇経歴
日本では外資系製薬会社などで勤務。
2006年夏に渡英し、現在イングランド在住。
2012年以来、南ロンドンで剣道道場を運営。地元の行政と関わり、日本文化を紹介するイベントを担当したり、剣道や居合道のデモンストレーションのオーガナイスを行なう。
また、日本の2大学と英国剣道協会とのパートナーシップ締結のためのリエゾンおよび翻訳・通訳を担当。
◇資格
・Food Safety Level 2
・Principles of Internet Safety Prepare to Deliver Excellent Customer Service
◇海外渡航経験
スキューバダイビングで訪れた国々を始め、3ケ月間のヨーロッパ各国バックパッカーの旅を経験。
◇自己紹介
こんにちは!椿サリーです。夫がイギリス人、日英ミックスの息子(UK大学生)という家族構成の国際結婚組です。ライターとして、多国籍メンバーが所属する剣道道場の女将として、日本文化紹介を紹介する地元グループ代表として行政とのやりとりなど、イギリスで幅広く活動しています。英会話ができると世界が広がりますし、外国人とのコミュニケーションは楽しい!を日々実感しています。