
オセアニアの中でも酪農大国であるオーストラリア。国内には多くの牧場があり、馬や羊、牛や鶏など、さまざまな動物を育てて生計を立てています。近年、世界中からオーストラリアへファームステイをしにやって来る方が増えているのだとか。
本記事では、ファームステイとは何かを徹底解説!ワーキングホリデーとの違いや、ファームステイの魅力、具体的な仕事内容、ビザや費用、充実したファームステイを送るためのポイントなどを紹介します。
ファームステイを検討中の方は、ぜひ最後までお読みください!
- ファームステイとワーキングホリデーの違い
- オーストラリアのファームステイは3種類
- オーストラリアのファームステイはWWOOFが主流
- オーストラリアのファームステイの魅力
- オーストラリアのファームステイの仕事内容
- オーストラリアのファームステイに必要なビザや費用
- オーストラリアで充実したファームステイを送るポイント
- まとめ
ファームステイとワーキングホリデーの違い
ファームステイと混同されやすいワーキングホリデーですが、両者の違いは以下のとおりです。
| 項目 | 内容 |
| ファームステイ | 農家や農場に滞在しながら働くスタイル |
| ワーキングホリデー |
最長1年間(条件によっては最長3年間)、ワーキングホリデー提携国に滞在可能な制度 就学や就労が許可されている |
つまり、ワーキングホリデー制度を利用してオーストラリアに滞在する方法のひとつがファームステイです。観光目的の短期滞在で、給与が生じないのであれば、電子渡航許可ETAや観光ビザ(601)などでもファームステイができる場合もあります。参加条件はファームステイのプログラムによって異なるので、事前に確認してくださいね!
オーストラリアのファームステイは3種類
オーストラリアのファームステイには、大きく分けると以下の3種類があります。
ホリデー型(短期体験・観光型)
ホリデー型ファームステイとは、農場や牧場にゲストとして滞在させてもらい、のんびりとファームの作業を手伝うタイプです。期間は数日間または1〜2週間で、農場や牧場の仕事を体験できます。なお、農業体験への参加は、必須ではありません。
ホリデー型では、参加者がファームステイを農場や牧場で体験させてもらうため、滞在費用や食費を支払う必要があります。多くの場合、乗馬体験や羊の毛刈り、カヤッキング、牛の乳しぼり、果物の収穫、ワインの試飲などを体験できます。
WWOOF(宿と食事付きのボランティア)
WWOOF(World Wide Opportunities on Organic Farms)とは、農場や牧場を経営する家庭にお部屋と食事を無料で提供してもらう代わりに、農場や牧場で働く方法です。ホストファミリーと交流したり、オーガニック農法やサステナブルな生活を学んだりしたい方に向いています。
オーストラリアをはじめとしたオセアニアでは、WWOOFが最もポピュラー。労働者をウーファーと呼び、事前に公式Webサイトから登録して受け入れ先のファームを探します。農場や牧場を経営しているホスト側が受け入れを承認すると契約が成立し、プログラムに参加できます。
労働型(有給・セカンドビザ対象)
労働型は、ワーキングホリデービザや就労ビザなどを取得して現地の農場や牧場に就職し、お給料をもらう方法です。野菜の収穫や選果、箱詰め、剪定などがメインで、オーストラリアの最低賃金にみあった給料を受け取れます。特に、ワーキングホリデーで生活資金を稼ぎたい方に向いていると言えます。
多くの場合、一日の作業時間は4〜6時間程度。お給料は固定給の場合と歩合制の場合があります。固定給だと安定して稼げますが、歩合制だと動物の世話のスキルや植物を育てたりピッキングするスキルがある程度必要とされるケースも。事前にどのような仕事内容かしっかり確認してから応募したいものです。
なお、労働型では、政府指定の職種やエリアで一定の期間就労すると、ワーキングホリデービザを延長するチャンスを得られます。セカンドまたはサードビザを目指すのであれば、労働型ファームステイがおすすめです。
オーストラリアのファームステイはWWOOFが主流
オーストラリアのファームステイでは、WWOOF(ウーフ)が最近とてもポピュラーです。以下では、WWOOFの特徴を紹介します。
WWOOFを利用するには、まず利用登録が必要です。オーストラリアのWWOOF団体に名前を登録すると、オーストラリア全土でウーファー(農場や牧場にステイして働く人)を募集中の農場や牧場の情報が記載された情報ブック(ウーフブック)がもらえます。このウーフブックが、WWOOFの登録者である証明書になるので大切に保管してください。
なお、WWOOFへの登録料は5000円程度で、それ以外の費用は特にかかりません。その後はウーフブックを見て気になる農場や牧場と直接やりとりします。滞在期間や仕事内容を確認した上で、申し込みましょう。
ウーファーになると宿泊費や食費がすべて無料で、ホストの牧場や農家で生活できます。その代わり、観光やツアーではないので、受け入れ側のホストが経営している農業を無償でお手伝いします。滞在費や食費を支払う必要がない分、牧場や農家のお手伝いが給料の代わりとなります。
滞在可能期間は、最短で数日、長くて1年間など多岐にわたります。ホスト側との話し合いで滞在期間を決めるので、英語での交渉力はある程度必要です。
オーストラリアのファームステイの魅力
以下では、オーストラリアでのファームステイを通じて得られるメリットや魅力を紹介します。
オージーイングリッシュを学べる
ファームステイでは、本場のオージーイングリッシュを学べます。農場の多い田舎や郊外に滞在すると、オーストラリア生まれ・育ちのオージーイングリッシュを聞く機会が都会と比べると多いからです。
オーストラリアへのワーキングホリデーや留学では、都市部のシドニーやメルボルン、ゴールドコーストをイメージする方が多いでしょう。都市部には多くの商業施設や娯楽、教育機関が揃っているため語学留学や交換留学などで英語や専門分野を学びたい方にはピッタリです。とはいえ、都市部には移民が多く、本物のオージーイングリッシュを聞く機会は田舎よりも少ないでしょう。
ピュアなオージーイングリッシュに触れられるのは、オーストラリアのファームステイの魅力だと言えます。
オーストラリア滞在を延長できる可能性がある
オーストラリアのワーキングホリデー中に、政府が指定した地域や職業で働くと、セカンド・サードビザなど滞在期間を延長するチャンスを得られます。ビザが延長できると結果的に、オーストラリアにワーキングホリデービザで2〜3年まで滞在できます。
ちなみに世界でも、ワーキングホリデービザで最大3年滞在できるのは、オーストラリアのみです。政府指定の地域にてファームステイをすると、セカンドビザ、サードビザに繋がりやすいのでおすすめです。
お金を稼ぎやすい
オーストラリアは世界でも最低賃金が高い国として有名で、労働型のファームステイでもお金を稼ぎやすいです。2025年11月24日現在の時給は24.95AUDで、日本円に換算すると約2527円です。
最低賃金の高さや為替相場などを考慮すると、日本でアルバイトをするよりも安定してお給料を稼げると言えるでしょう。特に労働型であればフルタイムで働けるだけでなく、農場の周りには商業施設などお金を使う場所がほとんどないので、あっという間にお金が貯まります。
住み込みのため生活費を抑えられる
労働型ファームステイでは、宿泊施設や食事なども提供されるケースもあるので、住み込みで生活費を抑えながら働けます。
一方で、食事や宿泊の条件は雇用主によって違うので、費用がかかるのかどうかなど契約内容を事前にしっかりと確認しておきましょう。
多文化な環境に身を置ける
ファームステイには、アジアや南米、ヨーロッパなどの世界中のさまざまな国や地域から労働者が集まるため、多文化な環境で国際感覚を磨けます。
労働者同士で休憩中や休日などにそれぞれの国や地域の文化や習慣などを語りあったりと、異文化交流の機会も多いでしょう。
オーストラリアのファームステイの仕事内容
以下では、オーストラリアでのファームステイで行う、農場や牧場での具体的な仕事内容を紹介します。
ホリデー型
短期滞在のホリデー型では、馬や牛、羊の餌やりなどのお世話や果物や野菜の収穫作業がメインです。滞在費や食費の支払いは必要な一方で、農作業への参加を強制されるわけではないので、農場周辺に滞在しながら自然の中でのリラックスが目的の方も多いです。
WWOOF or 労働型
長期滞在のWWOOFや労働型では、以下のようにたくさんの仕事があります。ひとつのタスクのみに対応するだけでなく、農場や季節の状況に合わせて複数のタスクを並行する場合もあります。
・薪を集めて割る
・ヤギや牛の乳搾り
・鶏の卵の回収
・牧場のフェンスの修理
・果物や野菜の収穫と梱包
・栽培管理
・畜産物の加工
オーストラリアのファームステイに必要なビザや費用
以下では、オーストラリアでのファームステイに必要なビザや費用を解説します。ファームステイのタイプによってそれぞれ状況が異なるので、事前にしっかり確認しましょう。費用の内訳や必要なビザの概略は以下のとおりです。
◾ビザの種類
| 区分 | 内容 | 該当ビザ・制度 |
| ホリデー型 |
・電子渡航許可ETAや観光ビザ(601) ・WWOOF |
ワーキングホリデービザ |
| 労働型 | ワーキングホリデービザ | ワーキングホリデービザ |
◾️費用の内訳
| 費用項目 | 具体的な内訳 | 費用目安 |
| 初期費用(渡航前) |
・ビザの申請費用 ・往復の航空券代金 ・海外旅行保険代金 ・健康診断料など |
約2,050~4,100AUD (20.7万〜42万円) |
| 滞在中にかかる費用 ※食費・家賃以外 |
・通信費 ・交際費 ・その他雑費 |
約205~510AUD/月 (2万〜5.2万円) |
ホリデー型
短期滞在のホリデー型では電子渡航許可ETAや観光ビザ(601)、もしくはワーキングホリデービザを申請・取得しましょう。オーストラリアでは3ヶ月未満の滞在であれば、観光ビザでの滞在が可能です。3ヶ月以上の滞在を予定しているのであれば、ワーキングホリデービザを申請・取得しておくと安心です。
ETAの申請は、公式サイトから行いましょう。現時点では、代行業者を通じての申請はできないので、必ず公式サイトにアクセスして申請してください。
なお、在日オーストラリア大使館のホームページでは、ETAについてより詳しく紹介しているので、最新情報や気になる点については以下のサイトを参照してくださいね!
WWOOF
WWOOFでファームステイをする場合は、3ヶ月以上の滞在には無給でもビザが必要な場合があるため、滞在先に必要なビザの種類を確認してください。多くの場合、ワーキングホリデービザを申請・取得します。
労働型
滞在が半年〜1年以上となる長期の労働型では、ワーキングホリデービザを申請・取得しましょう。1年目をワーキングホリデービザで過ごしながら滞在中にセカンドビザの申請をすれば、2年目もオーストラリアでファームステイが可能です。
オーストラリアでのファームステイの費用目安
以下に、オーストラリアでファームステイにかかる費用を期間別にまとめました。
1ヶ月:約30〜60万円 3ヶ月:約40〜80万円 6ヶ月:約50〜100万円 1年間:約100〜130万円
必要な費用は滞在期間やファームステイの種類によって大きく異なるので、あくまでも目安として捉えてくださいね!
オーストラリアで充実したファームステイを送るポイント
オーストラリアで充実したファームステイを送るためには、以下のポイントに沿って滞在先やファームステイの種類を選ぶことが重要です。
体力に合わせて無理のない職種を選ぶ 信頼性の高いサイトや人物から紹介してもらう 契約内容を必ず書面で提示してもらう
ファームステイでの仕事は基本的に体力勝負となるので、自分の体力に合わせて長続きしやすい職種を選ぶことが重要です。重労働になりがちな屋外での収穫作業よりも、屋内でのパッキングの方が体力を温存しやすいと言えるでしょう。ファームによっては複数のタスクを掛け持ちする場合もあるので、掛け持ちの可能性の有無についても要確認です。
より信頼性の高いファームで働けるように、就業先を探す際にはオーストラリア政府運営のHarvest Trailや留学エージェント、信頼できる方からの紹介などを活用するのがおすすめです。
また、就業先のファームが良い環境であるとは限らないため、悪質なファームでの就業を避けるためにも、契約内容は必ず書面で貰いましょう。就労時間や給与、家賃などを書面ではっきり提示してもらい、口約束をしないことが大切です。
まとめ
酪農大国ならではの仕事やアクティビティを、直接現地の方と生活しながら体験できるファームステイ。ファームステイには3種類あるので、目的や滞在期間に合わせてぴったりなプログラムを選んでみてください。
本記事をきっかけに、あなたがオーストラリアでのファームステイに挑戦し、充実した日々を送れることを願っております!
◇経歴
大学時代に、外国語がどのように学ばれるのかについて興味を持ち、日本の大学院で第二言語習得論•応用言語学の研究に励む。
修了後はインターナショナルスクールの先生や、小学生オンライングループ英会話のバイリンガル講師、日本の文化を海外に広める音楽スクールで活躍中。
◇資格
IELTS Academic module 6.5
(speaking 6.5 reading 7.0 listening 6.5 writing 6.0)
◇留学経験
高校時代、春休み中にニューヨークにある姉妹校のタウンゼント•ハリス高校へ研修に参加。
その後大学時代にニュージーランドに一学期間の留学を経験。語学学校に通ったのち、主に応用言語学を中心に学ぶ。
◇海外渡航経験
つい数ヶ月前、高校ぶりに訪れたニューヨークの空港でみつけたストリートピアノ。
つい弾きたくなりニューヨーク出身の作曲家ジョージ•ガーシュインの「ラプソディーインブルー」を弾いたら、メキシコのカンクン行きの搭乗を待っていた皆さんから盛大な拍手を貰いました!とてもいい思い出です。
◇自己紹介
これまでの海外経験や、日本で出会った留学生たちとの交流から、英語をはじめとした外国語を使うことで、私たちの視野や価値観はどんどん広がっていくと確信しています!
英語が好き!と言う気持ちを大切に、英語を学び続けられる燈を見つけられるよう行動すると、英語学習が楽しくなります!