カナダを旅行や留学で訪れる際に、カナダドルとアメリカドルの違いを理解することが重要です。両通貨は北米で広く使われており、時にはアメリカドルがカナダで使えるのかも気になるポイントです。
この記事では、カナダドルとアメリカドルの基本情報、違い、そしてカナダドルとアメリカドルがどのように扱われるのかについて解説します。
カナダドルとは?
基本情報
カナダドル(加ドル、通貨コード:CAD)は、カナダ国内で使用される法定通貨で、世界の通貨ペア(*1)の一つとしても世界で広く取引されています。カナダドルは「$」や「C$」で表記され、100セント「Cent」が1カナダドルです。
カナダは石油、ガス、鉱物、森林など、資源に恵まれた国であるため、カナダドルは「資源国通貨」としても知られています。特に、原油価格の変動がカナダドルの価値に直接影響を与え、原油価格が上昇するとカナダドルが強くなる傾向があります。
また、カナダの主要な貿易相手国であるアメリカ経済の動向も、カナダドルの為替レートに強く影響します。
過去には、リーマンショックやコロナショック、原油価格の急落といった出来事がカナダドルの大きな変動を引き起こしました(*2 ショック相場の例)。
これらの事例は、現在の市場分析や取引データの基礎となっています。
*1 通貨ペア:取引で売買する通貨の組み合わせ。「米ドル/円」や「カナダドル//円」のように、売買する通貨の組み合わせを「/」で区切って並べて表します。
*2 ショック相場:株や通貨の値段が突然の出来事で大きく動く相場の状態のこと。
アメリカドルとは?
基本情報
アメリカドル(米ドル、通貨コード:USD)は、世界で最も広く取引される通貨であり、基軸通貨として国際金融市場で重要な役割を果たしています。米ドルは「$」や「US$」で表記され、国際貿易や金融取引の標準通貨として広く採用されているほか、多くの国で外貨準備としても保有されています。
米ドルの価値は、主にアメリカの経済指標(雇用統計、GDP、金利政策など)や市場動向に影響を受けます。
例えば、雇用統計の発表や連邦準備制度理事会(FRB)の金利政策の変更は、米ドルの為替レートに直接的な変動を引き起こす重要な要因です。
また、ドル円市場などの主要な通貨ペア取引においても中心的な役割を担っています。
米ドルは、安定したレンジ相場(*1)を形成する一方で、リーマンショックやコロナショックといったショック相場では急激な値動きを示すことがあります。
さらに、世界的な経済危機の際には、安全資産としての米ドルが注目され、需要が高まることも特徴です。
*1 レンジ相場:株や通貨の値段が一定の範囲で上がったり下がったりを繰り返す相場のこと。
カナダドルとアメリカドルの主な違い
歴史
カナダのお金は、先住民や、イギリス、フランスやアメリカの影響を受けながら独自の貨幣制度を築いてきました。
カナダは、カナダ連邦が成立する数十年前に、アメリカと同じ十進法を使用することを決め、1858年に、それまで使用していたイギリス通貨のポンドではなく、カナダドルが公式通貨として採用しました。初めて鋳造されたのは10セント硬貨でした。
一方、アメリカドルは、アメリカ独立後の1785年に、ドルが公式通貨単位として採用されたことから始まります。1792年には「造幣法」によって初めてドルが鋳造され、十進法を使用した米国の貨幣制度が確立されていきました。
ドルの記号は、スペイン系アメリカ人が使用していたペソの数字から派生しています。
デザインと貨幣単位
カナダドルの紙幣は、色鮮やかなデザインが特徴です。紫や青、緑など、カラフルな色彩で国の文化や自然を表現しています。貨幣にはポリマー素材が使用されており、耐久性と偽造防止機能が優れています。
紙幣は5種類(5ドル札、10ドル札、20ドル札、50ドル札、100ドル札)あります。よく使用されるのは5、10、20ドル札で、個人商店等では50ドル以上の大きなお札では支払いが難しいこともあります。
カナダドルの硬貨は5種類で、それぞれ「2ドルコイン(トゥーニー)」、「1ドルコイン(ルーニー)」、「25セント(クォーター)」、「10セント(ダイム)」、「5セント(ニッケル)」といった愛称があります。
過去は「1セント(ペニー)」もありましたが、2013年に廃止されました。
このため、現金で支払うときには端数が調整されます。
アメリカドルの紙幣は、主に緑色を基調としたクラシックなデザインで、「バック(Buck)」と呼ばれることもあります。アメリカの歴史上重要な人物が描かれており、7種類(1ドル札、2ドル札、5ドル札、10ドル札、20ドル札、50ドル札、100ドル札)があります。
硬貨は6種類(1セント、5セント、10セント、25セント、50セント、100セント)があります。1ドル(=100セント)は紙幣も硬貨も存在します。
カナダドルとアメリカドルは同じ名前の硬貨も多く、サイズも似たものがありますが、デザインも価値も異なります。旅行中などには混ざってしまわないように気をつけましょう。
為替レートの違い
カナダドルとアメリカドルの為替レートは、両国の経済状況や市場の動きに基づいて変動します。一般的に、アメリカドルはカナダドルよりも価値が高いことが多いですが、原油価格の変動等によって両者の価値が接近する場合もあります。
また、両国の中央銀行(カナダ中央銀行とアメリカ連邦準備制度理事会(FRB))が発表する金利政策も、為替レートの重要な要因となります。
カナダでのアメリカドルの扱い
カナダを訪れる旅行者や留学生の中には、アメリカドルをそのまま使えるか疑問に思う方もいるでしょう。カナダとアメリカは隣接しており、経済的なつながりも深いため、アメリカドルが使える場面も存在します。
しかし、カナダではカナダドル(CAD)が法定通貨であるため、アメリカドルの扱いには制限があります。
観光地や都市部でのアメリカドルの利用
カナダの主要都市や観光地では、アメリカドルが一部の店舗やサービスで使える場合があります。たとえば、大型ホテルや空港内のショップではアメリカドルを受け入れていることがあります。
ただし、利用する際にはいくつか注意すべき点があります。まず、店舗によっては独自に設定した為替レートが適用されるため、正規のレートよりも割高になることが一般的です。
また、支払いにアメリカドルを使用した場合でも、お釣りは通常カナダドルで返されるため、小銭を含めて金額をしっかり確認することが大切です。
地方や小規模店舗でのアメリカドルの利用
観光地や都市部以外では、アメリカドルが受け入れられないことがほとんどです。地方や郊外、または小規模な店舗や公共交通機関では、カナダドルが必須となるので、注意が必要です。
クレジットカードやデジタル決済
アメリカドルをそのまま使う代わりに、クレジットカードやデジタル決済アプリ(Apple Pay、Google Payなど)を利用することで、多額の現金を持ち歩くリスクを軽減できます。
カードでの支払いは、自動的にリアルタイム為替レートでカナダドルに換算されるため、スムーズに支払いができます。
日本円から両替する方法
カナダやアメリカを訪れる際には、日本円を現地通貨に両替する必要があります。両替の方法やタイミングを工夫することで、為替手数料を抑えたり、お得に両替をすることができます。
ここでは、いくつかの一般的な両替方法について説明します。
空港の両替所を利用する
空港にある両替所は、旅行直前や到着直後に現金を手に入れたい場合に便利です。
空港での両替は手軽ですが、為替レートが高めに設定されていることが多いため、必要最低限の金額を両替するのがおすすめです。
日本国内の銀行や両替所を利用する
大手銀行では、窓口でカナダドルやアメリカドルへの両替を行っています。事前にレートを比較することで、空港や現地よりも有利な条件で両替できる場合があります。
ただし、両替可能な通貨が限られていたり、両替の上限金額がある場合があるため、事前に確認し、早めに準備することが重要です。
現地の両替所や銀行を利用する
現地では、為替レートが国内よりも有利になることがありますが、両替所の場所や手数料を事前に調べておくと安心です。特に地方では、日本円を取り扱う場所が少ない場合があるため、大都市で済ませるのが安心です。
現地のATMで現地通貨を引き出す
現地のATMを利用してカナダドルやアメリカドルを引き出す際には、クレジットカード(キャッシング機能付き)またはデビットカードが必要です。
このカードは、日本国内の銀行が発行したもので、VisaやMastercardなどの国際ブランドに対応している必要があります。ATMを利用する方法は、必要な分だけ現地通貨を引き出せるため、急に現金が必要となってしまった場合に役立つ手段のひとつです。
ただし、利用時にはATMの利用料や海外引き出し手数料が発生する場合があります。そのため、事前に自分のカードが海外のATMで利用可能かどうか、また手数料や引き出し限度額について確認しておくことが大切です。
クレジットカードやデビットカードを利用する
これらのカードでは、自動的に現地通貨に換算されて支払われるため、両替の手間を省けます。ただし、カードによっては為替手数料がかかることがあるため、事前に確認しておくと良いでしょう。
また、カードが利用できない店舗での支払いや、現金でチップを払う場合に備え、少額の現金を用意しておくことも重要です。
まとめ
カナダドルとアメリカドルの違いを理解することは、旅行や留学を安心して進めるために重要です。それぞれの通貨がどのように使われているかを知ることで、現地での支払いがスムーズになります。
カナダではアメリカドルの使用が制限されることが多いため、事前に現地通貨であるカナダドルを用意しておくことが安心です。また、現金を持ち歩くリスクを避けたい場合は、クレジットカードやデジタル決済を活用することで、安全かつ便利に支払いを行うことができます。
また、為替相場やレートの変動に注意し、通貨換算ツールや為替チャートを活用することで、よりお得な取引や両替が可能です。通貨の違いは経済や市場動向とも関連するため、適切な情報収集と準備が快適な旅や留学の鍵となります。
正しい知識と準備をもとに、快適で安全な旅や留学を実現しましょう!