海外に行くなら、海外旅行という方法もありますが、社会人留学なら「体験」や「気分転換」のほかに「学び」や「成長」も大きなテーマとなります。留学は、その後のキャリア形成にも活かせる貴重な経験となるものです。
一口に社会人留学といってもその目的はさまざま。留学できる期間や予算によっても留学の形態は異なります。ここでは、社会人留学のメリットや準備のコツ、成功のための心構えについてまとめていきます。
社会人留学を選ぶ理由
留学では、全く違う環境に身をおくことになるため、多くの学びや成長につながる経験を得られます。しっかりとしたプランで留学に望めば、語学力やコミュニケーション能力を上げるだけでなく、人生の選択肢を広げるような経験を得ることも十分可能です。
社会人留学となると、自己資金を投資する分、真剣に取り組む姿勢も強くなり、ある程度の経験値で乗り越えられることも増えているので、結果的に高い満足度を得られることが多くなります。
社会人留学の目的とメリット
社会人留学では「ずっとしてみたかった留学をしたい」「気分転換も兼ねて留学をしたい」というものから、「キャリアアップのため、英語力の向上やスキルの向上を目的に留学したい」など人によりさまざまな目的があります。
短期・長期の語学に特化した留学だけでなく、より専門性に特化した留学、ワーキングホリデーでの留学など選択肢も多いもの。以下では、社会人留学の目的別にその特徴とメリットをまとめます。
リフレッシュを目的にした社会人留学
英語力アップも図りながら、休暇や離職・休職期間を有意義に過ごしたいという人には、海外の語学学校や大学附属の学校での語学研修を目的とした留学がおすすめです。
1週間〜2ヶ月程度の期間での留学が可能で、中には30代向けのコースを提供する学校もあります。
ほとんどの語学学校では、放課後にアクティビティを用意しており、他の留学生との交流や現地の文化を知れる機会もあるものです。さまざまな国からの学生と一緒に英語を学ぶことで、国際的な視点を得る刺激的な機会となります。
英語力アップを目的にした社会人留学
英語力をしっかりと向上させたい人には、長期での語学留学がおすすめ。4週間〜1年以上に渡る期間での留学が可能です。
長期となると、現地での生活基盤もある程度自分で築いていく必要があり、さまざまな人と関わる中で、より国際感覚を磨いたり、異文化理解を深めたりすることにもつながります。
キャリアアップやビジネススキルの向上を目的とした社会人留学
ビジネスの場面での英語力向上を目的にするなら、ビジネス英語コースでの留学という選択肢もあります。英語でのビジネスミーティングやビジネスメールでのマナーなども学べ、実務に役立つ知識が身につく留学プログラムです。
ビジネスに直接活かせる英語スキルを磨けるため、海外との取引がある仕事やそうした仕事への転職を希望している場合にメリットが多いと言えます。
他にも、TOEICやIELTS、ケンブリッジ英検など、資格として英語力の証明を残せるような英語コースの受講もその後のキャリアで有利となる場合があります。
専門スキルを身につけることを目的とした社会人留学
より専門的なスキルに磨きをかけたい人には、海外の専門学校への留学がおすすめです。
3ヶ月の短期コース〜1年以上の長期コースがあり、英語力の底上げを図りながら専門スキルを身につけ、修了証や資格取得も可能です。キャリアチェンジやキャリアアップを目標にしている他の社会人留学生とも一緒に学べるので、刺激を受けるだけでなく、人脈作りにつながることもあります。
他に、ボランティアや、海外インターンシップでの留学も帰国後の転職活動に生きるスキルが身につきます。
アカデミックに専門知識を磨くことを目的とした社会人留学
すでに持っている専門知識をいま一歩進めたい人や、専門分野をもう少し広げたり、全く違う分野でしっかりとした知識を身につけたい人には、海外大学・大学院留学がおすすめです。
1〜4年の期間での留学となり、時間の確保や費用面での準備がありますが、学位としてスキルの証明が残るので、その後ビジネスの場面でのアピールにもつなげやすい留学プログラムです。
幅広い体験を目的としたワーキングホリデーでの社会人留学
語学や専門スキルの強化だけでなく、現地での就職なども視野に留学をしたい人については、30歳までの人が申請可能なワーキングホリデー制度を利用しての留学がおすすめです。
ワーキングホリデー協定国への1〜2年の滞在が認められ、現地でのアルバイトも可能となります。海外での就業経験も得たいという人にとっても魅力的な留学方法で、語学留学にも興味があり、費用も抑えながら留学したい人にもおすすめです。
留学前の準備と手続き
具体的に留学に向けて準備を進めるには、どんなステップが必要でしょうか?以下は簡単な留学準備の流れです。
1. 留学希望の整理
上で紹介した社会人留学の目的もチェックしながら、自分の留学目的を明確にしましょう。
加えて、留学先となる国の希望も絞りながら、留学期間や留学費用、留学プログラムも確定し、プランを固めます。必要な場合は、奨学金の情報も収集し、しっかり準備を進めましょう。
2. 学校への申し込み
国や期間などが決まったら、自分の目標に合った学校・コースの選定を進め、申し込みをします。
語学学校なら、国籍比率やアクティビティの情報なども確認し、自分の希望と照らし合わせながら学校選びを進めましょう。専門学校や大学・大学院なら、コースが自分の希望に合う内容をカバーしているのかしっかり確認するのがポイントです。
語学学校の場合、合わせてホームステイや寮などの手配が可能な場合がほとんどです。専門学校や大学・大学院は出願後の滞在先手配となりますが、学校選定の段階で早めに滞在先情報についても調べておけると安心です。
3. ビザの申請
学校も決まり、入学の許可が出たら、いよいよ渡航に向け本格的に準備を進めることになります。3ヶ月以下の留学であれば、日本国籍の人はビザは不要な場合もありますが、3ヶ月を超える場合は、学生ビザの申請が必要になります。
ワーキングホリデービザについては、申請期間が決まっている場合もあるので、場合によっては学校などへの申し込み前にビザの申請を進める必要がある点は気をつけてください。
4. 渡航準備
学校の手配や滞在先の手配、ビザの準備ができれば、あとは航空券の手配や荷造りなどといった準備になります。ホームステイで滞在する場合は、ホストファミリーへの挨拶メールを入れておくのも大事な準備の一つになります。
現地で語学力やスキルを磨くとはいえ、日本にいる間も学習を進めて基礎固めをしておくのもとても大切な準備です。
エージェントの選び方
留学前の準備は全て自分で進めることもできますが、仕事をしながら留学準備を進めるのはなかなかに大変です。
留学のプロであるエージェントを頼るのも効率よく留学準備を進める方法の一つです。以下では、エージェント選びの際に気をつけるとよいポイントを紹介します。
ポイント1: 実績や評判をチェック
留学エージェントもたくさんの会社があります。知人の紹介などがあれば安心ですが、ホームページなどの情報も頼りに、実績や評判をよく見るようにしましょう。
長年留学をサポートしてきている歴史のある会社は安心ですが、新しい会社でもサービスに工夫を凝らし、サポートが手厚い場合もあります。口コミなども参考にしながら、留学相談前の事前チェックも入念に行いましょう。
ポイント2:希望の留学を専門としているかチェック
エージェントでも、ある国に特化してサポートを得意としているところや、対応国が多く数ヵ国の候補から提案してくれるところ、大学留学を専門に扱うところなど専門分野が違っていることもあります。
専門性に応じてビザの知識や、学校との提携状況も大きく変わるため、自分の留学希望を得意としているエージェントであるかを確認しましょう。
相談の前に、自分の希望や目標をしっかり言語化しておき、判断基準を作ってから相談するのがおすすめです。
ポイント3:サポート内容が自分に合うかチェック
エージェントによっても、無料でのサポートを基本としていたり、有料サポートを用意していたりと料金体系に違いがあります。
サポートプランの違いで現地サポートの有無や、ビザ申請サポートの有無が変わったり、航空券の手配がそもそもサポート対象になかったりと、エージェントにより対応が異なるため、自分が重視したい点がどの程度カバーされるかはよく確認するようにしましょう。
ポイント4:カウンセラーの体制をチェック
営業年数が少ないエージェントの場合にも当てはまりますが、経験の長いカウンセラーが少ないエージェントは専門的な知識量がまだ少ない可能性もあります。
また、相談の度にカウンセラーが変わると、毎回相談内容を確認する手間もあり面倒です。できるだけ担当制でサポートしてもらえるか、複数のカウンセラーによるサポートだとしても、情報共有がスムーズかは事前相談の際にしっかり確認しておけると安心です。
留学後のキャリア展望
短い休暇を利用しての社会人留学ならまだ少し気軽な気持ちで挑めるものではありますが、長期留学を検討する場合は、ある程度の覚悟が必要となる場合もあるかもしれません。
その後のキャリアも見据えると、留学自体を最終目標とせず、留学の先の目標をしっかりと立て、留学はあくまでその通過点であるという認識でプランを立てていくことが非常に重要です。
留学の目的が曖昧なまま渡航し、現地で日本人とばかりつるんでしまって英語が伸びなかったとなれば、せっかくの海外経験もアピールポイントとして生かすことが難しくなります。
留学を転機に今後のキャリアの転換を図りたいという場合は、専門学校でスキルを磨いたり、ビジネスインターンシップでビジネススキルを伸ばしたり、大学留学で学位としてしっかり成果を残したりするなど、少し戦略的に留学プランを練ることも重要です。
現地では目の前のことに一生懸命取り組み、帰国の際も、取れる資格はとって、できる限り留学の成果を目に見える形で残せると、仕事に復帰した時や、転職活動の時にも立派な武器となります。
まとめ
以上、社会人留学について、目的別の留学方法や、エージェント選びを含む留学準備のポイントを解説しました。現地で学びを深めるとはいっても、多くのチャレンジができるよう、日本にいるうちから英語や専門分野の学習を進めておくのも大切です。
また、繰り返しになりますが、後悔のない社会人留学の秘訣は、留学後の目標まで見据えてプランすることです。留学経験者の体験談も参考にしながら、やりたいことや目標を明確にして準備を進めましょう。
◇経歴
・ワーホリ3ヵ国経験あり
・海外企業の営業・マーケティングで5年の経験あり
・留学サポート経験あり
◇資格
・ケンブリッジ英検 FCE
・TOEIC 900点以上
◇留学経験
・イギリス・エディンバラ大学附属の語学学校にて1ヶ月の語学留学経験あり
◇海外渡航経験
・ニュージーランド、カナダ、アイルランドでワーホリを経験
・アイルランドの企業で営業・マーケティングを担当(出張でマルタやイギリス、アジア圏の国々にも行きました)
・これまで仕事や旅行で訪れた国は20ヵ国以上
◇自己紹介
留学サポートの経験も経て、現在はWebライターとして活動しています。
大学から本格的に英語を学び始め、留学・ワーホリ経験を通して、世界各国の人たちと交流する楽しさを知りました。現在は、日本で国際交流・異文化理解の場を作るお手伝いもしています。