近年、海外移住したい人々に人気の国として「カナダ」が挙げられており、実際に世界中からカナダ移住を目指している人が現地に集まっています。
駐在や教育移住などの一時的な滞在だけでなく、カナダの永住権を取得するために移住してきたという人も少なくありません。しかし、カナダ移住についての知識を知らないままでは、移住までの道のりが遠回りになってしまう可能性があります。
この記事ではカナダ移住を希望する方に向けて、移住する前に知っておくべきことを詳しく紹介します。また、カナダ移住のメリット・デメリットや移住するための条件についても紹介するので、カナダ移住を検討している方はぜひ参考にしてくださいね!
なぜカナダ移住なの?
カナダは世界初の多文化主義政策を採用した国であり、移民の受け入れが積極的であることも有名です。そのため移住者に対するサポートも手厚く、例えば英語があまり話せない移住者のために、無料の英語クラスを提供したり、就職支援を行ったりしています。
異なる文化と価値観を持つ人々が共存しながら、お互いの伝統やアイデンティティを尊重しており、調和の取れた社会を作り上げています。カナダは良い意味で「周りを気にせず、のびのびと自分らしく暮らせる国」として、移住先に選ぶ人が多いです。
カナダ移住が人気の理由
カナダ移住が人気の大きな理由として、以下の3つが挙げられます。
・自然豊かで環境が良い
・女性が活躍しやすい環境
カナダは先進国の中で比較的治安が良い国として知られていて、非常に厳格な銃規制があるため銃犯罪の発生率が低いです。多民族が平和に共存している背景からも、治安の良さが垣間見えるでしょう。
世界第2位の国土面積を保有するカナダは、豊かな自然に恵まれていて清浄な空気と美しい景色が魅力です。バンクーバーやトロントなどの大都市ではインフラが整備され生活水準も高いため、日本人にとって馴染みのある利便性もあります。カナダでは多くの企業が女性リーダーや管理職を登用しており、女性がキャリアを築いて活躍できる環境が整っています。
カナダ移住のメリット・デメリット
「カナダ移住が人気の理由はわかったけど、メリットやデメリットも気になる」という方も多いのではないでしょうか?
カナダに移住する前に、メリットだけでなくデメリットもしっかり把握しておくことで、「移住して失敗した」という後悔を防げます。ここでは、カナダ移住のメリット・デメリットについてそれぞれ詳しく紹介します。
メリット①:移民が多いため暮らしやすい
カナダ移住のメリットの1つが、移民が多いため日本人でも暮らしやすいという点です。特にバンクーバーやトロントなどの大都市には、中国系や韓国系移民を含めたアジア人移住者が大勢いるので、日本食なども手に入りやすいです。
さまざまな言語を話す人々がいて、英語のアクセントも多種多様なので、「英語が苦手」という方でも自信を持って話せる環境が整っている点も魅力です。
メリット②:ワークライフバランスが充実している
カナダはワークライフバランスが充実しており、付き合いで残業したり不要な飲み会や接待を行ったりすることがほとんどありません。プライベートを大切にする人が多いので、有給も取りやすい職場環境が整っています。
「働く時間が短いとあまり稼げないのでは?」と考える方も少なくないですが、カナダは日本よりも平均年収が高いといわれています。2024年時点でのカナダの最低時給は、以下の通りです。
トロント(オンタリオ州):16.55ドル
ほかにも「スタットホリデーペイ(Statutory Holiday Pay)」と呼ばれる祝日出勤手当もあり、その日に働くと給料が1.5倍になります。
メリット③:高校まで学費が無料
子どもがいる人にとって嬉しいメリットは、カナダでは幼稚園〜高校まで学費が無料である点です。州によって違いはありますが、例えばオンタリオ州の場合だと幼稚園年中にあたるJunior Kindergartenから高校3年生にあたるGrade 12までの14年間、公立学校の学費が無料になります。
親が公立の大学やカレッジに留学する場合、条件によっては子どもが学費無料で公立学校に通えることもあるので、親子留学を検討している方はあらかじめ確認するのをおすすめします。
メリット④:子育てしやすい環境
カナダは子育て世代に親切な人が多く、非常に子育てしやすい環境が整っています。まだバリアフリーに対応していない駅なども多く存在しますが、そういった場所でベビーカーのお母さんを見かけたら、その近くにいる人がすかさず手助けをしてくれます。
子どもに寛容な社会なので、混み合った電車やバスの中でも基本的にはベビーカーを折り畳む必要はありません。カナダの子ども手当(CCB)は日本よりも支給額が多く、2024年時点で世帯収入が年間34,863ドル以下の場合、最大で以下の金額が支給されます。
6歳から18歳未満の子供1人につき:522.91ドル/月
メリット⑤:医療費が無料
州によって違いはありますが、基本的にカナダは医療費が無料もしくは低コストです。日本と同じく国民皆保険制度を採用しており、月々の健康保険料の支払いが発生しないというメリットがあります。
また、妊婦健診など出産にかかる費用も公的保険でカバーできるため、入院の際の差額ベッド代以外は費用がほとんどかかりません。ただし、処方薬や歯科治療、視力ケアなどのサービスは公的保険に含まれておらず、非常に高額になる場合も多いため、個人で私的保険に加入している人が大半です。
デメリット①:気軽に病院に行けない
医療費が無料であることはメリットですが、一方で気軽に病院に行けないというデメリットもあります。カナダはファミリードクター制度であり、体調が悪くなったらまずかかりつけの一般医に診察してもらいます。
その後、必要に応じて専門医に紹介してもらう仕組みのため、患者が直接専門医にかかるということができません。日本では皮膚科、耳鼻科、整形外科などに直接行けますが、カナダでは紹介してもらってから専門医に会えるまで、数ヶ月間待たなければならないことも多いです。
デメリット②:大都市部を中心に物価が高い
カナダは年々物価が上昇しており、バンクーバーやトロントなどの大都市部を中心に非常に物価が高い国です。食料品の値段も上がっていますが、特に外食費の高騰が顕著であり、ランチ代がチップ含めて1人あたり30ドル(日本円で約3,300円)になることも珍しくありません。
また、カナダで深刻なのは家賃や住宅価格であり、バンクーバーのダウンタウン周辺では1億円あっても家が買えないくらい住宅価格が高騰しています。日本でいう1LDKの家賃も25万円以上する場合が多く、留学生向けのシェアハウスの家賃も年々上がっています。
デメリット③:冬が長く寒さが厳しい
カナダの主要都市は北海道とほぼ同じ緯度に位置しているため、冬が長く寒さが厳しいのが特徴です。特に内陸部や北部ではマイナス30〜40度になることもあり、一度雪が降ると、冬が終わるまで雪が溶けない寒さが続くエリアも多いです。
カナダの多くの都市では8月末から徐々に涼しくなっていき、10月頃には雪が降り始めます。4月のイースターの時期まで肌寒い日が続くため、しっかり防寒着の準備をしておきましょう。ただし、バンクーバーやビクトリアは冬季でも比較的温暖なため、寒さが苦手な人は西沿岸部の都市を選ぶのがおすすめです。
カナダ移住の難易度は?
カナダは比較的永住権を取得しやすい国として人気ですが、移住の難易度は年々上がっています。カナダの移民政策は日に日に変化していくため、常に最新情報をチェックする必要があります。
大学院留学がカナダ移住の近道?!
2024年2月にカナダ移民局が新政策を施行し、カナダの指定教育機関の大学院を卒業した留学生は3年間の就労ビザを取得できるようになりました。この就労ビザは「ポストグラデュエートワークパーミット(PGWP)」と呼ばれるもので、それまで2年以下のプログラムの場合、同じ期間分の就労ビザしかもらえなかったのです。
カナダで永住権を取得するためにはいくつかの条件がありますが、カナダの就労経験の長さによってはかなり有利になります。そのため、大学院留学がカナダ移住の近道になる可能性は高いといえます。
ワーホリからカナダ移住の条件は?
ワーホリビザは「雇用主を制限しない1年間の就労ビザ」であり、上手く活用することでカナダ移住に繋げることも可能です。ここでは、ワーホリからカナダへ移住するための一般的な条件を4つ紹介します。
①結婚移民(マリッジもしくはコモンロー)
結婚移民は、カナダ国籍またはカナダの永住権を持つパートナーと結婚することで永住権を取得する方法です。カナダはコモンロー(事実婚)パートナーも認められているので、結婚していなくても事実婚状態を証明できれば永住権を申請できます。結婚移民は他の移住方法よりも比較的条件が緩やかですが、審査に時間がかかる場合があります。
②技術移民(スキルドワーカー)
技術移民は、特定のスキルがあったり専門職についていたりする人を対象にした移民プログラムです。このプログラムはポイント制であり、カナダ国外の就労経験も点数として加算されます。その他に年齢、学歴、英語力などで加点されるため、移住条件としてはかなり難易度の高い方法です。
③カナダ経験移民(CEC)
カナダ経験移民は技術移民と似ているプログラムですが、特にカナダ国内での学歴と就労経験がある人が対象です。ワーキングホリデーを利用して働いた期間も申請条件の期間に含められるため、計画的に準備することで永住権取得できる可能性が高くなります。
④州政府移民プログラム(PNP)
州政府移民プログラム(PNP)は、カナダの各州が独自に運営している移民プログラムです。州によって条件が異なるため、自分が申請したい州のPNPについてチェックするようにしましょう。PNPは人数制限があったり、申請を受付しない年もあったりするため、他の移住方法よりも条件が厳しい傾向があります。
40代、50代でもカナダ移住は可能!?
カナダは年齢を気にしない人が多いので、40代や50代の方でも移住することは十分可能です。40代、50代の方がカナダ移住する方法として、以下のような方法があります。
・学生ビザ
・スーパービザ
・ケベック州独自の移民プログラム「PEQプログラム」
エクスプレス・エントリーはポイント制のため、45歳以上だと年齢の加点が0点になってしまうため、やや難易度が高い方法といえます。スーパービザとは、カナダ市民権・永住権を持つ子どもがいる場合、その両親や祖父母が最長10年間カナダに入国でき、最長5年間のビジタービザを取得できます。ケベック州の「PEQプログラム」は、以下の3つの条件を満たせばケベック州を通じて永住権の申請が可能です。
・フランス語B2レベルの証明
・ケベック州で18ヶ月間の就労経験
中上級レベルのフランス語を身につける必要がありますが、他の州の移住方法のように年齢や学歴、英語力が必要ないため、40代や50代の方でもチャレンジしやすい方法といえるでしょう。
まとめ
この記事では、カナダ移住で知っておくべきメリットとデメリット、移住するための条件や難易度について紹介しました。カナダは比較的永住権を取りやすい国といわれていますが、近年の政策によって徐々に移住の難易度が上がっていることは事実です。
ただ、最新の情報を常にキャッチして正しい努力を続けていけば、カナダ移住の道が開ける可能性は多いにあります。カナダ移住を叶えたい方はぜひ本記事を参考にして、移住に向けて出来ることから準備していきましょう!
◇経歴
・英米文学科卒業
・George Brown College卒業(カナダ・トロント)
・カナダ現地のパティスリーにてパティシエとして働く
・現在はWebライターのほか、SNS運用やコンテンツクリエイターとして活動しています。
◇資格
IELTS General 6.0
◇留学経験
・ニュージーランド(2週間)
→高校留学でホームステイ体験
・カナダ(13年)
→ワーキングホリデー→カレッジ留学→現地就職→永住権取得
◇海外渡航経験
長期滞在:カナダ、韓国(3ヶ月)
旅行:ニュージーランド、オーストラリア、アメリカ、
イタリア、タイ、インドネシア、シンガポールなど
◇自己紹介
英語学習や留学に関する記事を書いているWebライターです。
幼少期から英語や海外に興味があり、子ども英会話教室に通ったり、ニュージーランドへ短期留学したり、大学は英米文学を専攻したりと英語に関わる人生を過ごしてきました。
現在はカナダ在住13年め、海外で子育て奮闘中です。
英語学習や海外生活に興味のある方に、役立つ情報をお届けできたらと思っています。どうぞよろしくお願いします!