フィリピンと聞くと、どのようなイメージがあるでしょうか?首都マニラやリゾート地セブ島は、日本人にも人気の観光地です。また、近年のフィリピンは語学留学先としても有名です。しかし、同時に治安が心配という方もいるのではないでしょうか。
フィリピンは、20年ほど前は発展途上国として、事件が多く治安が悪い国というイメージがありました。しかし、ドゥテルテ前大統領が就任した後は、政府の治安対策が強化されたこともあって、以前と比べてだいぶ治安も良くなってきています。
ただし、まだまだ全てのエリアで必ずしも安全とは言えず、スリやひったくり、置き引きといった犯罪に巻き込まれる観光客も多いようです。今回はフィリピンの治安の悪いエリア、トラブル事例、安全に観光するためのポイントなどを解説します。
セブ島の治安
セブ島は、ホテルが立ち並ぶリゾートです。フィリピンの中でも安全で、治安がいい地区だと言われていますが、場所によっては注意が必要です。 ここではセブの地域別に安全性を見ていきましょう。
・セブ・ビジネス・パーク
セブ・ビジネス・パークは、セブを代表するビジネスエリアです。巨大な商業施設であるアヤラセンターセブを中心に、ホテルやコンドミニアム、オフィスなどが集中しています。居住者は富裕層が多く、また金融機関や外資系企業が数多くオフィスを構えています。セブの中では比較的治安が良いとされているエリアです。
・コロン
コロンはセブ市に古くからある繁華街です。コロンストリートという大通りが有名で、フィリピン最古の通りとも言われています。夜にはナイトマーケットが賑わいを見せ、庶民のための拠点というイメージの下町情緒が残っているエリアです。それだけに治安もあまり良くなく、特に夜間は注意が必要です。セブの語学学校の中には、安全性の観点からコロンへの立ち入りを禁止しているところもあります。
・セブ・ITパーク
セブ・ITパークは、セブの中心にあるオフィスエリアです。巨大な敷地面積を誇るこのITパークには、商業地区Ayala Malls Central Blocや、多くの企業のオフィスが軒を連ねています。外資系IT企業が多く集まる地域としても有名で、治安も良く落ち着いたエリアです。
・カルボンマーケット
カルボンマーケットはセブ最大の市場で、食品から日用品まであらゆるものが揃う庶民の台所と呼ばれています。いつもローカルの人々で賑わっており、観光スポットとして観光客にも人気のエリアですが、人混みの中でのスリや置き引きには十分注意が必要です。身の回りの所持品は決して手から離さないようにしましょう。
・ビバリーヒルズ
ビバリーヒルズはセブ市の山側に位置しています。その名の通り、セブで屈指の高級住宅街で、緑に囲まれた丘の上に豪邸がずらりと立ち並んでいます。このエリアの居住者は華僑など中華系の富裕層が多く、治安も良好です。
・パシル地区
ローカルの人たちが多く集まるエリアで、人口密度が高く、バラックのような建物も密集している地域です。治安が極めて悪いことで有名で、犯罪の温床となっているため地元の人たちも避けているエリアです。ドラッグ街という異名もあるほど危険で、観光スポットもないので決して近寄らないようにしましょう。
マニラの治安
マニラはフィリピンの首都であり、最大の人口を抱える大都市です。数多くの商業施設、ホテル、オフィスビルなどが立ち並び、人を惹きつけています。近年著しく発展している、東南アジアを代表する都市の一つです。
・マカティ市
マカティ市は、フィリピンの財閥アヤラグループによって開発されたビジネス街で、外資系企業や金融機関が多く集まるエリアです。高級ホテル、綺麗なショッピングモールが立ち並び、治安も安定しています。
しかし、マカティ市にも注意が必要なエリアがあります。Makati Central Squareの北側に、日本食レストランが立ち並ぶリトル東京と呼ばれる繁華街がありますが、夜はスリやひったくりも多いので注意が必要です。
・タギッグ市
タギッグ市は、フィリピンで一番大きな湖、バイ湖の北西に位置する都市です。BGCの略称で呼ばれるボニファシオ・グローバルシティが有名で、近代的なオフィスやコンドミニアムなどが立ち並ぶエリアです。日本人学校やインターナショナルスクールもあり、日本人駐在員も多く住んでいます。高級住宅街もあり、治安は安定しています。
・ケソン市
マニラの1/4の面積を占め、最も人口の多いケソン市は、マカティ、BGCに続く第三のビジネスの中心地です。その中でもイーストウッドは、多くのオフィスやショッピングモール、コンドミニアムなどが集まるエリアで、観光客も多く比較的治安は安定しています。一方で、ケソン市には危険なエリアもあり、ケソン全体で見ると犯罪率は高い方であると言えるでしょう。
・マラテ
マニラ市内の旧繁華街で、ナイトクラブやカジノが集まる歓楽街です。居酒屋やゴーゴーバー、ナイトクラブがあるネオン街や路地裏なども多く、強盗や美人局の犯罪も発生している注意が必要なエリアです。拳銃による強盗の被害なども起こっており、夜間の一人歩きは危険です。ドゥテルテ政権時に街がかなり整備され、街路灯も設置されて状況も少しずつ変わっています。
・イントラムロス
イントラムロスは、スペイン植民地時代に建てられた教会や要塞がある歴史的な街です。サンチャゴ要塞やマニラ大聖堂など、マニラを代表する観光スポットがあります。観光客をねらったスリやひったくりも多いので、不要に高価なアクセサリーや衣服を身につけて歩くのは控えましょう。
・トンド
トンドは、世界的にも有名なスラム街がある地域です。以前、トンドの北側にはスモーキーマウンテンと呼ばれる巨大なゴミ山がありました。トンドには細い路地が多く、密集した居住区にはバラック小屋のような、貧困層が住む住宅もたくさんあります。観光客が立ち入ると目立って危ない地域なので、近づかない方が良いでしょう。
フィリピンでの要注意エリア
フィリピンの首都マニラの治安は、近年改善しているとは言えまだまだ注意が必要です。
しかし、フィリピンで特に注意しなくてはならない地域はミンダナオ地域です。日本の外務省も、ミンダナオ地域中部以西をレベル3の渡航中止勧告地域として指定しており、イスラム過激派組織によるテロや誘拐事件、当局との武力衝突等が頻繁に発生しています。
ダバオ市では、2016年に爆発事件が発生し、国家非常事態宣言が発出されたこともあります。今でも市街地ではフィリピン軍や警察による警戒や検問が行われています。外国人は、決して足を踏み入れることのないようにしましょう。
トラブルに遭わないための対策
フィリピンに限ったことではありませんが、海外にいるときは常に警戒を怠らないようにしましょう。慣れてきたからといって日本と同じようなつもりでいると大変危険です。
・危険な場所に立ち入らない
フィリピンの中でも、地域によって治安の良し悪しがあり、当然スラムや裏通りでは犯罪に巻き込まれる危険が高いです。ナイトライフを楽しむバーや繁華街も多いですが、夜の街ではストリートチルドレンや物乞いが増え、危険もあるので一人歩きは避けるべきです。
ここまでご説明したように、コロン、カルボンマーケット、トンド、マラテといったエリアは治安が良くない地域なので、外国人は立ち入らない方が賢明です。
・所持品に気をつける
犯罪に遭わないためには、まずターゲットにされないことが重要です。高価な物を身に着けている人は狙われやすく、ネックレスやピアス、高級ブランドのバッグや財布を持っている女性などは特に注意が必要です。
アクセサリーを強引にひったくられる被害や、襲いかかってくる凶悪な事件も起こっています。不用意に着飾ったり、ポケットに財布やスマートフォンなどの貴重品を入れたりすることは絶対にやめましょう。
・タクシーに注意する
フィリピンで多いのが、タクシーでのトラブルです。メーターを回さずに走行し、目的地に着いた時に法外な料金を請求されたり、メーターを動かさず料金を交渉してくる運転手もいるので注意しましょう。
乗車時は必ずメーターがあるかを確認し、メーターを回すよう運転手に確認しましょう。わざと遠回りをして高い料金を請求したり、お釣りを払わないドライバーもいます。
最近では、Grabという配車アプリが普及しているので、積極的に利用することをおすすめします。クレジットカードを事前に登録しておけば、運転手と直接現金のやり取りをしなくて済みます。
・見知らぬ人についていかない
フィリピンの人は明るくフレンドリーな人が多いです。ただし、こちらが日本人だと見ると、日本語を話しながら近づいてくる人がいますが、こうした場合はまず怪しいと思いましょう。
観光地やレストランで日本語で声をかけられて仲良くなって、飲み物や食べ物に睡眠薬を入れられて、意識を失った瞬間に貴重品を盗む睡眠薬強盗に遭ったり、賭博詐欺に遭う人がたくさんいます。
日本語を話せる、あるいは日本人であっても、簡単に信用することは危険です。初めて会った人がくれる飲み物や食べ物は口にしないようにしましょう。
トラブルに遭ってしまったら
万一、フィリピンで犯罪の被害にあってしまったらどうすれば良いのでしょうか。事件や事故の場合、警察署に被害届を出すのが先決です。しかし、フィリピンの警察の場合、言葉の壁もあり、外国人に対して書類発行料や手数料などの料金を請求してくる場合があります。
そんな時は、大使館や領事事務所へ被害の事実を報告して今後の対応について相談した方が良いでしょう。万一強盗に遭ったら、決して抵抗せずに現金を差し出してください。持っているものを差し出せば、犯人は逃走するパターンが多いです。
過去に、財布を盗られそうになった留学生が、強盗に抵抗したため射殺された事件もありました。旅行の開放感と人懐っこいフィリピン人に、つい気持ちが緩むこともあるかもしれませんが、異国に来ているということを、常に意識して楽しんでください。
◇経歴
英語圏での生活、業務歴10年以上
◇資格
TOEIC900点代後半
◇留学経験
ニュージャージーへ1年間
◇海外渡航経験
シンガポールで2年、台湾で3年、タイで2年仕事してました。
◇自己紹介
英語ができれば世界が広がります!
海外生活経験を活かして、楽しい部分だけではなく、リアルな生活をお届けします!