長い休暇を取るとき、異動や退社の際などに業務を他の人に伝えることがあります。これは「引き継ぎ」と言いますが、英語でどのように表現するのでしょうか?海外や国内の外資系企業で働きたいと考える方は知っておきたいかと思います。
そこでこの記事では、社会人生活で覚えておきたい英単語「引き継ぎ」や「引き継ぐ」についての英語表現を紹介します。
- 「引き継ぎ」の英語表現
- 「引き継ぎ」はHandover
- 「引き継ぐ」の英語表現
- 自分が「引き継ぐ」ときはhand over/pass on
- 誰かから「引き継ぐ」ときはtake over
- 地位や財産を相続(引き継ぐ)はInherit
- Overのイメージとイディオム
- まとめ
「引き継ぎ」の英語表現
仕事の引継ぎは、ビジネスの場面で多くの人が経験することです。引き継ぎをする場合と、される側になる場合がありますね。引き継ぎとは、異動や退職などの理由でやめることになり、その人がそれまでしていた業務の内容を他の人に説明して移行することを言います。通常は、同じ部署の人に引き継ぐことになるでしょう。
それでは「引き継ぎ」を英語でどのように表現するのか、以下からみていきましょう。例文で使い方も紹介します。
「引き継ぎ」はHandover
日本語「引き継ぎ」の英語は、名詞handoverです。
ビジネス英語であるhandoverを2つの単語に分けてみると、hand(手渡す)でover(終わって・済んだ・~の向こう側に)となることから、「自分のすることが終わって向こう側にいる相手に手渡す」=引き継ぎ、というイメージができるのではないでしょうか?
Handoverの意味と使い方
handoverには、業務の引き継ぎ、引き渡すこと、手渡しといった意味があります。また、権利などを譲渡する際にも使われます。
自分のもとから担当であったプロジェクトまたは責任を誰かに正式に渡す、ある人から別の人へと物事を移すという意味でhandover(引き継ぎ)を使用します。
過去10年間この部署で働いてきたので、引き継ぎは容易ではありませんでした。
3週間後に会社を辞めるので、プロジェクトの引き継ぎを準備する必要があります。
さらに、クライアントに引継ぎについて英語で挨拶をする場合の表現もみてみましょう。異動や退社に際して、後任をメールでお知らせをする際にも使用できます。
過去6年間、ありがとうございました。皆様と働けたことは素晴らしい機会でした。この業界で豊富な経験を持つウィンディさんとのプロジェクトの引き継ぎが完了したことをお知らせします。彼女は皆様に会えることを楽しみにしています。
少し長い例文になりましたが、相手へお礼の言葉を伝え、責任を持って次の人物へしっかりと引き継ぎをしたことを述べています。「飛ぶ鳥、跡を濁さず」ということわざがありますが、きっちりとすべきことをして退社の運びとなることは重要ですね。
なお、引き継ぎに関して書かれる引継ぎ書もa handoverで表現されます。handoverは一時的にでも永久的にでも、役職を離れる従業員が作成するもので、業務を把握し理解できるようにする目的があります。
「引き継ぐ」の英語表現
さて、次は「引き継ぐ」のフレーズをみていきましょう。以下、自分が誰かに引き継ぐとき、逆に誰かから引き継ぐときという2つのシーン別に英語表現を紹介します。
自分が「引き継ぐ」ときはhand over/pass on
上の「引き継ぎ」の英語でhandoverを紹介しましたが、hand overと2つの単語にすることで名詞から動詞に変わり、引き継ぐという英語になります。さらに、もう一つの表現pass onについてもみていきます。
Hand overの意味と使い方
hand overを引き継ぐという意味で使うときは、自分→誰か相手に手渡しをする状況です。
上の「引き継ぎ」で紹介した名詞のhandoverのところでも、自分のもとから担当であったプロジェクトや責任を誰かに渡す、ある人から別の人へと物事を移すという意味であることを解説しました。
上司が辞職し、自分の職務をチームに引き継ぎました。
hand overの過去形は例文のとおり、handed overです。
今月30日の金曜日までに、私の業務の一部を彼女に引き継がないといけません。
「業務を引き継ぐ」の英語はこの例文のように、hand over some of my businessで表現します。businessはduty(職務・任務)に置き換えることもできます。
Pass onの意味と使い方
ここでもう一つの「引き継ぐ」であるフレーズpass onを紹介します。pass onも責任または情報を引き継ぎする際に使用します。
私はすべての仕事を後任の方に引き継ぎしました。
successorには後任者や後継者の意味があります。このような単語も覚えておきましょう。
ちなみに、successorの関連用語であるsucceedも、成功するというだけでなく、誰かの後任になる・誰かの後を継ぐという意味を持っています。
誰かから「引き継ぐ」ときはtake over
次に、あなたが誰かから引き継がれる場合の英語表現もみていきましょう。
例えば「担当を引き継ぐ」の英語はどのようになるのでしょう?誰かから「引き継ぐ」ときは、フレーズtake overを使用します。日本では、引き継ぐときも引き継がれるときも「引き継ぐ」という言い方をしますが、英語では使い分けが必要です。
takeの持つ“自ら動いて手にする”というコアイメージを考えると、自分のほうに引き継ぐときにtake overを使うことが分かります。
彼からこのプロジェクトを引き継いでもらえないだろうか?
企業では、上司からの依頼で引き継ぐこともありますね。
彼が会社を去った後、彼女は彼のポジションを引き継ぎました。
引き継ぎされた彼女が主語ですので、hand overではなくtake overを使います。take overの過去形がtook overである点も確認してくださいね。
地位や財産を相続(引き継ぐ)はInherit
ここで、業務を引き継ぐことから少し離れたinheritを紹介しましょう。inheritは、特に地位や財産を相続するときに使用します。親から子への遺産相続、才能(特性)を受け継くというケースにも使えます。
inheritの動詞活用は、inherit - inherited - inheritedです。
子どもたちは全員、家族の不動産を相続しました。
彼女は母親の芸術的才能を受け継ぎ、画家になりました。
親から受け継がれた遺伝子ですね。その他、親の持つ青い目を子どもが持っているとき、遺伝性疾患を受け継いだときなどにもinheritが使われます。
Overのイメージとイディオム
ここまで、引き継くことを表現するhand overそしてtake overをみてきました。最後に、2つのフレーズに共通して使われているoverについて、そのイメージとイディオムについて紹介します。
Overのイメージ
overは様々な意味を持ち、私たちにとっても馴染みのある単語です。名詞handoverのところで、overには「終わって・済んだ・~の向こう側に」のイメージがあることを述べました。ゲームオーバ~!と言えば、ゲームがその時点で終了することを指しますね。
「上に・上の」のイメージが強いoverですが、何かの上に弧を描いた様子を想像してください。
例えば、誰から自宅に訪れたとき、She came to my house.とすることができますが、overの持つ特性を活かして、She came over to my house.との言い方ができます。この女性は我が家へ弧を描いてこちらに来た、というイメージが持てますか?
そして、本記事の「引き継ぎ」も同様に、向こうから引き継がれるものが弧を描いてこちら側に手渡された、と考えることができます。overはこのようなイメージを持つ前置詞です。
Overのイディオム
最後に、goo辞書よりoverが使われたイディオムを一部紹介します。
Over and above A Aに加えて・Aの他に
All over 一面に・至るところで・十分に
Over again 繰り返して・もう一度
Over and done with 終わって・過ぎて
Over and over 何度も(繰り返して)
Over here こちらに・こちらでは
Over again(繰り返して・もう一度)
もう一度初めから全てするなんて耐えられない。
Over and over(何度も(繰り返して))
その本を何度も繰り返し読んだ。
この機会に、overのイメージとニュアンスを掴み、単語として、またイディオムとしてご自身の英語に取り入れるようにしていきましょう。
引用:goo辞書”overの慣用句”
https://dictionary.goo.ne.jp/word/en/over/idiom/
まとめ
・自分が「引き継ぐ」ときはhand over/pass on
・誰かから「引き継ぐ」ときはtake over
・地位や財産を相続(引き継ぐ)のはinherit
本記事をご参考に、職場で引き継ぎの機会があれば使い分けをしてみてくださいね。引き続き、英語学習頑張りましょう!

◇経歴
日本では外資系製薬会社などで勤務。
2006年夏に渡英し、現在イングランド在住。
2012年以来、南ロンドンで剣道道場を運営。地元の行政と関わり、日本文化を紹介するイベントを担当したり、剣道や居合道のデモンストレーションのオーガナイスを行なう。
また、日本の2大学と英国剣道協会とのパートナーシップ締結のためのリエゾンおよび翻訳・通訳を担当。
◇資格
・Food Safety Level 2
・Principles of Internet Safety Prepare to Deliver Excellent Customer Service
◇海外渡航経験
スキューバダイビングで訪れた国々を始め、3ケ月間のヨーロッパ各国バックパッカーの旅を経験。
◇自己紹介
こんにちは!椿サリーです。夫がイギリス人、日英ミックスの息子(UK大学生)という家族構成の国際結婚組です。ライターとして、多国籍メンバーが所属する剣道道場の女将として、日本文化紹介を紹介する地元グループ代表として行政とのやりとりなど、イギリスで幅広く活動しています。英会話ができると世界が広がりますし、外国人とのコミュニケーションは楽しい!を日々実感しています。

I took a Bachelor of Science degree in Mathematics where my problem-solving and critical-thinking skills were honed. I have worked as a trainer in a government office, which has helped me to develop my communication and intrapersonal skills. My hobbies are reading, listening to music, and cooking. After joining NativeCamp, I acquired 2 years of teaching experience. Currently, I am involved in content production in the Editing Department.