アメリカとカナダの国境について知ろう!出入国方法から知っておきたい注意点まで

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アメリカとカナダの国境について知ろう!出入国方法から知っておきたい注意点まで

北アメリカ大陸の大半を占める、アメリカとカナダ。

島国の日本とは違って、アメリカ・カナダ間は空路や海路だけでなく陸路でも入国が可能です。

ただ、陸路での出入国に不安な方も多いのではないでしょうか?

本記事では、アメリカ・カナダの国境の特徴や、出入国の方法などを徹底解説!

陸路での出入国手続きの流れや、手続きを迅速に行うポイントはもちろん、国境を越える際の注意点についても紹介します。

また、アメリカとカナダの国境にある橋や湖、公園などについても紹介するので、アメリカ・カナダ間を陸路で行き来する予定の方はぜひ最後までお読みください。

アメリカとカナダの国境について

実はアメリカ・カナダ間の国境線は世界最長で、1846年に設定された比較的新しい国境となっています。

以下では、まず、アメリカとカナダの国境の特徴を詳しく紹介します。

世界最大の国境線

アメリカとカナダの国境線は全長8,891kmで、2国間の国境線の中では世界最長を誇ります。

なお、国境線にはアラスカ州やカナダの準州であるユーコン準州や、ブリティッシュコロンビア州などの2,475kmも含まれています。

国境地帯には、広大な森林や山脈、平原など多種多様な地形が広がるだけでなく、小さな町から大きな都市まで点在し、各地域がユニークな歴史や文化を持っています。

アメリカとカナダの国境は各国家の領土を設定するという政治的な意味合いを持つ一方で、両国の文化的・経済的な交流の場としても機能しています。

長年を要した国境線の設定

1783年のアメリカ独立戦争後のパリ条約締結以来、現在の国境線が最終的に設定されるまでに長い年月を要しました。

独立戦争当時、カナダを領有していたのはイギリスだったため、国境を設定するためにアメリカ・イギリス間で何度も条約交渉を重ねてきたのです。

また、アメリカは当初東部13州から西部に向けて探検と入植を繰り返したため、進展に伴って国境線を引く必要がありました。

2国間の国境を決定した条約は大小さまざまありますが、主な条約は以下のとおりです。

◾️1783年:パリ条約
アメリカ独立戦争後に締結された条約で、アメリカとイギリス領北アメリカ(現在のカナダの一部)間にて、初期の東部国境を設定。

◾️1818年:1818年条約
北緯49度線に沿って、五大湖からロッキー山脈の東側までの国境を設定。1818年条約によって両国間の内陸部の国境を直線的に確定した。

◾️1846年:オレゴン条約
北緯49度線に沿って、ロッキー山脈から太平洋岸までの西部地域の国境線を設定。

最終的に、オレゴン条約によって、現在のアメリカ・カナダ間の主な国境線が決まりました。

以上のように、1783年から1846年までの63年という長い年月をかけて、世界最長の非武装国境が完成したのです。

なお、海洋部分については、資源開発や航路利用の観点から現在でも完全に線引きできていない地域があるものの、両国ではおおむね良好な関係が継続できています。

アメリカとカナダの国境にある橋・湖・公園

アメリカ・カナダの国境線は北緯49度線に沿って引かれているため、両国の国境を跨ぐスポットが数多くあります。

以下では、アメリカとカナダの国境にある橋やトンネル、湖、公園などを紹介します。

アメリカとカナダの国境にかかる橋・トンネル

アメリカ・カナダの国境にかかる主な橋やトンネルは、合計13箇所です。

特によく知られているのはナイアガラの滝にかかるレインボー橋で、徒歩でも国境を超えられるため観光スポットにもなっています。

名称 カナダ側 アメリカ側
フォートフランシス=インターナショナルフォールズ国際橋 オンタリオ州 フォートフランシス ミネソタ州 インターナショナルフォールズ
レイニー・リバー・インターナショナル橋 オンタリオ州 レイニーリバー ミネソタ州 ボーデット
スーセントマリー国際橋 オンタリオ州 スーセントマリー ミシガン州 スーセントマリー
ブルーウォーター橋 オンタリオ州 サーニア ミシガン州 ポートヒューロン
セントクレア・リバー・トンネル オンタリオ州 サーニア ミシガン州 ポートヒューロン
デトロイト=ウィンザー・トンネル オンタリオ州 ウィンザー ミシガン州 デトロイト
アンバサダー橋 オンタリオ州 ウィンザー ミシガン州 デトロイト
ピース・ブリッジ オンタリオ州 フォートエリー ニューヨーク州 バッファロー
ワールプールラピッズ橋 オンタリオ州 ナイアガラフォールズ ニューヨーク州 ナイアガラフォールズ
レインボー橋 オンタリオ州 ナイアガラフォールズ ニューヨーク州 ナイアガラフォールズ
クィーンストン=ルイストン橋 オンタリオ州 クィーンストン ニューヨーク州 ルイストン
サウザンドアイランズ橋 オンタリオ州 ヒルアイランド ニューヨーク州 ウェルズリーアイランド
オグデンスバーグ=プレスコット国際橋 オンタリオ州 ジョンズタウン ニューヨーク州 オグデンスバーグ

※1995年まで使用、現在は隣により大きなトンネルが再建された。

アメリカとカナダの国境にある湖

アメリカとカナダの国境にはたくさんの湖がありますが、中でもよく知られているのは五大湖です。

オンタリオ湖ミシガン湖ヒューロン湖エリー湖スペリオル湖の5つで構成され、アメリカ・カナダ間の自然の境界線として役立っています。

また、五大湖の他にもアメリカ・ミネソタ州やカナダ・マニトバ州やオンタリオ州を跨ぐウッズ湖、ミネソタ州とオンタリオ州を跨ぐレイニー湖などもあります。

いずれの湖も北アメリカ大陸に住む人々や動物の生活に欠かせない水資源であり、自然景観としても非常に大きな役割を担っています。

アメリカとカナダの国境を跨ぐ公園

アメリカとカナダの国境を跨ぐ主な公園は以下の2つです。

◾️ウォータートン・グレイシャー国際平和自然公園
ウォータートン・グレイシャー国際平和自然公園とは、世界で初めて設立されたアメリカ・モンタナ州とカナダ・アルバータ州に跨る国際平和自然公園で、1995年には世界自然遺産にも登録されました。

アメリカ側のグレイシャー国立公園、カナダ側のウォータートン・レイク国立公園で構成されています。

3,000m級の山々が連なるロッキー山脈にて、氷河で削られた地形や手付かずの自然をじっくりと観察できます。ハイキングやクルーズなどのアクティビティも豊富。

◾️ピース・アーチ国際公園
ピース・アーチ国際公園は、アメリカ・シアトルとカナダ・バンクーバーに跨って位置する公園です。

アメリカ・ワシントン州とカナダ・ブリティッシュコロンビア州の境界に、平和のシンボルとして1921年に設立されました。

公園には国境を跨ぐ大きなアーチが設置され、アメリカとカナダの友好関係を象徴しています。

アーチと一緒に写真撮影をしたり、芝生でピクニックをしたりと、リラックスしたひとときを楽しめます。

以下の章では、いよいよカナダ・アメリカへ陸路で入国する際の流れを紹介!

どちらの国に入国する際も全員が入国審査や税関審査を受ける必要があるので、しっかりとポイントを押さえておきましょう。

カナダへの入国の流れ

以下では、アメリカからカナダへ陸路で入国する際の流れを紹介します。

車に乗ったまま入国・税関審査

陸路でカナダに入国する際は、国境検問所にて入国審査を受けます。

車で越境する方は、車に乗ったまま審査を受ける形になりますが、入国・税関審査をスムーズに受けられるように、審査に必要な以下の情報をひとまとめにしておきましょう。

アイテム 備考
真正な本人確認証 全員分のパスポートや永住権カード、ビザなど
子どもと一緒に入国する場合は、旅行に同行しない保護者や後見人からの許可を示す書類も必要(誘拐や人身売買などを避けるため)
通貨 10,000CAD以上を持ち込む場合は、E677やE667などで申告が必要。
税関申告関連 食料品や植物、動物は申告を忘れずに!
未申告だと差し押さえや最大1,300CADの罰金を課される
電子機器 スマホやタブレット、PCなどの検査やパスワード提示を求められる可能性あり
拒否すると押収されたり、留置されたりするリスクあり

ちなみに、2025年11月4日現在、ビザ免除国籍者が空路でカナダ入国する際に必要なeTA(電子渡航認証)は、陸路の入国には不要です。

なお、最新情報はCanada Border Services Agencyに記載されているので、渡航前に必ず確認しておきましょう。

陸路でのカナダ入国時によく聞かれる質問

国境検問所でカナダに入国する際に聞かれる質問は、大きく以下4つのカテゴリに分けられます。

・本人確認や国籍/身分について
・渡航する目的やスケジュール、滞在先について
・アメリカから持ち込むアイテムに申告対象物があるか
・未成年が同伴しているか

空路での入国審査で聞かれることと、さほど違いはないと捉えておいて良いでしょう。

アメリカへの入国の流れ

カナダからアメリカへ陸路で入国する際の手続きも、基本的にはカナダ入国時とほぼ同じです。

以下でアメリカ入国の流れを詳しく確認しましょう。

車に乗ったまま入国・税関審査

カナダからアメリカへ入国する際は、道路脇にある “Welcome to the United States of America” の看板が、国境検問所の位置を示しています。

審査がスムーズに進むように以下のアイテムを事前に用意しておきましょう。

アイテム 備考
真正な本人確認証 全員分のパスポートや永住権カード、ビザなど
ESTA 90日以内のアメリカ滞在に必要な電子渡航認証システム
2022年10月1日以降、陸路入国者も取得が義務化
通貨 合計で10,000ドル以上を持ち込む場合、FinCEN 105の提出が必須。
家族での合算にも注意。
税関申告関連 モバイルやキオスクでCBP Form 6059Bを使用して、農産品や購入品を申告。
食品・種子・植物・動物・土壌などは忘れず申告すること!
未申告だと、没収や罰金の対象になる
在留期限 I-94(入国・滞在記録)にオンラインでアクセスできるようにしておく

カナダへの入国時で大きく違うのは、ESTAの事前取得です。

以前は陸路でカナダからアメリカへ入国する際はESTA取得は必要ありませんでしたが、2022年10月1日から完全義務化されました。

カナダ旅行中や留学中に一時的にアメリカを訪れる場合は、事前申請が必須となるので遅くとも出発の72時間前には完了させておきましょう。

なお、ネット上には高い料金を課す業者サイトもあるので、申請は公式ホームページから必ず進めてください。

なお、アメリカに滞在できる在留期間は、入国審査を通過するとI-94に登録されます。

在留期間はオンラインで確認できるので、I-94のGet Most Recent I-94/I-95にて必要な情報を入力し、アクセスしてみましょう。

意図せずオーバーステイにならないように、必ず在留期限を確認してくださいね!

陸路でのアメリカ入国時によく聞かれる質問

陸路でカナダからアメリカに入国する際に聞かれる質問は、カナダ入国時とほぼ同じで以下の通りです。

・本人確認や国籍/身分情報
・渡航する目的やスケジュール、滞在先の確認
・カナダから持ち込むものに申告対象物が含まれているか
・未成年が同伴しているか

質問に対して正直に正しく答えることが大切です。

審査官が答えに矛盾を感じたり、信憑性に欠けると判断したりした場合、別室でさらに詳しく審査される可能性もあるため注意してください。

出入国の時間を省くためのポイント

出入国をスムーズに済ませるためには、入国時に必要な書類やアイテムの準備だけでなく、検問所での待ち時間の事前確認やトラステッド・トラベラー・プログラムの活用も役立ちます。

以下では、出入国の時間を省くポイントを2つ紹介します。

検問所での待ち時間を事前に確認しておく

各検問所での入国審査の待機時間はオンライン上で公開されているので、事前に待ち時間を以下の公式ホームページから確認しておきましょう。

なお、WSDOTはアプリもあるので、事前にスマホにダウンロードしておくのがおすすめです。

米国国境警備隊
ワシントン州運輸局(WSDOT)

トラステッド・トラベラー・プログラムを活用する

Trusted Traveler Program(トラステッド・トラベラー・プログラム)とは、アメリカ税関国境警備局(US Customs and Border Protection:通称CBP)が提供するプログラムです。

事前の申請が必要ではありますが、審査に合格すれば国境検問や保安検査で待ち時間を抑えて通過しやすくなります。

2025年11月4日現在、トラステッド・トラベラー・プログラムには5種類のプログラムがありますが、旅行など商用以外でカナダ・アメリカ間を陸路で移動する場合に利用できるのは以下の3つです。

プログラム名 特徴 申請料 有効期間
Global Entry ・海外からアメリカに入国する際に利用可能。
・空路・陸路・海路すべてに対応。
・アメリカ市民・永住権保持者・一部外国籍保持者が対象。
・審査には4〜6週間程度。
$120 5年
NEXUS ・カナダからアメリカに入国する際に利用可能。
・空路・陸路・海路すべてに対応。
・アメリカ・カナダ市民、両国の永住権保持者、メキシコ市民が対象。
$120 5年
SENTRI ・カナダ・メキシコからアメリカに入国する際に利用可能。
・空路と陸路の入国に対応。
・アメリカ市民・永住権保持者・一部外国籍保持者が対象。
$120 5年

国境では慎重な行動を

アメリカとカナダを陸路で出入国する際のルールを理解しないまま、安易な行動をとってしまうと警察や国境警備隊などに拘束されるリスクが高まります。

万が一、誤って国境を越えてしまい、かつパスポートなどの身分証明書を提示できないと、拘束されるだけでなく、自国に強制送還されてしまいます。

主要道路以外にも、小道や川、森の中で越境できるポイントが数多くあるので、国境付近では慎重に行動してください。

まとめ

世界最長の国境線を持つアメリカとカナダ。国境を接している範囲が広いからこそ、きちんと正式なルールに則って出入国することが重要です。

入国する手続きや必要なアイテムは、どちらの国を訪れるかによって異なるので、渡航前に必ず公式ホームページなどで最新情報を確認しておきましょう。

本記事がきっかけで、アメリカやカナダでの滞在期間がより充実したものになるよう願っております!

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