【徹底解説】スペインのプラド美術館とは?外せない展示やアクセス、効率的な回り方もご紹介

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「スペイン旅行でおすすめのスポットはある?」

「ヨーロッパ美術史に興味があるから美術館に行きたい!」
など考えている方も多いでしょう。

この記事では、スペイン旅行で絶対外せない、マドリードにある「プラド美術館」について解説いたします。

チケット情報やアクセス方法、必見作品や効率の良い回り方など、スペイン観光の限られた時間を最大限に活用するために、この記事を読めばすべてわかります!

ルーヴル美術館に行ったことがある方など、芸術好きの方にもご満足いただける内容になっているはずです。ぜひ参考にしてください。

プラド美術館とは?

プラド美術館 (Museo Nacional del Prado) は、スペインの首都マドリードにある世界最高峰の美術館として評価されています。

その理由として、世界的にも有名なルーヴル美術館やメトロポリタン美術館とは根本的に異なる、作品の「独自性」「質」があげられます。

ここでは、そんなプラド美術館の歴史を深堀りしていきます。

プラド美術館の独自性

一般的にヨーロッパの主な美術館は、様々な時代の作品を集めています。

ですが、プラド美術館のコレクションは、歴代のスペイン王家(ハプスブルク家、ブルボン家)が約300年かけて集めた王室の収集品です。

そのため、西洋美術史の全体を網羅していませんが、その偏りが他の美術館にはないプラド美術館の「独自性」となっています。

また美術品の収集は王室の威信を示すことが目的でした。そのため王室から依頼され制作された作品が多く、当時の最高の画家である、ベラスケス、ゴヤ、エル・グレコが制作した傑作が集まっています。そのため、この画家が活躍する時代の作品においては、他では見られない充実度を誇ります。

建築の変遷と歴史的背景

美術館の建物にも深い歴史があります。

建物は、建築家「ファン・デ・ビジャヌエバ」によって設計されました。当初(1785年)は、自然界の知識を広めることを目的とした、自然科学博物館が構想されていました。

しかし、ナポレオン侵攻などの混乱により計画は頓挫してしまい、建物は一時的に放置されます。混乱が収束した後、フェルナンド7世が、この建物に王室の美術品を展示することを決定し、1819年に「王立絵画彫刻美術館」として開館しました。

その後、1868年の革命により王制が倒れ、コレクションは国家のものとなり、「プラド美術館」と改称されました。

また1936年、当時すでに世界的巨匠であったパブロ・ピカソが、プラド美術館の館長に任命されます。館長としての日常業務を行うことはありませんでしたが、内戦の中、作品を安全な場所へと避難させる計画と実行に深く関わりました。

プラド美術館の位置とアクセス

ここからは、そんな歴史のあるプラド美術館がある地域や、アクセス方法について紹介します。アクセス方法は主に3種類ほどあります。この地域は美術館が点在しているため、観光のために美術館から美術館へ移動することも可能です。

プラド美術館がある地域

プラド美術館は、スペインの首都マドリードの中心部、レティーロ地区に位置しています。

この地域は「パセオ・デル・プラド」(Paseo del Prado)という大通りがあり、付近に世界でも有数の美術館が点在しています。

プラド美術館・ティッセン=ボルネミッサ美術館・ソフィア王妃芸術センターの3つの美術館を含め、「芸術のトライアングル」と呼ばれています。

プラド美術館のアクセス方法

プラド美術館の最寄り駅は、地下鉄の「エスタシオン・デル・アルテ(Estación del Arte)」駅です。

鉄道(Renfe)の「アトーチャ」駅もそばにあり、どちらからでも徒歩10〜14分ほどです。

駅を出てからプラド通りをまっすぐ直進すると、途中で右手にベラスケスの銅像が見えます。ここがプラド美術館の入口です。チケットを購入していない場合、チケット売り場へ向かうため、建物北側へさらにまっすぐ進み、入口から約100m程度歩きます。

また「バンコ・デ・エスパーニャ(Banco de España)」駅からもアクセス可能です。駅からシベレス広場を通って徒歩10分ほどで着きます。

その他にも、ソフィア王妃芸術センターからは徒歩10分強、ティッセン=ボルネミッサ美術館からは徒歩5分で歩くこともできるので、他の観光と合わせて鑑賞するのも良いかもしれません。

プラド美術館の営業&所要時間・休館日・チケット情報


ここでは営業時間や、作品を見るための所要時間、休館日やチケット情報など、プラド美術館の基本情報を紹介いたします。

プラド美術館の基本情報

営業時間
月曜日~土曜日:10時~20時
日曜日・祝日:10時~19時
閉館:1月1日、5月1日、12月25日


開館時間短縮 (10時~14時)
1月6日、12月24日、12月31日

作品を見るための所要時間

プラド美術館には、約7,600点の作品が展示されています。

すべての作品を見ようとすると、とてつもなく時間がかかってしまうため、公式パンフレットに書かれている必見作品に絞って鑑賞することをおすすめします。

その必見作品に絞っても、所要時間は2〜3時間ほどかかることを認識しておきましょう。

チケット情報

プラド美術館のチケット購入方法は3種類あります。

・公式サイトからの購入

以下の参考URLから、「入館チケットの購入」のボタンをクリックします。
鑑賞日を選択し、チケットの種類を選択した後、メールアドレスやクレジットカードの情報など、基本情報を入力します。この方法の場合、料金に予約手数料の€0.50が加算されます。

なお、購入後の情報の変更や払い戻しは不可なので、予約時は注意してチケットを購入しましょう。
トップページの、右上のチケットマークから購入画面へ進むこともできます。

参考URL:プラド美術館公式サイト|Visita

・日本語のチケット販売サイトからの購入

チケット販売サイトである「GET YOUR GUIDE」などから購入することが可能です。
検索から「プラド美術館」と入力し検索することで、1日入場券を購入することが可能です。

料金は公式サイトと同じ金額で、24時間前までならキャンセル料金はかかりません。ガイド付きツアーなども購入できるので、お好みに合わせて選択してください。

・現地のプラド美術館の窓口で購入

プラド美術館の北側にある、「ゴヤの門」の1階にチケット売り場があります。現地時間の11:00〜13:00は旅行客により特に混雑する時間ですので、窓口で購入する際は、この時間を避けて購入することをおすすめします。

無料入場時間

プラド美術館には、夕方から入場料が無料になる時間があります。

この時間帯は、観光客により人が集中するので、待ち時間も長くなる傾向があります。無料時間は2時間なので、待ち時間を含めると、鑑賞時間が少なくなる可能性があります。

無料時間

・月曜~土曜 18:00~20:00
・日曜・祝日 17:00~19:00

プラド美術館の見どころ・絶対に見たい展示

それでは、歴代のスペイン王家が約300年かけて集めた収集品の見どころを紹介します。
誰もが知る有名な絵画が展示されていますので、知っている作品があるかも合わせてご覧ください。

受胎告知|フラ・アンジェリコ

タイトル 受胎告知(The Annunciation)
作者 フラ・アンジェリコ(Fra’ Angelico)
制作年 1425年 – 1426年
種類 テンペラ
展示場所 FLOORS-1 AND 0、Room 56B

「受胎告知」という作品は数多く存在していますが、その中でもフラ・アンジェリコの「受胎告知」がメジャーな作品と言えるでしょう。
聖書の中で重要な、大天使ガブリエルが処女のマリアにキリストの受胎を告知している場面を描いています。

直線遠近法を使用することで奥行きのある空間を描き出しており、人物や建物が緻密に描かれ、絵の鑑賞者がまるでその場にいるかのような臨場感を与えています。

ラス・メニーナス|ディエゴ・ベラスケス

タイトル ラス・メニーナス(Las Meninas)
作者 ベラスケス(Velázquez)
制作年 1656年
種類 油彩
展示場所 FLOOR 1、Room 12

「ラス・メニーナス」は、ディエゴ・ベラスケスが1656年に描いたスペイン王室の画家としての地位を象徴する作品です。

世界3大絵画とも言われている「ラス・メニーナス」は、複雑で洗練された構図が特徴で、奥行きのある部屋の中に人物を配置し、視覚的な対話を生み出すことで鑑賞者を作品に没入させます。 また、光と影の繊細な表現により、リアリティと印象主義的な美しさを兼ね備えた作品となっています。

快楽の園|ヒエロニムス・ボス

タイトル 快楽の園(The Garden of Earthly Delights Triptych)
作者 ヒエロニムス・ボス(Hieronymus Bosch)
制作年 1503年-1504年(他説あり)
種類 油彩
展示場所 FLOORS-1 AND 0、Room 56A

「快楽の園」はヒエロニムス・ボスによって描かれた三連画です。
鮮やかな色彩で、エデンの園、地上の楽園、地獄の3つをそれぞれ壮大な物語として描いています。

果実や奇妙な生物などのシンボルが散りばめられており、この意図は解明されていませんが、キリスト教の教義、当時の社会風刺や、ヒエロニムス・ボスの思想を反映している可能性があると言われています。

三美神|ピーテル・パウル・ルーベンス

タイトル 三美神(The Three Graces)
作者 ルーベンス(Peter Paul Rubens)
制作年 1630年-1635年
種類 油彩
展示場所 FLOOR 1、Room 29

ピーテル・パウル・ルーベンスによる「三美神」は、バロック期を代表する傑作です。
1630年〜1635年にかけて制作され、ギリシャ神話に登場する美の女神である、アグライア、エウプロシュネ、タレイアの三姉妹を描いています。

ピーテル・パウル・ルーベンスは豊満な体と滑らかな肌の質感を描くことを得意としています。

美・創造性・調和という美徳を体現する女神たちが親密に抱き合い、強い絆と愛情を表現しています。

裸のマハ|フランシスコ・ゴヤ

タイトル 裸のマハ(The Naked Maja)
作者 フランシスコ・ゴヤ( Francisco José de Goya y Lucientes)
制作年 1797年-1800年頃
種類 油彩
展示場所 FLOOR 1、Room 38

フランシスコ・ゴヤの「裸のマハ」は美術史において革新を遂げた、非常に重要な作品の1つです。
当時の美術界では裸体描写が理想化されていましたが、フランシスコ・ゴヤは写実的な女性の姿を追求し描きました。

特に神話などの文脈なしに、実在の女性の陰毛が描かれたことは、当時の西洋美術には前例がなく、大きな論争を引き起こしました。

1808年5月3日、マドリード|フランシスコ・ゴヤ

タイトル 1808年5月3日、マドリード(The 3rd of May 1808 in Madrid, or “The Executions”)
作者 フランシスコ・ゴヤ(Francisco José de Goya y Lucientes)
制作年 1814年
種類 油彩
展示場所 FLOORS-1 AND 0、Room 64

1814年に制作されたフランシスコ・ゴヤの「1808年5月3日、マドリード」はスペイン独立戦争において、フランス軍に抵抗するスペイン市民を描いた作品です。

スペインのマドリードで起きた事件で、1808年5月2日に続く翌日の市民の処刑を描いており、「1808年5月2日、マドリード」の対作品になります。

プラド美術館の効率的な回り方

プラド美術館は約7,600点の作品数があり、観光などの限られた時間の中では、効率的に回らなければ、すべての作品を網羅することは難しいでしょう。ここではプラド美術館を効率的に回る方法を紹介します。

主要な作品が集中している1階から鑑賞

まず入口は「ヘロニモス門」または「ゴヤ門」を利用するとスムーズです。
1階(日本の2階)にあるベネチア絵画が並ぶエリアへ進みます。

ここでは、当時のスペイン国王カルロス5世とフェリペ2世が集めたコレクションで、ティチアーノやティントレットのサイズの大きい作品が続きます。
鮮やかな油彩の色で描かれた神話や聖書の物語を楽しめます。

中央回廊に戻ると、プラド三大巨匠の一人、ティチアーノが描いた「カルロス5世騎馬像」などの肖像画が続きます。
このあと特に必見な作品は、上記でも紹介した、ベラスケス作「ラス・メニーナス」(12番の部屋)です。「ラス・メニーナス」はプラド美術館の中でも特別な作品とされています。

ラス・メニーナスの隣には、同時代のムリーリョによる、人々の心の支えとなった美しい聖母の絵である「無原罪の御宿り」(16番・17番の部屋)も鑑賞できます。

回廊を更に進むと、ルーベンス作(28番前後)「三美神」を鑑賞できます。

そして突き当たりに三大巨匠の最後の一人、ゴヤの初期の傑作が並びます。特に「カルロス4世と家族」(32番の部屋)は、ゴヤの出世作です。

この部屋の右側、通路を挟んだ先にある「裸のマハ」「着衣のマハ」(36番の部屋)も、貸し出し中でなければ必ずチェックしましょう。

1階の鑑賞を終えたら、右奥(39番の部屋付近)の階段から0階(日本の1階)へ降ります。

0階の鑑賞へ

階段を降りて10m程歩いて右手の部屋へ入るとゴヤの晩年の作品が並びます。

特に、ナポレオン軍による虐殺を描いた「1808年5月2日、マドリード」「1808年5月3日、マドリード」(64番・65番の部屋)、「黒い絵」シリーズ(67番の部屋)は凄まじい迫力があります。

その後、0階の中央回廊へ戻り、ヒエロニムス・ボス作「快楽の園」(56Aの部屋)を鑑賞すれば、プラド美術館の主な見どころ作品を効率よく巡ることができます。

まとめ

この記事ではスペイン旅行にはかかせない、プラド美術館について紹介しました。プラド美術館の歴史から、アクセス方法、チケット情報から必見作品まで詳しく解説しています。

スペイン観光の限られた時間を有効活用するために、この記事で紹介した効率的な回り方で鑑賞すれば、満足度の高い鑑賞をすることができるでしょう。

特に、世界3大絵画といわれている「ラス・メニーナス」は必見です!

ぜひ観光前にこの記事を参考にして、プラド美術館の観光を検討してみてください!

 

 

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