
日本でも歴史や地理の授業でたびたび耳にすることがある
中国の都市、長安。
現在は西安という名前になっていますが、中国の長い歴史を感じることができる観光地としてとても人気です。
でも名前は知っていても、その位置やどうやってアクセスすればいいのかということについては知らない人も多いのではないでしょうか。
今回の記事では中国の歴史都市・長安(現在の西安)について、その歴史やアクセス方法、さらに観光地としての魅力までじっくり紹介していきたいと思います。
- 「長安(現在の西安)」とは?
- 長安(現在の西安)が歩んできた歴史
- 長安(現在の西安)の位置と行き方
- もう1つの大都市・洛陽との違いは?
- 長安(現在の西安)で行きたい観光スポット
- 長安(現在の西安)で食べたい絶品グルメ
- まとめ
「長安(現在の西安)」とは?
中国の歴史にたびたび登場する「長安」。
現在は「西安」という風に名前を変えて、中国内陸部の陝西省の省都として発展を続けています。
まずはこの長安という都市がどのような場所であったのかについて紹介して行きたいと思います。
長安の場所はどこ?
長安は、現在の中国・陝西省西安市の周辺にあたる地域に位置していました。
地理的には中国本土の西部にある「関中」と呼ばれる渭水地方にあり、古くから政治や経済の中心地とされていました。
周の都・鎬京、秦の都・咸陽がこの場所に置かれるなど、中国の王朝にとって重要な場所とされていました。
長安が有名な理由
長安はどうして有名になったのでしょうか。
それはすでに紹介したように古代中国の王朝がこの場所を都にしていたからです。
特に漢の時代に、劉邦が都城を建設しており、唐の時代には国際都市として繁栄していました。
唐の長安は碁盤の目のように整えられた都市計画が有名で、日本人も含む多くの外国人が訪れました。
日本の平城京や平安京のモデルもこの長安の街並みだと言われています。
現在の「西安」との関係
現在の「西安」は、かつての長安の地域を含む都市です。
長安は唐の滅亡後、一時的に衰退しましたが、明の時代に「西安」と改名されて以降、中国内陸部の重要都市として再び発展を遂げていきました。
現代では機械産業やバイオテクノロジーなどのハイテク産業の中心地として世界的にも注目されています。
また、世界史の教科書にも載っている、兵馬俑など歴史的な観光資源が豊富なことでも知られ、多くの観光客が訪れる人気観光地になっています。
長安(現在の西安)が歩んできた歴史
かつて中国の中でも中心地であった歴史都市・長安。
漢や唐といった有名な王朝の都が作られたこの都市は、時代とともに姿を変えて、現在の西安につながっています。
ここでは、長安が歩んできた歴史について紹介して行きたいと思います。
漢の都としての始まり
長安の長安の歴史は、漢の初代皇帝・劉邦が紀元前200年に都を関中地方に移し、都城の建設を始めたことに始まります。
都は第2代皇帝・恵帝の時代に完成し、東西南北に広がる巨大な城壁や、南西部に位置する未央宮などが特徴的な建物でした。
人口は最大で50万人に達したとも言われ、東西に市が置かれ、商業も盛んでした。
ちなみに漢の後期には都は洛陽へと移されています。
五胡十六国時代の長安
後漢が滅亡してしまった後、長安は再び都になります。
五胡十六国時代には、前趙・前秦・後秦といった諸王朝が次々とこの地を都としました。
なかでも前秦の時代には仏教僧の道安や、インドから来た鳩摩羅什が活躍しており、多くの仏教経典が翻訳されました。
この頃、長安は仏教文化の中心地としても大きな役割を果たしたのです。
その後、西魏・北周といった王朝が都を置き、やがて隋の文帝が中国を統一、大興城を建設しました。
国際都市としての発展
唐の時代になると、隋の大興城を引き継ぎ、さらに拡張して新たな長安城が完成しました。
南北約8.6km、東西約9.7kmという巨大な都で、碁盤目状の都市計画がなされ、中心には大極殿、周囲には役所や市街地が整備されていました。
人口は約100万人にもなり、ソグド人など多くの外国人が暮らす国際都市として栄えました。
仏教、道教に加え、ネストリウス派キリスト教やゾロアスター教、マニ教の寺院も存在し、まさに多文化が交わる都市と言うことができました。
長安(現在の西安)の位置と行き方
西安はかつて中国の都「長安」として栄えた都市で、現在は陝西省の省都です。
歴史的な観光地として国内外から人気を集める都市ですが、現在はどのようにアクセスできるのか、また空港到着後の流れはどうなっているのかについて紹介したいと思います。
現在の西安の場所
西安は中国西部の陝西省に位置する大都市で、歴史的に長安と呼ばれていたエリアを含むという形です。
古代には中国の政治や文化の中心地として栄えていましたが、現在は経済や交通の拠点になっています。
周囲には秦の始皇帝陵などの歴史的な遺産も残っていて、多くの観光客が訪れています。
ちなみに市内には地下鉄もあって、空港や鉄道駅からのアクセスも整備されています。
西安咸陽国際空港での入国手続き
西安へ国際線で到着するという場合、多くの旅行者が利用することになるのは「西安咸陽国際空港」です。
日本からの便もあります。
空港に到着すると、まず「外国人入境カード(アライバルカード)」を記入し、入国審査に向かいます。
このカードは機内で配られることもありますが、入国審査場の手前にも用意されています。
宿泊先の電話番号などを確認できるように準備しておくのが安心です。
また、入国審査の際には顔写真と指紋の登録を行います。
無事に入国できたら、空港内ではWi-Fiが利用できるので、必要に応じて活用しましょう。
私が初めて中国に行った時はスマホ決済が使えなくて少し困ることも多かったですが、現在では外国人もスマホ決済できるようになっているので、事前に準備しておくのがおすすめです。
市内への移動手段
空港から西安市内までは高速道路を利用して約1時間くらいかかります。
空港ロビーの外にはリムジンバス、タクシー、地下鉄といった交通機関が並んでいて、自力でも市内に向かうことができます。
わからない時には各交通機関のスタッフがサポートしてくれるので聞いてみましょう。
もう1つの大都市・洛陽との違いは?
長安と並んで中国史にたびたび登場する都市、洛陽。
前漢が長安を都としたのに対し、後漢では洛陽が都とされるなど、両都市はそれぞれ異なる役割を果たしてきました。
ここでは、なぜこの二つの都市が中国の歴史上で重要だったのか、それぞれどのような特徴があるのかについて紹介して行きたいと思います。
地形の特徴
洛陽と長安はどちらも山々に囲まれた盆地にあります。
例えば、洛陽の北には邙山、南には伏牛山があって、ここに虎牢関や函谷関といった要塞を設けることで、外敵の侵入を防ぐ堅固な防衛線が築かれていました。
このような地形の特徴は、長期にわたる籠城戦でも耐えられるような強みとなっていました。
黄河の氾濫を避けることができる
中国北部に流れている黄河は、たびたび氾濫を起こしていました。
でも、洛陽も長安も山に囲まれた盆地にあるので、黄河の氾濫による大きな被害を受けにくい場所であると言うことが出来ます。
そのため、農業生産が安定していて、安心して住むことができる場所となっていきました。
洛陽と長安の違い
洛陽と長安はともに重要とされた都市ですが、その役割は少し異なります。
長安はいわゆるシルクロードの玄関口にあって、軍事や外交の拠点となりました。
一方の洛陽は、経済活動が活発に行われる都市でした。
物流の中継地点として栄えた洛陽と、戦略的な軍事拠点的な特徴によって繁栄した長安という性格の違いがあったと言うことができます。
長安(現在の西安)で行きたい観光スポット

西安は今でも中国の歴史・文化を存分に感じられる都市として人気です。
西遊記やシルクロードにもゆかりのあるこの街には、現在まで残っている史跡や建築物が点在しています。
ここでは、西安を訪れたらぜひ立ち寄っていきたい代表的な観光スポットを紹介してきます。
秦始皇兵馬俑博物館
西安を代表する観光名所といえば、世界遺産にも登録された「秦始皇兵馬俑博物館」です。
1974年に地元の農民が井戸を掘っていて偶然発見したこの史跡には、約8,000体にも及ぶ将軍や兵士、軍馬の陶製像が並んでいます。
しかも一体一体の顔立ちが違うというから驚きます。
観光客はガラス張りの通路から全体を眺めながら見学でき、そのスケールに圧倒されること間違いなしです。
西安の城壁
市内をぐるりと取り囲む「西安の城壁」は、明代に築かれたもので、現存する城壁としては世界最大級となります。
周囲13.7km、高さ12m、幅は15mもあり、かつては軍事的にも重要な役割を果たしていました。
観光客は城壁の上に登って西安の街並みを一望することができ、自転車で周回することも可能です。
西門は特に、シルクロードの出発点として知られ、記念碑も建てられています。
西安鐘楼とイスラム教徒地区
西安の市街地中央に立っている「西安鐘楼」は、釘を一切使わずに建てられた木造建築で、外観は3階建てに見えるものの、実際の内部は2階構造となっています。
かつては鐘を打って時間を知らせていた建物で、現在も2階の広間では民族楽器の演奏が行われています。
さらに近くの「イスラム教徒地区」では、中国とイスラムの文化が交差するユニークな街並みを楽しめます。
羊の肉まんをはじめとする美食や、異文化が同居する雰囲気は、西安ならではの見どころのひとつです。
長安(現在の西安)で食べたい絶品グルメ
西安ではどのような食べ物を食べることができるのでしょうか。
中国の他の地域とは違って、イスラム文化やモンゴル文化がミックスされたユニークなグルメが揃っているのが特徴です。
スパイスたっぷりの羊肉料理や麺料理、ローカルスイーツなど、他ではなかなか食べられない味を紹介して行きます。
羊肉を使った料理
西安の定番グルメといえば、羊肉泡馍です。
柔らかく煮込んだ羊肉スープに手でちぎったパンを浸して食べる料理です。
肉の香ばしさとうまみをしっかり楽しめる料理です。
また、灌湯包も人気です。
こちらは薄い皮の中に羊肉の餡と熱々のスープが詰まった小籠包です。
どちらも手軽に味わえるので、観光の合間の軽食にもピッタリです。
ローカル麺の種類も豊富
西安は麺料理も有名です。
特に人気なのがビャンビャン麺です。
幅広の麺にスパイスをかけて食べる料理で、唐辛子や花椒の味を楽しむことができます。
また、熱した油をかけて香りも楽しめる油潑麺や、夏に人気の辛麺涼皮も人気です。
それぞれの麺がもつ食感や味付けの個性までも楽しめるのが魅力的です。
スイーツ文化もある
西安では、羊肉のイメージが強いかもしれませんが、スイーツもおいしい料理が揃っています。
例えば黄桂柿子餅は、柿の果実と小麦粉で作られた揚げ団子です。
外はカリカリ、中はホクホクで、ほんのりとした甘さがくせになります。
また、キンモクセイの香りが漂う桂花糕は、ゼリーや蒸し菓子のような食感で、ちょっと一息つきたいときにぴったりのおやつです。
観光の合間にほっとする甘味を楽しめます。
まとめ
中国の歴史のある街・長安は現在では西安という名前で知られ、様々な史跡をまわることができる観光地として有名です。
今回の記事ではその歴史的な特徴やアクセスの方法、有名なグルメなども紹介しました。
日本から西安の空港までの直行便があってアクセスも良い場所にあるので、ぜひ興味を持った方は訪れてみてはいかがでしょうか。
◇経歴
教育系企業で国際交流事業をサポートする仕事をし、英語でメールや会議をしていました。
◇資格
・英検(実用英語技能検定) 1級
・TOEICスコア 940
・TOEFL iBTスコア 78
◇留学経験
マレーシアのクアラルンプールにある語学学校に1年間留学して勉強しました。また、高校生の時にニュージーランドの現地の高校に2週間滞在して英語研修を受けたこともあります。)
◇海外渡航経験
マレーシア留学中にシンガポール、タイ、ベトナム、ブルネイ・ダルサラーム王国、オーストラリアに旅行しました。その他、大学生の時に国際交流事業に参加して中国に行ったこともあります。
◇自己紹介
私は中高生時代、自分が留学するなんて考えられないくらい英語が苦手でした。高校の語学研修も後ろ向きな気持ちで行ったのを覚えています。
でも大学入学後に留学生の友達ができてから国際交流に興味を持ち、英語の勉強に前向きに取り組めるようになりました。今でも勉強自体は苦手ですが、海外の友達とのコミュニケーションツールとして使いたいという思いをモチベーションに変えて、頑張っているところです。
英語が苦手な人の視点に立てるライターとして、皆様に楽しんで読んでいただける記事をお届けします!