
土地全体が遺産であるバチカン市国、人々が普通に生活する白川郷など、ユニークな世界遺産は世界中にあります。
その中でも特に有名なのが、スペインの
サグラダファミリアではないでしょうか。
世界遺産になっている建築物はいくつもありますが、未完成で今もなお建築途中という世界遺産は、サグラダファミリアだけです。
しかしそんなサグラダファミリアが、あと数年で完成を迎えるかもしれないのです。
というわけで今回の記事では、サグラダファミリアについて取り上げました。歴史や基礎知識、そして現在の工事の進捗状況などをまとめていきます。
サグラダファミリアの基本情報
まずはサグラダファミリアの基本情報を、簡単にまとめました。 歴史や建築様式などについて簡単にでも知っておくと、建造物の観光は何倍も楽しくなります。
建築の概要と歴史
サグラダファミリア(正式名称:聖家族贖宥聖堂)は、スペイン・バルセロナに位置するカトリック教会で、1882年に建設が始まりました。
建築家はアントニ・ガウディが注目されがちですが、実はガウディは2代目で、1882年に建築を始めたのはフランシスコ・デ・パウラ・デル・ビリャです。
ゴシック建築とアール・ヌーヴォーの要素を融合させた独自のデザインから、建築学の世界だけでなく、芸術の世界からも注目を集めてきました。
2025年の現在でも工事が続けられており、「未完の傑作」と称され世界遺産にも登録されています。
建築様式と特徴
サグラダファミリアの建築様式は、カタルーニャ州で広まった芸術的思想カタルーニャ・モダニスムを基盤に、ゴシック建築の垂直性と壮麗さ、さらに自然界の曲線や有機的な造形を融合させた独自のスタイルです。
ガウディは自然を模倣し、柱を樹木のように成長させ、光と色彩を巧みに取り入れることで、神秘性と革新性を併せ持つ建築を創り上げました。
サグラダファミリアの目を引く特徴は、3つのファサードです。ファサードは「正面」という意味で、サグラダファミリアには3つ正面があり、それぞれに意味があります。
ガウディ自らが手がけたファサードは「誕生」、
直線的で力強い2つ目のファサードが「受難」、
現在も建築中の3つ目のファサードは「栄光」
を表しています。
これらは聖書に出てくる、イエスキリストの物語の表現です。
観光に関する情報
新型コロナウィルスの影響で一時観光に規制がかかっていましたが、現在は完全に復活しており、内部見学や塔への登頂体験も可能です。
チケットはオンラインでの事前予約が推奨されています。訪れる時間帯によってステンドグラスの光の表情が変わるため、朝や夕方の訪問が特に人気です。
サグラダファミリアの建築の歴史と工事の進捗
それではここからは、歴史をより細かく学んでいきます。 過去の出来事から現在の状況までまとめました。
サグラダファミリアの歴史年表
・1882年
フランシスコ・デ・パウラ・デル・ビリャによって、新ゴシック様式で着工。
伝統的な教会建築の設計で基礎工事が始まる。
・1883年
アントニ・ガウディが主任建築家に就任。
設計を大幅に変更し、自然や宗教象徴を融合した独創的な構想を打ち出す。
・1891年
「誕生のファサード」の建設が開始。ガウディは細部にわたり監修し、後に完成部分として世界遺産に登録される。
・1914年
ガウディが他の仕事を辞め、サグラダ・ファミリア建設に専念。晩年は住まいも現場に移す。
・1926年
ガウディ、路面電車事故で死去(享年73)。完成を見ぬまま生涯を閉じる。
当時完成していたのは「誕生のファサード」の一部と地下礼拝堂など。
・1936年
スペイン内戦で設計図や模型の多くが破壊され、建設が大きく停滞。
・1950年代
弟子や後継の建築家たちが残された断片資料を復元し、工事を再開。
・1970年代〜80年代
「受難のファサード」の建設が進む。直線的で力強いデザインが特徴。
・1990年代
コンピュータ技術や3Dモデリングが導入され、ガウディの複雑な設計を再現可能に。
・2005年
「誕生のファサード」と地下礼拝堂がユネスコ世界遺産に登録。
・2010年
教皇ベネディクト16世が訪問し、サグラダ・ファミリアを「小バシリカ」として奉献。
・2020年
新型コロナウイルスの影響で建設が一時中断。完成予定(2026年)が延期される見込みに。
・現在(2025年)
工事は継続中で、最終的に18本の塔を持つ世界最大級の教会となる予定。
建築の進捗状況
2025年現在、サグラダ・ファミリアは最終工程に入っています。
特に「イエス・キリストの塔」(Torre de Jesús Christos)が注目されています。構造自体は2024年12月までにおおよそ完成し(高さ約142.5m)、現在はその頂点にあたる巨大な十字架の設置が進行中です。
この十字架はガラスと白色エナメル陶器でできており、2025年内の完成が目指されています 。
ちなみにサグラダファミリアはすでに市内でもっとも高い塔となっており、完成すれば世界一高い教会塔となる予定です。
サグラダファミリアは2026年に完成予定!?
2026年に完成、と言われているのは本当なのでしょうか。 その根拠と、完成による影響をまとめました。
2026年という節目の意味
サグラダファミリアの建築チームは、2026年に大きな意味を感じています。
というのも、2026年は設計者アントニ・ガウディの没後100年にあたる重要な節目の年なのです。30歳で主任建築家に就任し、その後40年以上にわたってサグラダファミリアの建設に関わったガウディに敬意を表すため、2026年の完成を目指してきました。
完成に向けた現在の工事進捗
しかし現在では、2026年の完成は難しいと言われています。
原因は2020年に発生した新型コロナウィルスです。感染予防のため建設チームが思うように現場を動けなかったり、観光規制によって建築費用の支えである入場料が激減したりなどの障害が生じ、大幅に遅れが出たことです。
2026年の完成は叶わないものの、2030年までの完成はほぼ確定で、関係者は早くも完成後のビジョンを描き始めています。
完成がもたらす影響と期待
サグラダファミリアの完成は、世界中に大きな影響を及ぼすと言われています。
まず宗教的な観点から言うと、サグラダファミリアは完成によって「信仰の象徴」となります。世界中からキリスト教徒を迎える準備をしなければいけません。
それ以前にサグラダファミリアはすでに、年間数百万人以上が訪れる人気観光スポットです。完成から少なくとも数年は、バルセロナは世界トップクラスの観光地となるでしょう。
工事期間が短縮された理由
サグラダファミリアはもともと完成に300年はかかると言われており、少し前までは完成は2100年以降と予想されていました。
それが今では、あと数年以内には確実に完成する計画が発表されています。
技術革新とデジタル技術の導入
サグラダ・ファミリアの工事期間短縮に最も大きく貢献したのは、20世紀後半から21世紀にかけての技術革新です。
ガウディが生前に描いた設計はとても複雑で、曲線や有機的な形状が多く、従来の建築技術では正確に再現することが難しいものでした。
しかし、1990年代以降、コンピュータ支援設計や3Dモデリング、さらにはデジタルスキャンによるデータ解析が導入され、ガウディが残した石膏模型や断片的な資料を精密に再現することが可能となりました。
これにより、従来は職人が手作業で設計・計測していた部分が、短期間で効率的に作り出せるようになったのです。
観光収益と国際的支援による資金確保
もう一つの重要な理由は、観光収益の増加と資金調達の安定化です。
サグラダ・ファミリアは20世紀後半から世界的な観光名所となり、特に1990年代以降は年間数百万人が訪れるバルセロナ最大の観光資源となりました。その入場料収益は工事資金の大部分を占め、以前は寄付頼みで不安定だった資金繰りが劇的に改善しました。
サグラダファミリアの完成後の姿は?
「未完の傑作」と呼ばれたサグラダファミリアが完成したとき、この建造物はどのような意味を持つのでしょうか。
建築としての完成後の姿
完成後のサグラダ・ファミリアは、世界最大級かつ最も独創的な教会建築となります。
高さ172.5メートルの「イエス・キリストの塔」を中心に、合計18本の塔が立ち並ぶ壮観な景観が特徴です。これらの塔はそれぞれ使徒、福音書記者、聖母マリア、そしてイエスを象徴し、宗教的な意味が巧みに込められています。
宗教的・文化的な完成後の意義
完成後のサグラダ・ファミリアは、単なる観光地を超え、カトリック信仰の象徴、そして世界文化遺産の象徴的存在となります。
ガウディは「これは人類のための祈りの場であり、芸術と信仰が一体となる聖域である」と考えており、その理念が完全な形で結実する瞬間となります。
年間数百万人が訪れる観光拠点であると同時に、礼拝や宗教儀式の中心としても機能し、バルセロナ市民や巡礼者にとって精神的な拠り所となるでしょう。
まとめ
私たちは、1882年から140年以上、何代もの人々に見守られ、そして造られてきたサグラダファミリアの完成を見ることができる時代に生きています。
今一度サグラダファミリアの歴史やガウディの思いなどを学び直し、完成の喜びを皆と分かち合いたいですね。
サグラダファミリアのあるスペイン・バルセロナはスペイン語圏ですが、観光地やレストランなどでは英語が通じます。基礎的なスペイン語とともに、英語も話せるとストレスなく観光できます。この機会に、24時間365日レッスン可能なネイティブ・キャンプで、英語力を磨き上げておきましょう。
◇経歴
・アメリカ、オクラホマ州の四年制大学を卒業
・英語学習に関するブログを中心に、英語ライター・翻訳家として活動(現在)
◇資格
・TOEFL503点(大学入学時)
・Bachelor of Arts(文学士号)
◇留学経験
渡航先:アメリカ、オクラホマ州タレクア
留学期間:2012〜2017(5年)
学校名:Northeastern States University
◇海外渡航経験
・高校卒業後に、アメリカのオクラホマ州にあるNortheastern州立大学へ5年間の正規留学を経験
◇自己紹介
高校時代にアメリカの音楽文化に興味を持ち、アメリカへの大学留学を決意したことが、英語学習を本格的に始めることになったきっかけです。渡米後に3ヶ月の語学研修とTOEFL試験をクリアし、正規入学を果たしました。音楽学部にてJazz Studiesを専攻し、複数のバンドでギタリスト・ベーシストとして活動したことは一生の財産です。言葉はその人の価値観を定義付け、語学の習得は世界の見え方を変えます。自分が今も現在進行形で経験している、言語の魅力を発信するために、日々、英語・語学に関する情報発信をしています。