
フィリピンの四大名門大学であり、世界最大規模のカトリック系総合大学の1つとしても知られる、
聖トマス大学(University of Santo Tomas)。
今回の記事では、アジアで最も古くから続くその歴史、力を入れている教育分野、質の高い教育機関としての位置づけまで徹底解説します。最後には留学に向けて必要なプロセスも合わせて紹介しています。
聖トマス大学の概要と歴史
まずはじめに、聖トマス大学の由緒正しい歴史、学生生活を送りやすい位置的な魅力、著名な卒業生などの基礎情報を紹介します。
アジアで最も古い大学としての歴史
聖トマス大学は、今から400年以上前の1611年にスペイン統治時代にドミニコ会修道士により設立されたカトリック系総合大学で、アジアで最も古い大学といわれています。
もともとは城壁都市のイントラムロスの中にありましたが、学生数の増加に伴い、現在の場所に移転しました。
ちなみに日本で最も古い国立大学は東京大学で1877年に設置されたことをふまえると、その歴史の長さがよくわかります。
キャンパス内の建築物も歴史的に貴重なものばかりです。
例えば大学の本館は、ドミニコ会の神父であり建築家でもあったルア・ニョ神父によりなされた美しいルネサンス・リバイバル様式です。
豊かな自然と美しい歴史的建造物が共存するキャンパスは、通学するたびにタイムスリップしたような気分にさせてくれそうです。
※ちなみに、兵庫県尼崎にも2015年まで同名の私立大学・聖トマス大学(旧名:英知大学)がありましたが、フィリピンの大学とは直接的な関係はありません。
カトリック系総合大学としての威厳
敬虔なカトリック大学であることから、宗教の拠点としても重要な場所であり、過去にローマ法王が3回訪問されています。
カトリックの教えに基づいた倫理観や思想観に重きを置いており、身に着けた知識で世界に奉仕することができる人材を育成することを目標としています。
マニラの大学が多く集まるまちに所在
そんな歴史あるキャンパスは、フィリピンの首都マニラの中でも特に教育機関が集中する大学ベルトと呼ばれるエリアに位置しています。
今回の記事のテーマである聖トマス大学だけでなく、ナショナル大学やファーイースタン大学など多くの大学が近接しており、まちは学生たちの賑わいがあふれています。
公共交通機関も充実しており、通学や移動が便利です。
さらに、学生街という地域の特色柄、学生生活を支えるレストランやカフェ、書店などが集まり、暮らしやすいエリアです。
著名な卒業生を輩出する誇り高い学風
「アテネオ・デ・マニラ大学」「フィリピン大学」「デラサール大学」とともにフィリピンの4大名門大学の一つに輝く聖トマス大学は、国内外で活躍する一流の卒業生を輩出しています。
例えば、フィリピンの「国民的英雄」ホセ・リサール(Jose Rizal)も卒業生のひとりで、この大学の医学部を卒業しています。
彼は19世紀にスペインによる植民地支配を批判し、フィリピンを独立へと導きました。
ほかにも、フィリピン共和国の大統領を2人も輩出しています。
偏差値と国内ランキングでの位置づけ
このセクションでは、聖トマス大学の国内外での評価について解説します。
日本で言う「偏差値」の概念は海外の大学に適応するのが難しいため、ここでは国際的な大学ランキングを参考にします。
フィリピン国内に大学は計2,396校(国公立大学246校、私立大学1,729校)ありますが、2025年のQS World University Rankingによると国内6位にランクインしており、アジアでは「601+」の順位で、日本の大学に置き換えると、法政大学や青山学院大学、同志社大学などと同程度の評価に位置する、世界のトップ大学の1つです。
学部・学科と教育プログラムの特徴
聖トマス大学は、その名の通り幅広い分野を網羅する「総合大学」です。
人文社会系や自然科学系はもちろん、スポーツ科学や芸術、宗教研究なども含め、計20もの学部を有しています。
これらの学部はそれぞれ独自の専門性を生かしつつ、相互に連携しながら多彩な教育プログラムを提供しています。
【聖トマス大学の学部リスト】
入学条件と必要な英語力
フィリピンの名門大学聖トマス大学で晴れてキャンパスライフを送るためには、入学試験、そして英語力の壁を突破する必要があります。
入学試験の内容
聖トマス大学では、日本の大学と同じように「大学独自の入学試験(USTEST)」と高校在学時の成績により評価・判定がされます。
【入学試験の内訳】
必要な英語力
聖トマス大学の授業は英語で行われます。
留学生の場合、英語力を証明するスコア(IELTSやTOEFL iBTなど)の提出が求められることが一般的です。
※現在のところ、足切りスコアの設定は見当たりませんでした。
参考URL:聖トマス大学入学管理部
留学までの準備
合格通知を手にしてもすぐに安心してはいられません。
大学留学のためには、渡航前に済ませておくべき様々な準備があります。 計画的に行うことで、出発直前のバタバタを防ぐことができます。
このセクションでは、全体のプロセス、パスポート発行に関する注意点、必要なビザ手続き、そして航空券購入時のポイントを紹介します。
長期留学前にするべき全体のプロセス
一般的には「合格通知書の手配→パスポートの準備→ビザ手続き→航空券準備→渡航」の流れで準備を進めていきます。
これに並行して「現地での滞在先の確保」や大学生活を円滑にスタートさせるための「英語学習」を忘れずにしましょう。
パスポートの発行には余裕をもって!
一般的にパスポートの発行には、申請から受け取りまでに2週間程度かかるといわれています。
「2週間なら短いじゃん」と思いがちですが、落とし穴なのが「申請のために必要な書類」を用意するための時間も必要であることです。
2024年3月から最寄りの市区町村で戸籍謄本が取得できるようになったとはいえ、「役所の窓口の営業時間が短いこと」などを考えると、できるだけ早く動くことがおすすめです。
特にパスポートはIELTSなどの英語試験の本人確認資料としても使えるので、早めに取得しておいて損はないですよ。
慣れないビザ手続きは慎重に
「フィリピン留学」と聞くと「SSP(Special Study Permit)」を思い浮かべる人も多いかと思いますが、大学を含む高等教育機関への留学の場合はこちらは必要ありません。
代わりに「学生ビザ(9F Student Visa)」の取得が必要です。
学生ビザは、学校からの入学許可を得てから、在日フィリピン共和国大使館、またはフィリピン外務省で取得手続きを行います。
2025年8月現在の必要書類は以下の通りです。
【フィリピン学生ビザ取得のための書類一覧】
| 1 | 大学が発行した入学許可書原本 |
| 2 | ビザ発行の申請書の原本 |
| 3 | パスポートのコピー |
| 4 | 入学通知書 |
| 5 | 在留資格変更のための大学からの推薦状 |
| 6 | ※医療系(医学・歯学)専攻の場合、フィリピン高等教育委員会(CHED)発行の入学資格証明書 |
| 7 | ※コースの変更等のためのCHED推薦状 |
| 8 | ※フィリピン入国日から6か月以上経過後の申請の場合、犯罪経歴証明書 |
| 9 | 学校認定IDのコピー |
| 10 | 入国管理局発行の身元証明書(BI Clearance Certificate) |
※は該当する場合のみ
参考:フィリピン移民局
ビザ関連の英語は専門用語であることが多く、誤解や書類不備を避けるためには慎重な確認が欠かせません。
日本国籍の渡航者は、入国時に自動的に観光ビザ(30日間)が付与されますが、この期間を過ぎて滞在する場合は、滞在延長申請やビザの切り替えが必須です。
パスポート発行と同様、時間に余裕をもってビザの切り替えを行いましょう。
航空券取得時の注意点
フィリピンへの入国時には①入国前に学生ビザを取得する、②30日以内にフィリピンを出国することが確認できる航空券(ビザの切り替え予定を問わず)のどちらかを満たすことが必要です。
①の場合、入国前に在日フィリピン共和国大使館でビザ取得手続きを行うことになりますが、申請に必要な書類の多くが「原本」であることをふまえると、準備にかかる時間と複雑さからおすすめできません。
②の場合、「入国から30日以内に第三国へ出国」または「入国から30日以内に日本に帰国する」ことを確認できる航空券チケットが必要です。
大学留学で入学し、入国後すぐにビザの切り替えを行う場合、この航空券は実際には使えないため、キャンセルすることになってしまいます(捨てチケットとも呼ばれています)。
第三国へ出国することが条件であるため、捨てチケットとしては、同じ東南アジア圏に移動する格安航空の航空券が購入されることが多いようです。
まとめ
今回の記事では、フィリピンの首都マニラにある名門大学聖トマス大学について、その歴史や概要、試験情報をはじめとした留学に役立つ情報を紹介しました。
東南アジアへの正規大学留学をする日本の学生はまだまだ少ないですが、特に英語が公用語でまちの雰囲気も暖かいフィリピンはおすすめです。
そんな中でも聖トマス大学は、由緒正しい歴史と伝統を誇っており、学問の質も学生生活の充実度も留学生に魅力的な環境を提供しています。
①経歴
日本の公立中高を卒業後、理系の大学に進学。
現在は、タイの大学院に留学しています。
②資格
・TOEIC 805点
・IETLS Academic 6.0
③留学経験
・オーストラリア(2週間)→中学3年次にホームステイ
・タイ(1年)→修士課程に在学中
④海外渡航経験
長期でのんびりと滞在する旅行スタイルが好きで、シンガポール(1か月)、タイ(1年)、アメリカ(1か月)に滞在。
ほかにも、マレーシア、カナダ、オーストラリア、韓国、台湾、香港などを旅行しました。
⑤自己紹介
これまで長期の語学留学経験はなく、日本の公立中高に通いながら、ほぼ独学で英語を学んできました。英語を使うことで、世界中の最新の研究やデザインに触れる機会が増え、自分の視野が大きく広がったと感じています。特に東南アジアの都市が好きで、現在はタイの大学院で学んでいます。この経験を活かしながら、多くの方に英語を学ぶ楽しさや魅力を伝えていけたらと思っています。