
「フィリピンで公共交通機関を使わずに自分で運転したい。」
「国際運転免許証は必要?どうやって取得できるの?」
フィリピンへの渡航を予定している人の中で、このように感じている人も多いのではないでしょうか。
フィリピンで運転するためには、国際運転免許証(IDP)の取得が必要です。そこで、この記事ではIDPの取得方法や有効期間、更新手続きについて解説します。事前にIDPを取得し、フィリピンの交通ルールも知っておくことで、渡航後にストレスなく運転することができるでしょう。
国際運転免許証(IDP)とは?その役割と必要性
国際運転免許証(IDP:International Driving Permit)は、日本の有効な運転免許証を保有する人が、海外で運転する際に必要となる許可証です。
日本で発行されたIDPは、150ヶ国以上のジュネーブ条約加盟国で運転資格として証明することができます。また、IDPは複数言語で運転資格が記載されているため、さまざまな国の警察やレンタカー会社が内容を確認できるようになっています。
IDPを取得して海外で運転する場合は、日本の運転免許証と一緒に携帯しておく必要があるため、どちらも忘れずに持って行くようにしましょう。
フィリピンで運転する場合もIDPの取得が必要で、IDPと日本の有効な運転免許証を保有していれば、フィリピン入国後90日間は運転することが認められます。
フィリピンでのIDPの取得方法と要件
ここでは、フィリピンで運転するために必要なIDPの取得方法について、申請時に必要な書類と具体的な取得手続きに分けて解説します。
IDPの取得に必要な書類
IDPは、各都道府県の運転免許センターや、一部の警察署などで取得することができます。申請時には、以下の書類を準備しておきましょう。
申請に必要な証明写真に関しては、申請前6ヶ月以内に撮影されたもの(無帽、正面、無背景)が必要です。また、証明写真のサイズや申請料は、都道府県によって異なる場合があるため、事前に最寄りの運転免許センターや警察署などで最新情報を確認しておくことをおすすめします。
IDPの取得手続き
IDPの具体的な取得手続きは、以下の手順で行います。
申請に必要な書類は、先ほど解説したものになります。運転免許センターで申請した場合、その日のうちにIDPが交付され、受け取ることがほとんどです。一方、警察署で申請した場合は、申請してから約1〜2週間後に交付され、申請を行った警察署で受け取ることができます。
IDPを取得してフィリピンで運転する場合、旅行や短期滞在中の移動手段として便利ですが、長期滞在の場合は、現地でフィリピンの運転免許証に切り替える必要があります。
それでは、次にIDPの有効期間と現地での更新手続きについて解説していきます。
IDPの有効期間と更新手続き
IDPの有効期間は、発行日から1年間です。ただし、フィリピンで運転する場合、たとえIDPの有効期間が1年間であっても、運転が認められる期間は90日間になります。そのため、入国から90日を過ぎると、現地でフィリピンの運転免許証に切り替える必要があります。
LTOでフィリピンの運転免許証を取得する
フィリピンの運転免許証への切り替えは、LTO(Land Transportation Office)という機関で申請することが可能です。LTOとは、フィリピンの交通関連業務を担当する政府機関のことで、日本でいうところの運輸局や陸運局に相当します。
LTOで運転免許証の申請を行う際は、以下の書類が必要になります。
フィリピンの運転免許証に切り替えるためには、原則として120日以上の長期滞在ビザが必要です。保有しているビザでフィリピンの運転免許証の取得が可能か、事前に確認しておくことをおすすめします。
日本の運転免許証の翻訳証明書については、在フィリピン日本国大使館で取得可能です。詳しい取得方法は、後ほど解説します。
また、健康診断や薬物検査は、LTO指定のクリニックや検査センターで受けられます。現地で案内されることが多いので、案内に従って検査を受けましょう。
必要書類を揃えて検査を行い、写真撮影や署名、免許証発行にかかる手数料の支払いをすれば、手続きは完了です。支払い手数料は、健康診断・薬物検査・免許発行手数料などを合わせて、1,500〜2,000ペソ前後が目安となります。
混雑していなければ、運転免許証はその日のうちに受け取ることができるでしょう。
日本の運転免許証の翻訳証明書を取得する方法
日本の運転免許証の翻訳証明書は、フィリピンにある在フィリピン日本国大使館で申請して取得できます。運転免許証の翻訳証明書の申請には、以下の書類と手数料が必要です。
申請に必要な証明書発給申請書に関しては、以下のサイトから確認できます。
参考: 運転免許証の翻訳証明|在フィリピン日本国大使館
運転免許証の翻訳証明書は、申請から土日祝祭日を除く翌開館日に交付されます。
フィリピンでの交通ルール
フィリピンで運転するには、交通ルールを事前に知っておくことが大切です。日本と異なる交通ルールもあるので、しっかり確認しておきましょう。
フィリピンは右側通行・左ハンドル
日本の車道は左側通行ですが、フィリピンはその逆の右側通行です。日本の交通ルールに沿ってフィリピンの車道を走ってしまうと、逆走になってしまいますので、気をつけましょう。また、日本では右ハンドルの車が一般的に使用されていますが、フィリピンでは左ハンドルの車が使用されています。フィリピンでは、右ハンドル車の運転・登録が禁止されているため、覚えておきましょう。
マニラ首都圏でナンバープレートによる交通規制を実施
マニラ首都圏では、深刻な渋滞を緩和するために「カラーコーディング」と呼ばれる規制を行っています。カラーコーディングとは、曜日ごとにナンバープレートの末尾で交通規制を設定し、走行できる車両の数を減らす対策です。
具体的には、以下の曜日ごとに車の通行が制限されます。
| 曜日 | ナンバープレート末尾番号 |
| 月曜日 | 1・2 |
| 火曜日 | 3・4 |
| 水曜日 | 5・6 |
| 木曜日 | 7・8 |
| 金曜日 | 9・0 |
交通規制の時間は、7:00〜19:00の場合や、朝夕の7:00〜10:00、17:00〜20:00の場合など、時期によって異なる可能性があるため、現地の最新情報を確認することをおすすめします。また、土日祝日の制限はありません。もし違反した場合は、罰金などの罰則が科せられるので、気をつけましょう。
フィリピンでの交通違反や交通マナー
これまでに解説した交通ルール以外にも、フィリピンでは以下のような交通違反があります。
これらは日本でも馴染みのある交通違反です。フィリピンでこのような交通違反をすれば、罰金や免許停止または取り消し、懲役などの罰則が科せられます。
また、日本とは少し異なる交通マナーとして、フィリピンでのクラクションは合図や注意喚起の目的として頻繁に使われています。さらに、パッシング(ライト点滅)は「先に行かせてほしい」という意味で使われているため、覚えておくと良いでしょう。
フィリピンで免許を取得する
長期間フィリピンに滞在する人の中で、運転免許証を持っていない人や、現地で新たに免許証を取得したい人は、フィリピンで直接免許証を取得することができます。ここでは、フィリピンで運転免許証を取得する方法について解説していきます。
フィリピンの運転免許証は2種類ある
フィリピンの運転免許証には、「ノンプロフェッショナル運転免許」と「プロフェッショナル運転免許」の2種類があります。
ノンプロフェッショナル運転免許は、個人で自家用車やオートバイを運転するためのものです。取得対象は18歳以上で、私用車の運転を目的としています。通勤や日常生活の運転が用途であり、商用車を運転することはできません。
一方、プロフェッショナル運転免許は、商用車や公共交通機関を運転するためのものです。バスやタクシーの運転手など、職業として運転を行う場合に必要になります。
フィリピンで運転免許証を取得する手順
まず、学生許可証(Student Permit)の申請が必要です。17歳以上であればLTOで申請できます。申請時には、以下の費用が必要になるため準備しておきましょう。
健康診断はLTO指定のクリニックで受診することが一般的です。
学生許可証を取得できれば、次に実技講習と試験を受けます。実技講習は8時間で、約4,000ペソです。実技講習を受けて試験に合格すれば、正式な免許証が発行されます。
指定された日時に同じLTOで免許証を受け取れば、フィリピンの運転免許証の取得は完了です。
まとめ
フィリピンで運転するためには、国際運転免許証(IDP)の取得が必要です。IDPは各都道府県の運転免許センターや一部の警察署で取得できるため、フィリピンに渡航する前に手続きを済ませておきましょう。また、IDPの有効期間は1年間ですが、フィリピンで運転できるのは入国してから90日間です。90日を過ぎたら、現地にあるLTOでフィリピンの運転免許証に切り替える必要があるため、覚えておきましょう。
フィリピンでの運転に困らないためにも、免許更新手続きの方法やフィリピンの交通ルールを事前に確認しておくことをおすすめします。
◇経歴
Webライター(留学・旅行関連)
◇留学経験
・フィリピン 2ヶ月
・カナダ(ワーキングホリデー中) 4ヶ月
◇海外渡航経験
・留学:フィリピン
・ワーキングホリデー:カナダ、ニュージーランド(1年ずつ)
・旅行:アメリカ、シンガポール、台湾など
◇自己紹介
海外での留学や仕事、旅を通じて、英語力だけでなく、行動力や環境への適応力も身についたと感じています。
また、異なる文化や人々の価値観に触れる中で、多くの発見や学びを得て、自分自身の成長も実感できました。
留学や海外に興味があり、挑戦したいと考えている皆さまに向けて、経験者の視点から少しでもお役に立てる記事をお届けしていきます。