
「費用を抑えられる留学先としてフィリピンとマレーシアが人気と聞いたけど、どちらが良いのかな?」このような悩みをお持ちではないでしょうか。
結論、短期間でスピーキング力を伸ばしたい方はフィリピン留学、多国籍の仲間や現地の人との交流で実践的な英語力を伸ばしたい方はマレーシア留学がおすすめです。
同じ東南アジアの近隣諸国であっても、レッスン形式や生活環境が大きく異なる2つの国。どちらがあなたの留学先としてふさわしいのか、比較していきましょう。
- マレーシア・フィリピンってそれぞれどんな国?
- フィリピン留学のメリット・デメリット
- マレーシア留学のメリット・デメリット
- フィリピン留学・マレーシア留学の比較:費用
- フィリピン留学・マレーシア留学の比較:授業スタイル
- フィリピン留学・マレーシア留学の比較:生活・治安・文化
- まとめ
マレーシア・フィリピンってそれぞれどんな国?
フィリピンとマレーシアは両国とも第二言語として英語が話されており、物価が安く、常夏の気候という共通点があります。
ここでは両国の基本情報や、英語が第二言語となった歴史的背景などを見ていきましょう。
フィリピン
フィリピンは7,100以上の島々からなる国で、英語教育に定評があります。歴史的にスペインやアメリカに長年支配されてきた背景があり、英語が公用語として広く使われています。
基本情報 |
詳細 |
首都 |
マニラ |
言語 |
公用語 フィリピノ語(フィリピン語) 英語 |
日本からの航空時間 |
4~5時間 |
気候 |
熱帯性気候(6〜11月雨季、11〜5月乾季) |
人種 |
フィリピン人が9割以上 |
マレーシア
マレーシアはかつてポルトガルやオランダ、イギリス、シンガポールの植民地で、1957年にイギリスから独立した歴史があります。英語はかつて公用語だったため、現在も準公用語的として広く使われています。
基本情報 |
詳細 |
首都 |
クアラルンプール |
言語 |
公用語はマレー語 準公用語として中国語、タミル語、英語 |
日本からの航空時間 |
6~7時間 |
気候 |
熱帯性気候(年間平均27℃) 雨季は地域によって異なる |
人種 |
マレー系、中華系、インド系の多民族 |
フィリピン留学のメリット・デメリット
フィリピン留学は1ヶ月内で集中的に英語力を伸ばしたい人におすすめです。マレーシア留学と比較して、おもな違いは以下の点にあります。
メリット①|短期間で効果的に英語力アップを目指せる
フィリピンのスクールは、少人数制のグループレッスン+マンツーマンレッスンが魅力です。
講師と1対1の授業により、グループレッスンと比較して学習者の発話量が多くなり「他の学生に圧倒されて全然話せなかった」というケースを避けられます。
レッスン数 |
1日6~8コマ |
1日の学習時間 |
6時間ほど (1日10時間以上のスパルタ式レッスンもある) |
グループレッスン |
3~7人前後の少人数制 |
個人のレベルや目標に合わせてカリキュラムが組まれるので、あなたのペースで着実に英語力の向上を目指せますよ。
メリット②|食事を自分で調達しなくて良い
フィリピン留学では学校と寮が同じ敷地内にあるケースが一般的で、3食つきの寮が多い傾向です。自分で食事を用意する必要がないため、料理や買い物などの時間を英語学習にあてられます。
「寮の食事は日本人の口に合うのだろうか」と不安に感じる人もいるでしょう。フィリピンの語学学校では、学生の国籍に合わせて米を主食としたメニューや、和洋折衷の食事を用意しているところも多くあります。
日本食とは味付けが異なりますが、海外生活の醍醐味として楽しんでみてはいかがでしょうか。
デメリット|治安面で注意が必要
フィリピンの都市部では観光客を狙ったスリ、ひったくりなどの被害に遭う可能性があるため、十分な対策が必要です。具体的な対策方法は以下のとおりです。
リゾート観光を思いきり楽しむためにも、事前に対策を講じておきましょう。
マレーシア留学のメリット・デメリット
マレーシア留学では90日以内であればビザが不要なため、1ヶ月以上の滞在を予定している人にとっては魅力的です。フィリピン留学と比較すると、おもな違いは以下のとおりです。
メリット①|ビザなしで約3ヶ月間滞在できる
マレーシア政府観光局公式サイトの情報によると、マレーシアでは観光や留学で日本人が入国する場合、90日以内の滞在であればビザは必要ありません。
ビザ不要の条件と手続きは以下のとおりです。
項目 |
詳細 |
滞在可能期間 |
90日以内 |
必要書類 |
パスポート(残存期間6ヶ月以上) |
入国審査 |
空港での簡単な審査のみ 出国用の航空券の提示が必要 |
延長手続き |
現地で延長の申請が可能 |
フィリピンが30日以内のビザ免除に対し、マレーシアは3倍の期間滞在できます。1〜3ヶ月の中期留学を検討している方には、手続き面やビザ延長にかかるコスト面でマレーシアが優位となります。
メリット②|屋台で多種多様なローカルグルメを楽しめる
マレーシアは多民族国家であるため、マレー系、中華系、インド系の多様な料理を屋台で手軽に楽しめます。マレーシアの代表的な屋台グルメは以下のとおりです。
食事を通じて現地の文化を深く知れる絶好の機会です。学校で学んだ英語を屋台での注文で積極的に使ってみましょう。
デメリット|寮に食事がついていないことが多い
マレーシアは食事付きでない学校が多く、学費に食費が含まれない分自分で食事を調達する必要があります。ただし、食事は屋台やスーパーを利用して安く抑えることは可能です。
現地での食事の調達方法と、費用の目安は以下のとおりです。
食事方法 |
費用目安(1日) |
魅力 |
屋台利用 |
500〜800円 |
安価で現地の食文化を体験できる |
レストラン |
800〜1,500円 |
快適でメニューが豊富 |
自炊 |
300〜600円 |
最安で健康管理ができる |
コンビニ弁当 |
400〜700円 |
手軽で時間の節約になる |
料理が好きな人であれば、現地のスーパーで食材を調達し、マレーシアの調味料を使った多国籍料理作りに挑戦してみてください。
フィリピン留学・マレーシア留学の比較:費用
渡航前費用を比較すると、マンツーマンレッスン+食費つきのフィリピンのほうが高めです。一方、マレーシアでは現地で食事の調達が必要なため、トータルコストはほぼ同じになります。
まずは、渡航前費用(1ヶ月間)を比較してみましょう。
渡航前費用 |
フィリピン |
マレーシア |
学費 |
約15~30万円 (授業料・宿泊・食事込み) |
約15~20万円 |
航空券 |
約2万円 |
約2万円 |
海外保険料 |
約2万円 |
約2万円 |
合計 |
約20~35万円 |
約20~25万円 |
フィリピンでは、一般的な英会話コースのレッスンかスパルタ式のレッスン(一般レッスンより高額)を受けるかによって、学費が大きく異なります。
次に、現地でかかる費用を比較してみましょう。マレーシアでは食事を自分で手配する必要があるため、自炊か外食するかによって食費が大きく変わります。
費用項目 |
フィリピン |
マレーシア |
現地納入代(SSP等) |
約2万円 |
不要 |
テキスト代 |
約5,000円 |
約5,000円 |
水道光熱費 |
—(学費に含まれる) |
約1万円 |
交通費 |
約5,000円 |
約5,000円 |
通信費 |
約5,000円 |
約5,000円 |
観光・娯楽費 |
約2万円 |
約2万円 |
食費 |
—(学費に含まれる) |
約3〜6万円 |
合計 |
約5万円 |
約7〜10万円 |
1ヶ月の留学費用の総額は、以下のとおりです。
フィリピン:約25~40万円
マレーシア:約27~35万円
フィリピンは渡航前に総費用がほぼ確定するため、予算計画が立てやすいのが特徴です。
一方、マレーシアは現地での食生活によって費用が大きく変動します。屋台中心なら安く抑えられますが、レストラン利用が多いと予算オーバーの可能性があるため、現地生活費は多めに準備しておきましょう。
フィリピン留学・マレーシア留学の比較:授業スタイル
授業スタイルは両国で大きく異なります。
英語の初心者はフィリピン、中級者以上でコミュニケーション力を伸ばしたい方はマレーシアがおすすめです。
フィリピンは少人数制でマンツーマンレッスン
フィリピンではマンツーマンレッスンが主流で、グループレッスンでも3〜7人前後と少人数制の学校が多い傾向です。
個人のレベルや目標に合わせた指導により、短期間での英語力向上を目指せます。また、シャイな性格の日本人でも発言しやすい環境を提供しています。
一般的な学校では1日に6〜8コマ授業があり、スパルタ式の学校では1日10時間のレッスンを受講可能です。学習に集中できるよう夜間外出を禁止している学校も多く、治安面の安全確保も兼ねています。
1ヵ月以内で厳しい環境に身を置き、確実にスピーキング力をつけたい方は、フィリピン留学を前向きに検討してみてはいかがでしょうか。
マレーシアはグループレッスン中心で自由度が高い
マレーシアでは15人前後のグループレッスンが中心で、実際の社会に近いコミュニケーションの環境を提供しています。
欧米式の教育方針を取り入れ、自主性を重んじているため、授業数は1日に4〜6コマ程度で夕方以降の出歩きは基本的に自由です。
自由度が高い環境で学びたい人や、他国の学生や現地の人と会話をしながら実践的な会話力をつけたい人は、マレーシア留学を選ぶと良いでしょう。
フィリピン留学・マレーシア留学の比較:生活・治安・文化
両国とも観光地として魅力的な国ですが、治安面で大きく異なります。特にフィリピンは犯罪に巻き込まれてしまう可能性もあるので注意が必要です。
生活面
フィリピンとマレーシアは、どちらも観光とリゾートが楽しめる魅力的な留学先です。生活面でのメリット・デメリットは以下のとおりです。
フィリピン |
マレーシア |
|
メリット |
ビーチリゾートでマリンスポーツを楽しめる 料理や食材の買い出しに時間をかけなくて良い |
多民族文化を体験できる 交通網が発達している 屋台村の人気店や規模の大きな屋台では安心して食べられる |
デメリット |
停電や断水のリスクあり 水道水は飲めない 屋台などの食の衛生面で注意が必要 |
食事は自分で調達する必要あり 水道水は飲めない |
生活面で食べ物事情は特に気になるところでしょう。
フィリピン・マレーシアどちらとも、氷や生水は衛生的に問題があるため、現地でミネラルウォーターを買って過ごしましょう。
フィリピンの屋台で買う食材は、作り置きの食品が長時間販売されている場合があり、特に高温多湿のフィリピンでは傷みやすい点に注意が必要です。生野菜やフルーツなどは避け、火が通ったできたての料理を提供してもらいましょう。
一方で、マレーシアでは食品衛生法が厳しいため、多くの店主は衛生に気を付けています。屋台村の人気店や大規模の屋台の食材はある程度安心ですが、簡素な屋台だと衛生管理が行き届いていない可能性があるため注意が必要です。
治安面
結論、マレーシアの治安は良いためある程度安心ですが、フィリピンの治安は悪いので十分な対策が必要です。
経済平和研究所(IEP)が公表した「世界平和指数2024」では、163ヶ国中マレーシアは10位にランクインしています。
「貴重品を人目につく場所に置かない」「人通りの少ない路地や暗い場所を避ける」など、基本的な注意を払ったうえで、現地の文化体験や観光を存分に楽しみましょう。
一方でフィリピンは同ランキング105位で、スリやひったくり、置き引きなどの犯罪が多発しているのが現状です。
ただし、フィリピンの治安が悪いとはいえ、そこまでおびえる必要はありません。夜間の一人歩きを避けるなどの対策をしっかりと行えば、美しいビーチリゾートでの観光や現地の人との交流を思いきり楽しめますよ。
文化面
フィリピンはカトリック文化、マレーシアは多宗教文化が特徴的です。
フィリピン |
マレーシア |
|
宗教 |
キリスト教徒が多い |
イスラム教徒が多い |
イベントや文化体験 |
教会見学 クリスマス祭典 フィエスタ(フィリピンの伝統的な祝祭) |
モスク見学 中華系正月 イスラム祭り ヒンドゥー祭り |
マレーシアは多民族国家のため、異なる宗教を信仰する人が共存してます。現地の人たちは、留学生や観光客への理解も高いため、基本的なマナーを守れば特別な配慮は必要ありません。
ただし、モスク見学の時は長袖・長ズボンを着用し、肌の露出を控えましょう。日本では体験できない貴重な機会を楽しんでみてください。
まとめ
フィリピンとマレーシアは同じ東南アジアの近隣諸国であっても、授業スタイルや生活環境は大きく異なります。
両国のちがい |
フィリピン |
マレーシア |
授業スタイル |
少人数制 マンツーマンレッスンあり 6~8コマ/1日 |
1クラス15人ほど グループレッスン中心 4~6コマ/1日 |
生活環境 |
食事の用意不要 治安面で注意が必要 リゾート観光を楽しめる |
食事は自分で調達 比較的自由に出歩ける 多文化体験ができる |
短期集中でスピーキング力を伸ばしたい方はフィリピン留学が最適で、多様な文化体験を通じて実践的な英語力を身につけたい方はマレーシア留学がおすすめです。
あなたの目標や性格に合わせて、どちらが満足度の高い留学になりそうかを選んでみてください。
◇経歴
・公立中学校英語教師(6年間)
・Webライター(英語学習、金融ジャンル)
◇資格
・中学校・高校英語Ⅰ種
・TOEIC 800点
・実用英語検定準1級
・児童英語教授法(TESOL for Children)
◇留学経験
カナダ(1年間)
多文化共生についてのフィールドワークや、トロント国際映画祭のボランティア活動へ参加しました。
◇海外渡航経験
カンボジアでのスタディツアーで現地の小学校を訪れ、英語で授業しました。
生きるために必死に勉強する現地の子どもたちから刺激をもらい、もっと英語を上達させて彼らと色々な話ができるようになりたいと思い、カナダ留学を決意しました。
◇自己紹介
カナダでの留学経験や英語教師としての実務経験を活かして、英語学習や留学のことで悩む読者の方にとって有益な情報をお届けできたらなと思っています。
具体的なアクションプランを示せるよう意識して執筆します!