旅行や語学研修、仕事でフィリピンへ行くことになったら、ドキドキワクワクですね。短期でも長期でも、フィリピン滞在を楽しいものにしたいと思うのは当然です。
「英語が通じるかな?」「フィリピンの人々とうまくやっていけるかしら」と心配になることもあるでしょう。現地の人々と上手に交流するには、まずフィリピン人の国民性を理解することが大事ですね。
ここでは、フィリピン人の性格の特徴や価値観、コミュニケーションのポイントを詳しく説明致します。
フィリピン人の基本的な性格と特徴
フィリピンは熱帯に属し、7000以上の島からなる国です。そこには1憶人以上の人々が住んでいます。フィリピン人の性格と特徴として、次のようなことがあげられます。
・明るくて社交的
・家族を大事にする
・礼儀正しく、思いやりがある
・働き者
・時間を気にしない
明るくて社交的
気候が年中温暖なこともあって、フィリピン人は陽気で明るいのが特徴です。フレンドリーで誰にでも気軽に声をかけ、すぐに友達になることも多いです。
海外からの旅行者でも定住者でも、現地の人たちと気軽に交流できるのは大きな利点でしょう。
フィリピン人は海外に働きに行くことが多いですが、この明るさや社交的な性格が多くの人に受け入れられている原因の一つでもあります。
家族を大事にする
フィリピンでは、家族を大事にし、助け合う文化が根付いています。家族のために海外へ働きに行く人がたくさんいます。
家族が病気ならば、仕事を休んででも看病するのもよくあることです。
日本では、家族よりむしろ仕事が第一と考えやすいですが、フィリピン人と一緒に仕事をするなら、この点は配慮する必要があります。
礼儀正しく、思いやりがある
フィリピン人は年長者を大事にし、礼儀正しい人が多いです。知らない人にも親切で、困っている人がいれば積極的に助けようとする思いやりの心があります。
海外で働くフィリピン人が重宝がられるのもこの礼儀正しさや思いやりの気持ちがあるからですね。
働き者
フィリピンの人たちはとにかく真面目によく働きます。フィリピンでは、子どもがたくさんいる家庭が多く、お金が必要です。
家族を大事にするフィリピン人は、家族を養うために男性はもちろん女性も積極的に働いています。
時間を気にしない
フィリピン人はおおらかな人が多く、きっちりと時間を守る習慣はありません。バスなどの交通機関もだいたいの時間で動いているので、定刻に来ないことも多いです。
せっかちな日本人は「定刻に来ないとはけしからん。」とイライラする人もいますが、この点は「郷に入りては、郷に従え」で、現地の人のやり方に慣れるのが先決です。
家族を中心とした価値観と生活様式
フィリピンでは誰もが家族をとても大事にしています。特に特徴的なのは次のようなことです。
・大家族で生活
・仕事よりも家族の看病やイベントを優先
・家族のためならば、海外へ出稼ぎに行くこともあり
大家族で生活
フィリピンでは家族は一緒に住むのが一般的です。親と子、祖父母や親の兄弟も一緒という例が多いです。子だくさんで、5~7人ぐらいの子どものいる家も珍しくありません。
結婚しても親兄弟と同居する例もあります。親や年長者へは敬意をはらい、お年寄りを大事にしています。
仕事よりも家族の看病やイベントを優先
フィリピンでは、家族を優先することが普通です。仕事があっても家族が病気やケガといった事情があれば、仕事を休んだり、遅れて行ったりすることもよくあります。
職場の人も、皆理解があって、「それぐらいのことで休むな。」と言うこともないわけです。それだけ、家族を大事にしていることが分かりますね。
誕生日や成人のお祝い、結婚式など家族のイベントも盛んに行われます。このときは、家族は仕事を休んででもみんなで参加します。
家族のためならば、海外へ出稼ぎに行くこともあり
フィリピン人が海外に出稼ぎに行くことはよく知られています。大家族を養うためには、皆勤勉に働きますが、海外に行くことも多いです。
フィリピンの国民総生産の約1割はフィリピン人が海外で働いたお金です。若い母親でも、家族に子どもたちを預けて海外へ働きに行くことも稀ではありません。
海外の方が高収入の仕事があることが原因の一つですが、家族の結束が固いので、子どもの世話を頼めるという状況もあるからなのです。
時間に対する考え方とビジネスでの注意点
フィリピンの人々は朗らかで、物事にこだわりません。時間についても、きっちりと決めたり守ったりすることは少ないです。
「フィリッピンタイム」と言われる、フィリピンでの時間の使い方には、次のような特徴があります。
・時間を守る、計画を立てて実行する習慣がない
・バスや電車の時刻表がない
・ビジネスでも、予定の時間通りには進まない
時間を守る、計画を立てて実行する習慣がない
フィリピン人はおおらかで、「たいていのことは何とかなるさ」という楽観的な人が多いです。きっちり計画を立て、それを実行するのに時間を決めるということも苦手です。
カレンダーを見かけることは少ないし、腕時計をしている人もあまりいません。人と会う約束をして時間を決めても、その時間に来ないこともあります。
遅れて来ても、悪びれたところがなく、待たされた人も怒ることがほとんどないのは、お互い様という寛容な気持ちからなのでしょう。
バスや電車の時刻表がない
交通機関にも時刻表はありません。
だいたいの予定で動いているので、待つ人は長時間待ってもイライラしないし、運転手も遅れたら大変だという意識がありません。
ビジネスでも、予定の時間通りには進まない
ビジネスでは、出社時間は決まっていますが、その時間通りに出社しない人も多いです。フィリピンの人たちは真面目に働きますが、納期に間に合わせなくてはという意識は薄いです。
会議が予定より10~30分遅れて始まることもよくあります。遅れるのはいつものことで、時間を守ることよりも全員が集まることを重視するためです。
日本の会社では、時間を守ることが当たり前になっています。ですから日本人がフィリピンで仕事をする場合、フィリピンタイムに慣れることはなかなか大変です。
ですが、すぐに現地の人たちの習慣を変えることは難しいでしょう。仕事でフィリピンに行く人は、このフィリピンタイムを理解し、許容できることは寛容に取り組むことが必要です。
ただし、仕事に締め切りがあるなら、その期日に間に合うように従業員に何度も確認するのがいいですね。
宗教が与える影響と生活習慣
フィリピンの国教は、キリスト教で、国民の8~9割はカトリックの信者です。
これは、スペインのマゼランがセブ島に来た時に、現地の女王にキリスト教の布教をしたことが始まりでした。
後にアメリカ軍の支配下にあった時期にはプロテスタントも広まりました。現在もフィリピンの人々はキリスト信者が多いわけです。
今日でも、フィリピンの人々の生活は、キリスト教の精神が大きく影響しています。フィリピンを訪問する人が、特に知っておきたいのは次のようなことです。
・日々の生活の中にキリスト教が浸透
・キリスト教の行事には家族全員で参加
・中絶や避妊、離婚は禁止
日々の暮らしの中にキリスト教が浸透
フィリピンの人々は信仰心に篤く、日曜日には多くの人々が教会に行きます。小さい子どもでも食事の前に感謝をするのをよく見かけます。
スーパーなどの商業施設でも特定の時間には聖書の朗読の放送が流れることがあります。旅行者はちょっと驚くことですが、こんな時は、あえて邪魔をせず静かに協力するのがいいですね。
キリスト教の行事には家族全員で参加
クリスマスやイースターなどのキリスト教の行事には家族全員が参加します。12月24日のクリスマスイブ、25日のクリスマス当日のみならず、30日や31日も休んで長期休暇とする人もいます。
家族を大事にし、キリスト教の教えを大切にするフィリピン人がこの時期に仕事を休むのはむしろ当然なのですね。こうした習慣を理解し、この時期に仕事を強制しないことが重要です。
中絶や避妊、離婚は禁止
カトリックの信仰によると中絶は禁止、避妊や離婚もできません。フィリピンには子だくさんの家庭が多いのはこのためだと思われます。
離婚が少ないのは良いこととも言えますが、中絶禁止などはデリケートな問題です。外部からの訪問者は、この点に配慮し、批判じみたことを言わないようにするべきですね。
アジアではフィリピンは唯一のキリスト教の国です。そのため、私たちにはなじみの薄い習慣もあるわけですが、フィリピンの人々の考え方や習慣を理解し、共生することを目指したいですね。
フィリピン人との効果的なコミュニケーション方法
朗らかで、フレンドリーなフィリピン人と交流することは楽しいです。
このような人々とのコミュニケーションをより効果的に、しかも友好的にするにはいくつかのコツがあります。
一般的な旅行者や留学生として滞在する場合、また仕事上の仲間として付き合う場合に分けて考えてみましょう。
旅行者や留学生の場合
フィリピンの人々はほとんどが英語を話せますが、全員ではないことに注意してください。フィリピンの公用語はタガログ語と英語です。
特に年配者は英語が苦手な人もいますから、挨拶ぐらいはタガログ語でもできると喜ばれます。
フィリピン人はコミュニケーションを大事にするので、誰にでも明るく話しかけてきます。せっかくのチャンスを逃さずに、地元の人々とも交流しましょう。
フィリピン人は礼儀を重んじ、年長者を敬う気質がありますから、相手には礼儀正しく年配者には敬意を払うことも忘れないように注意してください。
また、家族思いの人々ですから、家族の悪口や悪い噂などは口にしないことも大事です。
仕事の仲間として付き合う場合
フィリピン人は勤勉によく働きますが、プライドがあります。仕事上のミスがあった場合は、大勢の人がいるところで注意するのは、かえってその人のプライドを傷つけることになります。
注意するときは別室で、一対一で丁寧に、わかりやすく諭すように話すのがコツです。仕事仲間であっても年長者には敬意を示すことも大事です。
時間の管理や締め切りなど、日本人とは違う価値観があるところは、特に注意して何度でも丁寧に説明する必要があります。
コミュニケーションを密にして、誤解や衝突を避けたいところですね。
まとめ
・フィリピン人は明るく社交的、大家族が多く、働き者
・時間にこだわらない
・カトリック信者が多く、旅行者や滞在者は理解する必要あり
・フィリピン人とのコミュニケーションをとるには、明るく友好的に、しかも礼儀正しくが基本
・仕事でフィリピン人とやり取りするには人前で叱らないなどの配慮が必要
フィリピンに滞在するなら、現地の人たちの国民性を理解し友好的な関係を築きたいものですね。

◇経歴
高校英語教師2年、イギリス滞在1年、帰国後幼児英会話指導員10年を経験
◇資格
英検2級
◇留学経験
国内英語研修2回
◇海外渡航経験
イギリスに1年間滞在しました。幼児がいたため学校には行けませんでしたが、イギリス人の元ラテン語教師について個人的に英会話の勉強をしました。長年の夢だったイギリス生活は毎日が冒険でしたが、イギリス人の寛容さに助けられ、英語力をつけることができました。一番の収穫は、あらゆることをグローバルな視点で考えることができるようになったことでした。帰国後は在日外国人の手助けをするなど、イギリス滞在経験を生かす努力をして、自分自身も楽しんでいます。
◇自己紹介
12歳で英語の勉強を始めて以来の英語好きです。
英語の勉強にショートカットはありませんが、やればやっただけ成果が上がるのが語学の勉強です。
現在英語を勉強している人、これから本腰を入れて勉強しようとしている人たちと、私がイギリス生活で学んだことを共有し、英語の勉強の楽しさを知っていただけたら幸いです。