フィリピン・セブ島にしばらく腰を落ち着けてみると、最初は目新しい料理も、だんだん「いつもの味」が欲しくなってきませんか?
旅行ならまだしも、留学や仕事で長くいると、毎日の食事は結構大事な問題。地元の人に人気の食堂もいいけど、やっぱり時々は醤油や出汁の味が恋しくなる…。
この記事では、セブならではの食習慣に触れつつ、美味しい日本食が食べられるお店はどこか、日本の食材は手に入るのか、といった気になる情報を集めました。
日本とは勝手が違う部分も踏まえながら、セブ島で心地よく食を楽しむための実践的なアドバイスをご紹介します。
セブ島の食文化についての基礎知識
まず、主食に関しては日本と同様にお米が中心です。しかし、その食卓の風景や食事のスタイルには特徴的な違いがあります。
日本の家庭料理では、ご飯に加えて主菜、副菜、汁物といった複数の料理がバランス良く並ぶのが一般的ですが、セブ島では、たっぷりと作られた主菜を一つか二つ用意し、それを皆でご飯と共に分け合って食べる、というスタイルが主流なのです。
時にはスープが添えられることもあり、フィリピンではこのスープをご飯に少量ずつかけながら食べる習慣も見られます。
日本の食卓のように小鉢料理やサラダなどが細かく区分けされることは少なく、一品料理とお米を中心にお腹を満たす、よりシンプルな構成と言えるかもしれません。
また、食事をとる時間に対する考え方も、日本とは少し異なります。日本では朝食、昼食、夕食と、比較的決まった時間帯に食事する方が多いかと存じますが、セブ島では「空腹を感じた時に食べる」という、より自由度の高いスタイルが一般的です。
これは、時間にあまり縛られない、現地の穏やかな生活リズムが反映されているのかもしれません。
セブ島のローカルフードを手軽に楽しみたい場合には、屋台が良い選択肢となります。屋台で提供される料理は50ペソ(日本円で約106円)程度からと非常に手頃な価格帯で、少しだけ何か食べたい時や、食費を抑えたい時には便利です。
味付けについては、日本人にとってはやや濃いめに感じられるかもしれませんが、しっかりとした味わいが特徴です。また、セブ島で広く親しまれているシューマイは、日本のものとは異なり、ピリ辛で濃厚な特製ソースをかけて食べるのが一般的です。
Colon(コロン)地区などでは、このソースだけを購入し、ご飯にかけて食べる人もいるほどで、その味わいは日本の「食べるラー油」にも例えられます。
最後に、食の安全面で特に注意が必要なのが「水」です。残念ながら、セブ島の水道水をそのまま飲むことは推奨されておらず、飲用した場合にお腹を壊す可能性が高いと言われています。
実際に、留学や就職でセブ島を訪れた方の多くが、滞在初期にお腹の不調を経験するという話を耳にすることも少なくありません。
直接水道水を飲まなくても、例えばレストランで提供される氷が水道水で作られていたり、洗浄後の食器に水道水が付着していたりすることが原因で体調を崩すケースもあるようです。
セブ島の日本食レストランの特徴
最近のセブ島やマクタン島は、新しいビルやお店がどんどん増えて、世界中のいろんな料理が楽しめるようになりましたね。そんな中でも、「やっぱり日本の味が一番落ち着くなぁ」と感じる日本人の方、きっと多いのではないでしょうか。
嬉しいことに、セブ島にはそんな気持ちに応えてくれる日本食レストランがたくさんあるんです。Googleマップでも100軒以上のお店が見つかるほど。
これだけ選択肢が多いと、「どんなお店があるんだろう?」「味はちゃんとしてるのかな?」「お値段はどれくらい?」なんて、気になることも色々と出てきますよね。
ここでは、セブ島の日本食レストランについて、もう少し詳しくお話ししたいと思います。
いろんな種類のお店があるのが嬉しいポイント
セブ島の日本食レストランのいいところは、まずその種類の多さです。
日本人オーナーが腕を振るう本格的なお寿司屋さんやラーメン屋さん、焼肉屋さんがあるかと思えば、地元フィリピンの方々の好みに合わせて少しアレンジを加えた、親しみやすいお店もたくさんあります。
まるで日本の街なかのように、その日の気分や予算、誰と食事に行くかに合わせて、好きなお店を選べるのは本当にありがたいですね。
特に人が集まりやすいのは、セブシティのITパーク周辺やマクタンニュータウンといったエリア。リゾートホテルやオフィスが多い場所なので、旅行で来られた方から、長く滞在されている方まで、いつも多くの人で賑わっています。
お値段は、地元の食事より少しだけ高め
気になるお値段のことですが、現地のフィリピン料理と比べると、日本食はどうしても少し高めの設定になっていることが多いです。
街角の食堂(カレンデリアと呼ばれています)なら100ペソ(約250円)くらいでお腹いっぱいになれたりしますが、日本食レストランだと、大体300ペソから1,000ペソ(約750円~2,500円)くらいを見ておくと良いでしょう。
もちろん、お寿司や和牛を使った焼肉など、特別な食材を使う料理は、もう少しお値段が張ることもあります。ただ、全部が高級店というわけではなく、気軽に立ち寄れるリーズナブルなお店もちゃんと見つかるので、ご自身の予算に合わせてお店を選べます。
お店によって、味の個性がある
セブ島で日本食レストランを選ぶ際に、少しだけ心に留めておくと良いかもしれないのが、お店によって味や品質に個性がある、ということです。
日本人の料理人の方や、日本でしっかり修行された経験を持つシェフがいらっしゃるお店では、日本で食べるのと変わらないくらい本格的な、美味しい料理に出会えます。
一方で、地元の方々に愛されるお店の中には、少し甘めの味付けだったり、セブならではの創作メニューが中心だったりすることも。
また、日本から食材を運んでくる関係で、時々、味や品質に少し変化が出ることがあるかもしれません。お店に行く前には、他の方の口コミやレビューを少しチェックしてみると、より安心してお店選びができるでしょう。
日本ではなかなか出会えない? セブ島ならではの食体験も
セブ島の日本食レストランの中には、日本ではちょっと考えられないような、ユニークな体験ができるお店もあるんです。
例えば、「粋(Iki)」という焼肉屋さんでは、なんとレバ刺しやユッケといった生のお肉を使ったメニューが、食べ放題プランに含まれています。
もちろん、衛生面には気を配って提供されているとのことですが、日本ではなかなかお目にかかれないメニューに挑戦できるのは、ある意味、貴重な機会かもしれません。
ただ、お店によっては屋外の席が中心だったりもするので、南国の暑さや天候なども考えながら、訪れるのが良さそうです。
セブ島にある日本食レストラン
実はセブ島には、多くの日本食レストランがあります。なかには日本人オーナーが手がけるお店もあり、日本にいるかのような本格的なメニューを楽しめるところも。
この記事では、セブ島で美味しい日本食を探している方、現地に滞在中・もしくは移住を考えている方に向けて、特におすすめのレストランを厳選してご紹介します。
Japanese restaurant Matsunoya Mandaue branch 和食ダイニング 松之家
セブ島で本格的な日本料理を気軽に楽しみたい方にぴったりです。活気ある店内に入ると、法被姿のスタッフが元気よく「いらっしゃいませ!」と出迎えてくれます。
薄暗い照明と提灯の装飾が、日本の居酒屋そのもの。刺身や寿司、天ぷら、各種定食など、本格的な味をリーズナブルに楽しめます。
営業時間:17時~24時※土日のみ11時~24時
Kurofune Cebu 黒船
外はサクッと、中はフワッとした食感が楽しめる鰻料理が味わえます。お吸い物や茶碗蒸しも非常に美味しいと評判。
営業時間:11時~15時/17時~21時※月曜日が定休日
EBISU UDON NOODLE
気軽にうどんを楽しめるお店です。梅わかめうどんは、さっぱりとしていて食欲がない時にもおすすめです。
営業時間:11時30分~朝5時
Euphoria
無性に牛丼が食べたくなる時ってありますよね。「Euphoria」では、そんな牛丼欲を満たしてくれます。食後のデザートには、完熟マンゴーがたっぷりと乗った一品で幸せな気分になれるでしょう。
営業時間:11時~深夜0時
セブ島で生活していると、日本の味が恋しくなる瞬間は誰にでもあります。今回ご紹介したレストランは、どれも日本人の舌に合う本格的な味わいを提供してくれるお店ばかり。
留学生や長期滞在者はもちろん、観光中にちょっと一息つきたい方にもぴったりです。ぜひ、自分の「日本の味」を見つけに訪れてみてください。
セブ島で購入できる日本食や食材
セブ島で「日本のあの味が欲しいな」「日本のあれが買えたら…」と思った時、多くの方がまず思い浮かべるのが「町屋マート」というお店ではないでしょうか。
地元にお住まいの方々の間では、「セブ島で日本の食品を探すならここ!」と言われるほど、品揃えが充実していることで知られています。日本のスーパーにも引けを取らないほど、たくさんの商品が並んでいます。
お店の場所は、マリアルイーサというエリアへ向かう橋のすぐ近くにあります。タクシーを利用される際は、運転手さんに「Henry Hotel(ヘンリーホテル)の近く」または「under the bridge going to Maria Luisa(マリアルイーサへ行く橋の下)」と伝えると分かりやすいかもしれません。
配車アプリの「Grab」をお使いなら、「Machiya Mart」と検索すれば見つかります。営業時間は毎日朝7時半から夜10時までと、比較的長い時間開いているのも嬉しいポイントですね。
食料品の品揃えは、まるで日本のスーパーのよう
町屋マートに足を踏み入れると、その品揃えの豊富さに驚かれるかもしれません。ラーメン、そば、うどん、きしめんといった麺類はもちろんのこと、缶詰やお漬物、ふりかけといった食卓に欠かせない定番の品々まで、幅広く取り扱っています。
特にカップラーメンの種類は、日本のスーパー以上かもしれない、という声も聞かれるほどです。
また、レトルトのご飯やカレー、お味噌汁といったインスタント食品もたくさん揃っているので、手軽に食事を済ませたい時や、自炊をされる留学生、旅行中の方にとっては、本当に心強い味方になってくれるでしょう。
冷凍食品のコーナーも充実していて、餃子や焼売、納豆(種類もいくつかあります!)、冷凍うどん、お魚の切り身、さらにはアイスクリームやおでん、コロッケまで見つけられます。
調味料からお菓子、飲み物まで、欲しいものがきっと見つかる
お料理に欠かせない調味料も、基本的なものはしっかり揃っています。ヤマサやキッコーマンといったお馴染みのブランドのお醤油をはじめ、めんつゆ、だしの素、お味噌など、これがあれば和食が作れる、という安心感があります。
現地の日本食レストランのシェフの方々も仕入れに利用されることがある、と聞くと、その品揃えの確かさがうかがえます。
小腹が空いた時や、ちょっと一息つきたい時のための、お菓子や飲み物も充実しています。チョコレートやポテトチップス、キャンディ、お煎餅、羊羹といった定番のおやつから、クリームパンやあんぱん、最中、もみじ饅頭といった、懐かしい日本のパンや和菓子まで種類が豊富です。
日本の味が恋しくなった時の、ささやかなご褒美にぴったりかもしれません。
飲み物も、麦茶や烏龍茶のパック、インスタントコーヒーやドリップコーヒー、ジュース類、そして夏に嬉しいラムネまで、色々と揃っています。日本酒や焼酎、梅酒、日本のビールといったお酒の種類も多いので、お酒好きな方や、飲食店をされている方にも重宝されているようです。
食品だけでなく、暮らしに役立つ日用品も
町屋マートが便利なのは、食品だけではないんです。暮らしの中で「あ、これがあったら便利だな」と思うような日用品も、幅広く扱っています。
例えば、調理に使う割り箸や菜箸、包丁、卵焼き用のフライパンやすき焼き鍋といったキッチン用品。
それから、もしもの時のための風邪薬や胃腸薬、頭痛薬、湿布、生理用品、消毒薬などの医薬品(もちろん、ご自身の常備薬は日本からお持ちいただくのが一番ですが)。
さらに、虫除けスプレーや洗濯洗剤、TSUBAKIなどの日本のシャンプー、柔軟剤、キッチン用の漂白剤といった生活必需品。その他にも、爪切りや耳かき、日本の銘柄のタバコ、リラックスタイムに嬉しい入浴剤、そしてセブアノ語の簡単な解説本まで見つかります。
セブ島では手に入りにくいもの、日本から準備しておきたいもの
これだけ品揃えが豊富な町屋マートですが、やはりセブ島では手に入れるのが難しい日本の製品もいくつかあります。
例えば、日本語で書かれた本は、現地ではほとんど見つられません。もし読みたい本がある場合は、日本から持ってくるか、海外発送サービスを利用する必要がありますが、時間も費用もかかってしまいます。
特に、語学の勉強で使う参考書などは、日本を出発する前にあらかじめ用意しておくのが賢明でしょう。
また、電化製品(乾電池は除く)や、化粧品(リップクリームなどは一部ありますが)、そして衣類などは、町屋マートでは扱っていません。
衣類に関しては、セブ島にもアヤラモールやSMモールといった大きなショッピングモールがあり、そこに入っている「ユニクロ」などを利用するのが便利でしょう。
日本食をゲットできるスーパー
セブ島で日本の食材や日用品をお探しの際に、もう一つ覚えておくと便利なのが「三河屋」というスーパーマーケット。
こちらはセブ市内のマボロ地区と、お隣のマンダウエ市にあるA.Sフォーチュナ通り沿いの、合わせて2つの店舗があります。どちらのお店も比較的アクセスしやすい場所にあり、多くの日本人の方々に利用されています。
まず、セブシティにあるマボロ店ですが、こちらはキャッスルピークホテルから歩いて5分ほどの距離にあり、アヤラセンターモールからも十分に歩いて行ける便利な立地です。
お店の中に入ると、うどんやお蕎麦といった麺類、お醤油やみりんなどの調味料、日本酒やチューハイといったお酒や飲み物、懐かしい日本のお菓子、冷凍食品、そして常備薬や日用品まで、日本の暮らしでよく使うものが一通り揃っています。
見ていると、お子さん向けのおもちゃや文房具、さらにはアニメのフィギュアなども置いてあって、まるで日本の身近なスーパーにいるような感覚になるかもしれません。
一方、マンダウエ市のA.Sフォーチュナ通りにあるお店は、特に業務用の食材や調味料の品揃えが充実しているのが特徴です。
そのため、地元の日本食レストランの方々なども仕入れに利用されているそうです。例えば、5リットルサイズの大きなウィスキーのボトルなど、一般のスーパーではあまり見かけないような業務用サイズのお酒も扱っているので、お料理好きの方や、お店をされている方にとってもおすすめです。
どちらの店舗にも、日本人スタッフの方がいらっしゃる時間帯があるので、何か分からないことや探しているものがある時に、日本語で気軽に相談できるのは、とても心強い点ではないでしょうか。
セブ島で日本の「食」や「暮らし」をサポートしてくれる三河屋さんは、長く滞在される方々にとって、頼りになる存在と言えそうです。
まとめ
フィリピン・セブ島では、地元料理を楽しむ傍ら、ふと日本の味が欲しくなるという声も耳にします。幸いなことに、セブには質の高い日本食を提供するお店が数多く点在しています。
レストランによって味付けや価格帯はさまざまですが、選択肢が豊富で中には日本資本のチェーン店も見られます。
また、自炊をしたい方にとっても、日本の食材を扱うスーパーがあるので安心です。現地の食文化に触れながら、必要に応じて日本の味も取り入れやすい環境が、セブ島には整っていると言えるでしょう。

TOEIC840
◇留学経験
2013年4月~12月:ニュージーランド
2019年11月~2020年1月:フィリピン
◇海外渡航経験
台湾、シンガポール、マレーシア、インドネシア、ミャンマー、タイ、クロアチア、グアム、ハワイ、ニュージーランド
◇自己紹介
生まれも育ちも大阪です。小さい頃から、知らないことを知ることが好きで、好奇心を力に執筆をしています。趣味は、芸人さんのラジオを聴くこと、自然探索、グルメ巡りです。好奇心をフル活用して、日々、幸せ集めをしています。