種類豊富なドル通貨!世界の特性・紙幣デザイン・両替方法を解説

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ドルと言えば、アメリカの通貨を思い浮かべる方がほとんどでしょう。実は「ドル」と名のつく通貨は、世界にたくさんあります。

この記事では、世界の国々で使われているさまざまな種類のドルを解説するとともに、各国の紙幣デザインや最新のセキュリティ機能、旅行などで必要になった際の両替方法まで解説していきたいと思います。

ドルの種類と米ドルの基本情報

通常、単に「ドル」というとアメリカ合衆国の通貨である「米ドル」を指します。

様々な種類のドルをご紹介する前に、まずは世界の主要通貨である「米ドル」の基本情報をご説明します。

アメリカの通貨であるドルは、USドル、米ドル、アメリカ・ドルなどと呼ばれます。通貨記号は「$」や「USD」です。

米ドルの紙幣と硬貨の種類

米ドルには、7種類の紙幣と6種類の硬貨があります。日本円はお札が4種類・コインが6種類ですので、米ドルは種類が多いですよね。

・ドル紙幣の種類とデザイン
米ドルの紙幣は以下の7種類です。2ドル札はあまり流通していないため、主に使われているのは6種類といえます。

額面 デザインに描かれる人物
1ドル ジョージ・ワシントン(初代大統領)
2ドル トーマス・ジェファーソン(第3代大統領)
5ドル エイブラハム・リンカーン(第16代大統領)
10ドル アレクサンダー・ハミルトン(初代財務長官)
20ドル アンドリュー・ジャクソン(第7代大統領)
50ドル ユリシーズ・S・グラント(第18代大統領)
100ドル ベンジャミン・フランクリン(科学者)

紙幣のデザインは歴史的な人物が描かれており、アメリカの文化や価値観を象徴しています。(100セント、10ドル紙幣、100ドル紙幣を除く)

・米ドルの硬貨の種類と愛称
米ドルの硬貨は以下の6種類です。50セントと1ドル硬貨はごくまれに見かける程度の流通量なので、主に使われているのは4種類です。

・1セント
・5セント
・10セント
・25セント
・50セント
・100セント(=1ドル)

普段の生活で1番使うのが25セントです。

コインランドリーや公衆電話などは25セントのみしか使えないことが多いため、手元にあったら貯めておくと後で困りません。

また、アメリカドルの硬貨にはそれぞれ呼び方があることはご存知ですか?

1セント:Penny(ペニー)
5セント:Nickel(ニッケル)
10セント:Dime(ダイム)
25セント:Quarter(クオーター)

日常生活の中では、「Do you have any quarters?」などと使います。

ドルは英語で”dollar”ですが、普段の会話ではスラングとして「bucks(バックス)」を使うことも多いです。

例:one dollar = one buck / ten dollars = ten bucks 昔ネイティブ・アメリカンがお金の代わりに鹿の皮 (buck) を利用していたことが、”Bucks”の由来と言われています。

・米ドル紙幣の特徴とセキュリティ機能
世界で最も広く流通している米ドル紙幣は、耐久性が高く偽造防止機能が充実しています。

素材 綿とリネンの混合素材で、破れにくく耐久性が高いです。
カラーシフトインク 光の角度で色が変わるインクが数字部分などに使用され、偽造を防止します。
透かし 紙幣を光にかざすと人物像や額面が浮かび上がります。
セキュリティスレッド 紫外線ライトで光る特殊な糸が紙幣に埋め込まれており、額面ごとに異なる色で発光します。
マイクロプリント 肉眼では見えない極小の文字が印刷されており、偽造対策として効果的です。

これらの技術により、ドル紙幣は偽造が難しく、安全性が高い通貨となっています。

ドルを呼称する国一覧

アメリカ以外にも「〇〇ドル」という通貨を使用している国が世界には多くあります。下記がドルを呼称する国の一部です。

北米地域: カナダ・ドル

中南米地域: ケイマン諸島・ドル、バミューダ・ドル、バハマ・ドル、バルバドス・ドル、ガイアナ・ドル、ジャマイカ・ドル、スリナム・ドル、トリニダード・トバゴ・ドル、ベリーズ・ドル、東カリブ・ドル

アジア地域: 台湾ドル、香港ドル、シンガポール・ドル、ブルネイ・ドル

オセアニア地域: オーストラリア・ドル、ニュージーランド・ドル、フィジー・ドル、ソロモン・ドル

アフリカ地域: リベリア・ドル、ナミビア・ドル、ジンバブエ・ドル

なぜこんなにもドルの種類が多いのでしょう?

アメリカとの経済的交流が深い国は、アメリカの通貨制度に合わせた方が実務的な面でメリットが多いため、多くの国の通貨で「ドル」が使われている側面があると考えられています。

通貨記号「$」と各国のドルの特性

通貨記号「$」について

・ドルはなぜ「$」と表記するのか?
米ドルの通貨記号「$」。そもそもなぜ「$」という表記なのでしょうか?

いろんな説があるようですが、かつてスペインや旧スペイン植民地で使われていた通貨である「peso(ペソ)」のPとSを重ねて書いたもの、とする説が有力となっています。

・ドルを呼称している国の通貨記号は?
「ドル」は一般的にアメリカの通貨である米ドルを示すため、アメリカドル「$」との区別をつけるため、それぞれの国のアルファベットとドル記号で表記します。

A$ = オーストラリアドル
C$ = カナダドル
S$ = シンガポールドル
NT$ = ニュー台湾ドル(台湾元)
HK$ = 香港ドル

各国のドルの特性と紙幣の特徴

ここでは、日本人にも馴染みの深い主要なドル通貨について、その特性と紙幣が持つ独自の魅力を解説します。

・アメリカ(米ドル / USD)
アメリカドルの通貨コードは「USD」です。他のドル通貨と区別をつけるために、USドル、あるいは米ドルと呼ばれることもあります。

特性
米ドルは信頼性がとても高い通貨で、世界で最も重要な基軸通貨(キー・カレンシー)です。

他の通貨と比べると圧倒的な取引量と流動性が高く、相場の変動も比較的小さいのが特徴です。

アメリカ以外の国でも、米ドルを主要通貨として使っている国は多く、主要観光地や大型ホテルなどでは、自国通貨に加えて米ドルも使える場合があります。

紙幣の特徴
前述のとおり、歴史的な人物の肖像が描かれた、伝統とセキュリティ機能を兼ね備えた紙幣です。綿とリネンの混合素材により耐久性が高められています。

・シンガポール(シンガポール・ドル / SGD)
シンガポール・ドルの通貨コードは「SGD」。通貨記号は「S$」です。シンガポールには、7種類の紙幣と6種類の硬貨があります。

特性
アジアの金融ハブとして知られるシンガポールの公式通貨です。

シンガポールの1ドル通貨の種類は、アメリカのように紙幣での発行はなく、コインのみとなります。

紙幣の特徴とセキュリティ機能
現在流通している紙幣は「肖像シリーズ」と呼ばれ、初代シンガポール大統領ユースフ・ビン・イシャークの肖像が全額面に描かれています。

額面(主流) 主なデザインテーマ
2ドル 教育
5ドル 自然、環境保護
10ドル 多文化、スポーツ
50ドル 経済成長、産業
100ドル 歴史、未来

素材はポリマーと紙製の2種類があり、特にポリマー紙幣は耐久性と防水性に優れます。

セキュリティ面では、光に透かすと肖像が浮かび上がる「透かし」や、光の角度で見え隠れする「セキュリティスレッド」、高額紙幣に施された立体的な「ホログラム」などが採用されています。

・台湾(ニュー台湾ドル / TWD)
台湾ドルの通貨コードは「TWD」です。

特性
「台湾ドル」は、「台湾元」「ニュー台湾ドル」と表記されたり、「圓(Yuan)」や「台湾圓(Taiwan Yuan)」などと呼ばれることもあり、複数の呼び方があるのが特徴的です。

そのため街中では「TWD」「NT$」「NTD」「元」「圓」「$」とさまざまな表記を見かけますが、どれも台湾ドルのことを指しています。

台湾ドルには、5種類の紙幣(100元、200元、500元、1,000元、2,000元)と5種類の硬貨があります。

紙幣の特徴
紙幣のデザインには、孫文や風景、教育に関するモチーフが描かれ、台湾の歴史と文化が反映されています。

・オーストラリア(オーストラリア・ドル / AUD)
オーストラリア・ドルの通貨コードは「AUD」。通貨記号は「A$」や「AUD」と表記されます。

特性
オーストラリアは元々イギリスの植民地だった歴史的背景から、1966年まではイギリス・ポンドが使用されていました。

そのためオーストラリア・ドルは比較的新しい通貨です。オーストラリアの1ドル通貨の種類は、紙幣はなくコインのみとなります。

紙幣の特徴とセキュリティ機能
オーストラリアドル紙幣は、世界で初めてポリマー素材を採用した革新的な紙幣です。プラスチック製のため、防水性や耐久性が高く、長持ちします。

額面 主なデザイン
5ドル エリザベス2世の肖像と連邦議会議事堂(新シリーズではオーストラリアの固有植物や動物が中心)
10ドル 詩人バンジョー・パターソンと作家メアリー・ギルモア
20ドル 起業家メアリー・リビーと牧師ジョン・フリン
50ドル 政治家デイビッド・ユナイポンと社会活動家イーディス・カウアン
100ドル 科学者ナンシー・バード=ウォルトンと外交官ジョン・モナシュ

セキュリティ機能としては、紙幣に透明な「透かし窓」があり、複雑なホログラムやデザインが施され、簡単に真偽を確認できます。

また、特定の部分に触れると凹凸を感じる「浮き上がり印刷」も特徴です。

・ニュージーランド(ニュージーランド・ドル / NZD)
ニュージーランド・ドルの通貨コードは「NZD」。通貨記号は「NZ$」や「NZD」と表記されます。

特性
オーストラリア・ドルと同じく紙幣はポリマー製のため、水や汚れに強いです。ニュージーランド・ドルには、5種類の紙幣と5種類の硬貨があります。

紙幣の特徴とセキュリティ機能
ニュージーランドドル紙幣は、豊かな自然と文化遺産を反映した独特のデザインが特徴です。現行シリーズは鮮やかな色彩と精密なデザインが採用されています。

額面 主なデザイン
5ドル 南極探検家エドモンド・ヒラリーと山岳風景(アオラキ/マウント・クック)
10ドル 女性参政権運動家ケイト・シェパードとホワイトリリーフラワー
20ドル エリザベス2世女王の肖像とニュージーランドの国鳥であるケア(大型オウム)
50ドル 科学者アピラナ・ングタと固有の植物であるプカテアの木
100ドル 経済学者アーネスト・ラザフォードと固有のレッド・ビーチの花

セキュリティ機能はオーストラリアドルと同様に、ポリマー素材による高い耐久性に加え、精巧なホログラムや模様が施された「透明な窓」と、触覚で確認できる「浮き上がり印刷」が採用されています。

・カナダ(カナダ・ドル / CAD)
カナダ・ドルの通貨コードは「CAD」。通貨記号は「C$」や「CAD」です。カナダ・ドルには、5種類の紙幣と5種類の硬貨があります。

特性
現行の「フロンティアシリーズ」紙幣もポリマー製のため、耐久性に優れています。以前は1セント硬貨も流通していましたが、2013年に廃止されました。

そのため現金で買い物をする場合は、1セントを利用する必要がないよう端数が調整されます。

紙幣の特徴とセキュリティ機能
カナダドル紙幣は、国の歴史や文化、自然を象徴するデザインと、最新技術を組み合わせた特徴的な紙幣です。

額面 主なデザインテーマ
5ドル 宇宙探査(カナダアーム2)
10ドル 人権活動家ヴィオラ・デズモンドの肖像と議会議事堂
20ドル エリザベス2世女王の肖像と戦没者記念碑
50ドル アークティック(北極)探検(砕氷船)
100ドル 科学技術(DNA二重らせん構造、顕微鏡)

カナダドル紙幣も、プラスチック製ポリマー素材による高い耐久性と、複雑なホログラムが施された「透明な窓」を備えており、世界トップレベルの偽造防止技術を誇ります。

・香港(香港ドル / HKD)
香港ドル(HKD)は、3つの銀行(HSBC、スタンダードチャータード銀行、中国銀行)がそれぞれ紙幣を発行しているという、非常にユニークな通貨システムを持つのが最大の特徴です。

特性
同じ額面でも銀行ごとにデザインが異なるため、多様性があります。香港政府は10ドル紙幣のみを発行しています。

紙幣の特徴とセキュリティ機能
各銀行がそれぞれの歴史や価値観を反映したデザインを採用しており、香港の活気や文化、経済的な繁栄が表現されています。

HSBC: ライオン像(本店のシンボル)や都市景観をテーマに、国際金融の中心地としての地位を強調しています。
スタンダードチャータード銀行: 抽象的な文化的モチーフや自然景観を取り入れ、香港の多様性と現代性を表現しています。
中国銀行: 中国銀行タワーを中心に、伝統的な中国文化と現代香港の調和をテーマにしています。

共通するセキュリティ機能としては、耐久性が高いコットン素材の使用(10ドルはポリマー)に加え、複雑な模様やホログラムが施された「透明窓」、触ると凹凸がある「浮き上がり印刷」、見る角度で色が変わる「カラーシフトインク」などが採用され、安全性が非常に高いです。

ドルの両替と取引方法

多種多様なドルがあることが分かりましたが、実際に旅行や取引でドルが必要になった場合の交換方法について見ていきましょう。

現金は必要?

海外主要都市の多くでは、クレジットカードやデビットカードでの支払いができるお店が多くありますが、現金が必要になる場面も出てきます。

・チップを渡す時(国による)
・タクシーやバスの料金を支払いする時
・屋台や露店などの小さなお店で買い物する時

高額でなくていいので、ある程度の現地通貨を持っておくことをおすすめします。

筆者も、海外のタクシーでクレジットカードが使えず現金で支払った経験があり、少額でも持っておけばよかったと痛感したことがあります。

外貨両替には手数料がかかる

外貨両替をする際には必ず手数料がかかります。それは「両替レート」と「両替手数料」の二つです。

「両替レート」は、テレビのニュースなどで見る為替レートに「為替手数料」を加算したもの。

レートは為替相場によって随時変わり、両替所によっても異なってきます。

「両替手数料」は、外貨両替そのものに発生する手数料で、両替1回につき発生するものです。両替場所によっては「両替手数料無料」であることもあります。

ドルへの主な両替方法

この章では、ドルへの主な両替方法をご紹介します。安全性やレート、利便性を考慮してご自身に合った方法を選びましょう。

・日本国内で両替する
日本国内で両替できる主な場所は下記の通りです。

銀行 信頼性が高く安心して両替可能。ただしレートはやや高め。
外貨両替所 取り扱い通貨が豊富で、銀行より営業時間が長い。
金券ショップ 高レートで両替できる場合が多いが、紙幣の状態や在庫が不安定なことも。
外貨両替宅配サービス ネット注文で自宅に届く便利さがあるが、日本出発までに余裕が必要。

・国内や海外の空港で両替する
手数料は高めですが、わざわざ前もって店舗に足を運ぶ必要がない点がメリットです。

ただし、深夜や早朝は閉まっていることや、混雑していて両替できなかったというリスクもある点には注意が必要です。

・現地で両替する
現地で両替する場合、日本以上に安全な店舗を選ぶのが大切になってきます。

大手ホテル、銀行、デパート、公認の両替所であれば、信頼性があり安心して両替できるでしょう。

街中の両替所は、銀行などよりも低いレートが表示されていることも多いですが、偽装通貨や両替金額をごまかされるリスク、またはひったくりにあうなどの恐れもあるため、安全性を考えるなら日本国内で両替しておく方が安心です。

・現地でのATMキャッシング・デビットカード利用
ATMキャッシング: クレジットカードを使い、現地のATMで現金を引き出します。キャッシングに相当するため、金利が発生する点には注意が必要です。

デビットカードで現地ATMから引き出す
VisaやMastercardなどの国際ブランドのデビットカードを使えば、利用したタイミングで銀行口座から引落しされるため、クレジットカードのキャッシングとは違い借入金利がかかりません。

安心感があり、両替の選択肢として主流になりつつあります。

まとめ

世界で使われているさまざまな種類のドルを解説しました。

アメリカドルは世界の基軸通貨として安定性と伝統を誇りますが、オーストラリアやカナダ、ニュージーランドのドルはポリマー素材という最新技術を採用し、高い耐久性と偽造防止技術を誇ります。

また、香港ドルのように複数の銀行が発行するユニークな通貨も存在します。

海外主要都市ではキャッシュレス決済できる店が多いものの、少額の現金が必要になる場面は必ず出てきます。

現地通貨の紙幣が持つデザインやセキュリティ機能にも注目しながら、安全で快適な旅行や取引を楽しんでください。

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