ドルと言えば、アメリカの通貨を思い浮かべる方がほとんどでしょう。実は「ドル」と名のつく通貨は、世界にたくさんあります。
この記事では、世界の国々で使われているさまざまな種類のドルを解説していきたいと思います。
ドルの種類について
通常、単に「ドル」というとアメリカ合衆国の通貨である「米ドル」を指します。様々な種類のドルをご紹介する前に、まずは世界の主要通貨である「米ドル」の基本情報をご説明します。
アメリカの通貨であるドルは、USドル、米ドル、アメリカ・ドルなどと呼ばれます。通貨記号は「$」や「USD」です。
米ドルには、7種類の紙幣と6種類の硬貨があります。日本円はお札が4種類・コインが6種類ですので、米ドルは種類が多いですよね。
ドル紙幣の種類
1ドル札、2ドル札、5ドル札、10ドル札、20ドル札、50ドル札、100ドル札
2ドル札はあまり流通していないため、主に使われているのは6種類といえます。
ドル硬貨の種類
1セント、5セント、10セント、25セント、50セント、100セント(=1ドル)
50セントと1ドル硬貨はごくまれに見かける程度の流通量なので、主に使われているのは4種類(1セント、5セント、10セント、25セント)となります。
普段の生活で1番使うのが25セント。コインランドリーや公衆電話などは25セントのみしか使えないことが多いため、手元にあったら貯めておくと後で困りません。
紙幣や硬貨に描かれている人物はほとんどが歴代のアメリカ合衆国大統領です。(100セント、10ドル紙幣、100ドル紙幣を除く)
また、アメリカドルの硬貨にはそれぞれ呼び方があることはご存知ですか?
1セント:Penny(ペニー)
5セント:Nickel(ニッケル)
10セント:Dime(ダイム)
25セント:Quarter(クオーター)
日常生活の中では、Do you have any quarters?などと使います。
ドルは英語でdollarですが、普段の会話では「bucks(バックス)」を使うことも多いです。
one dollar = one buck
ten dollars = ten bucks
昔ネイティブ・アメリカンがお金の代わりに鹿の皮 (buck) を利用していたことが、Bucksの由来と言われています。
ドルを呼称する国一覧
アメリカ以外にも「〇〇ドル」という通貨を使用している国が世界には多くあります。 下記がドルを呼称する国の一覧です。
北米地域
カナダ・ドル
中南米地域
ケイマン諸島・ドル、バミューダ・ドル、バハマ・ドル、バルバドス・ドル、ガイアナ・ドル、ジャマイカ・ドル、スリナム・ドル、トリニダード・トバゴ・ドル、ベリーズ・ドル、東カリブ・ドル
アジア地域
台湾ドル 香港ドル、シンガポール・ドル、ブルネイ・ドル
オセアニア地域
オーストラリア・ドル、ニュージーランド・ドル、 フィジー・ドル、ソロモン・ドル
アフリカ地域
リベリア・ドル、ナミビア・ドル、ジンバブエ・ドル
なぜこんなにもドルの種類が多いのでしょう?アメリカとの経済的交流が深い国は、アメリカの通貨制度に合わせた方が実務的な面でメリットが多いため、多くの国の通貨で「ドル」が使われている側面があると考えられます。
通貨記号$について
ドルはなぜ「$」と表記するのか?
米ドルの通貨記号「$」。そもそもなぜ「$」という表記なのでしょうか? いろんな説があるようですが、かつてスペインや旧スペイン植民地で使われていた通貨である「peso(ペソ)」のPとSを重ねて書いたもの、とする説が有力となっています。
ドルを呼称している国の通貨記号は?
「ドル」は一般的にアメリカの通貨である米ドルを示すため、アメリカドル「$」との区別をつけるため、それぞれの国のアルファベットとドル記号で表記します。
A$=オーストラリアドル
C$=カナダドル
S$=シンガポールドル
各国のドルの特性
アメリカ
アメリカドルの通貨コードは「USD」です。他のドル通貨と区別をつけるために、USドル、あるいは米ドルと呼ばれることもあります。米ドルは信頼性がとても高い通貨で、世界で最も重要な基軸通貨(キー・カレンシー)です。他の通貨と比べると圧倒的な取引量と流動性が高く、相場の変動も比較的小さいのが特徴です。
アメリカ以外の国でも、米ドルを主要通貨として使っている国は多くあります。また主要観光地や大型ホテルやショッピングセンターなどでは、自国通貨に加えて、アメリカドルも使える場合もあります。
シンガポール
シンガポール・ドルの通貨コードは「SGD」。
通貨記号は「S$」です。
シンガポールには、7種類の紙幣と6種類の硬貨があります。
紙幣:
2ドル、5ドル、10ドル、50ドル、100ドルの5種類が主流。
1,000ドル、10,000ドルも存在しますが、ほとんど流通していません。
硬貨:
5セント、10セント、20セント、50セント、1ドルの5種類が主流。
1セントはすでに回収が開始されていますが、まだ使用可能です。
シンガポールの1ドル通貨の種類は、アメリカのように紙幣での発行はなく、コインのみとなります。すべての紙幣の表面には、初代シンガポール大統領ユースフ・ビン・イシャークの肖像画が描かれています。
台湾
台湾ドルの通貨コードは「TWD」。
「台湾ドル」は、複数の呼び方があるのが特徴的です。
「台湾元」「ニュー台湾ドル」と表記されたり、「圓(Yuan)」や「台湾圓(Taiwan Yuan)」などと呼ばれることもあります。そのため街中では「TWD」「NT$」「NTD」「元」「圓」「$」とさまざまな表記を見かけますが、どれも台湾ドルのことを指しているため安心してください。
台湾ドルには、5種類の紙幣と5種類の硬貨があります。通貨単位は「元」です。
紙幣:
100元、200元、500元、1,000元、2,000元
硬貨:
1元、5元、10元、20元、50元
オーストラリア
オーストラリア・ドルの通貨コードは「AUD」。
通貨記号は「A$」や「AUD」と表記されます。
オーストラリアは元々イギリスの植民地だった歴史的背景から、1966年まではイギリス・ポンドが使用されていました。そのためオーストラリア・ドルは比較的新しい通貨です。
オーストラリアには、5種類の紙幣と6種類の硬貨があります。
紙幣:
5ドル、10ドル、20ドル、50ドル、100ドル
紙幣はポリマー(プラスチック)素材で製造されているため、水に濡れても破れません。
日本では破れや文字が書かれている紙幣を見ることが時々ありますが、オーストラリアドル紙幣はそんな心配もありませんね。
硬貨
5セント、10セント、20セント、50セント、1ドル、2ドル
ドルコインは金色、セントコインは銀色をしています。
オーストラリアの1ドル通貨の種類は、紙幣はなくコインのみとなります。
ニュージーランド
ニュージーランド・ドルの通貨コードは「NZD」。
通貨記号は「NZ$」や「NZD」と表記されます。
ニュージーランド・ドルには、5種類の紙幣と5種類の硬貨があります。
紙幣:
5ドル、10ドル、20ドル、50ドル、100ドル
硬貨:
10セント、20セント、50セント、1ドル、2ドル
オーストラリア・ドルと同じく紙幣はポリマー製のため、水や汚れに強いです。
カナダ
カナダ・ドルの通貨コードは「CAD」。
通貨記号は「C$」や「CAD」です。
カナダ・ドルには、5種類の紙幣と5種類の硬貨があります。
紙幣:
5ドル、10ドル、20ドル、50ドル、100ドル
カナダドル紙幣もポリマー製のため、耐久性に優れています。
硬貨
5セント、10セント、25セント、1ドル、2ドル
以前は1セント硬貨も流通していましたが、2013年に廃止されました。 そのため現金で買い物をする場合は、1セントを利用する必要がないよう端数が調整されます。
ドルの両替と取引方法
現金は必要?
海外主要都市の多くでは、クレジットカードやデビットカードでの支払いができるお店が多くあります。 しかし、現金が必要になる場面が出てくることもあります。
・チップを渡す時
・タクシーやバスの料金を支払いする時
・屋台や露天などの小さなお店で買い物する時
高額でなくていいので、ある程度の現地通貨を持っておくことをおすすめします。
筆者も、海外のタクシーでクレジットカードが使えず現金で支払った経験があります。帰国前で現金が残り少ないタイミングだったため、お金が足りるかどうか車内でヒヤヒヤ。この時はギリギリ手持ちの現金で支払うことができましたが、かなり焦りました。
外貨両替には手数料がかかる
外貨両替をする際には必ず手数料がかかります。それが「両替レート」と「両替手数料」です。
「両替レート」は、テレビのニュースなどで見る為替レートに「為替手数料」を加算したもの。レートは為替相場によって随時変わります。また両替レートは両替所によって異なってきます。
「両替手数料」は、外貨両替そのものに発生する手数料です。両替手数料は両替1回につき発生するもので、金額に関係なく一律でかかるものです。両替場所によっては「両替手数料無料」であることも。
ドルへの両替方法
この章では、ドルへの主な両替方法をご紹介します。
国内で両替する
国内で両替できる主な場所は下記の通りです。
・銀行:
信頼性があり安心して両替ができますが、両替レートが高い傾向にあります。
・外貨両替所:
取扱う通貨の種類が豊富なのがメリット。銀行よりも営業時間が長い。
・金券ショップ:
大黒屋などの金券ショップも営業時間が長く、駅前にあることも多いため利便性がよいのがメリット。銀行や外貨両替所より高レートであることが多いです。紙幣はヨレヨレで汚れていることがあり、在庫も安定しているとは限らないのがデメリットといえます。
外貨両替の宅配サービス
ネットで外貨を注文して宅配で届けてくれるサービスです。自宅や会社にいながら両替できるのがメリット。申込当日の配達はできないため、日本出発までの日数に余裕のある方にはおすすめの方法です。
国内や海外の空港で両替する
手数料は高めですが、わざわざ前もって店舗に足を運ぶ必要がない点がメリット。ただし深夜や早朝の場合は閉まっていること、混雑していて両替できなかったなんてことがある点には注意が必要です。空港で両替する方は両替する時間も考慮して、早めに空港に行っておくと安心でしょう。
国内や海外の空港で両替する
現地で両替する場合、日本以上に安全な店舗を選ぶのが大切になってきます。大手ホテル、銀行、デパート、公認の両替所であれば、信頼性があり安心して両替できるでしょう。
街中の両替所を見ると、銀行などよりも低いレートが表示されていることも多くお得感がありますが、注意が必要です。店舗によっては、偽装通貨の鑑定がされていない、店員の質が悪い、ひどい場合は両替金額をごまかされることもあります。
また街中ということで、両替所やATMの前でひったくりにあうなどの恐れもありますので、十分に注意してください。安全性を考えるなら、日本国内で両替しておく方がリスクは低くなり安心できるかと思います。
現地でのATMキャッシング
クレジットカードを使い、現地のATMで現金を引き出します。 キャッシングに相当するため、金利が発生する点には注意が必要です。 利用日のレートによっては、銀行や両替所よりもお得に両替できることもあります。 借入金利が発生することや、海外のATMでも日本と同じく利用手数料が取られることがある点を理解した上で利用することが大事です。
デビットカードで現地ATMから引き出す
VisaやMastercardなど国際ブランドのデビットカードを使い、現地のATMから現金を引き出す方法もあります。 デビットカードは、利用したタイミングで銀行口座から利用額が引落しされます。 クレジットカードのATMキャッシングとは違い借入金利がかからないため、安心感がありますね。
まとめ
世界で使われているさまざまな種類のドルを解説しました。
オーストラリアやカナダ・台湾・シンガポールなど、日本人の旅行先として人気の国々でも「〇〇ドル」という通貨が使われています。
海外主要都市ではキャッシュレス決済できる店が多いものの、現金が必要になる場面も出てきます。少額でもよいので、現地通貨を持っておくと安心して旅行ができますよ。