
ヨーロッパの地中海に浮かぶ小さな島国であるマルタ共和国は、温暖な気候と美しい景観で人気ですが、
実際の物価は高い?安い?と疑問に感じる方も多いのではないのでしょうか。
通貨はユーロを採用しており、生活コストは、西欧諸国と比べるとやや抑えめと言われる一方、近年ヴァレッタなどの観光都市や賃貸市場では価格が上昇しやすい傾向にあります。
本記事では、具体的なマルタの物価事情とともに、マルタで賢く節約するポイントをご紹介します。
マルタの基本情報
マルタ共和国は地中海中央部に位置する小さな島国で、イタリアのシチリア島の南にあります。
マルタ本島・ゴゾ島・コミノ島の3島から構成されており、面積は約316km²で人口は約44万人(2024年)とかなり小さな国家ですが、年中を通して温暖な地中海性気候に恵まれています。
言語は公用語のマルタ語と英語で、イタリア語も日常会話で広く通じます。
首都はヴァレッタで、宗教はカトリックを信仰している方が大多数を占めます。
また、治安が良く、ヨーロッパ各地から直行便が就航しているほか、世界遺産の旧市街や美しいビーチで観光地としても人気があります。
マルタの通貨
マルタでは、通貨が日本円ではない分、現地での買い物やレート感覚に戸惑うこともあるかもしれません。
しかし、現地の物価を把握する上でも、通貨の感覚をつかんでおくことはとても大切です。
本セクションでは、ユーロの基本情報に加え、現地での両替方法や為替レートのチェック方法など、マルタでの金銭管理に役立つ情報を解説します。
マルタの通貨はユーロ(€)で、2008年のユーロ導入以来使われています。
2025年7月時点の為替レートはおおむね1€=約170円前後です。
渡航前に日本国内の両替所や銀行で両替しておくと空港よりレートが有利な場合があります。
マルタでは大型店や宿泊施設ではキャッシュレスタイプを含んだクレジットカードが広く使えますが、ローカルの小規模店やバス料金などは現金決済が主流です。
現地ATMからキャッシュを引き出すこともできるので、適度に現金も携帯すると安心です。
マルタの物価:食費
マルタ共和国での日常生活において、食費は大きな割合を占める項目です。
留学や旅行でマルタを訪れる方にとって、物価がどれくらいなのか気になるところではないでしょうか。
マルタの食費事情を詳しく見ていくと、外食や自炊でのコストに違いが見られるほか、購入する商品によっても価格に幅があります。
ここでは2025年の最新情報をもとに、マルタの食費について解説します。
マルタの食料品は他のEU諸国よりも比較的安価な方ですが、日本と同程度かやや高めのものもあります。
マルタでの自炊中心の生活を選ぶ場合、月のおおよその食費は200ユーロから300ユーロ(約34,000円〜51,000円)ほどで済ませることができます。
食材の価格は以下の通りで、一般的な家庭向けのサイズで購入できるものが多いです。
例えば、パン1斤は約1.5ユーロ(約250円)、牛乳1リットルは約1.2ユーロ(約200円)、また卵10個で2.8ユーロ(約480円)ほどとなります。
特に鶏肉や野菜などの生鮮食品は、品質の良さに対して価格が手頃で、自炊派の方にはうれしいポイントです。
例えば、鶏胸肉1kgあたり8ユーロ(約1,300円)、リンゴ1kgは2.5ユーロ(約430円)と、日本と比較しても大きな差はありません。
ただし、ワインやビールなどのアルコール類はスーパーで購入すると格安で手に入ります。
1本あたりビールは1.5ユーロ(約250円)〜、ワインは4.8ユーロ(約820円)から購入可能です。
一方で、外食が中心の場合は、費用感が大きく異なります。
店によって幅がありますが、一般的なレストランでの1食は約€20前後(約3400円)で、地元カフェやファーストフードは€10~15(約1800円)です。
例えばレストランで1人分の食事(3品コースなど)は€20~40、カフェラテは€2~3(約400円)、ビール(0.5L瓶)は€1.5~2(約250円)です。
旅行者に人気のエリアであるヴァレッタやセントジュリアンでは、観光地価格を設定したレストランが多いため、食事代が目安の価格よりも割高になることもあります。
マルタでは外食が日本よりもやや高い傾向にあるので、外食の回数を減らして自炊すればかなり節約でき、さらに地元の市場やスーパーで野菜・肉をまとめ買いすると生活費を抑えることができます。
マルタの物価:家賃
マルタは留学や移住、旅行先として非常に人気が高まっていますが、生活費の中でも特に重要なのが家賃です。
この記事では、マルタにおける家賃の相場や特徴について具体的にご紹介します。
エリアや契約条件による価格差などの情報も解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
マルタの家賃相場は、部屋のタイプやエリアによって大きく異なります。
まず、シェアハウスの家賃は月額€400から€600(約68,000円〜103,000円)が一般的です。
このタイプは多くの学生や短期留学者に人気があります。
一方で、1ベッドルームアパートメントを借りる場合は、月額€700から€1,200(約120,000円〜206,000円)が目安となります。
この価格には家具付きが標準として含まれ、場合によっては光熱費込みの物件も見受けられます。
家賃にはエリアによる差が現れやすい傾向があります。
例えば、高級エリアであるスリーマやセントジュリアンでは、家賃が相場より20〜30%高くなることが多いです。
逆に、モスタやビルキルカラといったローカルエリアでは10〜20%の割引を期待できます。
さらに、ゴゾ島やメリーハなどの田舎エリアでは、家賃が30〜40%も安くなることも珍しくありません。
長期滞在の場合、1年以上の契約を結ぶことで10%程度の値引き交渉が可能です。
また、家賃を抑えたい人には、オフシーズンである11月から2月に契約を開始する方法がおすすめです。
この時期は需要が低下するため、比較的お得な価格で物件を見つけることができます。
そして、学生はシェアアパートや寮を利用するのが一般的で、ルームシェアであれば1人当たり400~600€/月(約68,000円〜103,000円)程度まで抑えられる場合があります。
水道・光熱費は一般的なアパートで月€60~100程度(約10,000円〜17,000円)、インターネット回線(月額)は約€25~35(約4,300円〜6,000円)が相場です。
全体的に、マルタの家賃は安くはありませんが、ローカルなエリアや契約条件を工夫することでコストを抑えることが可能です。
留学や移住を検討している方は、立地や予算を細かく検討し、自分に合った住まいを見つけることが大切です。
マルタの物価:日用品
日常生活に欠かせないシャンプー、歯磨き粉、洗剤などの日用品の価格は、長期滞在者にとって気になるところなのではないでしょうか。
ここでは、他のヨーロッパ諸国や日本と比べて、2025年現在のマルタにおける日用品の物価はどのくらいなのか詳しく見ていきましょう。
マルタで販売される日用品は、全般的にヨーロッパ標準の価格帯に位置し、日本と比べるとやや高めのものや、日本よりも手頃な価格の製品が存在します。
たとえば、洗剤や歯磨き粉などの基本的な家庭用品は、スーパーマーケットで購入可能です。
1本の液体洗剤は約5〜7€(約810〜1,130円)、歯磨き粉は約2.5〜4€(約400〜650円)が相場です。
また、シャンプーや石鹸などの個人ケア製品も、それぞれ同程度の価格帯で手に入ります。
特にマルタ特有の観光地用品やエコフレンドリー商品などが豊富で、これらの価格は若干割高になることがある一方、品質の高いヨーロッパブランド品を買うチャンスでもあります。
意外と便利かつ安価に日用品が手に入るのが、ローカルな市場や地元のドラッグストアです。
大手チェーン店よりも割安で手に入る場合があり、特に地元の人々に人気の小規模店舗ではユニークでリーズナブルなアイテムも見つかります。
これらを活用することで、日用品のコストを効果的に抑えることができます。
なお、LidlやWelbee’s、Greensスーパーなど大手チェーンでは割引セールが頻繁に行われており、まとめ買いをしたい方はかなり節約できます。
マルタの物価:その他
マルタでは、家賃や食費といった基本的な生活費以外にも注目したい点が多く存在します。
たとえば、娯楽、観光、趣味にかける費用や、美容や医療費などです。
特に留学や旅行でマルタを訪れる方は、こうした細かい費用について事前に把握しておくことで予算の管理がしやすくなります。
ここでは、マルタ生活に必要なその他の物価について詳しく見ていきます。
まず、娯楽や観光にかかる費用についてです。
マルタは観光地としても知られる国であり、博物館や観光施設への入場料は比較的リーズナブルです。
たとえば、有名な聖ヨハネ大聖堂への入場料が15€(約2,500円)ほど必要ですが、その価値に見合う歴史的建造物の美しさを堪能できます。
また、映画館の料金は1回あたり8€(約1,300円)前後で、ヨーロッパとしては一般的な価格帯です。
一方で、公共のビーチや自然が身近にあるため、無料でサンセットを眺めたり、アウトドアを楽しめる点は魅力です。
次に、医療費についてですが、マルタでは公的医療がしっかりしており、特に学生ビザを取得している方は留学生向けの医療保険を利用することで、医療費を抑えることができます。
それでも一般的な病院の診察料は30€〜50€(約5,100〜8,600円)が相場で、急病時や突発的なケガには備えておく必要があります。
また、学用品や趣味にかける費用は、日本と同程度か少し安い傾向にあります。
スーパーマーケットや文房具店でノートや文具を購入すると、1冊あたり2€〜3€(約340〜510円)ほど。
アート用品や楽器など、特定の趣味に必要な物品は輸入品となるため価格が高めですが、地元の市場やフリーマーケットを利用すると掘り出し物が見つかることもあります。
最後に、美容関連の費用です。
マルタでのヘアカット料金は20€〜40€(約3,400〜6,800円)程度で、高級サロンを利用する場合はさらに高くなります。
このようにマルタの物価における雑費は、生活スタイルや優先順位によって変動しますが、工夫次第でリーズナブルな生活を送ることができるでしょう。
マルタで節約するポイント
生活費をなるべく抑えつつ、マルタ生活をより豊かに楽しむためには、現地ならではの節約テクニックを知っておくことが大切です。
本セクションでは、現地の人も活用しているお得な情報をまとめてご紹介します。
まず、食費についてですが、自炊を積極的に取り入れることで大幅に出費を抑えることができます。
地元の市場やトラックで販売される新鮮な野菜を活用するのもおすすめです。
また、市場では交渉が可能な場合もあるので、積極的に挑戦してみましょう。
セールやまとめ買いで安く、地場農産物やジェノベーゼオリーブオイル、チーズ類は現地価格が日本より安いので自炊の際に利用してみると良いでしょう。
次に家賃についてです。
特にスリーマやセントジュリアンなどの人気エリアでは家賃が高めになりがちです。
そのため、よりローカル色が強いエリアを選ぶと費用を抑えることができます。
また、もし長期滞在を検討している場合は、1年以上の契約で物件オーナーに値引き交渉を試みるとよいでしょう。
さらに、契約開始時期を観光客が少ないオフシーズン(11月〜2月)に合わせると、比較的お得に契約できるケースが多いです。
家具家電は日本製にこだわらなければ現地で新品・中古が手に入るほか、IKEAやLidlなど大型店のセールを利用すると日用品を安く揃えられます。
交通費に関しては、マルタのバス料金が1回2ユーロ(約340円)とやや高めに感じることがあるかもしれませんが、月額パス(約26ユーロ、約4,400円)を購入すると大幅にコストを抑えることができます。
特に留学生や長期滞在者にはこの月額パスが非常に便利です。
マルタでの生活費を抑えるには、どこで何にお金を使うべきかをしっかりと見極めることが大切です。
少しの工夫でマルタの物価の高さを感じることなく、快適なヨーロッパ生活を楽しむことができます。
まとめ
マルタは、美しい自然と歴史ある街並みが魅力の国でありながら、生活コストはイギリスやフランス、ドイツといった西ヨーロッパの国々よりも比較的抑えられている点が、多くの人にとって魅力的です。
とはいえ、観光地化が進むエリアでは物価が上昇している側面もあり、家賃や外食費などには注意が必要です。
本記事では、通貨や物価の実情、生活費の内訳、そして節約術まで幅広くご紹介しました。
マルタ留学、移住、長期滞在を考えている方は、マルタの魅力を最大限に楽しめるように、渡航前に無理のない資金計画を立てておきましょう。
◇経歴
高校は日本国内の文部科学省グローバル教育指定校に通学。
高校卒業後、タイの国立タマサート大学に1年間正規留学。
その後、転入先であるチェコの国立マサリク大学で政治とメディア学を専攻。
イギリスの企業でマーケティングインターンを経験し、その後ジュニアマーケターとして採用され、英語での実務経験もあります。
◇資格
・TOEIC 800(高校2年次取得
・ IELTS 6.5(高校3年次取得
・ CEFR C1 (大学2年次取得)
◇留学経験
・アイルランド・ダブリンで2週間のホームステイ (高校2年次)
・タイ国立タマサート大学(1年間正規留学)
・チェコ国立マサリク大学(現在3年目で政治とメディア学専攻)
◇海外渡航経験
・25カ国訪問済み(例:ギリシャ、ベトナム、アルバニアなど)
・現地での留学やインターンシップの経験あり
・現在は30歳までに30カ国訪れることが目標
◇自己紹介
旅行が大好きで、異文化交流や新しい経験を大切にしています。これまでの経験を活かし、留学の良さを伝えていけたらと嬉しいです。