海外旅行や留学、出張などで現地の支払いをスムーズに行いたいとき、「トラベルプリペイドカード」は非常に便利な選択肢です。
クレジットカードと違って前払い式のため、使いすぎを防ぎやすく、審査も不要なことから学生や未成年でも作りやすい点が魅力です。
さらに、為替レートの管理がしやすく、盗難や紛失時のリスクも最小限に抑えられます。
本記事では、プリペイドカードのメリット・デメリットや選び方を詳しくご紹介します。
海外トラベルプリペイドカードとは
海外トラベルプリペイドカードとは、海外旅行や出張・留学などで現地の買い物やATM引き出しなどに使える「チャージ式」のカードのことです。
事前に日本円でお金をチャージしておき、その金額の範囲内で使えるのが特徴です。
クレジットカードとの大きな違いは、後払いではなく前払いであるという点です。
あらかじめ自分で決めた金額を入れておくので、使いすぎの心配がなく、予算管理がしやすいです。
また、発行にあたってクレジットカードのような審査がないため、未成年や学生でも作りやすいのがメリットです。
このカードにチャージされたお金は、複数の通貨(たとえば米ドル、ユーロ、ポンドなど)に両替して使えるものも多く、使う国の通貨に合わせて設定できます。
チャージのタイミングで為替レートが確定するため、旅行中にレートが変動しても安心です。
また、万が一紛失や盗難にあった場合でも、銀行口座と紐づいていないカードであるため、被害額が最小限で抑えられます。
プリペイドカードのメリット
1. 使いすぎを防げる(予算管理がしやすい)
プリペイドカードは「前払い式」なので、使える金額はあらかじめチャージした分だけです。
「この金額だけ使おう」と決めて入金しておけば、使い過ぎを防ぐことができます。
また、アプリやWebで残高を確認できるカードも多いので、都度確認をしながら計画的にお金を使うことができます。
特に学生や初めての海外旅行の人にとっては安心です。
2. 審査不要・誰でも作りやすい
クレジットカードは収入や信用情報などの審査がありますが、トラベルプリペイドカードは基本的に審査が不要(またはごく簡単)です。
本人確認書類(運転免許証やパスポートなど)さえあれば、誰でも申し込めるカードが多いです。
そのため、未成年の学生、クレジットカードがまだ作れない若年層、主婦、留学を控えている高校生など、幅広い層が利用できます。
3. 両替の手間が少なく、レートも把握しやすい
通常、現金で両替する場合は空港や銀行の窓口で両替が必要ですが、プリペイドカードならチャージと同時に為替も確定するので、現地で両替の手間が不要です。
さらに、レートはチャージした時点で固定されるため、「今円安になって損した…」というような心配も少ないです。
旅行前にレートをチェックして「良いタイミング」でチャージすることもできます。
4. 複数通貨に対応しているカードもある
カードによっては、米ドル、ユーロ、英ポンド、豪ドル、人民元など、複数の通貨に対応していて、ひとつのカードで複数の国を旅行できる設計になっています。
たとえば、アメリカ・ヨーロッパ・オーストラリアなど複数の国を巡る旅行でも、それぞれの通貨に事前にチャージしておけば、現地で自動的に対応通貨が優先されて使われます。
これによって、都度両替する面倒さや手数料もカットできます。
5. 盗難・紛失時のリスクが少ない
カードを万が一落としたり盗まれたりしても、すぐに利用停止の連絡をすれば、残高を守ることができます。
また、クレジットカードの場合は不正利用されると後から請求がくる可能性もありますが、プリペイドカードはチャージした分しか使えないので、被害額を最小限に抑えられます。
さらに、カードによっては「緊急再発行」や「サブカードの事前発行(家族や自分用に2枚発行できる)」といったサービスもあるので、旅先でも安心です。
6. ATMから現地通貨を引き出せる
現地のATMから現地通貨を引き出すことができる機能もついています。
街のATMで気軽にお金を下ろせるので、「ちょっと現金が必要」という場面でも対応可能です。
ただし、カードによってはATM利用時に手数料がかかることがあります(たとえば200〜300円程度や、一定の%)。
事前にしっかりと確認しておきましょう。
7. 海外ショッピングにも対応
国際ブランド(VisaやMastercardなど)が付いているプリペイドカードであれば、世界中の対応店舗でクレジットカードと同じように利用できます。
ホテルの支払い、スーパーでの買い物、レストランの会計など、幅広く対応しています。
オンラインショッピングにも使えるカードもあり、現地のアプリや予約サイトなどでの支払いにも対応できるので便利です。
プリペイドカードのデメリット
1. チャージ残高以上は使えない(柔軟性に欠ける)
プリペイドカードはチャージした分しか使えないので、急な出費や予想外の支払いに対応しづらいという弱点があります。
たとえば、ホテルで思ったよりデポジット(保証金)を取られたり、現地で病院の受診が必要になったりしても、残高が足りないと使うことができません。
現地でチャージできるカードもありますが、インターネット環境や手続きの手間がネックになることがあります。
2. ATMやチャージ時に手数料がかかることがある
・チャージ手数料(チャージごとに数百円)
・為替手数料(通貨変換時に1〜3%ほど)
・ATM引き出し手数料(1回あたり200〜300円程度)
・解約時の払い戻し手数料(使い切れなかった分を戻すとき)
特にATMでの引き出しは、手数料が2重にかかるケース(現地ATM+カード側)もあるので要注意です。
3. 使える場所が限定されることがある
国際ブランドがついていても、一部の店舗やホテルでは使えないことがあります。
・ホテルで「デポジット目的」のカードとして使えない
・レンタカーの保証として使えない
・オフライン決済(ネット接続なしの決済端末)でエラーになる
こういった場面では、通常のクレジットカードの方がスムーズに決済できるでしょう。
4. 払い戻し(日本円への戻し)に手間や手数料がかかる
旅行から帰ってきてカードに残高が残っている場合、それを日本円に戻すには払い戻し手続きが必要になります。
このときにも、手数料が差し引かれることがあったり、書類の提出が必要だったりする場合があります。
また、少額(数百円程度)の残高だと、手数料の方が高くて損をすることもあるので注意が必要です。
5. 紛失・盗難時の補償が限定的な場合がある
クレジットカードの場合、不正利用された金額の全額が補償される仕組みがありますが、プリペイドカードはカードによって補償内容が限定的なこともあります。
たとえば、「連絡までに不正利用された分は補償外」となるケースや、「一定金額までしか保証されない」こともあります。
万が一に備えて、紛失に気づいたらすぐにカード会社に連絡しましょう。
6. チャージや利用に時間差がある場合も
チャージしてすぐに反映されないカードや、使った金額がリアルタイムで更新されないカードもあります。
そのため、「もうチャージされたと思って買い物したら、反映されてなくて決済できなかった」といったトラブルが発生します。
海外だと特に、ネット環境が安定していないことも多いため、タイムラグには注意が必要です。
7. 還元率やポイント制度がほとんどない
クレジットカードのように「ポイントが貯まる」「マイルが付く」などの特典がほとんどないのも、プリペイドカードの弱点です。
旅行中のお買い物をたくさんしても、特にお得になる仕組みはあまり期待できません。
「お得さ」を重視する人には少し物足りないかもしれません。
プリペイドカードを選ぶポイント
1. 対応している通貨(マルチカレンシーかどうか)
チャージした日本円が、現地でそのまま使えるかどうかはカード選びの最重要ポイントの一つです。
特に複数の国を旅行する場合は、1枚で対応できる通貨が多いほど便利です。
・行き先の通貨が直接チャージ可能か
・通貨が対応していない場合、自動的に両替されるが、その際の手数料はどうか
・複数の通貨をチャージできる「マルチカレンシー対応」か
2. 為替手数料・レートの仕組み
同じ金額をチャージしても、手数料やレートの違いで使える金額に差が出ます。
特に長期滞在や大きな出費がある場合、積み重なると大きな金額になります。
・為替レートが固定されるタイミング(チャージ時 or 利用時)
・為替手数料(外貨に変える際の上乗せ率)
・為替スプレッド(表向きのレートとの差額)
一見レートが良さそうでも、実は手数料が高いこともあるので、「最終的にどれくらい使えるか」で比較しましょう。
3. チャージ方法の便利さ
旅行中や留学中など、いざという時にすぐにチャージできるかどうかが重要です。
・チャージ可能な方法(ネットバンキング、コンビニ、クレカなど)
・チャージ反映までの時間(即時 or 数時間 or 翌日)
・現地からのチャージに対応しているか(アプリやWeb経由)
4. ATM引き出し手数料の有無と金額
現地で現金が必要になった場合、ATMから引き出せるのは便利ですが、事前に手数料を必ず確認しておきましょう。
・1回の引き出しごとにかかる固定手数料
・引き出し金額に対してかかる手数料(%)
・月◯回まで無料などの優遇制度があるか
海外ATM自体の利用料(現地側の手数料)もあるため、トータルでどれくらいかかるかを想定しておくことをおすすめします。
5. 国際ブランド(Visa・Mastercardなど)
国によって使いやすいブランドが違います。
加盟店数や対応の広さに差があるため、自分の行く国で一番使いやすいブランドを選びましょう。
・Visa:最も広く使える。ほぼ全世界で対応。
・Mastercard:Visaと並んで強力。国によってはVisaより使える場所も。
・JCB:日本では強いが、欧米・南米では対応していない店も多い。
6. スマホアプリの使いやすさ・サポート体制
旅先でカードの残高や使用履歴をすぐに確認できると、安心感が違います。
また、トラブル時に日本語でサポートが受けられるかも重要です。
・アプリやWebサイトで残高・チャージ・利用履歴が見られるか
・利用通知のプッシュ機能があるか
・日本語サポート(メール、電話、LINEなど)はあるか
・海外からの緊急連絡窓口があるか(24時間対応が理想)
7. カード発行・再発行の手数料
カードの初期費用や再発行のコストは意外と見落としがちですが、旅先でカードを落とした時などに響いてきます。
・発行手数料(無料〜数百円)
・紛失・再発行時の料金
・有効期限が切れた場合の更新手続きや費用
8. 年齢制限や申し込み条件
未成年や学生などはクレジットカードが作れないこともあるため、プリペイドカードが重宝されます。
ただし、カードによっては年齢制限がある場合もあるので注意が必要です。
・何歳から申し込めるか(16歳〜OKのカードもあり)
・本人確認に必要な書類(マイナンバー、パスポートなど)
・発行にかかる時間(最短即日~1週間)
留学や旅行におすすめのプリペイドカード
■ キャッシュパスポート(Cash Passport)バランス重視の王道カード
海外旅行や留学でまず選択肢に挙がるのが「キャッシュパスポート」です。
これは、世界中で使えるMastercardブランドが付いており、アメリカドルやユーロ、イギリスポンドなどの主要な通貨にあらかじめチャージしておけるタイプのカードです。
出発前に外貨でチャージできるので、為替のタイミングを見て自分で両替できるのが特徴です。
また、日本語での24時間対応サポートがあるため、万が一のカード紛失やトラブルの際も安心です。
旅行にも長期留学にも対応しており、バランスの取れた定番カードとして人気があります。
■ マネパカード(Money Partners Card)為替コストを抑えたい人におすすめ
「少しでも両替手数料を安くしたい」「為替レートを有利にしたい」という人には、マネパカードが向いています。
マネパカードは、あらかじめ日本で外貨に両替し、その通貨をカードにチャージするスタイルです。
これにより、使う時ではなくチャージ時点でレートが確定するので、計画的に両替でき、為替変動のリスクを避けられます。
また、為替手数料(スプレッド)が非常に低めに設定されているのも大きな魅力です。
対応通貨は主要6通貨で、長期滞在や出張にも強いカードです。
シンプルで堅実に使いたい人には特におすすめです。
■ NEO MONEY(ネオマネー)学生や未成年でも使いやすい1枚
クレジットカードをまだ持てない学生さんや、未成年の留学・旅行に便利なのが「NEO MONEY」です。
審査が不要で、本人確認書類さえあれば誰でも作ることができるので、初めて海外に行く高校生や大学生にも使いやすいカードです。
チャージは日本円で行い、現地で使用する際に自動的にその時点のレートで外貨に換算されて決済されます。
そのため、レート固定型ではありませんが、その分操作もシンプルで難しい知識は不要です。
Visa付きで利用できるお店も多く、観光から短期留学まで幅広くカバーできます。
■ Wise デビットカード(旧 TransferWise)長期滞在や送金に強い「マルチ通貨口座」
最後に少し番外編として紹介するのが、「Wise(ワイズ)」のデビットカードです。
これは純粋なプリペイドカードとは少し違い、「マルチ通貨口座+国際デビットカード」の組み合わせというユニークな形です。
Wiseの魅力は、50以上の通貨をリアルタイムで両替・管理できること。
為替手数料も非常に安く、現地での買い物やATMでの引き出しにも対応しています。
さらに、家族や親からの仕送りにも便利で、口座間の送金が簡単かつ早く済むのが大きな強みです。
ただし、口座開設には少し時間がかかるため、余裕を持って準備する必要があります。
留学、ワーキングホリデー、長期旅行など「しばらく海外に住む予定がある人」にとっては、非常に心強い選択肢になります。
まとめ
海外トラベルプリペイドカードは、海外での買い物や現金引き出しに使える前払い(チャージ)式カードで、使いすぎを防ぎ、審査不要で学生や未成年も利用可能です。
為替手数料の節約や多通貨対応、紛失時の安全性などがメリットとしてあげられます。
一方で、手数料や使える場面の制限もあるため、用途に合うカードを探すことが非常に重要です。
キャッシュパスポートやマネパカード、NEO MONEY、Wiseなど、それぞれ特徴に合わせて、ご自身に合うものを選びましょう。