円安や物価高から、留学費用が抑えられるフィリピンなどのアジア圏への語学留学が、2023年以降増えています。
しかし、フィリピンの語学学校にもさまざまなタイプがありますし、日本政府から渡航危険地域に指定された地域もあります。
そこでコスパの良さから年々人気が高まっているフィリピンでの語学留学を、メリット・デメリットやおすすめの学校、費用が安い地域などを一挙まとめてご紹介します。
フィリピン留学の費用が安い時期
最安値でのフィリピン留学を計画する場合は、フィリピン特有の繁忙期と閑散期を知っておくことがポイントです。 留学にかかる費用で最も重要になるのが語学学校にかかる費用なので、入学希望者が少ない閑散期に渡航を計画するのが、節約には欠かせません。
ただし閑散期であっても国民の祝日が多いシーズンは授業が休講となり、休講となった場合の振り替え授業や返金が発生しないのが一般的です。
また観光客が多いシーズンには、航空券代やホテル代が高くなります。 そこで留学の閑散期だけでなくフィリピンの観光シーズンを避けることも、費用を抑えるためには重要なポイントです。
高校生・大学生留学で費用が安い時期
高校生・大学生留学の費用を安く抑えるなら、春休み後半の3月末~4月初旬がおすすめです。 春休みは高校生・大学生留学が集中する時期ですが、4月初旬は閑散期にはいります。
そのため定員割れの学校では、学費の割引キャンペーンを実施することもあります。 また3月は航空券代が比較的安いので、渡航費用を抑えて学費に充てることも可能です。
社会人留学で費用が安い時期
中・長期でしっかりと英語力を身につけたい社会人には、9月以降に渡航する秋留学がおすすめです。例年フィリピンの語学学校では、9~12月にかけて閑散期に入ります。
閑散期は学費や寮費用の割引キャンペーンを実施して学生を募集する語学学校が増えるので、中・長期留学でも費用の節約が可能です。
併せて6月は日本人留学生の多くが帰国することから学費が比較的安くなるため、社会人の中・長期留学にはおすすめの時期です。
フィリピン留学が一般的に安い理由
フィリピン留学は、日本人だけでなくマレーシアや韓国などのアジア圏でも人気があります。 留学の目的は人それぞれですが、ネイティブスピーカーの英語を身につけるのが目的としているケースが多いようです。
ではフィリピンでの留学は、なぜ一般的に安いといわれているのでしょうか。
現地講師の人件費が安い
学費が高くなる重要な要因に、人件費の高さがあります。アメリカ・オーストラリアは講師の人件費が高いため、人件費が学費に転嫁されて高くなります。
しかしフィリピンの最低賃金は、マニラ首都圏でも日本円で約1770円/日、2025年にフィリピン統計庁が発表した平均月収では約4万6000(1万500ペソ)です。
そのため現地講師が多いフィリピン語学学校では、人件費の安さが留学費用の安さにも関係しています。
航空券代が安い
日本人を含むアジア圏でフィリピン留学が人気なのは、航空券代(渡航費)の安さも理由に挙げられます。
日本とフィリピンを結ぶ飛行機は便数も多いですし、安い時期を狙えば往復航空券でも約3万円で購入できることもあります。
ちなみに留学先で人気のアメリカでは、安い時期でも往復航空券代が12~25万円です。
費用が安い学校の特徴
留学費用の中でも占める割合が高いのが、語学学校の学費や教材費です。 費用が安い語学学校でも、充実したカリキュラムが人気の学校はありますし、実際に留学を体験した人のコメントには高く評価されるものも多く見られます。
とはいえ費用が安いからには、何らかの理由があるのも事実です。
そこで最安値で学校を選ぶ前に知っておくべき、「費用が安い語学学校の特徴」をまとめてみました。
寮や学校施設が古い
格安語学学校にもさまざまなタイプがありますが、一般的に学生寮や学校施設は古い傾向にあります。
他校との差別化のために各校でさまざまな対策が行われていますが、日本の一般的な学校施設の水準レベルとは違います。
さらに地方都市の格安語学学校では、ネット環境があまりよくありません。通信が不安定なことも多いですし、雨季ではネットにつながらないケースもあります。
アクセスが不便
格安語学学校では、立地の良さを求めるのは難しいです。都会よりも地方都市の方が物価が安いので、格安学校は地方都市に多い傾向があります。
地方都市でも移動に便利な学校はありますが、フィリピンには鉄道網の整備が進んでおらず、基本の移動手段はタクシーです。しかしタクシー料金は決して安くはないため、週末にショッピングや娯楽を楽しむ場合、移動にかかる費用が負担になります。
タクシー以外で地元客に人気なのが乗合バスのジプニーですが、日常英会話に自信がない場合はジプニーの利用は難易度が高いです。
ただし週末も外出せず、朝から晩まで勉強三昧で過ごすなら、アクセスの不便さはそれほど気にならないでしょう。
新規参入の学校も多い
新規参入の学校も、フィリピン国内の語学学校増加に伴って増えています。特にコロナ収束後はオフライン留学も増え、かつては安いと注目されていた語学学校も、軒並み学費が上がっています。
もともと新規参入業者は、集客のために割引キャンペーンや早期予約キャンペーンなどを実施していることが多く見られました。
費用の安い学校を選ぶメリット
格安語学学校を選ぶ最大のメリットは、費用を理由に中・長期留学を諦めなくてもよい点です。 ネイティブスピーカーの講師が少ないといわれるフィリピンですが、地方都市や独自の授業プログラムを展開している学校では、中・上級レベルにも人気があります。
「海外生活を体験したい」「フィリピンでプレ留学を体験し、アメリカでの本格的な海外留学に備える」なら、費用重視よりも目的や学習レベルを重視して学校を選ぶのが良いです。
しかし中・長期留学でしっかりと英語を学びたいなら、学費・寮費用が安い格安学校の方が圧倒的に良いでしょう。
なお学費・寮費用は、滞在期間によって変わります。
そのため学費や寮費用を安く抑えるなら、格安語学学校を選ぶ方のメリットが大きいです。
費用が安い・格安の学校
人気留学先のトップ5にランクインしているフィリピンは、費用が安くても学生や卒業生からの評価が高い語学学校はあります。
そこで社会人や親子留学などに人気のセブエリアを含めたおすすめ地域の格安語学学校を、5校ご紹介しましょう。
3D Academy(セブ島)
3D Academy(スリーディーアカデミー)は日系語学学校ですが、創立が2002年で20年以上の歴史を持つ老舗語学学校として、セブ留学でも人気があります。 寮費用を抑えるなら安いのが特徴で、中でも内部寮がおすすめ。
セブ市内中心部にありますが、4人部屋・6人部屋の料金はセブエリアの最安値です。 自炊が苦手な人におすすめなのが、寮の無料ビュッフェキャンペーン。
通常プランだと1週間で4000円ですが、24週以上の留学なら無料で利用できます。 なお1週間で内部寮4人部屋のESLコースなら、渡航前の費用が7万円強(入学金・学費・内部寮費)、渡航後の費用が3万弱で、合計約10万円と最安値です。
Curious World(セブ島)
Curious World(キュリアスワールド)は、高校生・大学生留学にも人気の格安学校です。 もともとは教育レベルの高いフィリピン・バギオでオンライン英会話を運営しており、初のキャンパスとして2024年セブ島に移転してきました。
寮のオーナーは日本人で、大型ショッピングモール近くの中規模ホテルを改築しています。 食事や施設の環境も日本人向けなので、安くても安心・安全な点が日本人におすすめです。
E-Room(バコロド)
E-Room(イールーム)は、教育環境の整った地方都市・バコロドにある小規模語学学校です。 アットホームでノンスパルタ式ですから、自由な学生生活ができる語学学校としても人気があります。 安さを優先するなら、1週間の語学留学がおすすめです。内部寮3人部屋を利用すれば支払金額の合計が約9万5000円なので、格安短期留学に人気があります。
PINES メイン校(バギオ)
PINESメイン校(パインズメインコウ)は、半年以内の中期留学におすすめな格安語学学校です。 内部寮の4人部屋・6人部屋なら寮費用がかなり格安ですし、留学期間が長くなるほどお得な割引が受けられるキャンペーンも随時実施しています。
ただし2週間以上のコースのみなので、1週間の短期留学は受け付けていません。
1週間の超短期留学を希望している人にはお勧めできませんが、しっかりと時間をかけて英語力を身につけたい人には、格安で留学ができるおすすめ校です。
Baguio JICメイン校(バギオ)
Baguio JICメイン校(バギオジェイアイシーメインこう)は、英語初心者が中・長期で確実に英語力を身につけるのにおすすめな格安語学学校です。
地方都市・バギオ市内から10分離れた自然豊かな環境とスパルタ式カリキュラムなので、勉強に集中できる環境を格安で手に入れたい人に人気があります。安いとはいえ内部寮は非常に快適な生活空間で、全室冷蔵庫が完備されています。
そのため安い食材を購入して食費を抑えたい人にも、Baguio JICメイン校はおすすめです。
まとめ
海外留学を実現する上で避けては通れない留学費用ですが、アメリカやオーストラリアよりも格段に安いフィリピンならハードルもかなり下がります。とはいえフィリピンはコロナ以降、オフライン留学の希望者が急増している人気の留学先です。
語学学校の数も増えていますし、学費も近年値上がりしている傾向があります。
いざ留学してみて「こんなはずじゃなかった」という体験談も多いので、不安な場合は留学エージェントに相談してみるのもおすすめです。